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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ] 侵入 競馬シリーズ/キット・フィールディング |
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ディック・フランシス | 出版月: 1986年12月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 2件 |
早川書房 1986年12月 |
早川書房 1991年08月 |
No.2 | 6点 | 雪 | 2018/09/18 17:17 |
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障害競馬のチャンピオン騎手キット・フィールディングは、双子の妹の切実な訴えを受けた。仇敵アラデック家の息子ボビイと結婚した妹ホリイだったが、家族と絶縁状態で支援も受けられない二人に、新たな災いが降りかかったのだ。ボビイの厩舎が中傷記事専門のゴシップ誌《デイリイ・フラッグ》の標的にされ、飼料商や馬主たちが取引を中止し、銀行までが融資を打ち切ると通告してきたのだという。
キットは妹夫婦の窮地を救うため、レースの傍ら独自に行動を始めるが・・・。 競馬シリーズ24作目。シッド・ハレーに続く複数作主人公の登場。正直「ロミオとジュリエット」的な背景が気乗りしなくて後回しにしてたんですが、読むと結構面白いです。ただ物語の軸は〈匿名の手紙〉ネタ一本ですから少々薄いですね。足りない部分をレース描写や主人公のキャラ付けで補ってる感じ。それが予想以上に上手くいったから、続けて使ってみる気になったのかな。 本来生きるの死ぬのといったストーリーではないんですがそこはフランシス。「先祖代々からの敵愾心」という要素を入れ込んでピンチを演出します。本来のヤマ場はここかな。それを乗り越えた上で、期せずして集まった関係者たちと鮮やかにケリを付けます。 ただイマイチ深みに欠けるのはどうしようもない。好きな人も多い作品ですが、全体としては佳作未満の出来だと思います。軽く読んで楽しむ分には良いかな。 |
No.1 | 6点 | 空 | 2014/09/22 23:02 |
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2冊ある騎手キット・フィールディング登場第1作とまずは言っておきますが、フランシスは同一主人公を通常使わない作家ですから、『大穴』だってそうですが、本作もシリーズ化を最初から考えていたわけではないでしょう。
読後に振り返ってみると、ミステリとしては実に地味な事件です。大筋は、主人公の妹夫婦の経営している厩舎が、悪意の中傷記事によって窮地に追い込まれたのを、何とかして救い出すというだけで、殺人は1件も起こりません。中傷記事が書かれた背景には、義弟の父親(何とも嫌な奴です)に対する陰謀があるのですが、そのからくりも大したことはありません。しかしそれでも、ストーリー展開の仕方はうまく、それをフランシスの文章で書かれるとおもしろいのです。 また、レース・シーンの描写が特に多く、競馬小説として充分楽しめるのも本作の特徴となっています。馬主のカシリア王女がいいキャラクタですね。 |