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[ 本格 ] ギリシャ棺の秘密 エラリイ・クイーン、国名シリーズ 別題『ギリシア棺謀殺事件』『ギリシア棺の謎』『ギリシャ棺の謎』 |
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エラリイ・クイーン | 出版月: 1957年01月 | 平均: 7.66点 | 書評数: 29件 |
東京創元社 1957年01月 |
東京創元社 1959年01月 |
角川書店 1965年01月 |
早川書房 1979年12月 |
グーテンベルク21 2013年03月 |
角川書店 2013年06月 |
東京創元社 2014年07月 |
No.9 | 8点 | E-BANKER | 2011/08/16 20:51 |
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国名シリーズ第4弾。
シリーズどころか、クイーン最大の長編として君臨する作品。創元版で読了。 ~NYのど真ん中に残された古い墓地の地下室から発見された2つの死体。その謎を追うエラリーは、1度、2度、3度までも犯人に裏をかかれて苦汁をなめるが、ついに4度目、あざやかに背負い投げをくわせる。大学を出て間もないエラリーが、四面楚歌の中で読者に先んじて勝利を得ることはできるだろうか?~ いやぁー長かった。 ただ、長いなりに充実した読書になりました。 個人的に国名シリーズで1番最後に取っておいた本作(※単に長いので後回しにしてただけですが・・・)。 まずは期待通り、評判に違わぬ水準と言っていいでしょう。 ロジックの切れ味という点では、「フランス白粉」や「オランダ靴」の方に軍配が挙がるような気も気もしますが、フーダニットの妙やトライアル&エラーで、真実を積み重ねていく過程、真犯人とエラリーとの知恵比べ的な要素も加えるなど、総合力ではシリーズNO.1かもしれません。 巻末解説でも触れてますが、本作が発表された1932年は、他にも「X」や「Y」、そして「エジプト十字架」も発表されるなど、クイーンが信じられないほどの充実期を迎えている時期にも当たります。 敢えて弱点を挙げるなら、中盤がやや冗長になっているところと、これだけの登場人物を並べた割には、簡単なロジックで犯人像がすぐ少数に絞られてしまうところでしょうか。 ただ、それを補って余りある真犯人の衝撃!(まさかアイツがねぇ) これこそがやはりミステリーの醍醐味! (発表順と異なり、時代的には本作がエラリー最初の事件に当たる。それだけに、推理&捜査手法がまだ固まっていない。それだけに、逆にエラリーに感情移入しやすくなってる感じ) |
No.8 | 9点 | isurrender | 2011/07/05 23:06 |
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特段の驚くべきトリックが使われているわけではない
しかし、探偵エラリー・クイーンの論理的推理が本当に見事 ここまでロジカルを追及したミステリは類を見ない |
No.7 | 6点 | ミステリー三昧 | 2010/10/30 00:50 |
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<創元推理文庫>国名シリーズの4作目(長編)です。
特筆すべき点は、前作『ローマ帽子』『フランス白粉』『オランダ靴』に比べて格段に小説として面白くなったことです。以下の3点が前作の相違点(改善点)となり評価すべきポイントとなるでしょう。①一点、二転、三転するプロット②どんでん返しの演出③フーダニットの意外性。これまでの地味な作風に反して、本作はかなり派手な仕上がりになっているので、いよいよピークに差し掛かってきたのかなと感じました。①の末に②があってかなり③だったという贅沢な作りではありますが、それでも「6点」にするに至った最大の要因として「読者への挑戦状」以降のロジックが大変苦しかった点が挙げられます。確かにノックス邸での出来事によって、思いもよらぬ犯人像が浮き彫りになり、それが「たった一人」を指し示しているロジックには唸りましたが、殺人事件を含め全体を通して考えた場合のロジックが緩くなってしまっている嫌いがあります。フーダニットが相当意外なので、緻密なロジックで説得力を与えることが困難で、犯人当てとしては難易度が高い。私的には『オランダ靴』のシンプルイズベストの美しさが際立つ読後感になってしまったことが残念でした。 ただ、本作の若かりし頃のエラリーの奮闘振りは表現おかしいけど、可愛かった。遺言状の有無に対する推理によって導かれる劇的な死体発見シーンを始めとして悪戦苦闘しましたが、良くも悪くも大活躍でした。以前にも増して主人公らしく、そして名探偵としても十分な働きをしたと思います。合計4度にも渡る演繹帰納法推理?による〇〇犯人説の畳み掛けのプロットも大変貴重でしょう。特に15章の〇〇犯人説のロジックは4つの中で一番素晴らしかったです。エラリーの行動は、謎の儀式と皮肉られ全員を困惑させるモノでしたが、エラリーの推理には欠かせない実験だったことが後々分かり、登場人物と同様に私も面食らいました。さらに輝かしいロジックが新たな証言によって粉砕されるというエラリーの初々しさを浮き彫りにする展開も素晴らしいです。注釈によると、エラリーはこの推理ミスがトラウマとなったらしく、基本むやみに推理を披露しないスタイルを後の作品にて確立させたらしい。 |
No.6 | 8点 | kanamori | 2010/07/21 17:29 |
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パズラーとしての出来はともかく、国名シリーズの中では本書が一番楽しめた。
これまでのロジック重視の作品は、小説として味気ない感じを受けるものもあるが、本書は”名探偵の失敗”を始め、二転三転するプロットがリーダビリティを高めている。 まあ、意外な犯人像のための、無理をしたどんでん返しという感じもありますが。 |
No.5 | 5点 | りゅう | 2010/06/19 16:17 |
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国名シリーズでも評価の高い作品だが、作者との相性が悪いのか、イマイチであった。読者挑戦ものだが、犯人を特定する根拠が乏しいと思う。作者お得意のロジカルに犯人を特定していく場面があるのだが、その理由に納得できなかった。犯人は捜査を混乱させるために偽りの手掛かりをいくつもばらまいている。エラリイが犯人を特定した理由についても、犯人が捜査を混乱させるためにわざとそうしたという見方もできるのではないだろうか(私は全く別の人物を犯人と考えていた)。 |
No.4 | 8点 | 測量ボ-イ | 2010/03/07 16:43 |
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クィ-ンらしいロジカルな作品で、「読者への挑戦」もある
探偵小説王道作品。良作です。 僕自身国名シリ-ズをまだ全部読んだ訳ではありませんが、 その中では上位にランクできる作品だと思います。 惜しむらくは特に前半部分文章が読み辛いことですが、 後半は比較的読みやすかったです。 (ここからネタばれ) スロ-ン氏が犯人だとは全く思いませんでしたが、ノックス 氏が逮捕されたとき、僕の推理が当たっていたと自画自賛し ていたのですが・・これはやられました。 でもこの真犯人を的中させるのはハ-ドル高いですね。 名探偵エラリ-も一度はハルキス氏を真犯人と言って、間違 った指摘をしています。高木彬光氏の某有名作品を連想させ ますね。 |
No.3 | 10点 | okutetsu | 2009/07/01 05:31 |
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国名シリーズでは一番好きです。
読んでて頭が痛くなるほどのロジックに魅了されました。 まだ若くて粋がってるエラリーもいいですね。 ラストのどんでん返しも素晴らしかったと思います。 |
No.2 | 8点 | Tetchy | 2008/08/21 17:40 |
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今のところ、クイーンの国名シリーズではこれがベスト。
トライアル&エラーがテーマでシリーズ中最長だが、それが作者の自信を窺わせるし、確かに面白かった。 あと、エラリーが大学卒まもないせいか、妙にチャラい(笑)。 今回も内容的に色々な不満があるが、今回は鮮やかに騙されたので良しとしよう。 |
No.1 | 9点 | あい | 2008/02/29 22:50 |
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クイーン最大の長編でありながらまったく飽きずに最後まで読むことが出来た。クイーンの若さが目立つ作品だが最後のどんでん返しは圧巻
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