home

ミステリの祭典

login
クドリャフカの順番
古典部シリーズ

作家 米澤穂信
出版日2005年07月
平均点6.38点
書評数21人

No.21 4点 いいちこ
(2024/11/10 18:10登録)
青春小説として、それなりに読ませる作品ではある。
ただ、リアリティや必然性の呪縛がほとんどないライトノベルのようなテイストになっているから、著者が落としどころを自由自在に選べるという意味で、ミステリとしてはユルユルのつくりであり、これを楽しめるかどうかは読者次第。
批判的な立場をとるつもりは毛頭ないのだが、私の嗜好には全くあっておらず、この評価

No.20 7点 メルカトル
(2021/02/15 22:42登録)
待望の文化祭が始まった。だが折木奉太郎が所属する古典部で大問題が発生。手違いで文集「氷菓」を作りすぎたのだ。部員が頭を抱えるそのとき、学内では奇妙な連続盗難事件が起きていた。盗まれたものは碁石、タロットカード、水鉄砲―。この事件を解決して古典部の知名度を上げよう!目指すは文集の完売だ!!盛り上がる仲間たちに後押しされて、奉太郎は事件の謎に挑むはめに…。大人気“古典部”シリーズ第3弾。
『BOOK』データベースより。

古典部シリーズ初読み。これがあの古典部シリーズですか、なるほど面白いですね。青春ミステリそして日常の謎として細部まで良く作り込まれていると思います。四人の古典部部員が一人称で己の心情や、それぞれが目撃した事象を入れ代わり立ち代わり描いており、全ての登場人物から犯人を推理することが出来る仕組みになっています。
中盤の山場であるお料理対決のシーンは盛り上がりますね。奉太郎以外の三人が料理の腕を振るいますが、最後の大将である摩耶花が時間に間に合うのか、そして残りの材料で上手く一品を作ることが出来るのか、ドキドキします。

そしてラストの謎解き、動機が弱いですねえ。そこまでしなくても他に方法があった気がしますが。まあでもそれを言ってしまったら事件は起こらない訳ですから、やむを得ないでしょうかね。誰が探偵役なのかは伏せますが、なかなか良い根性してます。謎を解くばかりでなく・・・まで。やられました。
本作は群像劇であり、青春小説の側面もあります。心憎い演出で締めくくり、読後も清々しいだけじゃない何かを読者の心に残す佳作だと思います。

No.19 8点 バード
(2021/02/13 10:59登録)
*本作にはクリスティの『ABC殺人事件』の内容に関する記述があるので、ネタバレが嫌な方は『ABC殺人事件』の後に読んだ方が良いです。


(以下書評、ネタバレあり)
メインの謎であるミッシリングの法則は途中で見出せ、嬉しかった。この法則に気が付くための最重要情報は読者のマークが薄い盗難事件発生以前にあり、しかも、とってつけたような情景描写の中にではなく、そのイベントに必要な形で自然に提示されているのが素晴らしい。作者の本格志向と実力に感服いたしました。

ストーリーの面白さもこみで、前作『愚者のエンドロール』(8点)と同等以上に楽しめた。裏の裏をかいてきた前作に比べ真相はあっさり目だが、先に書いた伏線の上手さは、レベルの高いミステリの証である。

No.18 7点 じきる
(2020/08/30 16:22登録)
文化祭という舞台も手伝ってか、話の展開がテンポ良く楽しめた。
ミステリー部分は小粒だけどそれほど気にならなかった。

No.17 5点 パメル
(2020/07/06 19:20登録)
古典部シリーズ第三弾。
ストーリーは、前作・前々作で予告されていた文化祭の前夜から始まる。古典部は文化祭で販売する文集「氷菓」を刷りすぎてしまった(予定の7倍)という問題を抱えていた。普通のやり方では、売れ残り赤字は免れない。さあどうするか。
3日のうちにこの不可能を可能にすべく、4人のメンバーはそれぞれ行動を起こす。「氷菓」を売り捌くことが出来るのかというミッション・インポッシブル的な話に、次々と行われる各行事が絡んできて抱腹絶倒の展開に。
古典部メンバー4人の視点を次々と変えながらスピーディーに進んでいき心地よい。そして一見、関係なさそうな事件が、やがて「クドリャフカの順番」の謎へと繋がっていく。
多くの伏線が結実して迎えるフィナーレは、ほろ苦く感動的。ただ青春小説としては面白いが、ミステリ的には、やはり弱いか。

No.16 7点 HORNET
(2018/04/15 17:48登録)
 「氷菓」「愚者のエンドロール」と、神山高校文化祭、通称「カンヤ祭」の準備に纏わるストーリーで続いてきたが、本作はその本番、カンヤ祭当日の話。これほど間を置かず、連続した時期を描く連作モノも珍しいのではないかと思うが、幸い現在立て続けに本シリーズを読破中なので非常にそれが功を奏した。

 メンバーのミスで予定より大幅に多い冊数を印刷してしまった、古典部の文集「氷菓」。果たしてカンヤ祭中に売り切れるのかが最大の悩みの古典部だったが、そんな中、学内で奇妙な連続盗難事件が起こる。いくつかの部活から、碁石、タロットカード1枚、ペットボトルドリンク1本など、それぞれは他愛もないものが盗まれ、そこに犯行声明文と思しきメッセージと、カンヤ祭のしおりが―。
 いつもながら省エネ生活を身上とする奉太郎は関わるつもりはなかったのが、古典部文集を売るために、重い腰を上げることになる。

 摩耶花の漫画研究会のストーリーや、奉太郎の「わらしべプロトコル」などの伏線の絡みも上手く、冗長でない程度に高校の文化祭風景も描かれていて楽しい。何だか懐かしくなった。
 一つだけ、結局「クドリャフカの順番」はクリスティのどの作品をひねったものだったの?わかってないの私だけ??(途中で私は、「十文字事件」の様相から「ヒッコリーロードの殺人」かと思ってた(笑))

No.15 8点 邪魅
(2017/02/18 02:11登録)
古典部シリーズだとこれが一番好きです
ロジックはいつも通り冴えわたっていますし、本格物としての出来なら氏の折れた竜骨ともひけは取らないレベルです
それに加えて、四人にまつわる”期待”を巡る副題も興味深いです
特に印象的だったのはやはり、夕べには骸に
それと、データベースを自任し、自ら進んでワトソン役を買って出ている福部さとしの期待

この二つは、読んでいて苦い気持ちもしましたが、しかしそれが好きでした

No.14 8点 青い車
(2016/02/15 22:37登録)
前作から引き続き学園ドラマとしてどんどん面白くなっています。文化祭のドタバタ劇を読んでいるだけでも最高に楽しいです(特に料理バトルのくだりが面白い)。ミステリー的に見ても、トリックがABCパターンの発展形として独創的なのに加え、犯人の心中のデリケートな描き方は作者の面目躍如といった感じです。表面的なラノベ感やアニメ化されたということもあってか、このシリーズは変な色眼鏡をかけて見られがちな気がしてなりません。大人の鑑賞にも耐えうる小説として、ぜひ本格ファンにもお勧めしたい作品。

No.13 6点 アイス・コーヒー
(2014/12/12 14:34登録)
文化祭での古典部の奔走を描くシリーズ第三作。前回は多重解決がテーマとなっていたが、今作ではクリスティの某有名作をテーマにした連続盗難事件が発生する。
ただ、ミステリとしての構成はやや強引で納得のいかない部分はあるし、物足りないと感じる読者も多いだろう。犯人の動機もかった。
一方でストーリーは面白く、古典部メンバーの意外な内面を見ることができてよかった。学園ミステリならではの魅力がある
中でも奉太郎の才能に「期待」する里志の姿は新鮮。今後の展開につながる重要な部分だ。登場人物たちそれぞれの悩みや苦悩がクローズアップされるというのも文化祭らしい演出で中々楽しめた。
「氷菓」の頃は奉太郎の一人称文体が鼻についたが、私的には一作ごとに読みやすくなってきているように感じる。

No.12 7点 谷山
(2014/09/24 07:42登録)
読み物としては非常に楽しいのですが、ミステリとしてはちょっと小粒な印象ですね。前2作のように250ページいかないくらいの分量ならともかく、400ページ近い分量でしかも派手な事件が起きない日常の謎系ですからあと一つくらい事件があっても良かったと思います。

とはいえ、それはミステリとして読めばの話であり、お料理対決などの文化祭の描写に全く退屈することなく一気に読めてしまったので、作品としては充分楽しめました。今回データベースの里志君がホータローに芽生えた(前からあったのかも知れないですが)、嫉妬心がこれからどうなるのか、続刊が気になるところです。

No.11 4点 ボナンザ
(2014/04/08 15:51登録)
前作よりもミステリ要素が減退した。
話としてはいいと思う。

No.10 5点 mohicant
(2012/10/15 22:09登録)
 ミステリとしてはちょっと弱いが、青春小説としては及第点。

No.9 7点 虫暮部
(2010/11/25 10:04登録)
  お料理の場面が楽しいっっ!

No.8 5点 kanamori
(2010/07/11 00:54登録)
いよいよ「カンヤ祭」が舞台と言うことで、シリーズも気合が入って単行本に。しかし、ラノベは文庫で読むのが適している。
古典部4人組がそれぞれの視点で語るという構成で、キャラクター小説の趣が顕著になった気がします。

No.7 7点 dei
(2010/04/30 00:16登録)
このシリーズではベスト。
相変わらず小粒でも、ぴりりと・・・

No.6 7点 文生
(2010/01/22 08:43登録)
本格ミステリとしてはたわいもないが、登場人物が魅力的で学園小説として楽しい作品。

No.5 6点 makomako
(2009/09/30 22:18登録)
古典部シリーズはひとつずつ書き方を変えたりしてそれなりに工夫しているが、いかんせんネタが小粒。残酷なシーンやいやみな薀蓄などがないのですっきりして読後感も良く青春小説としてはまずまずだが、推理物として読むとちょっと弱い印象はぬぐえない。
 それにしても何だか小難しそうで分かりにくい題名ですねえ。この題名だと古典部シリーズをはじめから読んでいるものでないかぎりなかなか手にとってみようと思わないのでは。

No.4 8点 あるびれお
(2009/06/13 04:26登録)
刊行された順番にこのシリーズを読んできて良かった。前の二作があるから、この文化祭(カンヤ祭)もすんなりと入っていけた。文化祭にパワーを注ぎ込んだ自分の高校時代ともオーバーラップして、少々点は甘めになった。

No.3 6点 江守森江
(2009/05/22 18:32登録)
このシリーズの本当の主役はホータローの姉ちゃんだな!
このシリーズの長編は学園ドタバタミステリーとして楽しめば良く、ラノベを受け入れられる方にしか向かない。

No.2 6点 シーマスター
(2008/12/03 22:40登録)
高校の文化祭3日間を舞台にした連続盗難事件・・・・・・・・・・かな?

参加団体については「こんな部活あるか」とツっこみたくなるものが少なくなかったが、まぁ「古典部」がありなら何でもありか。

前半はひたすらイベントの情景が延々と続き、その間に「ガラクタを盗られた」エピソードが数回ポツンポツンと入るだけ。
半ばでようやく「事件」の「形」が見えてきて、どうなることかと気を持たせる展開になっていく。

(自分に理解できた部分は少ないが)オタッキー(ってまだ言う?)な高校生達の心情描写を絡めて、ミッシングリンク物として作者なりに巧みを凝らした作りになっている。

ただ、自分はこの他の「古典部シリーズ」を読みたいとは思わないな。
ライト系がお好きな方はどうぞ。

21中の書評を表示しています 1 - 20