海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ ホラー ]
領主館の花嫁たち
クリスチアナ・ブランド 出版月: 2014年01月 平均: 5.50点 書評数: 2件

書評を見る | 採点するジャンル投票


東京創元社
2014年01月

東京創元社
2016年12月

No.2 5点 ボナンザ 2020/10/20 20:49
ブランドの最後の作品ということで人間の変貌していく様をうまく描写したホラーだと思う。

No.1 6点 tider-tiger 2017/10/09 19:39
病弱で精神にも異常のあった奥さまが天に召されたアバダール屋敷に家庭教師として招かれたテティ。知性溢れる聡明な女性であったが、身も心も傷を負っている。そんな彼女に懐いてくる美しい双子の姉妹。だが、この屋敷には忌わしき呪いがかけられていた。
じわじわと忍び寄る怪異、そして、テティは不吉な予言を突き付けられる。
「あんたは、いつかわたしたちを裏切って、破滅させるだろう」

クリスチアナ・ブランド最後の長編です。本書刊行から五年ほど後にブランドは亡くなったそうで、遺作というべきなのかは迷いどころ。
ミステリではなくゴシックホラー。『シャイニング』『嵐が丘』などが想起されましたが、そこにシャーリィ・ジャクスンの意地の悪さ、嫌な感じを付け加えた風。ブランドには元々意地の悪さがありましたが、ユーモアが鳴りを潜めてしまったので意地の悪さが剥き出しになり、さらに増幅されたように感じるのかもしれません。ホラーに分類しましたが、怖いというよりは薄気味悪い話でした。
本当の悪人はいない。だが、どの人物も人間の嫌な面ばかりを露呈させてしまう。それが元々の彼らの人間性ゆえなのか、館の呪いなのか、いまいち曖昧なのです。
第一部は見事です。読者の期待をことごとく裏切る意地悪な展開。館に翻弄されいつのまにか変容していく人物。淡々とした話ではありますが、読ませます。8点。
第二部は館の怪異がいよいよ正体を見せてくるのですが、それがちょっとやり過ぎのような気がしました。なぜか私にはとある人物の献身的な行為が非常に薄気味悪く思えました。そこまでやるのかと。6~7点。

ブランドのミステリ作品のようなどんでん返しはありませんし、エンタメ作品としては物足りないところもありましょうが、小出しにされる謎や呪いを解くための作戦はなかなか面白いと思います。そして、静かな幕引き。巨匠最後の作品として、なかなか感慨深いものがあります。


キーワードから探す
クリスチアナ・ブランド
2023年02月
濃霧は危険
平均:5.00 / 書評数:2
2015年06月
薔薇の輪
平均:5.57 / 書評数:7
2014年01月
領主館の花嫁たち
平均:5.50 / 書評数:2
2007年10月
ぶち猫 コックリル警部の事件簿
平均:4.33 / 書評数:3
1994年07月
暗闇の薔薇
平均:6.71 / 書評数:7
1990年03月
招かれざる客たちのビュッフェ
平均:7.31 / 書評数:16
1960年01月
ジェゼベルの死
平均:7.52 / 書評数:25
1959年01月
ゆがんだ光輪
平均:5.50 / 書評数:2
猫とねずみ
平均:6.20 / 書評数:5
切られた首
平均:6.33 / 書評数:3
ハイヒールの死
平均:5.57 / 書評数:7
自宅にて急逝
平均:7.71 / 書評数:7
はなれわざ
平均:6.88 / 書評数:16
1958年08月
疑惑の霧
平均:6.78 / 書評数:9
1958年06月
緑は危険
平均:7.28 / 書評数:18