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[ 冒険/スリラー/スパイ小説 ]
直線
競馬シリーズ
ディック・フランシス 出版月: 1990年11月 平均: 6.50点 書評数: 2件

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早川書房
1990年11月

早川書房
1995年08月

No.2 6点 2019/03/14 09:34
 固定障害レースで左足首を負傷し療養中の騎手デリック・フランクリンは、イプスウィッチのセント・キャザリン病院から呼び出しを受けた。たった一人の兄弟グレヴィルが事故に遭い、危篤状態にあるというのだ。解体中の足場が崩れ、鉄棒が腹部と脚に突き刺さったのだという。強打した頭部には脳内出血を生じ、すでに意識は無かった。
 デリックは失業中の熔接工ブラッドに送られ病院に向かい、兄の最後を看取るが、遺品を受け取り帰宅する際、激しい勢いでひったくりに襲われる。松葉杖のデリックには抵抗しようもなかったが、ポケットに移し代えていた貴重品は無事だった。
 明けて月曜日、彼は兄の死を伝えるためグレヴィルが所有する宝石会社、サクソニイ・フランクリンに赴く。だが、そこには警官が二人いた。週末に窓を叩き割った侵入者に荒らされたのだ。賊はグレヴィルの住所録と卓上日誌を持ち去っていた。
 デリックは従業員たちに告げるべきを告げ、当面は業務を維持するよう命じる。オフィスから弁護士に掛けた電話では、兄はサクソニイ・フランクリンを含む所有物を全て、彼に残していた。
 グレヴィルの後始末を続けるデリックだが、銀行の支店長の言葉には度胆を抜かれる。会社の財政状況は驚くほど健全だったが、兄はダイアモンドを買うため銀行から百五十万USドルの融資を受けていたというのだ。
 兄が運用に失敗したとは考えられない。ダイアは慎重に隠され、いまだにどこかにあるのだ。デリックはグレヴィルが残した会社を守るため、隠し場所を突き止める決意をする。
 1990年発表の「横断」に続くシリーズ第28作。宝探しに加え意外な展開ありと飽きさせない内容。兄グレヴィルが残したいくつかの仕掛けや電子機器を小道具に使い興味を繋ぎます。宝石や準宝石、貴石の知識もいくつか。
 馬関連ではグレヴィルの遺産で会社の所有馬ダズン・ロージズの行先を巡る調教師ニコラス・ロゥダの言動がメイン。馬名の名付け親であるグレヴィルの恋人クラリッサ・ウィリアムズとの恋模様も控えめですが読ませます。
 宝飾品関連と題材が華やかな割には全体に地味め。逆に言えばクセがなくミステリ的にもそこそこの出来なので、これからフランシスに初アタックする人向きかな。
 個人的には競馬シリーズを読み返すきっかけになった作品。当初は上位1ダースには入るかなと思ってましたが、再読した今では15位前後に後退。主人公が怪我人なのでアクション関連が薄く、その点がやや食い足りない気がします。7点→6.5点。

No.1 7点 2012/10/22 20:52
直線ねえ、というのが読み終わって感じたことでした。と言っても原題”Straight”を内容に則した「実直」と訳したのでは、確かに冴えませんが。作中の言葉を使えば、主人公や冒頭で事故死する主人公の兄の「まとも」さということです。競馬の直線コースとは何の関係ありません。
騎手であるその主人公は最初から落馬で左足を骨折していて、動くのにも不自由ですから、彼自身はハードなアクションはほとんどできません。宝石商だった兄が死の直前に取り扱っていたダイヤの行方、強盗事件、さらに書き出し1段落で予告してある主人公が殺されそうになる事件、それらの謎の真相はどれもたいしたことはないのですが、うまく絡めてサスペンスもあり、最後までおもしろく読ませてくれます。
兄が様々なハイテク機器に興味を持って集めていたので、後になってそれらが活用されるのではと思っていたのですが、当然の一つだけだったのが、少々残念。


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ディック・フランシス
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