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ミステリの祭典

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七人の証人
十津川警部シリーズ

作家 西村京太郎
出版日1977年05月
平均点6.85点
書評数20人

No.20 7点 ミステリ初心者
(2024/02/10 16:46登録)
ネタバレをしております。

 たしか、私が初めて読んだ西村京太郎作品です。
 特殊な状況に惹かれて買いました。変に説明文っぽくなく自然と状況が頭に入る感じの文章で、非常に読みやすくすぐに読了できました! 登場人物も標準的なクローズドサークル並で一気に登場しますが、章ごとに誰がメインで話しているのかが絞られていて理解しやすいです。
 おそらくクローズドサークルのカテゴリーに入る作品とおもいますが、主な流れは1年前の殺人事件の検証であり、クローズドサークル特有のスピード感や緊張感はありませんでした。ただ、証言者と容疑者の父佐々木との検証がリーガルミステリさながらで、細かい部分の検証の積み重ねで真相が少しずつ明らかになっていく様子が楽しめました。

 推理小説的要素について。
 1年前の事件についてはアリバイトリックでもなく、証言者・警察・弁護士の適当さから生まれた偶然の産物っぽいので、推理小説的には楽しめませんでしたw 2時間ドラマ的に楽しんだ感じです。
 また、孤島での検証中の殺害についても、別にアリバイ検証をするわけでもなく、動機面から犯人捜しをすることが多かったです。1年前の真犯人=孤島での犯人はそこそこ納得がいきましたが、結局1年前の殺しの動機については取ってつけたような感じで、しかもラストシーンも極めてあっさりでしたねw
 孤島での犯人=1年前の真犯人の流れですが、これについてはなんとなく読者が予想できると思いますw また、浜野の写真の検証が終わったぐらいから、サバイバルナイフのロジックによって、犯人はかなり絞られてしまいますし、小林が真犯人であるのも透けて見えてしまいます。ただ、これはフェアさの表れかもしれませんw

 総じて、本格推理小説としてではなく、1冊の本としてみた場合、とても面白い本でした。

No.19 7点 虫暮部
(2023/10/28 13:54登録)
 証言が崩れて行く様がなかなか面白い。テーマがこれでも、重厚な社会派作品にならないところも良い。直線的な文章なのに(典型的な人物設定とはいえ)各キャラクターが上手く表現されていると思う。

 ところで、立場的に最も怪しまれず動き回れるのは十津川ではないか。冤罪つまり警察の不祥事を隠蔽する為に、彼が証言を翻した者を消した可能性は? 最後の場面の後で残りも全員始末されたかも(だからあんなぶった切ったようなラストなのかも)。

No.18 6点 sophia
(2023/06/01 17:39登録)
ネタバレあり

無駄な描写を極力排したプロット特化型の文章が大変読みやすいです。これは量産型作家の長所ですね。それで内容ですが、これはちょっと簡単でしたね。1年前の事件に真犯人がいると仮定すると、明らかに矛盾した証言をしている人物がいますし、凶器を手に入れることが出来た人物も限られますからね。これはミステリー小説というよりも推理クイズの域であって、トリックらしいトリックもないですし、文章の読みやすさと設定の面白さを加味しても6点が精々です。しかし「殺しの双曲線」もそうでしたが、最後唐突に終わるんですね。「殺しの双曲線」の方はそれが余白を生むという効果を上げていたと思いますが、本作の方は投げ出したように感じられました。

No.17 7点 mediocrity
(2019/03/02 04:28登録)
よくこんな異常な設定を思いつくもんだ。半分あたりまでは文句なく楽しく読めた。
途中から話が停滞気味になってグダグダしてくるが、なかば強引に終了。
帰りの合図が何なのか知りたかったんだけど・・・
気になった点は、1年前の殺人の動機が弱い気がするのと、いくら喉が渇いていたからと言ってあの状況で果物屋に入るかということ。
前半9点、後半5点てことで

No.16 8点 パメル
(2018/11/24 13:35登録)
獄死した息子の冤罪を晴らすべく、脱出不能の無人島に大金をつぎ込み事件現場のセットを再現し、事件の証人男女七人と十津川警部を拉致する。
再検証を行い、目撃証言の矛盾を立て続けに指摘し、真相に迫るロジックは良く出来ている。
テンポも良く、風変わりな設定での法廷ミステリとして、そしてサスペンスとして読み応えがあり、プロットも良く練られており素晴らしい。
西村京太郎氏の作品を改めて見直さなければと思わせてくれた作品。

No.15 7点 斎藤警部
(2015/12/18 12:30登録)
ものすごォー~く特殊なJKK(状況下)で進行するCCM(クローズド・サークル・ミステリ)の豪腕変化球!冒頭提示される奇妙千万な舞台設定と、その裏側で芬々匂わされる謎の切れ端群はあま~ァりにも魅力的。何しろ、十津川警部+見知らぬ七人、都合八人の人間が目覚めると全く見知らぬ街角に、後に知れば何と無人島の中に徹底して緻密に再現されたという原寸大街角模型(ボルヘスの斜め先を行く3D原寸大地図か!)の中に、移動されていた、という。。何なんでしょうこの、有り得ない世界に有りえる側代表の十津川警部がスリップ・インしてしまう幻惑感は!

しかし。。。またしてもキョータさんの悪い癖が露呈!ACMX(アンチクライマックス)を誘発するKDKK(小出し解決)が引き起こす、もはや運命的と言って良い尻すぼみのストーリー展開が、早くも物語中盤あたりからレッツ・ビギンの掛け声を轟かせ始めるんです。。ってのと、もひとつ、その小出しにされて結局ぜんぶ暴露されちゃう真相自体がちょっと。。あんだけ派手なオープニング・ギミックで隠蔽した割には、特に天地もひっくり返らないというか、普通というか。(評者はアユテツのRSJやアガサクのSDNNさえ同様の理由で2点も減点しちゃうような奴なんで、そのへんの癖を勘案していただければ幸いです)

ま、わざと好きな人の悪口並べちゃったけど、そうは言ってもね、とても現実世界の警察官が巻き込まれるとは考えられない荒唐無稽度MAXな本格桃源郷に、あの渋い10TG(十津川)のおじさまが、目覚めたら、放り出されていた。。という初速で快調に飛ばす本作はやっぱり見逃せない面白さでいっぱいなんです!サスペンスが思ったほど持続しないのも味のうちって事で、京太郎クローズド独特のやり過ぎ世界を是非あなたも堪能していただきたいのです。ジャンルはこのさい新本格でいいでしょう。

No.14 4点 いいちこ
(2015/08/27 18:08登録)
プロットは極めてトリッキーで興味深いのだが、看過し得ない瑕疵があまりにも多い。
まず無人島に犯行現場を再現し、関係者全員を昏倒させてそこに拉致したという舞台設定が、あまりにも無理筋。
獄死した犯人の父親による真相解明は、非常に強引で論理性に乏しいにもかかわらず、その誘いにまんまと乗って真相を吐露する証人たちの愚かさ・不出来さにも強い違和感。
そのうえ、無人島で連続殺人事件が勃発するのであるから、その犯行の杜撰さもさることながら、発生の事実自体が真相を強く示唆するヒントとならざるを得ない。
以上、着想の妙は買うのだが、華麗なる失敗作と評価

No.13 4点 ボナンザ
(2014/10/03 01:27登録)
発想自体は奇抜で面白いのだが、肝心の展開がワンパターンかつご都合主義で微妙。
十津川も何で佐々木から目を離すんだよ・・・。

No.12 7点 谷山
(2014/09/14 04:24登録)
初期の頃はこんな奇抜なアイデアで傑作を描けた人なんですよね。なんかすごくもったいない。
島での殺人事件は確かに余計といえば余計ですが、でも何も起こらないのも長編ものとしては退屈だし、しょうがないかなと思います。

No.11 7点 frontsan
(2012/04/03 14:39登録)
西村京太郎の初期作品は、結構質が高いことが分かる一作でした。

No.10 7点 蟷螂の斧
(2011/09/09 17:32登録)
設定が面白い。証言の矛盾点を解き明かしてゆくストーリー性は、本格推理物と言えるのでは。私の好きな展開で、スラスラと読むことができた。ただし、被告人が酔っていたとはいえ、財布を盗むという心理がどうしても理解できなかった。被告人の証言(弁明・心理等)がないのが残念でした。

No.9 7点 isurrender
(2011/07/17 23:51登録)
別に法廷ミステリとして書かれてもおかしくない、というかむしろそちらが自然なのだが、わざわざ無人島を舞台に選んだところが面白い
尤も法廷ミステリに出来なかったことは第二以降の殺人を生むには仕方がないことなのですが…

No.8 8点 E-BANKER
(2010/06/13 23:00登録)
初期作品ですが、十津川警部が探偵役として登場。
本作品はプロットが秀逸だと思いますねぇ・・・
最近の作品からは想像もつかないですが、この頃の氏の作品のプロットは奇抜かつ斬新なものが多いです。(本作品の他にも、「華麗なる誘拐」や「盗まれた都市」など)
本作は過去の事件と現在の事件が、孤島というクローズドサークルで同時進行し、ラストでは十津川警部が見事に真相を看破するわけですが、真相究明まで十分に納得できるロジックになっていると思います。
「七人の証人」についてもそれぞれ個性十分に描かれており、フーダニットの醍醐味を存分に味わわせてくれる良作といっていいでしょう。

No.7 7点 spam-musubi
(2010/03/08 19:41登録)
この人の本は読んだことがなかった(読む気もなかった)のですが、
人に薦められて初めて読んだ。

なんかこう、余計な文章をいれずにサクサクと話を進める人ですね。
比喩による感情描写とかが全くない(笑)。直前に浅田次郎を
読んだだけにギャップが面白かったです。

この本については、獄死した犯人(?)の父親の論理の進め方が
かなり強引な印象を受けましたが、それを差し引いてももう設定の
勝利でしょうね。こんな設定見たこともない。
楽しめました。

No.6 7点 こう
(2009/10/31 22:36登録)
 面白い趣向でした。過去の殺人事件の全容が明らかにされてゆくところは面白いものでしたがあそこまで証人があてにならないことが実際にあるのかちょっと疑問に思いました。
 また島での殺人事件は正直余計だったかなあと思います。なくてもストーリーは成立すると思いますしこちらは非常に杜撰ですのでもったいない気がします。

No.5 7点 白い風
(2009/06/17 20:20登録)
ある無人島で、つまりクローズドサークルでの殺人事件が3件起こります。
しかし、メインはこの事件ではありません。
あくまでも、1年前に起きた殺人事件がメインです。
次々に事件の証言の矛盾を指摘する加害者の父、そこが一番の見せ場かな。
ラストは十津川警部が事件を解決するけど、それまでの証言崩しの方が面白かった。

No.4 7点 いけお
(2009/05/27 09:43登録)
巧みなプロットだった。
もう一捻りあって細部までこだわっていればもっとよかった。

No.3 9点 G
(2009/03/07 14:40登録)
クローズドな設定が好きな人は読むべき。
名探偵シリーズやこの作品などは
本格好きにはたまらないと思う。

No.2 7点 nukkam
(2009/01/21 16:58登録)
(ネタバレなしです) 孤島を舞台にして十津川以外の警官が登場しない、かなりの異色作です(十津川も警察の組織力を使わないので本書は警察小説とは言えないでしょう)。有罪判決を受けた犯人(と認定された者)の無罪を証明し、なおかつ真犯人を突き止めるというミステリーは書くのがとても難しいと思います。まず有罪判決に説得性がなくてはいけなく、さらにそこからひっくり返すのですからこれは本当に至難の業です。しかし1977年発表の十津川警部シリーズ第5作である本書は無実の証明も真犯人探しも緻密で、論理的に謎解きされる本格派推理小説の傑作に仕上がっています。

No.1 7点 シュウ
(2008/11/06 00:30登録)
十津川警部が誘拐されるというショッキングな始まり方をする作品です。
獄死した息子の無実を晴らすためにある男が無人島に事件の現場を再現し、その事件の目撃者7人(と十津川警部)を誘拐するんだけど
またその無人島でも殺人事件が起きるというのがあらすじです。
トラベルミステリに走る前の西村京太郎はこういう本格心をくすぐるいい話を書いてくれてたのになあ。

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