皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格 ] ハイヒールの死 チャールズワース警部 |
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クリスチアナ・ブランド | 出版月: 1959年01月 | 平均: 5.57点 | 書評数: 7件 |
早川書房 1959年01月 |
早川書房 1984年02月 |
早川書房 2003年10月 |
No.7 | 6点 | レッドキング | 2024/04/25 18:21 |
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クリスチアナ・ブランド処女作。高級ブティック舞台の毒殺事件。容疑者は、美女店員6人に美女でない少女1人、女たらしオーナー、おかまマネージャー(+お掃除オバさん)。毒薬の入手と仕込み、動機のWhoHow何よりWhyの見やすい一覧表付きパズルミステリで、Whoは納得、Why(Aでなく~Aの為)は面白く、Howは・・ちと後出しかな・・と。 |
No.6 | 7点 | 人並由真 | 2020/10/20 18:49 |
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(ネタバレなし)
ロンドンの「クリストフ衣裳店」。そこは女好きと評判の中年紳士である店主フランク・ベヴァンが多くの美人スタッフたちをまとめる、大規模なファッション店だ。近日中にフランスに支店を開く計画があり、主要スタッフたちは誰が支店長に抜擢されるか噂しあう。だがある日、店内で配膳される昼食の際に、ひとりの主力女性スタッフが毒を飲んで死亡した。他殺の可能性を認めたスコットランド・ヤードは、ハンサムな青年警部チャールズワースとその相棒の部長刑事ビッドを捜査につかせる。だが入り組んだ人間模様のなか、事件はさらに新たな展開を見せていく。 1941年の英国作品。ブランドの処女長編。 しばらく前に一度読み始めたことがあったが、そのときは冒頭の20ページくらいでもう、次から次に出てくる主要ヒロインの多さにゲンナリ。キャラ配置も頭に入らず、そこで読むのを断念した(汗)。 しかしながらこの5~6年ほどは登場人物メモをとりながら読むのが通例なため、そういう読書の仕方なら何とかなるだろうと再挑戦に臨んだ。結果、登場するキャラクターたちのメモ項目が、情報でどんどんうまっていくのが実に快感。しかし一方で、やっぱりこの読み方じゃないと付き合えない作品だとは、改めて実感した。 巻末の訳者あとがき、さらに本サイトのレビューなどを見ると<ブランドらしからぬユーモアミステリ>といった見識が目立つようである。実際、ブランドの持ち味のある種の意地悪さは物語の底流に潜みながら、全体的にどっかクリスピンとかイネスとかに似通うような、英国流のドライユーモア味をあちこちに感じたりする。 特に面白かったのは、ポケミス101ページ前後の害獣であるネズミへの対処ぶりでキャラクターの差異を語るくだり。さらには殺人事件が起きたあと、店全体で厚かましいマスコミや、厚顔な野次馬客たちなどに対して、逐次、対策案をはかるくだり。 そんな一方で、愛らしいところと黒いところをあわせもった作中の女性たちの「願わくば、この機会にもっと友情を育てたい」という真情も語られるところなんか結構、泣かせる。 うん、これは<女子交流ものの小説>としても面白いわ。 とはいえそんな刹那のほのぼの感から巧妙に、後半のミステリ要素へと繋げていくあたりはさすがブランド。 あれ? と思えるタイミングで、チャールズワースのライバル格の青年刑事スミザーズを登場させ、ケンケンガクガクさせながら二転三転の真相の暴露にもっていくあたりはデビュー作から堂にいったもんです。 (しかし主人公チャールズワースとの対比をまんま狙って登場してきたスミザースのほんのり凶暴で単細胞なキャラ、まさに20世紀終盤~21世紀の少年漫画のBLティスト風だよな。『らんま1/2』の良牙とか『炎炎ノ消防隊』のアーサーとか、あの辺のポジションまんまだわ。) あえて謎解きにおける不満といえば、この事件の状況における(中略)殺人の可能性をなかなか捜査陣たちが意識しないことで。スコットランド・ヤードの首脳陣も注目してる事件であり、結果としてムニャムニャ。 最後に反転する事件の構図というか、真相は割と気に入っています。本サイトのなかでツメの甘さに不満? をおっしゃる方のお気持ちは理解できるけれど、この小説の決着としてはこれで良かったと思っている。評者が最後に真犯人に抱いた感情は(以下略)。 やっぱいいよね。ブランド。どれでも一冊付き合えば、骨のあるミステリ(&小説)を読み通した充実感がある。 さて『暗闇の薔薇』を読む準備もできました(笑)。 |
No.5 | 5点 | ボナンザ | 2020/06/09 21:15 |
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初期作品だけあってやや散漫な印象。
ただ、後半の人を食ったような展開は後年の片鱗を見せていると思う。 |
No.4 | 6点 | nukkam | 2016/09/26 02:52 |
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(ネタバレなしです) 英国の本格派作家クリスチアナ・ブランド(1907-1988)については評論家のアントニー・バウチャーがジョン・ディクスン・カーやアガサ・クリスティーに匹敵する実力者と最大級の賞賛を贈っていますが、私も全面的に賛成です。よく考え抜かれたプロット、巧妙な伏線や手掛かりの配置、どんでん返しの連続によるスリリングで鮮やかな謎解きと全ての面で超一流の作家で、作品数は多くないけど文句なしに巨匠と言える存在です。もっともデビュー作の本書(1941年出版)はそれほど個性的な作品ではありません。ユーモアミステリーと語られることも多いようですがクレイグ・ライスやカーの作品のような派手などたばた劇や陽気な笑いがあるわけではなく、エキセントリックな登場人物の妙ちきりんな言動にひねくれたユーモアを感じる程度です。また容疑者の8割が女性で舞台はファッション業界ですが服装とか容姿とか化粧の描写は意外と少なく、華やかな雰囲気はありません。謎解きも含めて良くも悪くも地味で平均点的な作品です。 |
No.3 | 3点 | 斎藤警部 | 2015/05/21 13:33 |
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好きなブランドだがこりゃ酷いな。手掛かりやら人間関係やら物証やら心理描写やら、何もかもとっ散らかって最後までグズグズだった。風変わりなだけの純文学みたい。
若くて綺麗な女子ばかり出て来るから、一貫してカラフルなイメージが残るのは良かった。 兎肉のカレーにはちょっとそそられた。 |
No.2 | 5点 | E-BANKER | 2013/01/06 16:35 |
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A.クリステイ、D.セイヤーズと並び称される英国女流本格作家、クリスチアナ・ブランド。
1941年に発表された処女長編が本作。 ~新しい支店を誰が任されるか、ロンドンの老舗衣裳店・クリストフではその噂で持ちきりだ。筆頭候補は仕入部主任で才色兼備のドウーンだが、実際に選ばれたのはオーナーの美人秘書・グレゴリイ。店員間では冗談交じりに秘書毒殺計画が囁かれたが、その直後、ミス・ドウーンが毒殺されてしまう。この事件の担当となったのは美女に滅法弱いハンサムなチャールズワース警部。冷酷な毒殺犯は美女ぞろいのブテイック内にいるのか? 女流本格の第一人者の記念すべきデビュー作~ どうもちぐはくな作品のように思えた。 C.ブランドといえば、ガチガチの本格という印象があったのだが、本作は何だがユーモア・ミステリー(表現が古い?)のように実に軽い味わい。 紹介文のとおり、本作の特徴は、舞台が美女&変わった男が揃ったロンドンの老舗ブテイックということで、トリックやロジックにフォーカスを当てるというよりは、登場人物の造形の方に注力されているという点。 まぁそれ自体はいいのだが、風変わりな人物として描かれているセシルのくだりなど、あまり本筋と関係のないところに多くのページが割かれていて、正直冗長だし全体的にダラッとした読後感を与えている。 ラストに明らかになる動機も、最初からあからさまに出過ぎていて「今さら?!」としか思えなかった。 さすがに処女作品だし、多くを望むのは酷ということかもしれない。 舞台設定などはプロット次第で十分面白いものになったように思えるので、その分消化不良感が強くなっているのだろう。 女性同士の会話や腹の探り合いなどは、さすがに女流作家らしい細やかさや丁寧さを感じられた。 探偵役がコックリル警部ではなく、チャールズワースというのも、本作の舞台設定上からはフィットしている。 ただ、あまり高評価はできないかな。 (半世紀以上前の作品とは思えない現代的な雰囲気。さすが、ロンドンは違うねぇー) |
No.1 | 7点 | 空 | 2010/07/04 08:49 |
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クリスチアナ・ブランドの第1作は、後の傑作に比べると、メイン・アイディアの衝撃力はありません。真相が他の解釈より突出して鮮やかだというところがあまり感じられないのです。それでも、考えてみれば当然でありながら意外な盲点になっている動機には感心しましたし、半分を過ぎるあたりからの登場人物誰もが怪しく思えてくるミスディレクションの撒き散らし構成も楽しめました。
結末近くなって事件を一気に紛糾させるスタイルは、第1作から確立されたものだったんだなと納得。 ただ、前半のチャールズワース警部の迷走ぶりは、ちょっとうんざりな気もしました。いくら惚れっぽいといってもねえ。巻半ばになって、副総監からやっと、犯人は被害者がどの皿を取るかを知っていなければならないはずだと指摘されるというのは、間抜けな感じです。 |