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[ 本格 ]
レーン最後の事件
悲劇四部作
エラリイ・クイーン 出版月: 1957年01月 平均: 6.97点 書評数: 29件

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東京創元社
1957年01月

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1959年11月

東京創元社
1961年01月

KADOKAWA
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KADOKAWA
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No.9 8点 ミステリー三昧 2011/03/29 14:16
<創元推理文庫>悲劇シリーズの最終作(長編)です。
本作では、シェークスピアの古書を巡って大騒動が巻き起こるのですが、これがなかなか複雑。奇妙な依頼人に始まり、失踪した者、古書を盗んだ者、住居を襲撃した者、爆弾を仕掛けた者・・・などなど名前も所在も目的も分からないような謎の人物がウヨウヨ出てくるので、頭で事件を整理するのが大変でした。だんだん小出しにしてきた幾つもの要素が繋がってくるのですが、出来上がりの構図があまりハッキリせず、少しプロットにムラがあったように感じました。綺麗にまとまったとは言い難いです。エラリー・クイーンと言ったら犯人当て(フーダニット)というイメージが邪魔して物語に集中できず理解不足という面も多分あるでしょう。殺人事件という主軸がないもんで、いったい物語はどこへ向かっているのやら分からないといった状況は読んでて辛かったです。
でも読み終わりの感想として、なんだかんだでエラリー・クイーンの醍醐味はフーダニット(犯人当て)だなと。この結末は予想していなかったもんで、さすがに衝撃を受けました。私的には『Yの悲劇』以上のインパクトでした。『Zの悲劇』にて突然登場したニューヒロインの存在意義はこの為にあった訳ですね。〇〇=〇〇というフーダニットパターンに高評価。犯人の特徴を伏線としたロジックも申し分なく、プロットはさておき、本格ミステリとしては読んで価値ある作品。ただしシリーズを順番に読む必要がありそう。『X』『Y』を読んでロジックに酔いしれた読者は『Z』も読んでほしい。3作読んだなら、もうどうせなら本作も読みましょう。海外本格ミステリをガチ読みするなら悲劇シリーズを総合しておすすめします。最終私的評価は『X』>>『Z』>『最後』=『Y』です。

No.8 7点 2011/01/14 22:08
初志貫徹作品(シリーズを順番に読んでいけば意味はわかります)。
好評につき急遽入れたという説もあるらしい『Zの悲劇』の後、すなわち本来この作品が『Zの悲劇』と命名される予定だったということかもしれませんが、まさにシリーズの幕を引く作品です。その『Zの悲劇』からの連続性はよく指摘されますが、「そう言えば『Yの悲劇』でもやはり…」と思わせるところもあります。
確かに、まず殺人が起こる普通の「本格派」ミステリを期待して読み始めると戸惑うでしょう。しかし、老名優ドルリー・レーンが最後に扱うにふさわしい、シェイクスピア関係の古書を巡る奇妙な事件です。今回久々に再読してみて、最終章では直接には指摘しないままにあらかじめ読者に犯人を悟らせた上で、その根拠となる推理を披露、しかもその推理の中でも犯人を名指ししないという技巧が使われていることに気づきました。
奇妙な文字列の原因が『ギリシャ棺』での凡ミスを訂正するものだというのも興味深い点です。

No.7 7点 seiryuu 2010/11/07 14:53
私は四部作で「Yの悲劇」の次にこの作品が好きです。
中盤からラストにかけては面白かった。
ラストはレーンのイメージが崩れてしまったかな。
でもレーンらしくもあると私は思います。

No.6 5点 E-BANKER 2010/08/14 23:28
ドルリーレーン4部作の最終作品。
まさにシリーズの終焉にふさわしいラストが用意されています。
本作は、殺人事件ではなく(死体は出てきますが)、シェークスピア作品の盗難事件がメインとなり展開されますが、冒頭から謎の人物が複数登場し、それがいったい誰なのか?というところに読み手の興味が集中していきます。
レーンの推理は今回も見事なロジック。
特に、謎の人物を特定する手掛かり(特徴)として出てくる○○は、本邦の古典作品でも多用されます。
ラストは名優レーンらしくスマートですが、何とも言えない悲哀を感じさせるシーン・・・
とまぁ、作品としての水準の高さは感じるのですが、ミステリーとしての評価は、やっぱりXYZの悲劇よりも辛めになってしまいますよねぇ。

No.5 4点 こう 2009/11/02 23:13
 作者はもともとこの作品のラストまで考え前作よりペイシェンスを登場させたのでしょうが作品自体はあまり楽しめなかった覚えがあります。中学生の時読んだので犯人当て以外に興味がなかったせいもありますがやはりラストを含めた内容はカタルシスにかけますし20年経っても読み返す気にはなれない作品です。

No.4 8点 Tetchy 2008/11/27 18:11
今までの悲劇3作品と違い、本作はシェイクスピアの稀覯本探しと失踪人捜しといった、殺人事件の謎を解く本格ミステリというよりもロスマクなどの私立探偵小説に似たテイストで物語が繰り広げられる。
謎が1つ解けると、また新たな謎が出てきて、さらに捜索を進めると新たなる人物が次々に出てくるので、クイーンの諸作のような趣向で読むと何が謎なのか、焦点がぼやけてしまう。

しかしそれでもやはりクイーン!カタルシスを最後にもたらせてくれた。
特に冒頭の人物の正体を解き明かすロジックは、またこの手かと思ったが、実に論理的で淀みがない。こういう一見推理とは無関係だと思われる情報が実は有効な手掛かりだったというテクニックがクイーンは心憎いほど巧い。

しかしオイラも負けてはいないぞ!本作でサム元警視に預けられた封筒に書かれたあの暗号、見事解き明かしましたぞ!

で、最後の事件に相応しい結末を迎えるのだが、その動機となる隠された謎がちょっと弱いのが難点か。これは家名を重んじる国民だからということで理解するしかないのだろうけど。

たった2年で書かれた4作しかないこのシリーズだが、その探偵の名と作品は今後も残り続けるに違いない。この結末で逆にレーンという人物の謎が深まった、そんな思いをした。

No.3 7点 マニア 2008/11/20 00:37
途中までは、「うーん・・・これが最後の事件かぁ・・・」という感想で読み進めていた。失踪した博物館警備員の謎や、盗難されたシェークスピアの著書に隠された謎など、こてこての殺人事件を期待していた自分としては少し拍子抜けだった。

終盤間近にようやく殺人事件が起こるが、そこからはラストまで怒涛の勢い!鋭い論理展開で「犯人」に近づいていく!そして・・・感涙のクライマックスへ!
ドルリー・レーン4部作のうち、前3作は「~の悲劇」と名付けられているが、この作品にもその法則を当てはめるとしたら何になるだろう?自分はこの物語が最も悲劇的だと思う!!

No.2 6点 ElderMizuho 2008/01/28 20:01
探偵さん何でそこまでがんばりますか?と思えてしまう点は如何ともし難いです
世界観の違いですからやむを得ないとはいえ、日本人向きの作品ではないんでしょう。
残念ながら、犯人当てありきといった印象

No.1 8点 おしょわ 2008/01/27 20:36
泣けます。
推理は内容は、現代だとなんかのコードに引っかかりそうな気もするけど面白い。


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