海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 本格/新本格 ]
生首に聞いてみろ
法月綸太郎シリーズ
法月綸太郎 出版月: 2004年09月 平均: 5.29点 書評数: 52件

書評を見る | 採点するジャンル投票


角川書店
2004年09月

角川書店
2007年10月

No.52 6点 パメル 2023/08/17 06:32
法月綸太郎は、高校時代の後輩であるカメラマンの写真展の会場で、彫刻家・川島伊作の一人娘・江知佳と出会う。川島伊作は娘の江知佳に、かつてその母をモデルにして使った「母子像」を完成するが急逝してしまう。しかしその葬儀の間に、母子像の首が何者かに切断され持ち去られてしまう。母子像モデルの江知佳への殺人予告ではないかと恐れた伊作の弟・敦志は、法月に調査を依頼する。
タイトルの印象からして、おどろおどろしい展開が予想されたが、そうではない。謎の真相に近づいていくと、また新たな謎が現れていく感じで、緻密に張り巡らされた伏線が複雑なプロットを支え、二重三重の企みが幻惑する。複雑な人間関係が徐々に見え始めるが、物語自体は淡々と進み起伏に乏しいし、殺人事件が起こるのもかなりページが進んでからであり、どちらかといえば地味であるためインパクトの面ではかなり劣る。
ただ、トリックの重要な要素となる型取り石膏像をめぐる蘊蓄などのペダントリーは好奇心をくすぐるし、石膏像の首がなぜ切断されたかの理由や事件の全貌を明らかにするパズラーの部分はよく出来ているのではないか。
首の切断をめぐってあらゆる仮説もおざなりではなく、最終的に否定されるそれらの仮説も、真相と同様の緻密さと説得力を持っていて見事だった。

No.51 3点 レッドキング 2023/01/27 20:56
「石膏像はなぜ首切られる」のWhyミステリ。「入代りの入代り」ってナカナカに斬新ネタ。あと、「義弟」ミスリードのオマケ付きで、つい「彼」の方を白い眼で見ちまった・・そっちの方が面白かったが・・

No.50 5点 文生 2020/08/09 13:49
ミステリーとしては細部までよく考えられているものの、他の多くの人と同じで、ストーリーが起伏に乏しくて退屈に感じました。
また、ミステリーとしても丁寧ではあるのですが、今一つインパクトに欠ける点が残念です。
クオリティ自体は決して低くはないものの、結構長めの長編を支えるには魅力不足な気がします

No.49 3点 虫暮部 2020/03/27 14:07
 何か変だ。
 上手に要約出来ないので色々ネタバレします。
 過去の事件について。
 計画には、“Rを妊娠させた相手は誰か、I が誤解すること” が不可欠。“YがI にそう思い込むよう仕向けた” と説明しているが、そんなに上手く他者をコントロール出来るだろうか、また、出来る前提で殺人計画など立てていいのだろうか。だってひとこと実名を告げれば解消される誤解である。
 誤解が解ければI とJは協力どころか敵対関係だから計画は御釈迦だが、だったら中止すればいいと言うわけには行かない。その時点で妊娠させてしまっているのだから。
 産科医がRを初産だと誤認することも必須だが、プロにそれを期待していいのか。

 Jは計画立案に際して物事が期待通りに動くと楽観的に前提にし過ぎているし、事態もその通りに不自然なまでに都合良く動き過ぎだ。

 特に、“RがAとの不義密通の末妊娠した” とI が誤解すれば、I はRを殺す計画に協力する筈、と言う前提だが、“妻への怒り” と “殺す” はまた別だろう。

 後戻り出来ない行動(=Rへの暴行)をしたあとで、不可欠な協力者を説得する、と言う泥縄式でとてもリスキーな計画だ。

 そしてその協力関係だが。I は “不貞な妻を罰する” と言う、正義は我に在りと言うか、或る意味 “純粋な怒り” を抱かされたわけで、それが思い切り私利私欲な保険金詐取目的のJに唆されて手を組むものだろうか?

No.48 5点 ボナンザ 2020/02/09 23:17
ちょうど15年前にこれが出た時は法月の久しぶりの長編ということで話題を総なめにしていた記憶がある。
悪くはないが、ややインパクトに欠け、長すぎるだろうか。

No.47 6点 バード 2019/09/07 20:40
法月作品はそれほどたくさんは読んでいないが、これまで読んだ作品のアベレージを踏まえある程度期待値を上げて臨んだ本作。

ストーリーの展開は長さを感じさせない動きのある話で面白かった。
また、律子と結子の入れ替わりは予想してなかった(堂本と同じく結子が母親と考えていた)ので、そこは上手く裏をかかれたかな。ただそれ以外、特に石膏像の首の真相はかなり早い段階で予想でき、ミステリとして少し先が読めすぎたきらいがあった。(これは私と同じように予想する人が多そう。)

あと私は気にならなかったけど、最大の謎の一つである首を切った理由に不満がある人も多そうと感じた。行き当たりばったりの中で、見立てのためにそこまでやるのは結構な労力だろうしね。
細かい点を見ると上手なんだけど、ミステリとして派手さに欠ける作品という印象。(作中の事件は相当派手なんだけどね。)

No.46 7点 MS1960 2016/05/28 21:49
中身が詰まった重量感のある作品といったイメージです。ただ、各章の表題に意味不明にキングクリムゾンの曲名がつけられていたり、本文中で例えば腕時計といえば良いところをリストウォッチと表現するなど、よく言えば凝った、悪く言えばナルシスティックな印象を読者に与えます。中身が良いだけに、もっと誰でもわかる平易な表現をすればよいのに。その点が惜しい。

No.45 6点 青い車 2016/04/09 22:41
 確かに長い作品です。表面的な派手さや外連味が薄いために、退屈に感じる人が多いのも当然と言えます。しかし、僕は「無駄に」長いだけではないと主張したいです。
 少し注意深く読み返してみたらば、緻密な伏線が張り巡らされている、引き締まった本格作品であることに気付くはずです。そして、最後に浮かび上がる真相は一際輝き、分量に見合っただけの内容であると感じられます。『ふたたび赤い悪夢』で克服したかに見えた家族悲劇にふたたび立ち向かい、打ちのめされる綸太郎の姿には何か意味を感じてなりません。
 ただ、ファンとしては支持したい作品ではあるものの、事件が一件だけであること、首切り殺人というテーマの割にさらりと犯人が判明・逮捕される演出の淡白さなど、(おそらく意図的であると思いますが)スピード感と迫力が不足しているのは否めないので極端に高評価はしづらいかな、というのが正直なところです。

No.44 5点 haruka 2014/04/05 14:50
よくできたお話なのだが、やはり長すぎる。

No.43 5点 mozart 2012/12/06 17:20
有名な作品なので、今更ですが読んでみました。確かにストーリーはよく練られていて、驚きの真相につながる伏線もしっかりと描かれていたのですが、イマイチ読後に爽快感というかカタルシスが不足するのは、途中の展開に緊迫感が足りないせいではないかと思っています。

No.42 2点 ayulifeman 2012/07/06 00:51
お話が魅力的でなくのめりこめない。読み進めるのがつらい。
法月さんの作品読書4作目でいまさらですが、
もうちょっとやそっとじゃ手に取らないと思う、はず、かな?

No.41 6点 いいちこ 2012/02/28 19:26
首切りの理由、殺人の真相はよく考えられており、ロジックとしては斬新。
しかしロジックにこだわり過ぎるあまり、ストーリーテリングが平板かつ地味で盛りあがりに欠ける印象。
加えて主要キャラクター間の人間関係とそこに起こる事件、終盤の叙述トリック的な仕掛けに強くご都合主義を感じて減点。

No.40 4点 concon 2012/01/24 21:31
読んでいるとすぐに眠くなってしまって、少しずつしか進まなかったので、人物が全然つかめませんでした。いったい誰と誰が夫婦だったのかとか、混乱気味で読んでしまい、最後は???でした。もう少し引き込まれるような、そしてわかりやすい方が、自分には向いています。

No.39 6点 蟷螂の斧 2011/12/30 23:41
洗練されたストーリーであると思いますが、ヒロインの扱いに物足りなさがあると感じました。

No.38 9点 卑弥呼 2011/08/18 23:32
頼子のためにのアンサー小説ではないかと思いました。
何があったのかと思うくらい探偵が大人になって、世間とも折り合いをつけていることにまず驚きます。
そのおかげで作者の小説にしては一般向けですが、最後の最後に後味の悪さが残り、きっちりファンサービスもしてくれています。
プロットは白眉。

No.37 5点 3880403 2011/04/23 04:00
なかなかよく出来ているが前半が長くてだらだらした感じだった。
個人的に倫太郎の設定が好きではない。

No.36 4点 HORNET 2011/01/16 14:01
 凝った設定だと思うし,著者なりに力を入れて書いた作品だという感じはしますが,正直読み疲れました。というのも一番は,石膏像の作り方という立体的な作業を文章により説明しているのですが,最終的にイマイチイメージが出来ず,たぶん本当の所で私は分かっていません。そのほかにも,アトリエの状況など,よくあるように挿絵や図の一つでも入れてくれれば分かりやすいのに・・・と思いました。
 タイトルからおどろおどろしい本格ミステリを想像していたのですが,そうでもなかったところもマイナスポイントになりました。

No.35 2点 ムラ 2010/12/16 02:46
読み終わったとき無駄に長かったという印象しか抱けませんでした。
主人公がブレすぎちゃうせいであっちこっちに推理が飛んじゃいますし、長かった結果トリックも微妙な感じ。
タイトルのためだけに書かれた作品という感覚
個人的にはこの半分でも良かった気がします。

No.34 6点 toyotama 2010/12/03 07:24
構想が学生時代と仰ってますので、そこに拘りすぎたためかちょっと話が古いイメージがあります。
当時と違っているのは、携帯電話の普及だと思われ、それを多用した感は否めません。

No.33 7点 Q-1 2010/10/24 01:47
意外性はないですが推理小説としての完成度はかなりのものだと感じました。


キーワードから探す
法月綸太郎
2019年12月
赤い部屋異聞
平均:6.00 / 書評数:6
2019年09月
法月綸太郎の消息
平均:5.57 / 書評数:7
2016年08月
挑戦者たち
平均:5.00 / 書評数:4
2015年07月
怪盗グリフィン対ラトヴィッジ機関
平均:5.00 / 書評数:3
2013年03月
ノックス・マシン
平均:5.42 / 書評数:12
2012年12月
犯罪ホロスコープⅡ 三人の女神の問題
平均:5.78 / 書評数:9
2011年12月
キングを探せ
平均:6.75 / 書評数:32
2008年07月
しらみつぶしの時計
平均:6.00 / 書評数:14
2008年01月
犯罪ホロスコープⅠ 六人の女王の問題
平均:5.82 / 書評数:17
2006年03月
怪盗グリフィン、絶体絶命
平均:6.67 / 書評数:15
2004年09月
生首に聞いてみろ
平均:5.29 / 書評数:52
2002年06月
法月綸太郎の功績
平均:7.44 / 書評数:43
1999年05月
法月綸太郎の新冒険
平均:7.14 / 書評数:29
1996年06月
パズル崩壊
平均:5.22 / 書評数:18
1994年07月
二の悲劇
平均:6.66 / 書評数:29
1992年11月
法月綸太郎の冒険
平均:6.92 / 書評数:38
1992年04月
ふたたび赤い悪夢
平均:6.42 / 書評数:24
1991年04月
一の悲劇
平均:7.15 / 書評数:47
1990年06月
頼子のために
平均:6.92 / 書評数:71
1989年10月
誰彼
平均:5.41 / 書評数:27
1989年04月
雪密室
平均:5.31 / 書評数:49
1988年10月
密閉教室
平均:5.80 / 書評数:55