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ミステリの祭典

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月光亭事件
狩野俊介シリーズ

作家 太田忠司
出版日1991年06月
平均点6.67点
書評数6人

No.6 6点 名探偵ジャパン
(2015/05/25 13:22登録)
清潔感溢れる、悪い意味でなくあっさり風味の本格ミステリだった。
実現性に疑問符が付く、超大掛かりなトリック。主人公の意のままに従う子猫など、
ちょっとファンタジックな要素は、少年漫画的。
特にトリックは、映像化したら(その様子を想像したら)、かなりとんでもない画になると思われる。あれだけのものを動かすとなると、相当のエネルギーが必要となり、騒音も凄いはず。ある程度まで動かしたら、後は重力任せでいいとも思うが、それでは最後とんでもない音と振動が発生するはず。うまいことブレーキを掛ける動作も必要なはず。施工業者や特注されたはずの部品の入手ルートから、とても秘密は保てまい、などという突っ込みは野暮ですね。
今どき(といっても書かれたのは二十年も前か)珍しい純真な少年探偵に、それを温かく見守る後見人のおじさん探偵。探偵に理解を示す戦友の刑事など、気持ちの良い、応援したくなるレギュラー人物たちだ。
特に主人公の狩野俊介のキャラは抜群で、深夜の聞き込みに耐えきれず、大丈夫です、と言いながらも寝てしまうなど、その手のが好きなお姉様(と、お兄様)たちが放っておかない危険な魅力を出している。
トリック以上に、上に書いたように猫がとにかく凄い。うちの猫など、十年以上飼っているというのに、全く言うことなど聞いたことがないというのに。

No.5 7点 makomako
(2013/07/24 16:32登録)
 20年ぶりぐらいに本書を再読しました。うーん思ったより本格している。メインのトリックもかなり大掛かりです。初回も今回も思ったのですが、探偵が子供とネコではねえ。当時の徳間書店版では漫画チックな表紙と挿絵がさらにお気軽主義的な雰囲気を守り立てている。
 おじさんが読むにはちょっと気恥ずかしい。
 作者は結構気に入っているようですが、本格派好きの方は初めから手に取らないのがこのサイトでの不評の原因なのかも。
 非常に読みやすくちゃんと密室トリック(しかもかなり大掛かり)もあって本来なら本格派が好みの読者にうける要素がたっぷりなのですがねえ。


 以下ネタバレ
 ちょっとだけ口うるさい読者としての付け足しをすると、じつはこのトリックの一部はほとんど成り立たない。やけどと電撃傷はちょっと詳しくみるとすぐ分かってしまうのです。鑑識が生体反応があるところとないところがあるまで調べるなら、このトリックはその時点で分かるのです。せっかく面白いものに口出しをして申し訳ないのですが、職業柄どうしても気になってしまうのです。

No.4 6点
(2011/09/22 11:09登録)
大技トリック付きのオーソドックスな本格派ミステリです。
中程度の満足度でした。
気になる点をいくつか挙げます。
(1つ目はトリック)トリックの手掛かり材料(伏線)について、他のサイト等で伏線とその回収をほめる書評を2,3見かけましたが、これぐらいならごく普通だと思うのですが・・・。それはさておき、このトリックをどう実現するのかを、添付図からは理解できませんでした。添付図の形状では実現できないような気がするのですが、理解力不足なのでしょうか。状況をもう少し詳しく説明してもらいたいですね。
(2つ目は登場人物欄)登場人物欄でミスリードするのってありですか?それとも逆に読者サービスなのでしょうか。
(そして最後に)初めて読む作家さんで、何も知らず、ラノベの延長ぐらいの作品だと思っていましたが、読んでみれば意外にも正当派の本格推理だったので驚いています。狩野俊介少年のキャラクタや、人間関係がドロドロしているところは好みだし、読みやすさも申し分なしなのですが、なんとなく物足らなさもあります。トリック以外にクセがなさすぎるからでしょうか。
本書にかぎらず太田作品全般にいえることですが、このサイトであまり読まれていない(同世代の森博嗣よりもはるかに少ない)のには、なにか理由があるのでしょうか。

No.3 7点 E
(2010/05/29 17:08登録)
時代的にはやや昔なのでしょうか?
今時こんな純な少年はいない気がする・・・
スラスラ読めて気軽に楽しめるミステリーでした。
シリーズ化されているとの事なので、今後も読んでいきたい。

No.2 8点 シュウ
(2008/11/04 23:29登録)
少年探偵といえば某漫画のせいか言葉は悪いですが生意気なガキというイメージなんですが、この作品の狩野俊介少年は非常に純な性格でとても好感が持てました。
そして後見役の野上探偵や喫茶店の看板娘のアキちゃんなど良心的な大人に囲まれているので、安心感を持って読んでいられます。
トリックは恥ずかしながら当てられなかったんですが、解決編のトリックの解説と伏線の回収の鮮やかさになるほどと納得できて気持ちが良かったです。
かなり面白かったので続編も早く読んでみたいな。

No.1 6点 vivi
(2008/07/10 15:45登録)
12歳の天才少年探偵という設定に、不安と期待と。
でも、読み終わってみたら口元に笑みが残っている感じでした。
そう、何とも懐かしい雰囲気の「探偵小説」でしたね。
現代社会では「殺人事件を解決する探偵」など存在し得ないなんて、
そんな野暮なことを言う人は読まないほうがいいです。
「探偵」のいる世界を楽しみたい方はぜひ♪
トリックなどは簡単だったので、物足りないところもありますけど。

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