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[ 本格/新本格 ]
一の悲劇
法月綸太郎シリーズ
法月綸太郎 出版月: 1991年04月 平均: 7.11点 書評数: 45件

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祥伝社
1991年04月

祥伝社
1996年07月

No.45 8点 猫サーカス 2022/03/15 18:13
山倉家に突然入った長男誘拐の知らせ。しかし実際に連れ去られたのは近所に住む富沢家の息子。犯人は子供を取り違えたのか。山倉家の父親は身代金の受け渡しに赴くが失敗、少年は遺体で発見されてしまう。やがて容疑者が浮上するものの、その人物には強固なアリバイが。事故当日は、作家の法月綸太郎と一緒にいたというのだ。作者と同名の探偵作家が活躍するシリーズの一冊。探偵は脇役にまわり渦中の父親の視点で話が進むため、全編に緊張感がみなぎっている。そして後半は二転三転の怒涛の展開。穴のないロジックもさすがだが、家族のドラマが重層的に描かれている点もこの作品の磁力。巧みに欺かれ続けた揚げ句の真相に呆然とした後、ラスト一行の子供の一言にグッとくる。惹句は「めくるめく、どんでん返し!」「どんなに身構えても、あなたはきっと騙される」。この文句に嘘偽りなし。

No.44 7点 レッドキング 2019/06/15 17:08
身代金誘拐殺人ものだが意外にも密室のオマケ付き。明らかに原尞「私が殺した少女」に次韻しているから、とても素直には読めず、フー・ホワイ・ハウにも用心深く構えてしまう。結果「真犯人これしかないだろう」って所に正解できた。あのアリバイトリックには満足。
にしてもタイトルの「一」だが、ダイイングメッセージに絡めたあのネタ、ありゃ少し無理だよ。

No.43 8点 mediocrity 2019/04/14 17:41
<微妙にネタバレあり>
この前、最終章が気に入らなくてそこだけで3点マイナスしてしまった作品があったが、今回は正反対だった。最終章最終節だけでプラス3点してしまった。2時間ドラマ脳の自分は「どうせ義父犯人だろ、ほらやっぱり」と思い込んでましたよ。それにしても最後悲しいなあ。

No.42 6点 ボナンザ 2018/08/18 17:37
法月全盛期の傑作の一つ。たたみかけるような後半の真相ラッシュが中々面白い。
まあ、真犯人は2章くらいでピンとくるでしょうが。

No.41 7点 ボンボン 2018/08/12 22:37
一つの事件について、様々なパターンの推理が色々な必要に迫られて次々と披露される。最終的に「これが正解」となっても、特に意外性がある訳ではない。それまでの長い推論の反復運動を楽しむ感じ。
語り手の信頼度が微妙なので、ずっと不安定な読み心地になっているところが何とも良かった。
しかし、子どもに対する親としての感覚について、山倉史朗の感じ方、考え方には、違和感があったな。他の親たちは自然なのだが、やはり、この語り手は、どこかずれていて、自己中心的でこわい。それを意図して書いているわけではないのだろうけれど。
そして、もう言わなくていいのだが、どうしても言いたい。ダイイングメッセージは余計だ。「~と考えて間違いないのです。」とまで言い切るのはどうか。

No.40 8点 ねここねこ男爵 2017/12/15 14:00
素晴らしい。
法月氏は短編の人だとは思うけれど、その良さを長編でも発揮した傑作。登場人物が整理されていて、コリン・デクスター風の仮説→検証→否定のサイクルが効果的に回る。勘で真相を見抜くミステリ慣れした人も多いと思うけれど、最後まで緊張感と構造転換の衝撃を味わえる。
ダイイングメッセージなんて飾りです。

No.39 7点 虫暮部 2017/10/24 09:02
 新本格の作家が誘拐を主題にするなら、このくらい捻るのは当然だよねぇ。一人称の文章の自己批判的な部分は、意図的なものだとしても少々鼻に付いた。事件関係者が限られているので、ダミーの解決編の度に消去法で網が絞られて、真犯人に到達した時にはちっとも“意外な犯人”ではなくなってしまったのが勿体無い。

No.38 7点 まさむね 2017/07/02 19:18
 とても良く練られたプロットで、最後までグイグイ持っていかれました。ほとんどの登場人物が一度は「容疑者」として扱われるのも面白い。真相のトリックも、簡潔ながら個人的には盲点となっていて、正直想定できていませんでした。誰一人として幸せになっていない、超悲劇的な結末も印象に残りそうかな。
 とはいえ、ちょっとダイイングメッセージの解釈には無理筋な面もあるのではないか…という気もして、1点マイナスします。

No.37 6点 take5 2016/10/02 11:24
思わせぶりに最初から文中にちょこちょこ出てくる父子のやり取りが、最後の一行の為だったという事で、うまくまとまりました。
犯人はかなり早めに分かるのは、頼子を読んでいたからでしょうか。
最近気になるのは、こういう小説は女性の方が読んだ場合、心理状態は納得がいくのかという事です。
よく奥さんと書き手の性別と人間の描かれ方について話題になるので。

No.36 8点 あびびび 2016/05/05 12:29
誘拐物はほとんど流れが決まっており、あまり好きではないが、これは最後まで緊張感を持って読めた。ミスリードの連発で、最後は落ち着くところに落ち着いたが、密室の解釈だけは無理があったのではないか。

しかし、これほどの作品を26歳で書いた作者の才能に嫉妬する。

No.35 7点 測量ボ-イ 2016/02/27 15:42
「二の悲劇」を数年前先に読んで、こちらが後です。
岡嶋ばりの誘拐ものですが、真犯人も意外に盲点になりそうですし、
出来は良いと思います。
ただ読後感はもう「二の悲劇」(採点8)に比べやや落ち感
があるので、こちらは7点で。

No.34 8点 パメル 2016/02/22 19:05
複雑な人間関係が絡み合う誘拐殺人事件
ほとんどの登場人物を一度は容疑者へと
浮かび上がらせるプロットはワクワクさせてくれる
秘密を抱えた男の視点で物語は語られ
終始張りつめられた緊張感に包まれている
展開も二転三転し明らかにされるトリックも衝撃的
不満な点はダイイングメッセージ
あの解釈は強引すぎるし普通誰も気づかないでしょう

No.33 8点 青い車 2016/02/11 22:18
語り手、山倉史朗の「一」人称で綴られる骨太なドラマが魅力的です。読者の盲点を突く誘拐殺人トリックも秀逸で、本来なら疑いの目が向きそうな人物を自然にぼやかす効果を挙げています。あと、『頼子』の書評でも書きましたが、痛ましい悲劇を描いているにも関わらずあまり悪趣味さを感じさせない点もいいです。密室状況の解決にこじつけ感があるのが若干のマイナス・ポイントですが、端正な本格推理小説として高く評価します。

No.32 6点 いいちこ 2015/08/27 18:09
登場人物が極めて少ないにもかかわらず、その大半に犯人と疑うに足る可能性を残しつつ、中盤にあからさまに怪しい人物を撒き餌として配し、最後にどんでん返しを連発。
犯行手順・トリックの鮮やかさ、ミスリーディングに導く手際のいずれもが巧妙。
プロットの性質上、腰を抜かすようなサプライズは演出できていないものの、水準を超える佳作と評価

No.31 7点 斎藤警部 2015/05/29 11:16
誘拐殺人の被害者は人違い!! いくつかの夫婦・親子にわたる複雑な人間関係と過去の経緯が徐々に明かされ、予断を許さぬストーリー展開の末に明かされる真相は。。 

たまたま、やはり誘拐事件を扱った『慟哭』の読了直後に手を出してしまいました。かの作品ほどの文学的薫りは流石に望めず、ごく軽い気持ちで読み始めたのですが。。 どんどんストーリーが分厚くサスペンス一杯になって行き、息の詰まる結末近くになっても真犯人はそうそう尻尾を出さない。さて私がホンボシと睨んでいた人物は。。 違った! けど意外過ぎてひっくり返る程じゃあない。 「こっちじゃなくて、そっちの方か。。」って思いましたけど。 だけど「実際のところ何が起きていたか」が結構複雑。読み応えありました。

ただ、この印象的・象徴的タイトルが最大限活かされているかと言うと。。 

No.30 8点 CHABI 2015/03/21 23:37
恥ずかしながら、犯人は真相解明まで解りませんでした。
真相を言われて素直に納得できた作品です。
ラストが悲しすぎます。

No.29 4点 haruka 2014/04/22 20:58
うーん、意外な結末でもなければ、お話しとして面白いわけでもなく。

No.28 6点 yoneppi 2013/10/25 20:45
評価高いですね。かなり昔に読んだ「頼子のために」の方が楽しめたかな。ラストの2、3行は予想通りだったけれど、ラスト1行の「お父さん」までは読めなかった。

No.27 7点 バード 2013/08/22 12:41
特別すごいトリックがあるわけでもなく犯人も意外性は無かったので自分の価値基準としては高評価になりにくい作品なのだが次の展開がどんどん気になり一気に読めた。

犯人に関しては半分正解半分はずれといった感じで少しはずされた、あとタイトルで主張するほど一という漢字は重要かな?

No.26 8点 メルカトル 2013/04/24 22:37
再読です。
もう少し落ち着いた環境の中で読みたかった、というのが正直なところ。ここ最近、私生活でいろいろあって、なかなかハイペースといかない上に、どうにも心に引っ掛かることが多すぎていまいち集中できない。
とは言え、本作は本格的な誘拐ものかと思わせておいて、実は・・・といった感じで、特に序盤はなかなかの緊迫感があり、思わず引き込まれてしまうこと請け合い。
正直、容疑者が少人数に限定されていることもあり、真犯人は簡単に予想できてしまうが。私でも分かったのだから、大抵の人は当てることが容易にできてしまうのではないだろうか。
まあ別にそれが欠点とはなり得ないが、意外性は薄れる。
タイトルの意味は、なるほどと思わせる、思わずうなるほどではないが、納得である。
何故犯人が完璧なアリバイがありながら、犯行をなし得たか、については単純でありながらよく考えられたトリックだと思う。
傑作とまではいかないが、それに準ずる評価を与えられてもおかしくない作品と言えそうである。


法月綸太郎
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