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ミステリの祭典

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ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女

作家 スティーグ・ラーソン
出版日2008年12月
平均点5.20点
書評数10人

No.10 7点 よん
(2021/12/20 14:12登録)
密室状態の孤島での消失事件を扱ったミステリとしても良く練られているいるが、戦後ヨーロッパの暗部をえぐる歴史ロマンとしても、ネット時代の情報、謀略小説としても、そしてミカエルとリスベットのもどかしい関係をめぐる恋愛ものとしても存分に楽しませてくれる。世界中で売れまくったのも無理はない、破格のジャンルミックス小説。

No.9 6点 いいちこ
(2020/12/28 16:01登録)
「未解決殺人事件の解明」と「ヴェンネルストレムの打倒」が本作の骨格を形成している訳だが、それらが有機的に連結しておらず、プロットの完成度は至って低い。
結果として、前者を描いた長編作品に、後者を描いたサイドストーリーを追加したかのような構成となっており、そもそも作品の構想自体に大きな欠陥が存在。
また、前者は犯行を解明するプロセスがほぼすべて犯人の自白であり、後者は相手のPCを丸ごとハッキングするという、ほとんど冗談としか思えない展開。
中盤あたりまで読者をグイグイと引き込んでいく、筆力の高さは抜きんでており、その点では確実に楽しめるが、それを最大限に評価しても、ミステリとしては及第点の域を出ない

No.8 7点 Kingscorss
(2020/09/04 23:53登録)
長いし、評価が別れてるし、誇大評価なんじゃないかなぁと、なんとなく読むの躊躇してましたが、最近読了しました。

先に感想言うと、噂に違わず面白かったです。最初の方は登場人物覚えるのに苦労(あまりの人の多さに家系図とかついてるし)したり、なかなか物語が動かないので、ちょっとイマイチかなぁと思いながら読んでましたが、あるきっかけでどんどん謎が解けていく過程にとにかく引き込まれ、最後の方は夢中になって読んでました。

とにかくキャラクターが立ってて、エンターテイメント性が高く、読ませる小説でした。

個人的にイマイチだったところは、北欧の土地柄なのか、主人公がジェームス・ボンドみたいで、やたら落ち着いててかっこよすぎなのはおいていても、すぐ誰彼構わずセックスするのがいただけない点。やはり前半の物語がゆったり進む関係であまり面白さを感じにくい点。後半の事件の真相がわかって精算した後の雑誌ミレニアムの処遇の話が蛇足気味に感じたことでしょうか。

とはいえ、世界中で人気が出たのも納得の作品でした。

No.7 7点 斎藤警部
(2019/05/23 11:41登録)
実績に裏切り無し、流石の娯楽大作。 荘厳なる物語を予感させひとしきり疾走し、絶妙に遅めのタイミングで急速に通俗の領海に舵を切る。カットバックの不規則な間合いが良い。サディストを惨酷無比なサド返しで仕上げるくだりは極上。小説のほぽ真ん中で二人の主人公が初めて相対するシーンはなかなか新鮮だが、そこで急にラノベ風に変身されても困る。すぐ普通の通俗味に戻ったけど。(そのへんだけ小説手触りがちょっとデコボコ)

いかにも本格ミステリ風な大小地図に巨大家系図、数十年前の密閉孤島で起きた大事故と失踪事件、大富豪一族の愛憎劇。。 だが巻末解説にある「第I部(本作)はオーソドックスな密室もののミステリー」というのは大嘘もいいとこで、本格偏愛度の高い人ほど「はァ~あ?」と眉を吊り上げずにいられないでしょう。 ただ、一点だけ際立って本格を感じたのが、、 これちょっとネタバレですけど、、、 或る重要な共犯像、もしやおアガサがインスパイア元の、超おぞましパロディック応用篇沙汰か。。。 ?!!?

物語の幕開けは、飛ぶ鳥を落とす勢いの新興実業家への名誉棄損罪で三か月の禁固刑を言い渡された、経済誌『ミレニアム』の記者兼共同経営者である主人公1のミカエル(♂)が、往年の大実業家老人(今でもかなりの勢力はある)から、その憎っくき新興実業家を撃墜できる致命的大ネタ及びかなりの大金を報酬に、そのむかし若くして行方不明になった(死んだとされている)大姪の死の真相(老人は彼女が死んだものと決めつけている、ようだ)をミカエルの見上げたジャーナリスト魂と技とで暴き出して欲しい、と申し出を受ける所から。

カットバックで並走するもう一つのストーリーは、とある探偵事務所にフリーの調査員として勤務する、心の病を抱えた超豪快天才ハッカーの主人公2,、リスベット(♀)が、大実業家老人がミカエルを前述の用件で雇うに先立っての身辺調査を引き受ける所から始まり、、、、

ミカエルがやたら現代ミステリをチェインリードしてるのがいい。セックスよりミステリのほうが頻度高げなのがいい。ニッポンの東野や連城も読んでいてくれたらなと思う。

寂しさと哀しみのラストシーン。 重要な脇役群(どころか主役級も)についての情報があまりに多く蓋をされたままの終結は、続篇の連発を予想させるに充分。 後続篇では前述の”仕上げられたサディスト”が鬼の復讐に乗り出すらしい。最高だ。   

作者は全体で10部だかなんだかを構想しておったらしいが第3部まで仕上げ、出版前に夭折してしまいました(現在第4部以降は他の作家達によって引き継がれている)。 「カラマーゾフの兄弟」の書かれなかった第二部への逆ノスタルジアに思いを巡らさせるったらありゃしねえです。

ところでエルヴィスの看板、誰かサルベージしてあげて。。

No.6 5点 nukkam
(2017/08/03 05:06登録)
(ネタバレなしです) スウェーデンのスティーグ・ラーソン(1954-2004)の2005年発表のミレニアム三部作第1作です。3作を完成して出版社と契約した直後に作者が急死するという劇的な運命をたどったこのシリーズ、本国で大ヒットして全作映画化されただけでなく欧米各国にも翻訳出版されて話題になり、さらにはスウェーデンのダビド・ラーゲルクランツ(1962年生まれ)によってシリーズ第4作以降が書き継がれるほどの成功作です。この三部作は本書が本格派推理小説、「火と戯れる女」(2006年)がハードボイルド、「眠れる女と狂卓の騎士」(2007年)が法廷スリラーと紹介されることもあるようですが、本書に関してはあまりこれを鵜呑みにすると肩透かしの気分を味わうかもしれません。36年前の少女失踪事件の調査に始まりやがて凶悪な犯罪事件の謎解きに発展するプロットですが真相説明が自白に頼っているところも多くて推理物としては物足りません。ハヤカワ文庫版の巻末解説にあるように「社会派色」が強いし、容赦ないまでの非情な描写は十分以上にハードボイルドです。さらに2人の主人公の紹介に相当のページを使い、謎解きが終わった後もさらに非ミステリーの物語が長々と続くなど多彩なジャンルミックス型です。本格派を偏愛している私に訴える要素は少ない作品でしたが、ハヤカワ文庫版で上下巻合わせて850ページ、40人を超す登場人物リストの大作ながら洗練された明快な文章力による語り口は卓抜で、それほど退屈せずに読めました。

No.5 1点 abc1
(2014/08/29 22:58登録)
長くて登場人物がやたらに多い割には謎解きが全然論理的じゃない。
ミステリーとしては悪い見本のような作品。
これがシリーズ300万部とは。
スウェーデンのミステリーってレベル低っ!

No.4 6点 あびびび
(2012/11/04 11:24登録)
やたら出演者が多くて、映画はちんぷんかんぷんだったが、そのおさらいのように、物語の本筋が分かってきて(当たり前だが)、案外おもしろかった。

しかし、あまりに異常な世界。ミステリを読んでいるという感覚ではなく、怪奇小説のおぞましさだけが残ったが、西洋文明では受け入れられる世界観なのだと思う。

No.3 3点 好兵衛
(2012/05/27 20:43登録)
映画の宣伝にひかれて、まずは原作からと。
手にとって読みました。
大量の登場人物紹介、一族の。
嵐の孤島のような、密室的な状況。
その中で、忽然と消えた少女。

引きはバリバリの推理小説だと思うのですが。
解決は、推理のしどころがない。
やはり、ドラマのようにながれていくのですね。

「これは、推理小説じゃない現実なんだ。」的な
台詞が出てきますが。まさにその通り。
推理小説としてみたら、とてもじゃないけど
なりたってない。

だとしたら、家計図や、推理小説的な状況。
謎の定義をやめてもらいたいなぁ。
登場人物しっかり覚えちゃったじゃないですか。
あぁ、つられた。(涙)

前・後と分かれていたのですが。
謎のほうに入るのは、ほとんど後半の後半。
しかも、すかしたようにおざなり。

どうやら、映画化!!世界的ヒット!!ミステリ!!
は私にとって鬼門のようです。

No.2 4点 江守森江
(2010/11/13 18:01登録)
AXNミステリーで映画未公開映像も加えた完全版ドラマ(4話分割)が目玉作品として放送されたのを録画一括視聴したついでにおさらいした。
謎はそこそこ魅力的ながらミステリーとしてはお粗末な解決編、無理くりな聖書絡みの暗号に馴染めない、社会派方向に長く無駄に引っ張るの三重苦でドラマ視聴は早送り、原作は飛ばし読みになった(要注意:映画・ドラマを未見での原作飛ばし読みならスルーすべき)
見所&読み所が陵辱場面と女主人公リスベットの貧乳&子供体型(ドラマの登場シーンではニューハーフだと思った)しかない。
こんな作品が世界的ベストセラーになりハリウッドではファンタジーとしてリメイクされるらしいのだから開いた口が塞がらない(世評の高さを考えるとミステリーと思わず読めば楽しめるのかも?)
それでも、貧乳フェチなのでリスベット役の女優に萌で1点加点。
※追記
おさらいでしか接する可能性がない作品だが、来春には続編の映画のドラマ完全版放送が決定したので観ておさらいしてしまうだろう。

No.1 6点 kanamori
(2010/10/05 17:42登録)
”世界的ベストセラー”の惹句を掲げた小説を読んで満足できた憶えがないので、ハードルを下げて挑んだのがよかった。なんとか最後まで読み通すことができました。
ジャーナリスト出身作家らしく、スウェーデン社会の暗部も描かれていて興味深いが、この物語にはその大部分が不要のような気がする。大実業家一族の隠された過去とか、密室状況下の島からの人間消失というミステリ部分だけで充分。色々な要素を詰め込みすぎで、徒に長大になっているように思った。
女性主人公の造形も劇画チックなありがちスーパーヒロインで、感情移入はむずかしい。第2部以降は、彼女を中心に物語が構築されているようで、読まなくてもおおよそ内容が察せられます。

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