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ミステリの祭典

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終幕(フィナーレ)のない殺人
浅見光彦

作家 内田康夫
出版日1987年07月
平均点4.00点
書評数2人

No.2 2点 谷山
(2014/09/15 21:45登録)
個人的に内田作品が決定的に嫌いになった作品。
出来が悪いクローズドサークルものを読まされ、どうしたんだろうと思ってたら巻末の解説で本格の悪口を書き並べたあげく、自分でも書こうと思えばこれくらい書けると自画自賛し始め、駄目だこりゃと思いました。

No.1 6点 TON2
(2012/11/26 21:36登録)
祥伝社ノン・ポシェット
浅見光彦ものですが、旅情ミステリーではなく、芦ノ湖畔にある別荘に引退した大物芸能人が現役芸能人を招いたパーティーでの連続殺人事件です。

作者のあとがきに「いわゆる古典的(本格)探偵小説ぐらい大抵の作家はその気になれば書けると信じている。書かないのは、自分の体質に合わないからに違いない。この世のものとも思えない大がかりなトリックに象徴されるような、児戯にも似た非現実性、ばかげた動機等々、常識の範疇から逸脱したようなことを書くには、良識と教養が邪魔になっているだけだと思う。その主張を実践し、作品にしたのがこの作品。」と作者が強弁しているわりには、それほどうまくできているとは思いません。

むしろミステリーではなく、完全なパロディ小説だと思います。評価もそのつもりで行いました。

トリックだプロットだなんだかんだよりも、この本の面白さは実在の芸能人を登場人物のモデルにしていることです。誰がどのタレントかを考えたり、タレント本人を頭に置きながら読むことが楽しいという、かなり悪趣味な内容です。

登場人物は、「ゴー、ゴー」が口癖の元アイドルの男性歌手。彼との涙の別離会見を開いた元アイドルの女性歌手。後にこの二人と結婚する俳優と女優。その女優の両親の大物俳優と大物女優。今ではお笑い界の大御所的存在で、映画監督もこなすお笑い・文化人タレント。やはりお笑い界の大物で、「ヒャーハハ」と笑いながら司会業をこなす関西出身のお笑いタレント。晩年は夫婦仲がよいことを売り物にしていたが、中年の頃に芸能界の暴露本を出版し、いろんな方面からバッシングされた俳優とその妻の女優。

誰だか分かりますか。芸能界のゴッシップ好きにお薦めします。

また巻末の解説で、ジャーナリストのばばこういち氏が、この作者の作品が売れるのは、マーケティングが行き届いているからだとして、次のようなことを指摘しています。慧眼です。
①浅見光彦=水戸黄門。始めは胡散臭いやつと思われているが、兄が警察庁刑事局長だと知れると、とたんに相手が低姿勢になる。
②旅志向の時代的要素の注入。
③各地の歴史や伝統文化をちりばめることにより、読者に知的満足を与えるとともに作品に風格をもたらす。
④浅見光彦=現代の「寅さん」。落ちこぼれであるが、他人にやさしく、おごらず、美人にもてるが成就しない。
⑤作品の発表頻度が、1冊が売り切れた頃に、次の1冊が本屋に並ぶ。

作者は、どうしてこんな本を書くはめになったのでしょうか?

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