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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
飛越
競馬シリーズ
ディック・フランシス 出版月: 1976年09月 平均: 6.00点 書評数: 3件

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早川書房
1976年09月

No.3 6点 クリスティ再読 2019/06/16 11:50
フランシス競馬スリラーというと、大人気だったけど、評者特に思い入れがないシリーズである。そこらへん87分署と似ているかもね。
客観評価で見ると、とくに込み入った謎があるわけでもなくて、オーソドックスな冒険モノということになるだろうか。前半で分かる輸出を巡る詐欺行為は、実は今の日本でも消費税をネタにして流行中の手口だよ(苦笑)。
でまあ、本作筋立てなんてホントはどうでもいいのだろう。生まれだけは伯爵の嗣子で、貴族のボンボンと舐められるのが癪なモラトリアム主人公が、アマチュア騎手とか(これもアマチュアの)飛行機パイロットとして、自分の「オトコとしての価値」を証明しようとしているが、両方の知識を活かした競走馬空輸に意地で就職して事件に巻き込まれ....というこの主人公設定自体が、ツボな人はホントにツボなんだろう。ハイソで上品な「ロッキー」みたいなものだ。斜に構えた評者とかだと「男ハーレクインじゃん」となると言えばなるんだけどもね...まあ評者、ハーレイクインにも男ハーレクインにも、別に悪気があるわけじゃない。
まあ好きな人は好きなんだろうね、と思う。いいじゃないか。

No.2 5点 E-BANKER 2016/05/05 21:54
「本命」「度胸」「興奮」「大穴」のつぎは「飛越」・・・
というわけで、1966年に発表された長編五作目がコレ。
「飛越」とは、競馬の障害レースで馬が障害物を飛ぶことを言います。(念のため)

~競走馬の空輸請負業者の馬丁頭に身をやつしたヘンリイ伯爵は、奇妙なことに気付いた。前任者がふたりとも行方不明になり、空輸中の馬が時に異様な興奮を示す・・・。競走馬空輸をめぐり何か恐るべき企みが遂行されている! かくして絶対的に不利な状況のままヘンリイはひとり敢然と調査に乗り出した。しかし、行く手に待つのは、見えざる敵の非情な銃弾に他ならなかった!~

やや一本調子なプロットかなという印象。
紹介文のとおりで、競走馬の空輸業務に携わっていた主人公が、業務を遂行しているうちに違和感を覚え、独自の調査をしているうちに敵の反撃に遭う・・・
というのがかなり大まかな粗筋。
要はいつものD.フランシス作品ということなのだ。

終盤に入る前にあらかたの謎は解明され、それ以降は敵の手に落ちた主人公が命からがら逃げ出すまでの冒険譚が描かれる。
これもまぁー
終盤必ず主人公がピンチに陥って、読者はハラハラさせられるが、結局何とか助かる・・・
っていう作者お約束のプロットなわけです。
(でも今回のピンチはなかなかハードですが・・・)

本作が特別酷いプロットとは思わないけど、ちょっと粗いかなというところは気になった。
空輸の謎も結局100%解明されないままラストを迎えているし、いつにもまして冒険スリラー要素が濃かったと思う。
飛行機にえらく詳しいことについては、作者の経歴とのことで納得。
その代わり、本作は競馬場のシーンがほとんど登場しなかったのだが・・・
評価はうーん。高くはできないかな・・・
(イギリス人がいきなり一撃でイタリア人と恋に落ちるということはありえるのか?)

No.1 7点 2011/05/20 22:28
ディック・フランシスの中でも、騎手としてよりむしろ第二次大戦中の空軍パイロットとしての経歴を生かして書かれたという意味では異色作と言えるでしょう。もちろん馬も出てくるんですけれど。
本作では、はっきり事件が起こるのは全体の4割を超えてから。それまでにも本筋とは関係のない謎解きが一つあるとは言え、ほとんどミステリとは思えない馬と飛行機の話が続きます。まあその中にもいろいろと伏線は書き込まれているのですがね。しかしそれでもこの前半、やはりこの作家らしい力強い文章で読ませてくれ、個人的には退屈しませんでした。
で、友人の失踪という事件が起こってからは、ちょっと競馬の寄り道はあるものの、後はストレートにクライマックスまで一本道です。調査も多少は行うのですが、あっという間に主人公は敵の手中に落ちて、後はスリルとアクションの脱出劇。非常に単純な話ですが、最後まで息をつかせません。しかし、あの再生はちょっと安易だな、とか結局あの人は助かるのか、とか、気になる点はあります。


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ディック・フランシス
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