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ミステリの祭典

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ミステリー・アリーナ

作家 深水黎一郎
出版日2015年06月
平均点6.25点
書評数20人

No.20 5点 nukkam
(2023/08/23 18:56登録)
(ネタバレなしです) 2015年発表の非シリーズ本格派推理小説で、私は加筆修正された講談社文庫版(2018年)を読みました。大勢のミステリーマニアを集めて推理合戦の末にいくつもの解決案が披露されるという多重解決もので、アントニイ・バークリーの古典的名作「毒入りチョコレート事件」(1929年)をもっと複雑にしています。先行の推理を後発の推理が否定していく展開がバークリー風ですがそれは途中までで、だんだん変な様相になります。うまく説明できないのですが本格派の理想論を求めるような発言までありながら美しい着地を目指す推理発表にならず先読みと後出しの応酬みたいになり、さらにはミステリーを茶化すような発言まで飛び出し、どこか期待していた方向とずれていくような気になりました。こういうのがアンチミステリーというのでしょうか?個性は十分にあって面白いことは面白かったのですけど万人受けは難しい作品かと思います。日本語の微妙なニュアンスが絡む謎解き推理も多くて海外読者向けに翻訳紹介できるような内容でないことも(海外本格派への関心が高い自分としては)高評価しにくい理由です。

No.19 6点 いいちこ
(2023/01/04 15:40登録)
きわめて個性的なプロット・着想から、「最後のトリック」と同様に、本格ミステリへの深い愛情と、その本質的な限界へのチャレンジング・スピリットを強く感じ取れる作品。
上記作は構想そのものに無理も感じたところ、本作はミステリの従来のありようを、容赦なく、徹底的に考え抜いた先に辿り着いた、そんな印象を受ける。
「伏線だらけ」と銘打っているとおり、これだけの解決を成立させるべく、叙述が周到に、計算し尽くされており、一見して脱線としか思えない蘊蓄までもが伏線になっている。
にもかかわらず、それを感じさせない、よい意味で緊迫感のない筆致も見事であり、完成度の点でもはるかに上と評価。
エンターテインメントとしてみたときには、一定の限界があり、6点の最上位と評価するものの、一読の価値はある佳作

No.18 5点 モグラの対義語はモゲラ
(2022/01/05 04:41登録)
読んだのは文庫本版。
なんというか、ミステリ読者を皮肉った作品にも作家を皮肉った作品にもミステリというジャンルそのものを皮肉った作品にも読めつつ、あるいは逆にそれらを真正面から熱意と矜持を以って描こうとしているようにも読めた。暗喩が多いというわけではなく、むしろ非常に直接的にミステリ作家の苦悩や他ジャンル読者への愚痴、作品へのこだわりを書いているからこそ、逆にどう捉えるのが正解か迷うところである。作品内の推理合戦についても、そんな滅茶苦茶な推理が正解なわけないだろ、と思わせる作中人物の推理がちゃんと外れであるように見せかけたあと実は正解であったのだと明かされる辺りがまた、行き過ぎた読者への、または許容される範囲が広がり過ぎた本格ミステリの推理への賛歌にも苦言にも見えるのだ。どうにもこういう作品は何かメッセージがあるのではと疑ってしまう。
ミステリとしては15個もの解決可能性を持つという作品全体の仕掛けは非常に面白く、またその中の推理一つ一つがバカミスすれすれなのが個人的に好きだ。特に叙述トリック系の多さが良い。
とはいえ、小説として優れているかは微妙なところである。文章が非常に読みづらい。コミカルなシーンも邪魔だ。まあ大真面目な雰囲気に似つかわしくない推理が頻出するので、この雰囲気になるのは仕方ないのかもしれないが。あくまでも登場人物たちが架空の小説の推理を行うというストーリーなので、リアルでの話が動かない、退屈な作品なのも否めない。途中で一応、推理合戦を行っている真の理由が明かされたりもするのだが、それまでの間にもう少し作品内でのリアル世界に動きが欲しいものだ。
10点の部分と0点の部分の混在する作品だったので、間を取ってこの点数。

No.17 7点 makomako
(2020/01/05 21:29登録)
 推理小説を読んでいると時々真犯人と違う人が犯人であっても一向にかまわないと感じることがあります。実際映画化などされたときに犯人が変わっているなんてこともあったりもします。
 名探偵が指摘する方が正しい犯人ということとなるのですが、作家さんはきっと違う犯人でも成り立つ話であることは百も承知で書いておられるのでしょう。
 本作品は犯人も解決方法もきちんとした方法で次々と指摘されるが、それが次々と否定され最終局面を迎えます。並々ならぬ才能の持ち主である作者はこうなりゃ考え付く限りの解決方法とその否定を一つのお話にいっぺんに詰め込んでしまえとばかりに書いたのでしょうか。
 ある意味ですごいお話です。
 でも読者によってはバカミスのように思えてしまうかもしれない。
 評価が分かれる作品なのでしょう。私はかなり楽しめました。

No.16 2点 青い車
(2018/11/27 02:08登録)
 本ミス1位獲得など世間では好評を博した作品ですが、全くツボに嵌らず……。これまで小説の面白さなんて好み次第だし、どれにも何かしら良さがあると考え最低ラインを4点としていましたが、これはダメです。
 無味乾燥な作中作に捨てトリックの在庫一掃というのが第一の感想で、トリックの酷さも読み進めるごとにエスカレートしてただの意地悪クイズと化しています。ギャグがことごとく上滑りしているのも読んでて苦痛でした。

No.15 6点 好兵衛
(2018/11/14 23:57登録)
『ネタバレを含みます』

平行推理物と、多重解決ものは苦手なのですが
(自分が推理する予知がなく、置いてけぼり感がある。)
この作品は設定が面白く、
十分にその形式を楽しめるように作りこんであると思います。
苦手な人でも、読めるのではないかと。

こんな素敵な番組があったら、大晦日が毎年楽しくなるのになぁとか
夢想しながら読んでいました。樺山が面白い。

ところどころ、作者さんの代弁や衒学の深さなんかが分かったり
新しい作品なのでしょうか?最近のネタなども含まれていて、面白かったです。

やたら踊ったり、練習したりするバレリーナのタマさんには笑った。
ド本格を読んだ後に、肩の力を抜いて間に挟みたい一品。

*ただ、他書のネタバレはないのですが。 
 いろんな、ミステリの読み方というかトリックのネタバレが多いので
 ミステリ読み始めの方は、最初の方は手に取らないほうがよいです。

No.14 6点 haruka
(2018/11/01 01:18登録)
くだらないと言えばそうなんだろうけど、
ミステリに対する愛情みたいなものはすごく感じます。
あまり深く考えずに楽しみたい作品。

No.13 5点 E-BANKER
(2018/09/29 16:12登録)
2015年に単行本として出版された長編。今回、文庫化に当たって読了。
作者らしい“企み”に満ちた作品(になっている)。

~嵐で孤立した館で起きた殺人事件! 国民的娯楽番組「推理闘技場(ミステリー・アリーナ)」に出演したミステリー読みのプロたちが、早いもの勝ちで謎解きに挑む。誰もが怪しく思える伏線に満ちた難題の答えはなんと十五通り! そして番組の裏でも不穏な動きが・・・。多重解決の究極にしてランキングを席巻した怒涛の傑作~

まぁ、作者らしいと言えばそうかもしれない。
短篇集「大癋見警部の事件簿」(2014)と同じようなベクトルで、ミステリーの「コード」を徹底的に揶揄することで、オリジナリティを出した作品という感じだ。
「多重解決」というと、「毒入りチョコレート事件」が当然のように引き合いに出されるけど、同作品の書評でも触れたとおり、所詮ミステリーの真相なんて作者の匙加減ひとつでどうにでもなるもの。
ただ、ここまで「匙加減」を弄ばれるとねぇ・・・

いくらそういうプロットなんですと言われても、やっぱりミステリー好きとしてはひとつの真相に向かって進んでいくというお約束のもとで楽しんでいるわけだし、これではもはや途中のやり取りなんで無意味に近い。(どうせ間違いなのだから・・・)
確かに、伏線はこれでもかというほど撒かれてるし、十五の道筋を用意すること自体、すごい技量なのだろうけど・・・

どうもねぇ・・・
本作を超バカ真面目に評価すると「読む価値なし」ということになってしまう。
私が堅すぎるのかねぇ・・・
作品全体の仕掛けについても見え見えだし、作者の遊びに付き合わされた感が強すぎる。

などと否定的な意見になってしまいましたが、作者のミステリー愛は十分に伝わってきたのも事実。
堅いこと言わずに、肩の力を抜いて、飛ばし読みしながら楽しむにはいいかもしれない。

No.12 8点 ミステリーオタク
(2018/08/31 17:58登録)
発刊当初から読みたかったが、基本文庫派なので・・・と思っていたら今年の6月に文庫化された様子。

うん、面白かったですよ。私が好きな〇〇をメインにいろいろなトリックが語られていて。
ミステリーを知り尽くしすぎた作家が書いた作品という感じかな。
ミステリー読書歴が浅い人にはあまり向かないかも。

No.11 6点 ミステリ初心者
(2017/12/10 10:38登録)
 この作品は、過去のさまざまなトリックが使われていて、ねたが割れてしまう可能性があるため、後回しにしたほうがいいかもしれません。

以下、本作品のネタバレをしながらレビューしています。


 設定が特殊で、すぐに夢中になりました。物語パートの間に解答パートがあり、伏線やミスリードがすぐ回収されて読みやすいです。
 メイントリック?は、マジシャンがよくやるマジックと似ていると思いました。マジシャンが、「今あなたが選んだカードを昨日から予想していました」とか何とか言って、昨日からはっつけておいたカードをだすアレです。マジックとミステリってすごく親和性が高いですよね。

 この作品は、叙述トリックや多重解決?ものを皮肉っているのか、リスペクトしているのかよくわかりません。ただ樺山が言いたいこともちょっとわからなくもないです。叙述トリック物だけでなく、アガサや横溝作品他、"誰が犯人でも間違いではない"系が全ミステリのほとんどだと思います。何が伏線で、何がミスリードかは作者が勝手に決めているだけ。ただ、やっぱり名作といわれるものにはオリジナリティーなり、よいトリックなり、読み物として面白さがあるので、本作品はやっぱりその点で劣っていると思います。

 気に入らない点としては、ギャグ調に展開したのに急にホラーのような要素があり、不要に思えました。なんなら、もっとギャグに徹したほうがよかったです。
 あと私のお気に入り"たま人間説"が早い段階で出てしまって残念w アッーーー!には笑いました

No.10 8点 名探偵ジャパン
(2017/08/22 20:34登録)
かなり凝った趣向の大作でした。
作中の「ミステリー・アリーナ」という番組自体に何か仕掛けがあることは、かなり早い段階から提示されますが、出題テキストと、それに答えていくキャラクターと司会者のやりとりが面白く、いい意味で、「仕掛けはとりあえずどうでもいいから、解答を聞かせてくれ」という気持ちになります。

作中作が、あの手この手で回答者を騙しにかかる手段は、「作品を楽しむ」「作品で楽しませる」というよりも、「どれだけ早くトリックを見破るか」「いかに読者を騙すか」に重きが置かれる昨今のミステリ事情を強烈に皮肉っている、と捉えることも出来るのではないでしょうか(それだけがミステリを読む目的であれば、ミステリ「小説」という形を取る必要はなくなるでしょう。「推理クイズ」的なテキストに特化するべきです。まあ、「推理クイズ」で十分だろ、と言いたくなる「ミステリ小説」もあるにはありますが)。

騙し手段のそのほとんどが、「よく読め、確かに書いてあるだろ」的な詐欺まがいの契約書のような細かい記述トリックと「よく読め、嘘は書いてないだろ。お前の勝手な勘違いだ」という叙述トリックに終始しているというのも、昨今のミステリの流行りを茶化しているように思います。
ラスト付近である人物が語る、これまた昨今流行りの「多重解決を成立させるために〈タイムリープ〉や〈パラレルワールド〉を持ち出すSF的設定」についても、その人物は痛烈な言葉を投げかけます。これには私は全面同意してしまいました。

「暮しの手帖」を編集した花森安治が言った、「ミステリを読む醍醐味は騙される快感にある。それを先回りして謎を解くなどというのは、ミステリの読み方としては愚の骨頂」という意味の言葉を思い出しました。

No.9 7点 邪魅
(2017/03/25 07:03登録)
良くもまあこれだけ考えたものです

いずれも叙述トリックとしてはごくごく有り触れたものですがこれだけ詰め込まれるとまさに圧巻、ただただ呆れるばかりです
呆れるというのは勿論褒め言葉ですが

いくつか怪しい解決がないでもないですが
それにしてもたまは流石に笑いますね
状況を想像してみるとシュール過ぎると言いますか

しかし面白かったです

No.8 3点 ia
(2016/07/12 16:33登録)
新法律に支えられたハイリスクハイリターンの国民的クイズ番組
狂言回しの司会者に潜入工作員の解答者
これは「国民クイズ」という漫画そのまんま。もう既視感しかない

推理クイズとテキストの2つが交互に進むが
解答者の推理はこのあとテキストで否定されるんだろうな、と序盤で気づいてしまうワンパターン構成なので最後の数十ページまで目が滑りまくる。
とにかく流れ作業的。

真相である解答は、最後の最後に炸裂するようなインパクトも全然無い
くだらないアンフェア。
解答者達に司会者は言い訳しまくるが読者としてはたまったもんじゃない。
頑張って多重解決を詰めまくりました、だから何?という読後感。

No.7 8点 HORNET
(2016/06/26 17:56登録)
 まず、本当にこういう番組があったらいいのに。絶対観る。(もちろん…アノ要素はナシでね)
 趣向、発想からして面白い。そして、「多重解決もの」という、この構成にした意味もよく分かる。司会者のキャラクターも面白く、エンタメ要素もアリ。とにかく、面白かった。(あまりにも伏線的な要素が多すぎて、後半はもういちいち覚えていなかったが…)

 ただ、こうした構成上仕方がないのかもしれないが、後半は「叙述トリック」に傾倒していってしまい、一行かそこらの仕掛けでうんぬんするのがちょっと億劫だったのと、前半で何度か司会者が意味ありげな言い間違いをしていたのは結局何だったのかわからずじまいだったことから(わかっていないの私だけ?)、-2点のこの点数にさせていただいた。

 強く印象に残る作品だったことは間違いない。

No.6 7点 まさむね
(2015/11/15 19:10登録)
 叙述を重ねに重ねて、なお成り立たせる構成力に、まずは魅かれました。
 さらに、その前提として、よくもまあこれだけの伏線(正確には伏線のための伏線って感じか)を仕込んだものだなぁ…と、その努力にも感心。「はいはい、ここ注目ですよ~」といった判りやすいものから、「そこまでやっちまうのかい!」と突っ込みたくなるものもあって、なかなかに楽しめましたねぇ。
 作者の遊び心を楽しみつつ、読後には結構考えさせられる同志もいらっしゃるであろう、精緻な作品という印象かな。

No.5 7点 メルカトル
(2015/11/06 20:07登録)
氾濫する叙述トリックを揶揄しているかのような皮肉さと、色物的なたくらみに満ちた、一気に読ませるリーダビリティを持った異色作。
徐々に明らかにされる問題編に対して、次々と回答される解決編。そのほとんどが様々な叙述トリックを利用したもので、明らかに怪しげな記述から、さりげないと言うかどうとでも取れるような曖昧な表現を突いたものまで、矛盾なく解決に結びつけようとする作者の苦労がしのばれる。その意味では確かに多重解決物の極北といってもいいだろう。
最後に解答者側の狙いが明らかにされるが、やや取って付けたような印象を受ける。さらに唐突な終わり方があっけなく感じたのが勿体ないなと思わないでもない。

No.4 9点 abc1
(2015/10/18 15:33登録)
正直絶句した。
何を書いてもネタバレになりそうだが、今後多重解決モノで、これを超える作品が現れるかどうかは疑問だ。
それくらい「やり尽くした」印象がある。
一昔だったら、これ一冊に詰め込んだアイディアで15冊のミステリーが書けただろう。
普通は探偵が行う「可能性潰し」を、この作品では作中作が行っていく。
従って展開がスピーディーで、読み始めたら途中で止めるのは困難。
15も解答があれば、中には「軽い」ものもあるが、真相が次々と、まるでパタパタと風に翻るパネルのように変わっていくさまは圧巻。
さらに大きな枠組みでの愕きまで用意されていて、作者のサービス精神に感服する。

(付記)
本作とほぼ同時に「その可能性はすでに考えた」を読んだのだが、本作のせいで向こうが霞んでしまった。
また本作を「虹のハブラシ」と比較されている方がいるが、その比較はあまり有効とは思えない。
何故なら「虹のハブラシ」は正確には多重解決とは呼べないと思うからだ。
らいちの素性が若かろうが老婆だろうが、事件の結末が変わるわけではない。
つまりあれは単なるらいちの「多重素性」であって、本作と比べること自体が無理だと思う。
ただメフィスト賞のテイストが脈々と受け継がれていることは嬉しく思う。

No.3 7点 文生
(2015/10/16 12:30登録)
作中作に基づいて15人にのぼる解答者が次々と真相を推理していく趣向が楽しい。その推理というのがどれもこれもバカバカしいものばかりなのだが、それも昨今乱発されている叙述トリックのバーゲンセールを揶揄しているものと考えれば逆に深みさえ感じられる。

ただ、似たり寄ったりの解答が多いため、中盤少し退屈に感じてしまった。解答者の面々も老若男女色々取り揃えてはいるが、自信過剰の上から目線キャラが多すぎてかなりワンパターン。

楽しい作品であることは間違いないのだが、もう少しメリハリを意識してくれれば傑作になりえたと思う。

No.2 7点 mozart
(2015/09/26 16:18登録)
よくこれだけ何通りかの解に向けた伏線(?)を仕込んだな~と率直に感心しました。最後の方はちょっと脱力気味でしたが・・・。
どうでも良いことですが、「アーッ!」ではなく「アッー!」ではないかと。

No.1 6点 kanamori
(2015/07/08 18:44登録)
大晦日恒例のテレビ企画・犯人当て推理ゲーム「ミステリー・アリーナ(推理格闘場)」が、ミステリーオタク14名を回答者に迎え開催されていた。いち早く正解すれば高額の賞金が貰える一方、外した参加者には悲惨な運命が待っているのだが-------。

ミステリのタイプとしては、デビュー作の「ウルチモ・トルッコ」(=改稿改題「最後のトリック」)と同系統の、コード型本格ミステリの趣向を弄ぶような作品になっている。
全編にわたり”多重解決”に淫しているが、早押しクイズ形式になっている点がキモで、回答した次の章で新情報が出てきて、前の推理が否定される展開が繰り返される。最終的に15通りの解決という”多重解決の極北”を目指し、標榜するチャレンジ精神は評価したい。また、それを成立させるための伏線の多さには感心を通り越して呆れるばかりだ。
ただ、多重解決といっても、同じ情報を基に着眼点の違いによって異なる解を導き出すのが本来の意味の”多重解決”だと思うので、新事実が出てきて解が変わるのはあたりまえでは?と思えたことも事実。
あと、野暮を承知で付け加えると、テレビ企画なのに、問題編が推理ドラマ(映像)ではなく小説の形で提示されるのはさすがに不自然。そんなテレビ映えしない番組が成立するとは思えないw 

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