皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格/新本格 ] 密閉教室 |
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法月綸太郎 | 出版月: 1988年10月 | 平均: 5.80点 | 書評数: 55件 |
講談社 1988年10月 |
講談社 1991年09月 |
講談社 2002年11月 |
講談社 2007年02月 |
講談社 2008年04月 |
No.55 | 5点 | パメル | 2020/07/27 09:40 |
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作者のデビュー作。シリーズ探偵である作者と同姓同名の法月綸太郎は登場しない。
ある朝、女生徒が学校に来ると、教室でクラスメートが倒れており死亡が確認された。さらに、あるはずの机と椅子が全て消失していた。不可解な状況の謎を、ロジカルに解明していく本格推理小説であり、青春小説でもある。 自殺なのか他殺なのか、密室の謎、机と椅子の消失と提示された謎は魅力的。真相を突き止めるために、ミステリマニアのクラスメイトが推理していく。中盤までは、オーソドックスな推理小説を読んでいる感じで進むが、終盤になると作者らしい?捻くれた展開になり楽しい。 真相が明らかになった時、現実的ではないとは思いながらも、納得できる部分もあり、まずまずといったところ。 ただ、無駄な描写が多く、文章がぎこちない。プロットも洗練されていないので、点数はこの程度か。 |
No.54 | 5点 | ミステリ初心者 | 2018/04/02 17:48 |
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ネタバレをしています。
非常に多くのミスリードが入っていて、読者の裏をかいてやるぞ!という意気込みが感じられました。よく考えると、あの主人公のきどった(?)物言いやキャラもミスリードぽいですね。 ただ、この作品ならではの個性が薄いように感じました。この方の小説は、他に短編を数作読んだだけなのでまだ作風がいまいちわかってないのですが、いわゆるウミガメのスープゲーム的な感じがするのは私だけでしょうか? |
No.53 | 6点 | 青い車 | 2016/01/23 18:57 |
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文章がこなれておらず、ストーリー・テリング、トリックやロジックのキレもまだもうひとつといった感じで、後の作者の作品より相対的に評価は辛くなってしまいます。ただし、けして失敗作と切り捨てていいい作品とは思いません。『雪密室』でタイトル通り古風な密室殺人に挑戦したり、『誰彼』で入れ替わりトリックをひねりまくったりと、初期の法月さんはいろいろなテーマの新機軸を生み出そうと実験を重ねていたように思えます。その実験の延長線上に『頼子のために』や『一の悲劇』が生まれたと考えれば本作は単なる凡作ではありません。作者の成長過程を見守る感じで読むのが正しいのではないでしょうか。作品単体で見ると6点が妥当と思いますがファンなら押さえておくべきです。 |
No.52 | 6点 | 斎藤警部 | 2015/10/23 03:19 |
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「雪密室」に較べて文章や物語自体の青臭さが鼻についてしまうのはミステリ興味の牽引力が少し弱かったのか、否か。。 されど本格好きなら読んで損は有るわきゃなかろう。それなりの高得点付けちゃうよ。 |
No.51 | 5点 | アイス・コーヒー | 2014/04/14 18:55 |
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椅子と机が全て消失した「密閉教室」で発見された少年の死体。高校生の工藤順也が、真相を追う著者デビュー作。
処女作だけあって、法月氏が書きたかったあらゆることが濃縮された密度の高い作品になっている。粗削りとも云う。 密室や犯人当て、消失のホワイダニットなどは確かに甘い。読み終えても、話の趣旨が分かりづらいことも致命的だろう。しかし、本作最大の見どころは、まさしく「密閉教室」そのものだ。 一人の生徒の死によってシャッフルされた人間関係、個性的な登場人物たちと、不恰好な展開。密閉された「クラス」での人物たちの頭脳的、精神的な苦悩が見事に描かれている。密室と化した教室は、その象徴であろう。 タイトルの秀逸さが本編に良い影響を及ぼしていたように思う。 |
No.50 | 5点 | ボナンザ | 2014/04/08 01:34 |
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意欲は感じるが、設定や文章がやや痛々しい。 |
No.49 | 5点 | メルカトル | 2013/07/15 22:34 |
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再読です。
全体的に散文的な印象を受けた。若い頃の作品だけあって、まだまだ文章がこなれた感じでなく、どことなく回りくどい感じである。 教室からすべての机と椅子が消えてしまうという、大胆な仕掛けは面白いし、その理由もまあ納得がいくものだ。 しかし、ツッコミどころも結構多い。果たして消えた机と椅子に関するトリックは実際可能なのか、とか、普通の高校生に現役の刑事が助手を依頼するのは普通あり得ないだろうとか。 終盤のめまぐるしい連続反転技は、好みの範疇だが、鮮やかに決まっているとは言い難い。 まあとにかく、若書きで荒削りな印象は否めない。 |
No.48 | 5点 | まさむね | 2013/07/06 21:37 |
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確かに,作者のその後の活躍を予感させる内容ではあります。終盤の連続反転も嫌いではないし,志の高さも感じます。
しかし,登場人物の描写を含めて何とも青臭い。角が立っているというか…。 良くも悪くも,若さに満ちた作品って感じかな。 |
No.47 | 4点 | バード | 2013/07/06 13:20 |
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終盤まで二転三転するのは好き、そういった好みからか同作者の誰彼は中々面白かった。だがこれはつまらなかった。
トリック云々ではなく舞台が学校なのにまったくキャラ達から学生っぽさを感じられずただただ違和感しかなかった。初法月作品だったので正直「もうこの作者のは読まなくていいかな。」とさえ思ってしまった。(その後別の法月さんの作品を読む機会があり今では好きな作家の一人となったが。) これは作品の評価とは関係ないが作品内で勘違いされた鍵の絵がはじめから化学構造式にしか見えなかった自分ていったい・・・。 |
No.46 | 5点 | songpu gu | 2013/05/28 17:05 |
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状況証拠に頼ることも多く、真犯人が二転三転、曖昧な結末に終わった最後。探偵役が道化と化し締まらないラスト。
と言った感じで、しっくりこない部分が少なくありませんでしたけれど、デビュー物として考えれば悪くないかと思います。ただタイトルから「密室殺人」を当然連想しますけど、密閉絡みのトリックはほとんどおまけみたいなもので、あまりそちらに期待して読まないほうが良いかと思います。 |
No.45 | 3点 | TON2 | 2012/12/11 19:31 |
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講談社
江戸川乱歩賞の第2次選考まで残った作品だそうですが、この程度で1次が通るなら、1次で落ちた作品というのはずいぶんとレベルが低いものだなと感じました。 高校3年生が動き回る物語ですが、ものの見方がしっかりとしていて、一昔前の旧制高校ならともかく、最近の話とは思えません。また、暴力団や覚せい剤がからんだ事件というのも、現実味を薄くしていると思います。共感できません。 |
No.44 | 5点 | concon | 2012/04/22 00:36 |
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荒唐無稽なスケールの大きな物語は好きですが、本作はただ単にロジックをこねくり回したリアリティーのない話ではないでしょうか。
主人公に魅力を感じずごく普通の人間かと思えば、都合良く核心をついたり、気の利いたセリフを言ったりする。ほかの登場人物にも、感情移入できませんでした。 警察の人間が独断で高校生に協力を求め、情報を提供し、出し抜かれ、さすがにありえないと思います。 でも、さらっと読めて青春時代を想起させられました。 |
No.43 | 7点 | 文生 | 2012/04/03 01:05 |
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他の新本格作家のデビュー作と同じく全体に青臭さが鼻につく。
だが、本作の場合はその青臭さが作品のテーマと妙にマッチし、結果として本格ミステリーのロジックと並行して描かれる青春のほろ苦さを効果的に演出するのに成功している。 後の代表作と比べるとまだ甘さが目立つが、その独特の雰囲気が忘れ難い。 |
No.42 | 5点 | ayulifeman | 2012/03/20 01:25 |
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法月綸太郎初読書。
見出しが細かく分かれているのはこの作者の特徴でしょうか。こういうの好きです。 全体的にリアリティが感じられず、登場人物が頭の中でうまく動きませんでした。 犯人探しの二転三転は軽快に読ませる。ただラストは理解が及ばなかった。 次は「雪密室」いきます。 |
No.41 | 7点 | スパイラルライフ | 2012/02/22 11:30 |
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simo10さんが仰るように贅沢な構成。詰め込みすぎの感は確かにあるが、それぞれの謎に対する伏線に苦労して何とかちりばめた作者の努力を感じます。ワイダニットが個人的にお気に入りのため、点数高め。
事件の背景はやや飛躍を感じます。 |
No.40 | 5点 | 蟷螂の斧 | 2011/11/10 12:51 |
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(若干ネタバレ)基本的に一つの動機、一人の犯人が面白い。本作品は違うが、例えば共犯などはいろいろなもの(アリバイ・動機・トリック等)が複雑になり、その分謎は多くなるが、読み終わった後の満足感は半減する。本作品はそのような感じの印象を受けました。 |
No.39 | 2点 | ムラ | 2011/01/07 03:00 |
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主人公の性格は嫌いじゃ無いんですけど、ちょっと回りくどいのと、教員側が支離滅裂すぎるなぁという感想。
トリックはまぁ……偶然に頼りすぎてる気がしないでも。 |
No.38 | 7点 | E-BANKER | 2010/11/07 18:01 |
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記念すべき作者デビュー長編。
今回「新装版」で再読。 今さら読んでみると、なかなか意欲的で面白い作品だったんだなぁ・・・という印象。 もちろん、若さ故の「粗さ」や人物の描き込み不足といった欠点もあるんですが、学園内で起こった殺人事件を瑞々しい筆致で、かつロジックも十分及第レベルには評価できるかと・・・ 本作の「肝」は「なぜ教室の机と椅子がすべて持ち去られたのか?」という謎に尽きますが(「密室」は付録ですね)、これだけのプロットをよくここまで膨らませたなぁとある意味感心しました。 主人公・工藤や友人との会話や、事件の背景や動機については、「まぁ、ちょっと現実性が薄いな」というところは否めませんが、これはこれで作者のステップとしてはよかったのではないかと・・・ 法月綸太郎という作家を理解するためには、やはり本作は必読だと思いますね。 |
No.37 | 5点 | simo10 | 2010/05/04 00:49 |
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密室殺人をメインとしてハウダニット、フーダニット、ワイダニット全てを含んだ贅沢な構成になっています。
ミステリ的にかなり細かい所まで論理的に構築されており、良くできていると思うのですが、必ずしもそのことが「読んでいて楽しい」という所につながらなかったのが正直痛い。 最初は主人公を含めた各生徒達のありえない言い回しに違和感いっぱいだったのですが、慣れれば逆に楽しめてきました。 かなりクセのある作品で、好きな人にはたまらないかも。 |
No.36 | 5点 | E | 2009/10/31 21:42 |
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題名どおり、学校の教室で起こった密室殺人。
ご本人がおっしゃっている通り何となく描写が奇妙であった気がします;人物達の印象が良くなかったなぁ。 |