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ミステリの祭典

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谷山さんの登録情報
平均点:5.83点 書評数:46件

プロフィール| 書評

No.46 5点 黒い家
貴志祐介
(2016/07/02 01:22登録)
(ネタバレあり)

まあ怖いといえば怖いのですが、それって主人公の危機感の無さからきてるような気がします。普通自分の電話番号や住所を知られたらもう少し警戒するでしょう。引越しを検討するなり会社や警察に相談するなりするとか。それどころか酔っ払って帰宅とかよくしてるし。

あとは三善や金石などは相手が相当なサイコパスだと分かった上で殺されてますが、その辺りもちょっと納得いきません。まあ余計なことを書かないことで設定に無理が出てくるのを防ぐ意味もあるのかも知れませんが。

ラストの主人公と犯人の対決の場面でも犯人にはほとんど台詞がありません。これによってホラー的な怖さは増してます。相手が言葉が通じる人間というよりモンスターのような怖さになってますから。でも反面犯人の台詞を奪ったことで謎解きの機会が失われたのは残念でした。

金石の他と比べてもかなり凄惨な死体を見ても、この人が多分かなりの地雷を踏んだのは確かだと思うし、その場面こそ見たかったので本当に残念ですw 


No.45 7点 遠まわりする雛
米澤穂信
(2014/10/07 08:55登録)
過去3作のように文化祭が関わってこないので、部誌作りという目的がなくなりますます古典部が何の活動をしてる部活なのかよく分からないことにw 
ミステリ的にはちょっとしたホラー要素と後味の悪さとが印象的な「正体見たり」が、話としては「手作りチョコレート事件」が好みでした。
個人的にはホータローと千反田の恋愛よりも4人で活動する話の方が見てて楽しいです。


No.44 7点 北の夕鶴2/3の殺人
島田荘司
(2014/10/01 02:51登録)
吉敷の通子への思いの前では正直トリックとかどうでも良くなりました。だからこそこういうインパクトのあるトリックになったのかも知れないな。
それにしてもタイトルにある2/3って何の数字だろう。犯人一味の生き残り数だろうか。


No.43 5点 日本殺人事件
山口雅也
(2014/09/29 01:03登録)
米米CLUBのファンクフジヤマを髣髴させるような勘違い日本の描写自体は面白いのですが、各事件のトリック自体は別にこの世界じゃなくても成立するものばかりなのが個人的に惜しいです。この作者特有のセリフ回しとかギャグとかは楽しいのですが。


No.42 7点 クドリャフカの順番
米澤穂信
(2014/09/24 07:42登録)
読み物としては非常に楽しいのですが、ミステリとしてはちょっと小粒な印象ですね。前2作のように250ページいかないくらいの分量ならともかく、400ページ近い分量でしかも派手な事件が起きない日常の謎系ですからあと一つくらい事件があっても良かったと思います。

とはいえ、それはミステリとして読めばの話であり、お料理対決などの文化祭の描写に全く退屈することなく一気に読めてしまったので、作品としては充分楽しめました。今回データベースの里志君がホータローに芽生えた(前からあったのかも知れないですが)、嫉妬心がこれからどうなるのか、続刊が気になるところです。


No.41 3点 飛騨いにしえ殺人事件
木谷恭介
(2014/09/22 22:50登録)
普通旅情ミステリと言えば、旅情3:ミステリ7くらいではないかと思うのですが、この作品は旅情7:ミステリ3くらいの配分でした。その割にこれを読んで飛騨に行ってみたいとは全然思えなかったのがなんとも。飛騨ふるさと定食は美味しそうでしたが。

ミステリの謎も二時間ドラマレベルでかなり早い段階で犯人もトリックも分かってしまいました。動機に関してはそこそこ複雑なのですが、それを探る過程で一刀彫、盆栽、お茶の衣笠流、仏像など個人的に全然興味ない薀蓄をひたすら読ませられてうんざり。画像でもあればまだいいのかもしれませんが、文章ではあまり伝わらないものですしね。
まあ文章が読みやすいことは救いでした。


No.40 8点 寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁
島田荘司
(2014/09/21 07:17登録)
トラベル・ミステリというよりは、横溝正史ばりの顔のない死体ものとして読みました。まああのトリックで誰かと入れ替わるのはあの時代だからできるのであって、この作品でも早々に科学捜査で死体は千鶴子のものに間違いないと断言されてしまってます。しかし、なんと目次の最終章のタイトルが「千鶴子は生きている」ではないですか。これはネタバレでなんらかのトリックを使えば入れ替わることが可能なのか?それとも… という所まで多分計算してたんだろうな島田さん。

トラベル・ミステリとしてのトリックは確かによくある平凡なものでしたが、この作品のメインはそこじゃないと思ってたのであまり気になりませんでした。たまたま時刻表トリックもトリックの一つとして使われただけの、魅力的な本格推理作品だったという読後感でした。


No.39 6点 愚者のエンドロール
米澤穂信
(2014/09/19 05:33登録)
確かに前作よりもミステリ色は強くなりましたが、個人的には古典部全員で謎を解いた前作の方が好みかな。
ホータローの推理が外れたとは言え、真相のネタで映画を撮ってたら面白くなったかというとそんなことは無いと思う。というか、もし最初から真相を推理できてたら映画完成しなかったんじゃと思うと今ひとつ魅力的な謎でもないと思うし。


No.38 9点 殺戮にいたる病
我孫子武丸
(2014/09/15 23:27登録)
これを読んだ時はまだ叙述トリックという言葉を知らなかったので、本当にびっくりした。ただ途中のエロ描写は高校生が読むには多少きつかったし、家族にも勧め難いものがありました。
ちなみに今は異常者がメインの作品は大好きになってしまったので、エログロ描写含めて好きな作品ですw

それにしても岡村孝子さんの夢をあきらめないでという曲は、この異常者にも愛され、熱血映画「逆境ナイン」の原作漫画家にも愛され主題歌に使われと、本当の意味で誰にでも愛される曲なんだなと実感w


No.37 4点 ディプロトドンティア・マクロプス
我孫子武丸
(2014/09/15 23:20登録)
ミステリとして見ればそりゃ駄目だけど、ギャグとしてならまあまあ。
個人的には嫌いじゃない


No.36 4点 浅見光彦殺人事件
内田康夫
(2014/09/15 22:47登録)
勘の鋭い人ならタイトルを見た時点でトリックに感づきそうな気がします。
なので、浅見作品を3作以上読んでから云々とありますが、むしろ最初にこれを読むのもありなのかも知れませんw


No.35 3点 天河伝説殺人事件
内田康夫
(2014/09/15 22:25登録)
恐らく内田作品では一番メジャーな作品なのでしょう。映画にもなりましたし。
それで当時かなり期待して読んだのですが、能に全く興味が無いからか、面白さがよく分からないまま読み終えることになりました。

後年映画も見ましたが、どうも劣化金田一耕介ものみたいな雰囲気でやはりあまり面白いと思えず。


No.34 2点 終幕(フィナーレ)のない殺人
内田康夫
(2014/09/15 21:45登録)
個人的に内田作品が決定的に嫌いになった作品。
出来が悪いクローズドサークルものを読まされ、どうしたんだろうと思ってたら巻末の解説で本格の悪口を書き並べたあげく、自分でも書こうと思えばこれくらい書けると自画自賛し始め、駄目だこりゃと思いました。


No.33 4点 「萩原朔太郎」の亡霊
内田康夫
(2014/09/15 20:59登録)
萩原朔太郎に関しては恥ずかしながら全く知識がないので、本当にこんなグロい詩を書いた人なのかと驚きました。
そんな詩を使った見立て殺人を思いつくまでは良かったのでしょうが、それがイマイチ推理物としての面白さに結びついてないのが残念。


No.32 6点 多摩湖畔殺人事件
内田康夫
(2014/09/15 20:32登録)
自分にとっての初内田康夫作品が幸か不幸かこの作品でした。
車椅子の美少女橋本千晶の父が殺され、不自由な体で必死に手がかりをつかもうとする千晶に心を打たれ、病気で弱る体の河内刑事が千晶とコンビを組み犯人を追い詰めるという話です。

最初に読んだのがこれだったので、内田作品は面白いという先入観を持ってしまい、当時十何冊と内田作品を買って読んでしまいました。恐らく最初に読んだのが浅見シリーズだったとしたら、その一冊で読むのをやめていたと思うと運命のいたずらを思わずにはいられません。


No.31 7点 氷菓
米澤穂信
(2014/09/15 11:54登録)
アニメの方は未見ですが、古典部というよく分からない部活が舞台ということで、いかにも京アニでアニメ化されるような作品だなと思いながら読みました。

中盤以降問題となる33年前の事件と氷菓という文集名の謎に関しては短くまとまってることもあって読みやすく、非常に納得のできるものでした。それにしても「日常の謎」って殺人事件が起こらない分精神に来るえげつない事件が多いような気がするのですが、今回の真相もそんな感じでした。

まあ舞台となる学校やキャラ達も親しみやすく、この後続刊を読むのが楽しみです。


No.30 4点 悪魔の百唇譜
横溝正史
(2014/09/14 11:59登録)
百唇譜って何だろうと思い読み進めましたが、関係した女性の唇紋集ですか。でもこれって恐喝の道具に使えるんだろうか。
金田一の朝食風景は楽しかったですが、事件の関係者が何の魅力もない人物ばかりな上にやたらと多く、事件の謎も大して盛り上がらないので微妙な作品かな。


No.29 10点 悪魔の手毬唄
横溝正史
(2014/09/14 11:31登録)
個人的に横溝作品ではこれが一番好きです。見立て殺人、顔の無い死体、出生の秘密、舞台が岡山と、横溝作品で連想される代表的な要素が全部つまってます。
そして極めつけはいわゆる「峠のおりん」のシーン。初読ではただ単に不気味なシーンなのですが、読み終わった後にあのシーンを思い浮かべて涙が出ました。非常に哀しくて印象的なシーンです。

ところで、最近つのだじろうによる漫画版をブックオフでちら見したのですが、原作ではシャンソン歌手として成功して村に帰ってくる「大空ゆかり」がおっぱい丸出しで悪魔的な歌を歌っていて笑ってしまいました。確かに原作でもグラマー・ガールと書かれてはいましたがw


No.28 7点 七人の証人
西村京太郎
(2014/09/14 04:24登録)
初期の頃はこんな奇抜なアイデアで傑作を描けた人なんですよね。なんかすごくもったいない。
島での殺人事件は確かに余計といえば余計ですが、でも何も起こらないのも長編ものとしては退屈だし、しょうがないかなと思います。


No.27 5点 日本海殺人ルート
西村京太郎
(2014/09/14 04:04登録)
特急「白鳥」内で女性実業家が殺害されたことを発端に、次々と連続殺人が起こるという内容です。
西村氏の作品、特にこの殺人ルートシリーズはどんどん殺人事件が起きるので派手で楽しいです、とか言うと少々不謹慎かなw

ただ今回ちょっと気になったのが、十津川さん達はかなり早い時点で、動機は財産目当てで、犯人もこいつだと決め付けてかかってるんですね。具体的に言うと40ページ辺り。まあ確かにアリバイ崩し系は「誰が犯人か?」ということよりも「容疑者のアリバイを崩す」ことに重点が置かれることが多いですが、さすがに今回のはどうかと思い、出来れば意外な人物が犯人であって欲しいと思い読み進みました。

あと中盤で今までの捜査をひっくり返すような事件が起こったのですが、結局そのことのフォローがないままだったのが残念。まあ真相はなんとなく想像できますが。

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