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ミステリの祭典

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ジョーカー・ゲーム
D機関シリーズ

作家 柳広司
出版日2008年08月
平均点6.57点
書評数28人

No.28 6点 バード
(2023/01/02 13:29登録)
D機関と結城中佐が物語の中心にいるスパイ物オムニバス。
スパイというとなんとなくハードボイルド的な読みものになりそうなイメージだが、各話に意外性を持たせる試みがあり、ハードボイルド的良さだけにはとどまらない一冊である。その中でも特に「幽霊」と「XX」がミステリらしくて好み。

脳死で日本まんせーしないと非国民扱いされる時代で、上手ーく国民の皮を被るメンバーはまさにスパイっぽいっすね。

No.27 6点 メルカトル
(2020/08/14 22:13登録)
結城中佐の発案で陸軍内に設立されたスパイ養成学校“D機関”。「スパイとは“見えない存在”であること」「殺人及び自死は最悪の選択肢」。これが、結城が訓練生に叩き込んだ戒律だった。軍隊組織の信条を真っ向から否定する“D機関”の存在は、当然、猛反発を招いた。だが、頭脳明晰、実行力でも群を抜く「魔王」―結城中佐は、魔術師の如き手さばきで諜報戦の成果を挙げ、陸軍内の敵をも出し抜いてゆく。東京、横浜、上海、ロンドンで繰り広げられる最高にスタイリッシュなスパイ・ミステリー。
『BOOK』データベースより。

スパイ養成学校D機関の面々の活躍を描く連作短編集。
何と言っても表題作『ジョーカー・ゲーム』が最高ですね。ハードなスパイの世界を描き切り、ミステリの要素もふんだんに取り入れていて、その意味でも楽しめます。しかし、次第にテンションが下がっていくのは私だけでしょうか。様々なシチュエーションに置かれ、各話ごとに主人公が入れ替わっていく様子は読んでいて飽きが来ません。ですが、やはり結城中佐が出てこないと話が締まりませんね。本作は結城中佐の魅力に負うところが大きいのかなと思います。まあ主役ではないのが却ってその人間性を浮き彫りにし、存在感を示しているのかも知れませんけどね。

第一話の『ジョーカー・ゲーム』を読んだ時点では7点は堅いかなと思いましたが、残念ながらそのレベルを最後まで維持できないまま終わってしまい、即座に続編に手を伸ばそうとまではいきませんでした。しかし、ある意味でいい勉強にはなった一冊だったと思います。超人に近い人間の集まりなので、我々凡人の窺い知れない世界を覗き見た感じが強いですね。

No.26 7点 びーじぇー
(2019/08/06 21:36登録)
D機関とは、昭和十二年、かつて優秀なスパイとして名を馳せた大日本帝国陸軍の上級将校・結城中佐の発案によって開設された、日本初のスパイ養成学校。この作品には、「魔王」とまで呼ばれた諜報の天才、結城中佐の育成するD機関の生徒たちが、東京、ロンドン、上海など各地で諜報戦を展開する五作の短編が収められている。
表題作「ジョーカー・ゲーム」では、機関の学生たちが天皇制の正統性と合法性の問題について意見を交わす場面があるが、これなどは実際に中野学校で見られた光景であるようだ。そういった実在のエピソードを盛り込みつつ、D機関の構成員たちは、思想統制が常態化していた時代の異物・・・「化け物」として造形されている。官僚組織としての軍隊との対比を強調したり、あらゆる言動や好意を時代の常識から逸脱させることで、存在そのものを特化している。
五つの物語には、それぞれ五人の異なるスパイが登場する。彼らの任務やおかれた状況はさまざまで、身分を偽り容疑者に接近するといったストレートな話から、囚われの身となった窮地からの脱出劇など、多角的にスパイの「日常」が活写される。とらわれない思考能力を唯一の武器に、彼らが事態と対峙するさまは、ちょっと尋常ではない緊張感を生み出している。これだけでも十分以上に鮮烈な読書体験となるわけだが、さらに作品全体に統一感を与え、ミステリとしての構造にも深く関わるのが「魔王」結城中佐。見えざるところから教え子たちを統制するその比類なき存在感は、やがて物語全体を包み込んでいく。

No.25 6点
(2018/06/27 09:52登録)
結城中佐をトップとするスパイ養成機関、「D機関」のメンバーたちが活躍するスパイ・ミステリー。

長岡弘樹氏の『教場』の評で、雰囲気が似ているとの感想がちらほらある。
主人公(風間教官と結城中佐)のキャラクターや雰囲気は似ている。そして物語中の主人公キャラの比重もおおむね同じ。
ミステリーとしては、『教場』は伏線たっぷりで、へぇ~と感心はしても、やや不自然な印象を受けてしまうのに対し、本『結城中佐』シリーズは、プロットで勝負し、結末で、へぇ~となってしまう。そんな感じか。どちらをうまいと評すべきか。
ベストは『魔都』。次点が評価の高い『幽霊』。他も悪くない。

No.24 6点 まさむね
(2018/02/25 23:59登録)
 吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞をダブル受賞したスパイ・ミステリー。読みやすく、純粋に楽しめた連作短編でした。
 結城中佐の神レベルの能力はもとより、スパイの矜持(?)に対する教義も、実は現代に通じるものがあって、興味深かったですね。「(必要なものは)その場その場で自分の頭で考えることだけだ」、「いかなるものにも、決してとらわれるな」。
 ちなみに、マイベストは、2作目の「幽霊」かな。

No.23 6点 青い車
(2017/01/22 18:50登録)
 クールなD機関の活躍ぶりと抑制のきいた文体が好みで、全体を通してさほどトリッキーさはないものの余韻のいい『幽霊』が特に気に入っています。現代において、ここまでリアルさも含んだ本格的なスパイ・ミステリーを書いた作者の文章力は称賛されていいと思います。

No.22 5点 パメル
(2016/02/04 20:22登録)
スパイ小説でありながらハードボイルドの世界観に近い
スパイ活動を通してスパイの本質を説いている
スパイという職業に興味のある人には楽しめるかもしれない
「007」のような物語を想像して読むと肩透かしを食らう

No.21 8点 itokin
(2015/06/07 12:55登録)
特異な分野での物語なので興味深く読んだ。短編集だがどれもレベルが高く氏の才能がうかがえる。現代でも我々の知らないところでこれによく似た情報戦が繰り広げられているのだろうがこれほど厳しいのだろうか?、だとしたら肌寒さを覚える。
テンポがよく面白かったので少し高めの8点とした。

No.20 5点 いいちこ
(2014/04/30 14:24登録)
合理性を重んじるスパイの論理と、第2次世界大戦前夜の日本陸軍の葛藤がプロットの機軸。
この点では舞台設定が見事に機能。
ただご都合主義というか、登場人物がスーパースターすぎるというか・・・
リーダビリティは高いが、リアリティや緊迫感の点で今ひとつ。
世評ほどの満足は得られなかった

No.19 7点 makomako
(2013/08/01 07:36登録)
間違えて第3作のパラダイスロストを読んでしまったので、改めて第1作を読みました。D機関の成立などが分かって、やっぱりこの作品は1作目から読んだほうがよいようです。
 こんな機関や人材が本当にいて、これほどうまくいけばなんでも解決しそうです。まさに昔のスパイ大作戦のよう。
 まあ読んでいて面白いし読みやすい。
 でも自尊心が強く他人を信用しない人たちですから本当に裏切らないでやってくれるのかなあ。忠誠心など全くないようだしすぐに寝返ったり二重スパイなんかをやりそうですがねえ。

No.18 5点 いけお
(2012/05/27 00:22登録)
このような趣向の短編としては佳作だと思うが、評判とタイトルから期待して読んだので残念。

No.17 6点 こう
(2012/03/25 22:53登録)
 一つ一つのトリックに独創性は感じませんでしたが手堅い作品集といった印象でした。戦争中の日本国内のスパイ組織という作品世界はユニークで、ストーリーもクリアカットにまとまっていますし楽しめました。

No.16 6点 シーマスター
(2011/11/14 23:42登録)
大日本帝国陸軍所属D機関という超異端組織のスーパースパイ達の暗躍を描いたサスペンスミステリ短編集。

・『ジョーカー・ゲーム』・・・この恐るべきD機関の成り立ちを知るだけで楽しめる話。まぁ本編のメイントリックは子供騙しに近い印象。(なんて言ったら憲兵に捕まっちゃうね)
・『幽霊』・・・トリックは割りと古典的だが、横浜の古くからの異国情緒あふれる地でのスパイ活劇には味わいがある。
・『ロビンソン』・・・「いくら何でも都合よすぎる」という感想を述べる向きは「この本の趣旨を理解していない」と言われるんだろうね。
・『魔都』・・・確かにあそこにはそれだけの魔力がある。それはともかく「ギャップ」を想像すると結構笑える。
・『XX』・・・ミステリとしてはいささかお粗末の部類に入るのではないかと思うが、最後に「化け物」になりきれない人間の限界が描かれているところに趣きがある。

D機関のメンバーみたいな「化け物」達が現実にいたとはとても思えないが、解説の佐藤優氏(そう、宗男関連の事件で現在執行猶予中の元外務省主任分析官!)がD機関のモデルとなったという「中野学校」について言及しているように100%フィクションではないのだろう。だとしたらどこまで近い現実があったのか知りたいなぁ。

ところで、全てのストーリーのプロデューサーとも言える結城中佐・・・既読の皆さんは脳内にどのようなヴィジュアルイメージを抱かれただろうか。
自分はタイミング的に、一昨日と昨日の日本シリーズ第1、2戦をいずれも敵地で結果的にはギリギリのところで勝ち取った中日ドラゴンズの落合博満監督の無表情がダブりましたね。

No.15 6点 take5
(2011/11/05 18:28登録)
こもとさんのおっしゃる「作者の頭のよさ」というのが
一番適切な書評だと思います。

No.14 7点 E-BANKER
(2011/07/06 23:31登録)
「魔王」と恐れられる男「結城中佐」が設立したスパイ養成機関"D機関”を舞台に繰り広げられるスパイ・ミステリー(?)
日本推理協会賞受賞作。
①「ジョーカー・ゲーム」=ポーカーを使って1人を罠に嵌めるゲームのことだそうです。まさに、ジョーカー・ゲームのようにD機関に嵌められた佐久間が主役。本作がどういう小説なのかよく分かりました。
②「幽霊(ゴースト)」=完璧にスパイ役を演じる男"蒲生”。でも、それを上回るのが結城中佐。プロットが秀逸。
③「ロビンソン」=スピッツではない(ちょっと古いか?)。ロビンソン・クルーソーに引っ掛けた暗号だが、こんなに複雑な暗号よく分かったなと思うし、やっぱり「結城中佐恐るべし!」
④「魔都」=といえば、やっぱり租界時代の「上海」・・・というわけで、スパイが暗躍するにはまさにうってつけの舞台ですね。都会の夜は人間を狂わせるっていうことですかねぇ・・・。
⑤「XX(ダブル・クロス)」=英語の俗語で"裏切り”という意味らしい。最終的に飛崎が下した判断は余韻をひく。結城中佐の器の大きさはさすが!
以上5編。
切れ味たっぷりの作品集。
第2次世界大戦前のきな臭い日本・世界という舞台が、実に作品世界にマッチしてます。
プロットも秀逸ですし、やはり「結城中佐」という特異なキャラクターがよく「効いている」。
世間的な評価の高さにも十分納得させていただきました。
(②がベストかな。①や④も十分面白い)

No.13 4点 isurrender
(2011/07/02 00:26登録)
『ジョーカー・ゲーム』っていうタイトルからもっとトリックに重心を置いたミステリなのかと思って読んだので、ちょっと拍子抜けしてしまいました

No.12 7点 haruka
(2011/05/29 11:14登録)
スパイ物は初めてだったが楽しめた。著者の無駄がなく緊迫感のある文章は短編向きなのではないかと思う。

No.11 8点 ナナ
(2011/05/19 15:47登録)
文章の切れが素晴らしい。どの作品もレベルが高く、読み応えアリ。柳広司にはまるきっかけとなった作品です。

No.10 3点 ムラ
(2011/05/14 05:21登録)
スタイリッシュなスパイ物。ではないけど仕事人としての味が出ていてとてもいい。
すらすらと読めて楽しかった、と同時に当時の日本はやっぱ狂ってるなと思う一冊であった。
最後の奴はスパイというよりも昼ドラとか火サスかな。優秀なスパイにしてはトリックがお粗末なのが残念。
せっかくだから地味で優秀なスパイ物で通して欲しかった。

No.9 6点 3880403
(2011/04/13 18:07登録)
スパイものは初めての自分にも難解な表現や無駄などなく読み易かった。
ふざけたところもなく淡々と任務をこなすところが良い。
短編のせいかスパイ小説だからか、密室殺人の話などのトリックはたいしたことがない。

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