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[ 本格 ]
招かれざる客たちのビュッフェ
コックリル警部シリーズほか 短編集
クリスチアナ・ブランド 出版月: 1990年03月 平均: 7.31点 書評数: 16件

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東京創元社
1990年03月

No.16 7点 E-BANKER 2022/12/17 14:25
クリスチアナ・ブランドの短編集として、創元文庫のなかでも特に著名な作品だろう本作。
ただ、これまで読了した作者の長編は、「世評ほど面白くない」というのが個人的な感想だけに、本作もどうなのか気になるところ。
1983年に編まれ、発表されたもの。

①「事件のあとに」=ひとりの老刑事が解決した事件の顛末を後にコックリル警部の前で語る、という形式。ある劇団が舞台となるのが作者らしい。トリックは実に単純。
②「血兄弟」=""乳兄弟”ではなく”血兄弟”なのがミソ。仲の良い兄弟が犯罪に手を染めると・・・
③「婚姻飛翔」=最初の四作はコックリル警部ものとなるが、中ではやはりこれがベスト。「女王蜂」を地でいく美しくかよわき女性。女王蜂に関わった四人の男の運命は?ってことで、ドンデン返しが見事に嵌っている。
④「カップの中の毒」=こんな女、バチが当たればいいと思っていた矢先、やってくれました。コックリル警部が!
⑤「ジェミニー・クリケット事件」=さすがに名作という評価に相応しい作品だった。目くるめく推理の果てに辿り着いた真相はなかなかの破壊力を持っていた。2022年の現在目線では既視感はあるけど。読者の予想の斜め上を行ってやろうとする心意気が良い。佳作。
⑥「スケープゴート」=この話ってタイトルと合っているのだろうか?途中までは魅力的な謎に引っ張られていたけど、だんだんよく分からなくなっていった。
⑦「もう山査子摘みもおしまい」=何とも言えない雰囲気。なんかゴニョゴニョした展開とでも言えばいいのか・・・
⑧「スコットランドの姪」=正直よく分らんし、頭にスッと入ってこなかった。
⑨「ジャケット」=ひとことで言えば、ズバリ「因果応報」だ。以上。
⑩「メリーゴーランド」=要は、巡り巡るというお話(だと思う)。
⑪「目撃」=?? 何が言いたい?
⑫「バルコニーからの眺め」=最後の一撃が読みどころ。単に女の妄想か?
⑬「この家に祝福あれ」=これも⑫同様、最後の一撃をくらってからが勝負。
⑭「ごくふつうの男」=「ごくふつう」ではない。
⑮「囁き」=いわゆる「悪女」。しかもまだ16歳。身内を殺人犯にまで仕立てた結果は・・・
⑯「神の御業」=そういうことにしておこう、というタイトル。

以上16編・
いやいや、さすがに読みごたえがあった。16もの短編ということで、単刀直入に言うなら「玉石混交」のところはある。ジャンルにしてもド本格からよく分からん話までバラエティーに富んでいるし、作者の力量の高さは伺える内容だ。
やはり、世評の高い③や⑤はすばらしい作品で、さすがに先人たちの評価は正しかったということ。ただ、その他の作品も作中に尋常ではないほどの仕掛けが施されていて、短編の見本のような作品も多い。
全部読むと長いが、「読んでよかった」と思えるのは確か。
(⑤は相当スゴイし面白い。③も負けず劣らず。後半は割とワンアイデア勝負の作品が目立つかな)

No.15 8点 蟷螂の斧 2022/05/15 09:03
1500冊目となりました。
①事件のあとに 8点 一座の女優が殺害された。女優の夫が犯人に間違いないのだが・・・著者の文章は読みずらいとのイメージ。案の定、何言ってるのかわからない文章が出てきた。実はこれが大伏線であった(爆)
②血兄弟 10点 双子の弟が兄の女を奪う。その弟が交通事故で子供を撥ねてしまった。兄は弟のために双子を利用しアリバイ工作をするが・・・短篇らしい展開と反転。文句なし
③婚姻飛翔 8点 披露宴で夫が毒死。三人の男が妻となる美人看護師を自分のものするために殺害?・・・クリスティ女史のような展開
④カップの中の毒 8点 夫の愛人という女が家にやった来た。妻は毒入りの砂糖たっぷりのコーヒーを女に飲ませる・・・最後の一行
⑤ジェミニー・クリケット事件 8点 老人が密室で、その後警官が殺された。二人とも死ぬ前に「窓」「消えていく」「長い腕」と謎の言葉・・・トリック、真相は申し分ないが、謎の言葉は大幅減点
⑥スケープゴート 7点 脅迫されていたマジシャンの身代わりに付き人が狙撃された。向かいの建物の3Fにピストルが三脚に備え付けられていた・・・消去法
⑦もう山査子摘みもおしまい 6点 洞窟にいた子供たちは殺人容疑者の無実を証明できるのだが・・・幼さ
⑧スコットランドの姪 7点 叔母に財産を取られた姪は真珠のネックレスを盗みに入るが・・・逆転
⑨ジャケット 8点 口うるさい妻を殺そうとする夫はアリバイの証人として家政婦を雇ったが・・・皮肉
⑩メリーゴーラウンド 6点 夫がポルノ写真を持っていたと強請られた妻は・・・子供の目
⑪目撃 5点 ロールスロイスに乗った富豪が殺された。運転手が疑われた。横に走っていたタクシーの乗客がもう一人男が乗っていたと証言…幻想?
⑫バルコニーからの眺め 6点 夫婦は隣の老婆から監視されている。夫を殺害し事故に見せかけるが隣人がお見通しと諦める・・・妄想?
⑬この家に祝福あれ 9点 妻が妊娠した夫婦を納屋に泊めた老婦。そこで生まれた子供を神と信じる・・・ブラック
⑭ごくふつうの男 5点 昔、この家に住んでいたと言って男が現れた・・・恐怖
⑮囁き 7点 ドラッグ酒場でレイプされた女高生は同行の従兄のせいにしてしまう・・・父親としては
⑯神の御業 8点 目の前で妻と子供が車に轢かれてしまった警察官。その警察官は車はスピードは出ていなかったと証言する・・・神は存在する?

(余談)ジェミニ―・クリケット事件のサッカーW杯は1966年7月30日(土)決勝戦(ロンドン・ウェンブルースタジアム)イングランドVS西ドイツ 延長の末、4:2でイングランド優勝した。高校時代、自分が生きている間に日本がW杯出場するなんて100%あり得ないと思っていた。当時、日本サッカーの父であるクラマーコーチ(西ドイツ)は日本代表に初歩のインサイドキックを教えていたのだ。それほどレベルは低かった。それに引き換え、今の小学生は巧いこと!。
1993年5月15日(29年前の本日)Jリーグ開幕。その5年後の1998年、サッカー関係者には夢の夢であったフランスW杯出場が決定。監督更迭があり岡田監督が指揮を執る。エースであった三浦カズが落選。世間は大騒ぎ。でも当然と思った。中田英寿のキラーパスを受けることができなかった(ごめん)。大手旅行会社ではチケットが確保できない問題が発生。結局2、3社のみがツアーを敢行。私たち夫婦はお一人様70万円(平均は35万)のツアーを申し込んでいた。チケットが出発の三日前に取れたとの連絡。いざフランスへ。パリの街ではチケットなしでやって来た若者達がチケット求むのプラカードを掲げていた。高値は40万円だった。初戦のジャマイカ戦。中山ゴンのW杯初ゴールを観る。だが敗戦。ユニホーム姿の私たちの帰国姿がNHKニュースに流れた。その後、3連敗での帰国選手に水がかけられた。
4年後の2002年、日韓W杯。トルシエ監督が中村俊輔を外す。これがなければベスト8にはなったはず。大バカ監督である(苦笑)。横浜国際競技場のロシア戦。倍率400倍のチケットが当たる。稲本のゴールでW杯初勝利。TV視聴率は66.1%(歴代3位)。W杯初ゴールと初勝利を生で見た数少ない一人と思う。
さらに4年後のドイツW杯。チケット一枚16万で購入。それでも飛行機、宿泊を自分で手配したのでツアー並みの一人40万程度で収まる。その他、サッカー観戦ツアーはシドニーオリンピックとドイツ・コンフェデレーションズカップ。観るだけでなく、シニアッカーリーグに参加し、今でも体を動かしている。いわゆるサッカーバカである。

No.14 9点 斎藤警部 2017/05/12 00:30
事件のあとに
劇団員間の犯罪を、劇中劇応用篇の趣向を微かに混ぜこみ展開。最後は「反転の逆転」で一瞬わからない方角へぶん投げられる。こんな分厚い悲劇のミルフィーユをよくもここまであっさりと! そして後からじんわりどんわり。 8.5点

血兄弟
サイコ双生児のイヤミス小噺が何故、これほど心に響く! 7.6点

婚姻飛翔
しっかしコッキーのスッとぼけテクニシャン風情にはヤラレる。今季ガンバからフロンターレに来てくれたアベちゃんもコッキーの様ないやらしさ満開でいてくれん事を!! 大瀧詠一さんの最期をも思い出させてくれちゃって、少しだけしんみりも出来ましたよ。ありがとう。イヤーな感じの導入、動きの豊かな中盤から最後はきれいなドタバタ劇(?)へ。。 原題を見れば当然、HORNETさんを思い出さずにいられない、人気の一品。 8.8点

カップの中の毒
イヤミス的爽快復讐成功劇から、すれ違い証言のユーモラスな悲喜劇へ。シャーリー・ジャクスンがたまには本格でキメてみたかのような不思議な意欲作。最後の「一言」は、それ自体がオチってんでなく、それまで●●てた、てのがオチというか、キレだけでなく分厚さでも同時に勝負のツイストってヤツなんでしょうなあ。 9.2点

ジェミニー・クリケット事件
謎の密室殺人!! 閂がどうしたとか!! おまけに如何にもMO(ミステリオタク)受けしそうな構成の魅力じゃないか!!? 蹴球ワールドカップ絡みの重要エピソード、それも英国内の話、こりゃ萌える。 込み入った真相とシンプルな真相をこんな形で噛み合わせられたら最高の破壊力。参った。 10点!

スケープゴート
エモーションとロジックの対自核スピード有り気な鬩ぎ合い最高! フラーティな気まぐれと、一変して活字体のロジカルな言説、この二者間の間のエロティックにして精妙過ぎる推移マジック。。 マーゲリートの存在感が途中から増し増しソフト緊迫状態になるのも最高。 そして、、 少年よ。。。
「動機が欲しいんだろ?」
真相暴露で一瞬にしてイヤミス爆心地へ。。。 8.5点

もう山査子摘みもおしまい
のどかな風景に癒されながらも暗黒地帯。証言たちの凭(もた)れ掛かり合いの構図は興味深し。この骨格でシャラい作者に書かれても5.5点行きゃいいとこかも知らんが、ブランドの魔手に包まれたが最後、、 8.2点

スコットランドの姪
時にはフレドリック・ブラウン風のダッパーな小品でも物したかと思えば。。 いえ、梗概だけ掠り取れば確かにそんな作りなんだが。。 8.3点

ジャケット
こんな思慮も導線も投げ捨てたような屁みなたいなチャンチャン掌編が、何故、胸を。。。。 理由は分かってまシュけどねマシュケナーダ。 たしかにプチフールの幕開けに相応しかろ。 7.6点

メリーゴーラウンド
ルイーザ? これも毒の染みたプチフール。嗚呼、底意よ。。。。 分かってくれますか、この煌びやかな澱の存在。 8.3点

目撃
美味しいパンの耳砂糖菓子のようなライトグレイッシュファンタジー どこか習作っぽい蒼い剃り跡が見えたかも。 7.2点

バルコニーからの眺め
破滅と救いと孤独が微妙なアンバランスで支え合い、微かに虹色の風が吹くエンディング。 ただのオチ見えサイコ話じャアないのヨ、ワかってヨ。。 7.5点

この家に祝福あれ
静かなる絶句。。。。。。。。 8.9点
ネタバラシに近い蛇足を言うと、○○○は決して●●を持っていなった、という、、「ドンデン返し」の寸前で微妙に減速した「ドンデ返し」みたいな趣向がアルからこそ、たまらナイのヨ。劇薬匙加減だね。。

ごくふつうの男
まさかのノン・ミステリ(犯罪絡み)登場。ごく短いが胸に残るものは大きい。 8.3点

囁き
心理の機微に軸足置いた論理演算漆黒絵巻。重ねてこの溢れ出る、構成の美ならざる、万感の、されど一触れのたくらみ。。。いろんな意味でファック野郎どもの跳躍する道幅の消失点は。。結局、俺の心は揺さぶられ潰され一気に再生させられた。。。。。。。 10点を大きく超えたのは嬉しき珍事だがここでリミッターが働き10点留りさ、ハハハ 嗚呼、俺はこの小説かJBのセクスマシンかどちらかと最期は爆死したい、なんて思っちまいそうだ。 こんだけ余韻周波数のリーチが遠大百年計画の短篇、来世の終わりまで響き続けるんでないか???????? 危なすぎて心の発禁本確定だぜ。久しぶりに生(キ)のボンベイサファイアでキメたくなる小説。君は読むな。。

神の御業
逆イヤミス(と呼ぶのは許されるのか!?)! 8.2点。

No.13 9点 ALFA 2017/03/20 13:48
フルコース料理になぞらえた、コックリルカクテルからブラックコーヒーまでの5コース16編からなる短編集。ミステリ、スリラー、倒叙、いずれも切れ味鋭くブラックな味わいに満ちている。読後感は当然「苦い!」
ベストはオールタイム級の傑作「ジェミニー・クリケット事件」。「騙し」の作法はクリスティのある後期長編を思わせるが、あちらが一貫して悪を為す人の心を描き切っているのに対し、こちらは「すべては最後の一撃のための効果的な長い前振り」という趣がある。(評価10)。
「婚姻飛翔」は本格ミステリの骨格を持った傑作。長編にしたらさぞ読みごたえがあるだろう。(評価9)
いずれも深町訳で読みやすい。
フェイバリットは「スコットランドの姪」。毒がやや薄い分、皮肉が効いていて楽しい。(評価8)、
長編すべてを読んではいないので断定する資格はないが、ブランドの切れ味は中、短編で最も発揮されるのではないかとも思う。
好き嫌いはともかく16編すべて外れはない。書誌と北村薫の丁寧な解説までついて、お得感あふれる短編集。

No.12 8点 青い車 2017/03/08 19:04
 本格推理の名手ブランドは、短編を書かせてもハイレベル且つ多彩なアイディアの持ち主であることが存分に味わえる作品集です。白眉は『婚姻飛翔』。仮に今の作家が書いたとしても通用するほど、練られたトリックが光る毒殺ものの名作です。有名な『ジェミニー・クリケット事件』の高密度さもマニアには堪らないものがあります(しかも最後の一撃が強烈)。若干気取ったような文体でスラスラとは読みづらいきらいのあるブランドですが、ひとつひとつがサクッと読めてその醍醐味が味わえるこういった作品集こそ初めての人に読んでほしいです。

No.11 7点 nukkam 2016/09/13 11:20
(ネタバレなしです) 1950年代後半から1970年代までに発表された短編を16作品収めた1983年発表の第3短編集で、本書を読めばブランドが短編ミステリーも抜群に巧い作家だというのが十分納得できます。作風も本格派あり、サスペンス小説あり、犯罪小説あり、ジャンルミックス型ありと多彩かつ逸品揃いです。16作品中6作品は第1短編集と重複収録、4作品は第2短編集と重複収録、6作品は初収録とベストセレクション的に編集されており、これまでのファンにも新規ファンにもアピールできる内容になっています。犯人当て本格派としては何といってもコックリル警部の登場する「婚前飛翔」がため息が出るほど素晴らしいです。短編なのに次から次へとどんでん返しがあって圧倒されました。現時点での短編本格派マイベスト3です。ジャンルミックス型では密室殺人事件の謎解きの醍醐味と狂気じみた結末の組み合わせが凄い「ジェミニー・クリケット事件」はやっぱり外せません。他の作品もみなそれぞれに持ち味があって駄作凡作が一つもないのは驚異的です。なお創元推理文庫版の巻末解説は「婚前飛翔」の犯人名などがネタバレされているので先には読まない方がよいです。

No.10 9点 ロマン 2015/10/20 15:01
皮肉の利いたブラックなオチと冴え渡るどんでん返し、本角度抜群の多重推理と様々な趣向の名品が楽しめるブランドの傑作短編集。それにしても短いページ数でもとことん魅せるプロット作りが巧い作家で、ベスト級の短編ばかり。「カップの中の毒」「スコットランドの姪」「ジャケット」「メリーゴーラウンド」「この家に祝福あれ」などが大好きだが、個人的ベストは細かな伏線と推理の捻りが利いた多重推理の傑作二編「婚姻飛翔」「ジェミニー・クリケット事件」。ブランドの凄さを再認識。

No.9 5点 ボナンザ 2014/04/08 21:45
本格が意外に少ないのが残念。
ブラックコーヒー部門が印象的。
ジェミニークリケットは角川のアンソロジーに別バージョンが収録されているので興味ある人は是非。

No.8 7点 アイス・コーヒー 2014/03/18 10:35
有名な「ジェミニー・クリケット事件」やコックリル警部ものを収録した豪華短編集。どれも本格とブラックユーモアの独特な味わいがあった。

コックリル警部が登場する四編は、どれもクライマックスのどんでん返しが効いている。中でも「事件のあとに」と「婚姻飛翔」は本格ミステリの楽しさがあって気に入った。
不可解な状況での密室殺人を描く「ジェミニー・クリケット事件」は、謎解きの醍醐味が味わえるものの期待ほどではなかった。ブラックユーモアは中途半端であったうえ、密室トリックは使い古された手だ。確かによく出来ていて名作ではあるのだが、もう一撃欲しいところではある。個人的には「スコットランドの姪」のような作品の方が好きだ。こちらは袋小路で起こる盗難事件という設定を、最大限活かした結末になっている。
ブラックユーモアものでは「この家に祝福あれ」が良かった。ある夫婦に、子供を産むための納屋を貸した老婆が妄想に走っていく怪奇性。それに現実という一撃が加えられ、ブラックすぎる結末に至る。傑作と呼ぶにふさわしい作品だ。

No.7 6点 あびびび 2012/09/04 17:30
短編集とは言っても、読み応えのある作品ばかり。登場人物からして怪しげな人間ばかりで、おのずと雰囲気を盛り上げている。

自分の好みでは「婚姻飛翔」が興味深かったが、「ジェミニー・クリケット事件」も爽快な推理劇だった。

No.6 7点 take5 2011/09/24 12:34
分かりにくい、読みにくいという書評の方がいらっしゃるのに頷けます。まさにフルコース、濃いのです。
私、久しぶりに一気に読めませんでした。(vOv)
構成が複雑なのは翻訳物ではしょうがない時がありますが、
それでも珠玉の作品が2つ3つ見つかったら、
これは読んだ価値がおおいにあったと言い切れるでしょう。
その2つ3つは採点9というように。

No.5 7点 りゅう 2011/05/14 19:57
 いずれもハイレベルなどんでん返しを持った短編集です。「O・ヘンリー短編集」のブラック版といった印象。「ジェミニー・クリケット事件」の評価が高いですが、個人的ベスト作品は「事件のあとに」、次点は「もう山査子摘みもおしまい」です。後半の作品はやや失速気味に感じました。全般的に、プロットが複雑で、わかりにくい話が多いです。また、人物が唐突に登場してきて相互の関係がわかりにくい、代名詞が誰を指しているのかわかりにくい、会話文で誰の発言なのかわかりにくい、など文章も若干読みづらい印象を受けました。
「事件のあとに」
 幾重にもひねられた真相には驚かされました。
「ジェミニー・クリケット事件」
 使われているトリックは某有名古典作品と同じものです。かなり危険で成功の確率は低そうに思いますが。
「スケープゴート」
 「きみの父親は無実だ」という言葉が真実であったことがわかります。
「もう山査子摘みもおしまい」
 子供の秘密を知られたくないという思いによって、ひとりの人間が救われないことに。

No.4 7点 kanamori 2010/07/27 19:09
作者の短編ミステリのフルコースが用意されていますが、このディナーはどの料理にも毒が入っているので要注意。
コックリル警部ものでは、冒頭からの伏線が見事な「婚姻飛翔」と、倒叙もので最後の一撃が光る「カップの中の毒」が印象に残る逸品でした。
個人的ベストは、やはり「ジェミニー・クリケット事件」。凝った構成と意外な結末で、名作の名に値すると思います。

No.3 7点 touko 2010/02/05 23:48
時代を感じさせるとはいえ、どの作品も一定以上のレベルで、安心して楽しめるミステリの短編集。

しかしまあ、えげつない登場人物が多いなあ。
オチのつけ方がブラックで、R・ダールを思い出しましたた。

No.2 7点 teddhiri 2009/06/14 20:59
 黒い話が多いが粒ぞろいの短編集。個人的には「婚姻飛翔」や「スコットランドの姪」がさっぱりしていてて好みかな。ただ中身の濃さでは「ジェミニークリケット事件」がピカイチだろう。

No.1 7点 こう 2008/09/07 23:38
 クリスティ以降のイギリス本格継承者といえるブランドの短編集です。作風として作者の「意地悪さ」が特徴ですが本格色は他作家よりも、クリスティよりも強いと思います。
 16作品収められていますがやはり何といっても「ジェミニー・クリケット事件」が一番でした。ただこの作品に収められているのはイギリス版でアメリカ版とは結末が違います。アメリカ版は角川の「北村薫の本格ミステリライブラリー」に収められていますがアメリカ版の方が良いかな、と思います。衝撃の短編という触れ込みでしたが期待しすぎかそこまでではなかったですが。
 それ以外にも水準作の作品が入っておりお薦めです。個人的には長編で持ち味を発揮していると思いますがこの短編集も良かったです。


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