home

ミステリの祭典

login
遠まわりする雛
古典部シリーズ

作家 米澤穂信
出版日2007年10月
平均点5.69点
書評数16人

No.16 4点 三枝
(2023/11/15 23:12登録)
キャラクター小説としてはまあまあ楽しめますが、ミステリーとしては到底満足いくものではありません。
特に『大罪を犯す』は、こんな小ネタで短編1本書こうという姿勢を横着にすら感じます。

No.15 5点 パメル
(2023/10/19 19:08登録)
古典部の面々が登場するシリーズ4作目。日常のちょっとした謎を解き明かす7編からなる短編集。
「やるべきことなら手短に」学内の幽霊騒ぎの真相は。普通に事件を解かせると思わせておいて、捻るというところは巧い。
「大罪を犯す」普段怒らない千反田が、数学の授業中に怒ったという。理由はかなり理路整然としていて、説得力がある。
「正体みたり」合宿で訪れた民宿で見た幽霊の正体は。幽霊の正体見たり枯れ尾花とはよく言ったものであるが、こういうアプローチとは思わなかった。旧家の一人娘としての苦悩が仄かに垣間見える。
「心あたりのある者は」成り行きで推理ゲームをすることになったホータロー。そのゲーム対象になったのは、校内放送だったが。ケルマンの名作「九マイルは遠すぎる」を意識している割には物足りない。
「あきましておめでとう」初詣で神社に行ったホータローと千反田は、一体どうしたことか蔵に閉じ込められてしまう。清く正しいジョブナイル冒険小説の味わい。
「手作りチョコレート事件」バレンタインデー当日、伊原の手作りチョコレートが忽然と消えてしまう。キャラの内面に踏み込みつつ、それが意外性に繋がっている。
「遠まわりする雛」生きひな祭りという祭りで、千反田が豪奢な格好で街中を歩くのに傘持ちという助手を頼まれたホータロー。コース上にある橋の工事は、祭りの日は工事を外すように手回ししたはずなのに。連作の締めとして、ある意味これ以上ないものに。新たな関係が予感する終わり方。

No.14 5点 じきる
(2020/08/30 16:24登録)
シリーズファンなら楽しめる。
ミステリ部分も及第点はあるでしょう。

No.13 6点 HORNET
(2019/05/02 20:46登録)
 古典部シリーズ第4弾の短編集。
 ホータロー、える、里志、摩耶花の4人が学園内外で起きる様々な小さな謎に挑む話なわけだが、今回はこの4人の中で起こる身内的な問題もいくつかあって、それによって4人の関係性が揺れ動くところもあった。
 純粋なミステリとしては「心あたりのある者は」「遠まわりする雛」が面白かった。「心あたりのある者は」は、放課後にされた校内放送からその背景を推理するというもので、作者自身の解説にもあったようにハリイ・ケメルマンの「9マイルは遠すぎる」の古典部シリーズ版。
 「やるべきことなら手短に」「手作りチョコレート事件」は、それぞれホータローとえる、里志と麻耶花の微妙な関係が素材となった話だが、ごくフツーの高校に通う高校生が、ここまで策を弄したり、それを裏で理解し合ったりするか?という感は否めない。
 なんにせよ、一見ラノベテイストにも見られがちな本シリーズだが、「日常の謎」として堂々とミステリを名乗れる内容になっているのはさすがだ。

No.12 5点 makomako
(2018/01/28 17:50登録)
 古典部シリーズは3部までは続けて読んだのですが、この作品は短編集ということもあって何となく読まずにいました。
 今回久しぶりにこの古典部を読んだのですが、設定をかなり忘れてしまっていて、初めのうちはちょっと変な感じでしたが、読み進むにつれだんだん思い出してくると違和感はとれました。
 でも肝心の内容はミステリーとしてはかなり薄味。大したなぞもなければ鮮やかな解決もない。
 古典部シリーズの愛読者にとっては登場人物たちの厚みが増して一層楽しく読めるようになるのでしょうが、このシリーズを読んでいない読者がこれ単独で読むとしたらかなり平凡なお話でしょうね。
 

No.11 7点 青い車
(2016/03/02 22:22登録)
古典部シリーズ第四弾。主人公ホータローたちが高校入学してから二年生になるまでの一年間を描いた短篇集。温泉合宿、初詣、バレンタインなど定番のイベントを追っており、ファンなら間違いなく楽しめる内容です。ミステリー的には弱いようでいて、誰もが経験したことがあるような錯覚を利用した『大罪を犯す』や、メッセージのアイディアが面白い『あきましておめでとう』などは素直に感心させられました。

No.10 6点 アイス・コーヒー
(2014/12/16 17:37登録)
シリーズ第四作の本作は連作短編集。前三作のストーリーを補完して微妙に軌道修正をはかりっているようだ。奉太郎以外のキャラクターのことも段々と分かってきた気がする。
「やるべきことなら手短に」は表題作へとつながる壮大な伏線ともいえる。「大罪を犯す」は典型的な日常の謎でやや面白みに欠けた。「正体見たり」は合宿でのちょっとした階段だが、米澤作品らしい結末があって中々面白かった。幽霊のシーンがちょっと想像できないが。
九マイル系の「心当たりのある者は」は独創的な工夫に欠く劣化版コピーに感じたが、よく出来ているとは思う。「あきましておめでとう」は初詣でえると奉太郎が閉じ込められてしまう話だが、これはイベント的要素が強い。「手作りチョコレート事件」は「毒チョコ」を思わせる題名の通り多重解決的な内容。ここで「クドリャフカの順番」に引き続き里志が再びクローズアップされる。短編らしく巧くまとまっていた。
表題作はあまり面白い謎も推理もないが、今後の展開に深く関わってきそうだ。結局のところ古典部の四人にはそれぞれ悩みがあって、彼らはそれを「保留」し続けているのだろう。
相変わらず著者は学園ミステリの上手さに感服させられるが、若干自分の好みに合わないのが残念だ。

No.9 7点 谷山
(2014/10/07 08:55登録)
過去3作のように文化祭が関わってこないので、部誌作りという目的がなくなりますます古典部が何の活動をしてる部活なのかよく分からないことにw 
ミステリ的にはちょっとしたホラー要素と後味の悪さとが印象的な「正体見たり」が、話としては「手作りチョコレート事件」が好みでした。
個人的にはホータローと千反田の恋愛よりも4人で活動する話の方が見てて楽しいです。

No.8 5点 ボナンザ
(2014/04/08 15:53登録)
長編よりも満足度は高い。
一応これが一つの締めくくりだろう。

No.7 4点 yoneppi
(2013/08/15 10:24登録)
今の知識や経験のまま、もう一度高校生活をしてみたい。
1カ月くらい。

No.6 6点 mohicant
(2012/10/15 22:24登録)
 日常の謎を扱った古典部シリーズ短編集。登場人物のちょっとした人間関係の変化が見られて楽しいので、シリーズのファン向けの作品かと。

No.5 5点 まさむね
(2012/05/26 17:00登録)
 古典部シリーズの短編集。今回もホータロー君がご活躍です。
 個々の短編の内容というよりも,高校1年生の1年間について,短編を時系列順に配置することで4人の「変化」を描こうとした試みを評価します。ラストも綺麗ですね。

No.4 5点 kanamori
(2010/07/11 00:57登録)
学園ミステリ、古典部シリーズの短編集。
ミステリの趣向的には弱いですが、シリーズ愛読者には楽しめると思います。

No.3 9点 あるびれお
(2009/06/13 04:31登録)
本格モノが好きな者としては、「心あたりの...」が一番満足できるものだったけれど、このシリーズは高校生を描いた青春モノの色合いが濃いので、その点では表題作「遠まわりする雛」が秀逸だと思う。北村薫の円紫師匠と私のシリーズが「朝霧」を最後にしたように、このシリーズ、「遠まわりする雛」で終わらせても良いのでは。ラストシーンがとてもきれいなので、先を読みたいような読みたくないような...

No.2 7点 江守森江
(2009/05/22 08:08登録)
シリーズ初の連作短編集。
各編を時系列順に配して上手く繋げている。
段々と主人公達も卒業が近づき完結間近かもしれない。
それでも、早くシリーズの新作を読みたい!

No.1 5点 ぷねうま
(2008/03/22 15:09登録)
ライトノベル的なキャラや設定を持ち出しながらしっかりミステリとして「おもしろいこと」をしてくれるのが米澤穂信だと思っていたのだけれど今回はそういった指向はほぼ皆無。
唯一そういう視点で楽しめたのは推理作家協会賞短篇部門候補にもなった「心あたりのある者は」ぐらいか。
まぁ、シリーズを全部読んできた人のためのファンサービス本です。

16レコード表示中です 書評