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ミステリの祭典

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奇談蒐集家

作家 太田忠司
出版日2008年01月
平均点5.86点
書評数7人

No.7 6点 ボンボン
(2017/12/07 23:21登録)
単純に楽しめた。
著者が「僕の思惑は、抱え込んでいた奇談を白茶けた現実へと変えられてしまった人々の心の中に生まれた空虚、その暗黒の中にある」と言うとおり、奇談も面白いし、その種明かし後も味わい深い。そういう意味で、解決後の深さでは『金眼銀目邪眼』がベストかな。
連作中、どこか途中で捻りを入れてくるものとばかり思って構えていたが、1話から6話まで、判で押したようなパターンの繰り返し。そして、最終話で実にうまく締めてくれるのだが、その前の各話でもう少し変化があっても良かったのではないかとも思う。
謎の解明は穴だらけのまま、そもそも埋める気のないズバッとした短編で、そこがまたいいところだ。子供向けに多く書いている作家だけあって、文章がスッキリしていて読みやすい。

No.6 6点 まさむね
(2015/01/29 23:28登録)
 「求む奇談!自分が体験した不可思議な話を話してくれた方に高額報酬進呈。ただし審査あり」という新聞広告に導かれ,老若男女が,指定されたバーで「奇談蒐集家」&性別不詳の美形助手に奇談を話す…というスタイルの連作短編集。
 最終話までは典型的な安楽椅子探偵モノ。正直,真相(の一部)が判りやすい短編も多いのですが,「水色の魔人」のラスト5行や「金眼銀眼邪眼」の伏線など,個人的に好きなタイプの仕掛けもあって,悪い印象はありません。
 また,最終話「すべては奇談のために」における,連作短編ならではの纏め方も好きなタイプ。楽しめました。

No.5 4点 mohicant
(2013/08/05 22:01登録)
 全体的に推理が無理矢理な気がした。それぞれの話もそれほど印象に残らない。

No.4 7点 makomako
(2013/08/01 07:57登録)
久しぶりに作者の最近作を読みました。太田氏は同郷の作家でもありひいきにしていたのですが、だんだん本格物から遠ざかっている印象がありました。ことに本格物もどきの幻想小説を読んだ際にはだまされた感がつよく、以後作者から遠ざかっていたのです。
 この作品は初めから幻想小説の要素があることを示した上での話しなので納得して読めました。
 昔のものに比べてかなり引き締まった表現となっており、作者の文章力の変化(多分進歩)を感じました。
 話の内容も興味深くいかにもといった雰囲気でよい。最後に全員見事に現実的判断が下されてしまうのでこれもまずまず爽快でした。最後のすべては奇談のためにで、もうひとひねりあるので帯にあるようにこの本は必ず初めから読まないといけませんね。

No.3 6点 メルカトル
(2012/07/16 21:17登録)
奇談と言うわりには驚くようなものはあまり見当たらない、どちらかというと地味な連作短編集。
どの短編も奇談が語られた直後は、ちょっぴり不可思議な、或いは幻想味を帯びた余韻を残すが、蒐集家の助手?が一刀両断の下にオチを付けていく過程は、現実の味気なさにがっかりさせられるパターンが多い。
ちょっと意外な結末の短編も含まれているが、全体的に「ああ、なるほど」程度にしか感じられないのが少々残念。
でも、まずまず楽しめる。
最終話はもう少しまとまりのある結末が欲しかったかな。

No.2 6点 E-BANKER
(2012/04/28 22:16登録)
街中のとあるバーを訪れると、不可思議な実話を求める「奇談蒐集家」とその助手が待ち受けている・・・
奇談を語る人物と、奇談を一刀両断する不思議な助手が織り成す連作短編集。

①「自分の影に刺された男」=最初の奇談は、昔から自分の影に怯えていた男が、ある日本当に影に背中を刺されてしまう・・・というもの(?) 謎自体は魅力的だが解決は実にアッサリ。
②「古道具屋の姫君」=商店街の骨董屋に置いていた「姿見」の中に映された美少女。男は姿見の中の美少女を手に入れるため、姿見を高額で買ってしまう。こうやって書くだけで真相は見え見えのような気はするが・・・
③「不器用な魔術師」=舞台はパリ。奇談の話し手は、パリに修行に来ていた若き女性シャンソン歌手。彼女は自分を魔術師だと言う男に出会う。そして、彼女のアパートが火事で焼け、隣室の女性が死に至る事件が起きたとき・・・これは実にミステリーっぽいプロット。
④「水色の魔人」=少年時代に遭遇した少女誘拐魔=「水色の魔人」。少年の目の前で魔人は消え、残されたのは2人の少女の遺体・・・これはちょっと雑な気がする。
⑤「冬薔薇の館」=これが一番ブラックな作品。真相は逆説的だが、ここまでアレに拘る「動機」はブラックとしか言いようがない。でもちょっと既視感が強い。
⑥「金眼銀眼邪眼」=ファンタジー&ホラーっぽい作品。伏線は巧妙に撒かれてるので、真相解明では「なるほど!」と唸らされた。
ホットドックがおいしそう・・・
⑦「すべては奇談のために」=本作は①~⑥に登場する奇談蒐集家「恵比酒」と助手・氷坂そのものの謎に迫る・・・奇談蒐集家なんて怪しい奴は実在するのか? 連作短編らしい小憎らしいオチが用意されている。

①~⑥までは典型的な安楽椅子型探偵もの。
まぁ、バーで誰かの不思議な体験や事件を聴き、その場で探偵役が即座に解き明かす・・・っていうスタイルはいくつも先行例が思い浮かぶよね。
あまり込み入ったプロットではなく、探偵役の氷坂があっさり解決してしまうので、若干物足りなさは感じる。
全体の「締め」となる⑦は、作者の「熟練」を感じさせる。やっぱり連作短編はこうでないと・・・
トータルでは水準級+アルファという評価。
(⑤⑥辺りが個人的には好み。③もまずまず。)

No.1 6点 なの
(2008/05/27 21:30登録)
良くも悪くも職人芸、大きな破綻はありませんが大きなサプライズもありません。
プログラムピクチュア的短編連作です。
・・・なんつーかコメントにちょっと困ったり。

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