海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ 本格/新本格 ]
針の誘い
千草検事シリーズ
土屋隆夫 出版月: 1976年01月 平均: 7.55点 書評数: 11件

書評を見る | 採点するジャンル投票


講談社
1976年01月

角川書店
1977年05月

光文社
1986年10月

KADOKAWA
1996年10月

角川書店
1996年10月

東京創元社
2001年06月

光文社
2002年07月

No.11 7点 ことは 2019/12/01 21:35
再読。(ほとんど忘れていた)
無駄なく、ミステリのプロットだけという感じで清々しい。謎解きミステリファンならば、楽しめる作品だと思う。
ただ、もうちょっと試行錯誤があったほうがよい気がする。簡単に真相にたどりついている感はある。
また、土屋隆夫といえば、「一人の芭蕉の問題」の文学論争があるが、この作品の文学味は、ほぼ皆無。土屋隆夫の文学味は好みでないから好感。本作も千草検事の日常風景(特に冒頭数ページ)はまったく無意味に感じられる。
最後の犯人の独白は、現代でも通用する気がする。
気になるのは、真相を知って読むと(ネタバレ)あまりにも偶然が過ぎる目撃者はどうなの、と思う。

No.10 8点 文生 2017/11/04 20:14
赤ん坊誘拐事件と身代金受け渡し時に起きた殺人事件の謎を追う本格ミステリ。
独創的なトリックなどはありませんが、細かい仕掛けの積み重ねが実に効果的に作用しており、作者の円熟味を感じさせる傑作です。独特の抒情性を感じさせる「危険な童話」もよいが、謎解きの完成度の点から言えば本作が土屋隆生の最高傑作だと言えるでしょう。

No.9 8点 パメル 2016/04/22 21:21
現実にあった誘拐事件を例に出し恐怖感を煽るなどサスペンス溢れる展開
脅迫状・誘拐・殺人方法など細かなトリックを積み重ねることで構成されている
可能性の無いと思われる部分に焦点を絞り論理を武器にして犯人に迫っていく
いずれも実現可能なトリックを使いフェアに徹しているところに好感が持てる

No.8 8点 斎藤警部 2015/11/20 01:12
子供の誘拐事件が起き、身代金を持参した母親がその場で殺されるという残酷な構図は、一方で義憤を煽りつつ事件の見えない奥行きをも匂わせる。これぞ黄金の土屋隆夫と感じ入ってしまう、質実剛健の一冊でした。

No.7 7点 あびびび 2015/02/26 20:11
犯罪は一か八かの要素が大部分だけど、計画的殺人にしては運任せの部分が多くなかったか?。犯人は動機から途中で気づき、自分なりにトリックを考えたが、あっと驚く鮮やかさはなくて、ひとつひとつの積み重ねだった。しかし、それが現実味を帯びていて、リアルな気がした。

自分としては、「危険な童話」の方が、代表作ではないかと思う。

No.6 7点 蟷螂の斧 2014/07/18 10:53
細かいトリックの連続技で一本勝ちといった印象。誘拐された母親の心理状況をうまく利用する点はさすがです。

No.5 9点 ボナンザ 2014/04/08 01:00
土屋氏は戦後の本格派を代表する一人でありながら知名度は鮎川、高木らに劣る。また、代表作はあるが、最高傑作はないともされる。が、アイディアの盛り込み、作者ならではの後味の悪さ、やはりこれこそ最高傑作ではあるまいか。

No.4 7点 測量ボ-イ 2012/01/11 18:36
氏の作品の中では好印象、具体的にはkanamoriさんとほぼ
同じですね。
いかにも疑わしい関係者が否定されると犯人(黒幕)は判
りやすく、また驚天動地の大トリックがある訳ではないで
すが、複数のトリックをうまく組み合わせて着実にポイン
トを稼いだ感じです。

No.3 7点 kanamori 2010/10/01 17:37
千草検事シリーズの3作目で、子供の誘拐事件と衆人環視状況での母親殺しがメインの本格編。
後者のトリックはちょっとアレですが、小さなトリックを積み重ねて真相を隠蔽する手際はなかなか巧妙だと思った。重厚ではないが、硬質な文体が誘拐ミステリの緊迫性を助長しており物語の雰囲気創りは成功していると思います。書かれた時代を考慮すれば、誘拐ミステリの佳作と言えると思います。

No.2 6点 こう 2008/09/15 22:09
 製菓会社社長の娘が誘拐され身代金受け渡しの際に現金を運んだ母親が殺され、娘は一向に帰ってこない、というストーリーです。
 土屋作品らしく犯人はすぐわかりますし犯人の見当がつけば動機もあらかた予想がつきます。ただ捜査側の犯人をきめつけた様な捜査は現実的ではないと思います。(他作品も大抵そうですが)また肝心の殺人トリックはお粗末でいくらうまくいった様に説明されても納得いくものではありません。
 また動機の一つは奇抜ではありますが狙いどおりいくかは疑問です。むしろ逆効果になる可能性が強いと思います。
 この作品も現代ではまあまあな印象でした。

No.1 9点 makomako 2008/09/08 20:46
精緻なトリックと筋肉質の文章で今回再読したときも新しい感銘を受けました。地味な小説だが土屋隆夫の代表作のひとつと思います。


キーワードから探す
土屋隆夫
2007年11月
人形が死んだ夜
平均:6.33 / 書評数:3
2004年04月
物狂い
平均:6.00 / 書評数:2
2002年03月
聖悪女
平均:5.00 / 書評数:1
1999年06月
ミレイの囚人
平均:7.00 / 書評数:3
1996年06月
華やかな喪服
平均:6.00 / 書評数:1
1994年06月
孤独な殺人者
平均:6.50 / 書評数:2
1993年09月
深夜の法廷
平均:5.00 / 書評数:1
1989年10月
不安な産声
平均:6.30 / 書評数:10
1988年08月
動機と機会
平均:6.00 / 書評数:2
1985年03月
九十九点の犯罪 あなたも探偵士になれる
平均:6.00 / 書評数:2
1983年09月
七歳の告白
平均:7.50 / 書評数:2
1981年05月
妻に捧げる犯罪
平均:5.00 / 書評数:4
1981年04月
泥の文学碑
平均:8.00 / 書評数:1
1980年09月
盲目の鴉
平均:6.00 / 書評数:9
1979年07月
美の犯罪
平均:7.00 / 書評数:1
1976年11月
地獄から来た天使
平均:7.00 / 書評数:1
1976年01月
判事よ自らを裁け
平均:6.00 / 書評数:2
針の誘い
平均:7.55 / 書評数:11
1968年01月
穴の牙
平均:6.00 / 書評数:2
1966年01月
赤の組曲
平均:6.82 / 書評数:11
1963年01月
影の告発
平均:5.69 / 書評数:16
1961年01月
危険な童話
平均:6.74 / 書評数:23
1960年01月
天国は遠すぎる
平均:6.69 / 書評数:13
1958年01月
天狗の面
平均:6.60 / 書評数:15