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女王陛下の騎士ー007を創造した男 ジョン・ピアーソン |
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伝記・評伝 | 出版月: 1969年01月 | 平均: 7.00点 | 書評数: 1件 |
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画像がありません。 早川書房 1969年01月 |
No.1 | 7点 | 人並由真 | 2017/08/06 19:49 |
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ドキュメント風フィクション『ジェイムズ・ ボンド(ジェイムズ・ボンド伝)』でも知られる作者ジョン・ピアーソン(ピアースン)が、同作に先駆けて厖大な取材を積み重ねて綴った、イアン・フレミングの伝記。
本書が刊行されたのが1965年で半世紀以上前。21世紀の現在ではすでに別の資料やwebで参照できる情報も少なくないとはおもうが、007神話の黎明期を語り綴ったまとまった評伝としてやはり面白い。 たとえば第二次大戦中 、ナチスのルドルフ・ヘスのオカルト衒学趣味に着目したフレミングが、かのアレイスター・クロウリーのカリスマを利用して懐柔を考えたという逸話など、実に興味深い(ル・シッフルのモデルの一人がそのクロウリーだということも本書を読んで初めて知った)。 フレミングの若すぎる晩年、007神話の立役者がすでに創造者からショーン・コネリー に完全に切り替わっていた事実も、ある種のドライな趣を込めて綴られ、その辺も感慨深い。 惜しむらくは007の原作小説シリーズ後半についてフレミングがどのような意識で取り組んだかの記述が、シリーズ前半に比して駆け足すぎること。 特にあの『わたしを愛したスパイ 』 のような異色編をフレミングがどういう心境のなかで著したかの観測は、ぜひとも読みたかった。 無い物ねだりは山ほどあるが、007ファン、フレミング小説世界に魅せられた者なら一度は目を通しておくべき一冊。 |