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ミステリの祭典

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点と線
三原警部補と鳥飼刑事

作家 松本清張
出版日1958年01月
平均点5.87点
書評数39人

No.39 10点 点と点
(2023/08/29 06:59登録)
個人的に思い入れのある作品

No.38 3点 みりん
(2023/03/18 21:25登録)
少し拍子抜けの真相でした。

No.37 3点 ボナンザ
(2021/08/21 19:49登録)
久々再読。喫茶の所はよく覚えてて、この目の付け所は中々と思うが本筋は・・・。
社会派としても軽いし、本格を書こうと思ったけどこんなのしか書けなかったのでアンチ本格になったと思われても仕方ない内容だと思う。

No.36 9点 クリスティ再読
(2021/01/04 19:05登録)
時刻表が小説の中に登場する、いわゆる「時刻表ミステリ」というのものが「ミステリの定番」になってしまったことで、どうやら大きな意義が見失われてきているようにも見えて評者は危惧するのだ。こう考えるといい。

もし作者が精緻に組み立てた架空の時刻表を、それっぽく小説に挿入して、アリバイ崩しをしたら、その作品に意義があるのか?

純粋パズル、という立場なら、それでもアリ、と答える人もいるかもしれない。しかしこの時刻表というものを、小説と現実とをつなぐインターフェイスと捉えたら、架空の時刻表によるミステリは本末転倒だと思わないだろうか。

つまりね、とくに本作での交通機関の扱いというものは、そういう「リアル」の問題として捉えなおさなければいけないと思うんだ。「空白の四分間」は、執筆時の国鉄ダイヤの現実の中に存在した。「そこ」に現実の「四分間」として存在したものを、清張が見つけ出して作品に利用したわけである。ここに作家の恣意はなくて、小説以上に「面白い」現実を、作家が紹介したようなものだ。そういう現実が小説の中に乱入してくる瞬間を、面白いと感じないかな?

実際、飛行機だって戦後に民間旅客機が復活したのは、やっと昭和26年のことだったりする。本作の7年前になるが、本作の搭乗者調査でもわかるように、乗客定員は50名ほどで、本格的な「足」に使えるようになるのはジャンボジェットが就航した70年代まで待たないといけない。今の常識で読んで「つっこみどころが多い」と感じるのは傲慢じゃないか?と評者なんかは感じないわけでもないんだよ。

であと共犯があったりするのも、それによって組織ぐるみの話になるわけだから、社会悪の話に広がるわけで、パズラー視点で批判するのはおかしなことである。そして、非常に強い印象を残す女性もいる。

はあい、ここよ

評者この女性の返事に、いつも心が震撼するのだ。この暗闇の情景を描いた清張の文学センスの凄み!

No.35 4点 じきる
(2020/08/24 00:54登録)
歴史的価値はある作品なのでしょうが、突っ込み所が目立つのが何とも…。
時代背景を考慮しても、面白味が感じられなかった。

No.34 4点 okutetsu
(2020/08/21 07:19登録)
社会派といわれるわりにはそこまで成分は強くない。
アリバイ崩しをやっていく過程は非常に面白かったが、結末はあんまり好きではない。
そもそも共犯なら一人があんなに必死でアリバイ作らず、共犯者にやらせたらいいじゃんという気にしかならなかった。

No.33 4点 ことは
(2020/03/07 02:42登録)
最初に……。「文春文庫」版がおすすめ。
挿絵付きだが、この絵が味があるんだよね。
また、解説の有栖川有栖の文章が的確(共感できる部分多々あり)。かなり否定してるんだよね。よく解説にこんな否定的な部分の多い文章をのせたなと思う。
作品は……。
社会派の先駆けという位置づけだが、読んでみると社会派の味わいはそれぼどない。
文体は簡潔できびきびしていて心地よい。無駄な描写はあまりなく、仮説と調査だけで物語がすすむ。これは社会派というより、本格の味わいだよね。
全体の流れでいうと、まず「なんでみんな心中って決めつけてるんだろう?」と思いながら読みすすめました。その結果……。えー、うそー、それだけー!? ここは全面否定。ありえない。
そして、いわゆる「4分間のトリック」。
これは評価します。「4分間のトリック」という言葉のせいで、犯人がしかけたトリックのように語られていることが多いように思うけど、「トリック」というより「手がかり」だよね。
対比されるべきなのは、例えば「エジプト十字架の謎」のあれとかでしょ!
「意外で魅力的な手がかり」として高評価します。
最後の問題は、やっぱりメイン・トリック。愕然としました。そんなの最初に気づけよ!って話です。
歴史的価値のような点でも、「点と線」をリスペクトしてるなぁと評価する作品が無いので、加点は無し。
5点にしようかとも思ったけど、心中の件がやっぱり腹立たしいので4点だ。

No.32 6点 レッドキング
(2020/03/07 00:43登録)
人間関係トリックによる偽装心中殺人。不可能ロジックの結界を張り巡らせた「逆密室」に篭もる犯人。だが、あまりにも完璧な「逆密室」のロジック故に、探偵刑事の密室破壊衝動を煽る結果に・・・。
「ふふふふ、越後屋、そちも悪よのう」悪徳商人の社会派ネタと時刻表トラベルミステリの華麗な混合、さらに「操りのラスボス」登場のオマケまで付く。こういうところはポイント高いよ。

No.31 5点 mediocrity
(2019/03/03 04:14登録)
突っ込みどころは多い。
まず三原が無能すぎる。少なくとも3回、当然すべきor簡単に気付くべきことをスルー。
41分間ホームに止まっているあさかぜに、あの4分に偶然乗車する可能性の低さ。
そもそもあの行為が薮蛇な感じ。芸者2人が電車に乗り込んで行ったらどうなったんだろう。
とはいえ、作品に何だか重みがあるのと、心中に見立てたトリックは面白かったので点数はこんなものか。

No.30 5点 ALFA
(2018/12/01 13:28登録)
ネタバレしますよ。

普通に考えればこれほど大きな瑕疵を二つも持った作品が名作足りうるわけはないのだが、60年もの長きにわたって幾度もドラマ化され読み継がれているのはなぜか。
あえて瑕に目をつぶればお話としては起伏があり面白いこと。簡潔にして読みやすい文体。今でも劣化していない、社会派的なモチーフ。ということか。
瑕はほとんどの方が指摘しているとおり、く飛行機と4分間の目撃タイム。
いくら一般的ではないにしても、現にその航路があり犯人はチケットを買って利用しているのだから。ここはあえて清張が読者のレベルをその程度と見切ったということだろう。
4分間のトリックは思い付きのすばらしさに強引にプロットにねじ込んだか。よほどの工夫というか工作がない限り、目撃者と目撃されるものがその4分に居合わせることはあり得ない。
というわけで謎解きミステリとしては評価できないが、刑事もの冒険小説としては楽しめるかも。

No.29 4点 文生
(2017/11/04 13:10登録)
国内ミステリーのメインストリームが戦後の探偵小説から高度成長期の社会派推理小説へと舵を切るきっかけとなった記念碑的作品。
ただし、本作の軸となっているのは鮎川哲也ばりのアリバイ崩しであり、本格ミステリの骨格を色濃く残している。そして、本格ミステリとしては残念ながら高い評価は与えられない。
有名な4分間の空白はプロットに大きな歪みを残す結果となっているし、肝心のアリバイ崩しも1957年の作品とはいえ、アリバイ捜査をしているのにあれの存在になかなか気づかないとはいかがなものか。初期作品だけあって社会派ドラマにも見るべき点は少なく、歴史的価値を除けば凡作域を出ていないと言えるだろう。

No.28 6点 ねここねこ男爵
(2017/11/04 12:48登録)
大きな社会派ムーブメントを生み出した作品だそうで。

旅行雑誌に連載された作品ゆえの大人の事情があるのか(だから社会派って言うのかも)、苦しい部分が多いですね。批判も昔からあるみたいです。
①連載時の次回へのヒキのためか、探偵役が当然気づくべきことになかなか気づかない
②有名な「空白の四分間」と「あさかぜ」の利用は連載雑誌の要望だそうで、かなり強引にねじ込んでいるゆえ全体が歪んでしまった
③②もそうだが、犯人は被害者をものすごく上手く誘導しなくては犯行が成立しない設定(と言うか催眠術でも使わないと無理)なのだが、どうやって誘導したかが全く書いてない!

文庫本の解説で③に触れなかったのはミス、みたいなことが書いてあったように記憶していますが、これは巧妙なフォローで、本当は誘導が困難で書きようがないので書かないことで誤魔化した、解説者はそれを分かっていて触れ忘れということにしてあげた、というところでしょう。優しい世界。
今の物差しだと厳しい評価になるでしょうが、ここからミステリがどのような方向に発展したかを知るためにも必読かと思います。
ちなみに皮肉なことに鮎川哲也氏が本作の完成形を示してくれています。

No.27 5点 青い車
(2017/01/08 21:53登録)
 遠回しのネタバレのようなコメントになりますが、この数年後に鮎川哲也が本作と重なるポイントの多い長篇を書いています。事件背景にある汚職、心中偽装、犯人の設定など偶然とは思えないほど似通っています。
 それでいて気になるのは、僕から見てすべてにおいて後続の方が優れていることです。『点と線』はメインのアリバイトリックが案外と大雑把であったり、刑事たちがちょっと考えれば思いつきそうなことに気付かないなど、粗探しするといくつも弱点が浮かび上がってきます。
 有名な「空白の4分間」の謎も、ヴィジュアル的には魅力があるものの、実効性に関しては大いに疑問があります。歴史的価値で評価が高く修正されているきらいがあるのではないでしょうか?

No.26 5点 風桜青紫
(2016/01/27 19:05登録)
今では手垢がついた時刻表トリック。初めて発表さらたときは衝撃的だったんだろうけど、今となってはそこまで印象に残らない。この分量で話の風呂敷を日本全国まで広げる(それもリアリズム指向の世界観で)のは清張ほどの力量がなくては無理だろうし、読み物としては確かに面白かったけども、オールタイムベストでトップにあがるほどのレベルの作品かは大いに疑問(作家票だろうけど)。清張なら他にもっと面白い作品があると思います。

No.25 8点 斎藤警部
(2015/06/01 16:09登録)
社会派ムードも演出効果、サプペンス横溢する鮎川風本格ミステリとして(こちらは格段に文学的ですが)じっくり味わうのが良いと思います。

No.24 6点 いいちこ
(2014/09/19 19:53登録)
本格ミステリ凋落の原因とされている作品。
舞台設定や犯行動機は社会派風であるもののプロットの骨格は本格だと思う。
とりわけ最大の謎である「空白の四分間」は映像映えするもので極めてキャッチー。
メイントリックは時代性を反映しており、経年劣化はやむを得ないとしても、補強する状況証拠の真相はチープ。

No.23 3点 谷山
(2014/09/01 18:45登録)
そもそも何で被害者2人が情死したと思い込んでる三原刑事が怪しい人物のアリバイ崩しに必死になってるのか分かりにくかったです。最初から情死に見せかけて殺したと推理していたならともかく。
トリックも時刻表の部分はともかく、他は何を今更ってとこが多く、最後の手紙の部分はかなり醒めた気分で読んでました。
正直アリバイ崩し以外何もない作品という印象ですね。

No.22 4点 虫暮部
(2014/06/24 11:11登録)
 これのどこが “リアル” で “社会派” な “秀作” なのか良く判らないなあ。トリックに明らかなミスが含まれるわけで、これを “代表作” 扱いするのは、売れたと言う “現象” を反映した部外者の意見ではないのか。登場人物も将棋の駒みたいな動きだし。やけにのんびりした捜査に思えて、昭和30年代の風俗小説としてはちょっと面白かった。

No.21 7点 sophia
(2014/04/12 23:41登録)
ミステリー好きには避けて通れないですが、今となっては歴史的価値だけの作品でしょうか。
アリバイ崩しをやっているときに「え?アレがあるでしょ?」って思いながら読んでいましたが、余りにもその可能性が論じられないものだから存在しない時代なのかと思ってしまいましたよ。もっと早く検討して下さいよ(笑)当時としては斬新な移動手段だったんですかね。
余談ですが、主人公の刑事の上司の物分かりがよすぎますね。部下の意見全部取り入れてくれるんですもん(笑)

No.20 7点 ドクターマッコい
(2014/02/13 10:29登録)
ネタばれあり
九州で殺人、犯人と思しき人間は北海道にいる、飛行機を使ったトリックは今でこそ話題にもならないものの東京駅での空白の4分間等、当時としては凝った内容で一世を風靡した内容であることを再認識した。

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