一次元の挿し木 |
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作家 | 松下龍之介 |
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出版日 | 2025年02月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 6点 | メルカトル | |
(2025/04/24 22:58登録) ヒマラヤ山中で発掘された二百年前の人骨。大学院で遺伝学を学ぶ悠がDNA鑑定にかけると、四年前に失踪した妹のものと一致した。不可解な鑑定結果から担当教授の石見崎に相談しようとするも、石見崎は何者かに殺害される。古人骨を発掘した調査員も襲われ、研究室からは古人骨が盗まれた。悠は妹の生死と、古人骨のDNAの真相を突き止めるべく動き出し、予測もつかない大きな企みに巻き込まれていく--。 Amazon内容紹介より。 なかなかの力作だとは思います。作者はこのミス大賞受賞の自信があったのに、文庫グランプリ受賞に留まって落ち込んだそうです。随分な大言壮語と言うべきでしょう。私自身は新人としてはまずよく書けていると感じましたが、そこまでとは思いませんでした。かなり入り組んだ話なので、焦点が定まらずどこで驚いてよいのやら、どう云った方向性で読み進めたらよいやら見当が付かず、少しばかり難渋しました。 それはそれとして、本作はまず人間が描けていないのが気になります。目まぐるしく視点が変わり、登場人物が多く各々が個性に乏しいです。そして色々起こり過ぎて纏まりに欠けるのもなんとなく気になります。 ジャンルとしては本格ミステリよりサスペンスに近いと私は思います。冒頭で語られる謎は強烈で果たしてどんな結末を迎えるのか・・・それは読まねば分かりません。ネタバレになりそうなので。しかし、驚愕の展開とかどんでん返しの連続とか、そういうものとは無縁であり、そこに期待すると裏切られます。へえーとは思いましたけどね。はい?とかえぇー!とかではありませんので。ただその分堅実ではあるでしょうね。 |
No.1 | 6点 | いいちこ | |
(2025/04/24 17:45登録) 冒頭に提示される謎の不可解性、ストーリーテリングの巧みさ等、群を抜いて光るところがあり、強烈な求心力をもった作品。 ただ、登場するガジェットがことごとくチープで、明かされた真相にリアリティ・納得感がない。 デビュー作としては出色のデキであり、今後に期待したいところ |