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ミステリの祭典

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makomakoさんの登録情報
平均点:6.18点 書評数:862件

プロフィール| 書評

No.842 7点 孤島の来訪者
方丈貴恵
(2024/01/27 21:03登録)
一定の条件を付けたうえでの本格推理小説ということでは前作と同じですが、こちらのほうがまあ馴染みやすいようです。
本格物もネタが出尽くしてしまっているので、大胆なトリックはとんでもないものか、こういった条件付き状況によるものとなってくるのはやむを得ない。
ただこういった作品は最初の条件が受け入れられる人にのみ価値があるのでしょう。受け入れられない人にとってはまことにばかばかしいお話となってしまう運命にあります。
設定を受け入れさえすれば緻密な論理やどんでん返しの連続があり、なかなか面白く読めます。


No.841 7点 深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説
辻真先
(2024/01/24 21:05登録)
第2次世界大戦前の名古屋を舞台とした推理小説です。
この頃の名古屋を知っている人はまずいなくなってしまった。私のような生粋の名古屋人の爺さんでもほとんど知らなかったことがたくさん述べられています。
私としては「たかが殺人じゃないか」よりもこのほうが好きです。
ただちょっとグロイ所があるのはちょっと好みではないのですが。
結局とてもロマンチックなお話なのです。
そしてとんでもないトリックなどが出てきてある意味愉しいのです。
もっと多くの人に読んでほしい小説ですね。


No.840 8点 ミステリークロック
貴志祐介
(2024/01/18 20:22登録)
このサイトではあまり評価が高くないようですが、私は久しぶりに大胆かつ壮大なトリック(ことにコロッサスの鉤爪)を楽しみました。
大胆不可能型のトリックはたいていははっきり言って全く無理でしょうという感じが免れないのですが、本作品は全く無理そうなまではいかない、うまくいけばあるかもしれないレベルに収まっているように思いました。
なかなか面白かった。


No.839 4点 七月のクリスマスカード
伊岡瞬
(2024/01/12 19:18登録)
一度読み始めてあまりの内容の暗さに中断しましたが、再度挑戦。何とか読み通しました。
こういった小説が好きな方のおられると思いますが、私としては暗くて陰気なお話で、ちょっとやりきれない。
最後は何とかハッピーエンド風なのですが、とにかく全体を覆う暗さが好きではありませんでした。


No.838 7点 たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説
辻真先
(2024/01/11 20:02登録)
この作品はどうしても個人的に思い入れが入ってしまいます。
まず昭和24年は私が生まれた年、そして舞台は私が生まれ育った名古屋、学校は後に私が通うこととなったナンバー中学。
出てくる地名は毎日私が通勤に通っているところでもあります。
物語としては本格推理で、トリックもなかなかなのですが、探偵が話を聞いただけで謎を解いてしまうといったちょっと推理の過程を楽しむといったところが欠けているように思いました。
なにか問題が出て答え合わせをしているといった感が否めません。


No.837 7点 ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人
東野圭吾
(2024/01/02 17:38登録)
結構な長編だが、スラスラと読みやすい。
さすが東野圭吾。話のツボはきちんと心得ておられます。
こういった語り口のうまさがあるので、ちょっとしたお話でもそれなりの小説に仕上げてしえるのでしょう。
推理小説は常に新しい発想やトリックが求められるのに、これほど多くの作品を書き続けられること自体がすごい。
更にこの小説では新しい探偵が登場。
マジシャンが探偵というのはそれほど珍しいものではないと思いますが、性格がかなりユニーク。
頭は切れるが、ケチで嘘つきで、目的のためなら手段は選ばない。こう書くとむしろ悪役みたいですが、これがいちおう探偵でそれなりに良いところもある。
次作も期待できそうです。


No.836 4点 古本屋探偵の事件簿
紀田順一郎
(2023/12/30 17:21登録)
これはミステリーではありますが、殺人や誘拐など殺伐とした事件は起きません。古本に対する執念を持った人間が関係したお話です。
あっと驚くようなトリックがあるわけではないので、内容が興味深いとか登場人物のキャラクターの好き嫌いなどが評価に大きく影響することとなります。
残念ながら私はここに登場してくる人物たちが好きになれませんでしたので、このお話に対する評価は低い。読んでいてあまり感じがよくなかった。


No.835 4点 アンと青春
坂木司
(2023/12/15 19:32登録)
日常の謎が主体ではありますが、ミステリーとしてはあまりに弱すぎる。
一作目ではあまり感じなかったが、この作品は作者の女子力?が強くてとにかく女性のためのほんわかした小説といった仕立てです。
感じが悪い小説ではないのですが、男の私としてはあめんどくさいといった感じが否めませんでした。


No.834 5点 絞首商會
夕木春央
(2023/12/09 07:14登録)
読み始めは大正ロマンと探偵小説の雰囲気があってなかなか良いのです。
冒頭すぐに殺人事件が起きる。おっ古き良き探偵小説が味わえそうと、期待を抱かせます。しかしその後がだらだらと関係なさそうなお話が続き(まあこれも雰囲気作りと言えなくもないのですが)、ちっとも推理が始まらない。
かなりの長編なので、この辺りでいやになる人も多そう。
後に素晴らしい作品を書いている作者なので何とか我慢して読み進めると、3分の2ぐらいお話が進んだところでようやく推理小説らしい展開となる。
そして最後は探偵の推理によりさしもの難解な殺人事件も見事解決となるのです。
このお話、初めがもう少し短いともっとよかった。それと探偵の推理がほとんど独りよがりで、伏線もあるにはあるが読者が推理するには全く手がかりが不足で突然解決となる感じが否めない。
いい感じのお話なのに残念です。


No.833 7点 白銀ジャック
東野圭吾
(2023/11/10 18:53登録)
読者をひきつける物語の要素が過不足なく述べられています。
魅力的な謎、サスペンス、登場人物などこうすれば面白いよと言った要素がきっちり。
作者は素晴らしい才能の持ち主で、こういったお話を簡単に作ってしまう。
多少下手でも精一杯書きましたといった雰囲気は皆無で、スラスラと格好よく物語は述べられます。
従ってどうしても軽い感じは否めません。
こんな雰囲気が嫌いな方は評価が下がってしまうかもしれませんが、これ程多作で、しかも一定のレベルの作品を作るのは信じられないほどです。
ただ私としてはこういった誘拐もの(これは誘拐ではないが似た雰囲気)は本質的に好みではありません。うまく書けば書くほど苛立たしい。
でもまあ楽しんで読めたのですから、凄いものです。


No.832 6点 君に読ませたいミステリがあるんだ
東川篤哉
(2023/11/04 17:26登録)
一種の連作なのですが、一筋縄ではいかないお話となっていますので、是非順番に読みましょう。
初めの「音楽堂の殺人」はとんでもない駄作みたいです。
これっていままで没になっていたネタを何とか使ってごまかすためにこんな設定を考え出したの?と疑ってしまうほど。自ら突っ込みを入れてあらをごまかしたような作品と感じました。
ところが2作、3作と呼んでいくとそれなりに出来は良くなってきます。勿論突っ込みがいくらでも入るのですが。
最後の「エックス山のアリバイ」も禁じ手のようなトリックである意味あきれるのですが、そうも変だぞ。なんかおかしい。と感じた時にはすっかり作者の仕掛けにはまっていました。
やられました。最終的には面白いですよ。


No.831 7点 神々の埋葬
山田正紀
(2023/10/27 19:46登録)
山田正紀氏の作品は若かりし頃夢中になって読みました。
年齢もほぼ同じ、生まれも同じ名古屋ということでとりわけ思い入れが深く、発表リアルタイムで読んでいました。
たまたま本棚を整理していたら紙が焼けて一部変色してしまった文庫本が出てきたので、懐かしく再読しました。40年以上ぶりということになります。
やっぱりこの頃の山田氏は良いなあ。若書きなのでそれなりに粗さはあるが、お話にけれんみがなく、年齢を重ねた今の私が読んでもやっぱりわうわくしました。


No.830 6点 時空旅行者の砂時計
方丈貴恵
(2023/10/27 19:33登録)
このサイトではなかなか評判が高いようですが、私はすごいというほどには思いませんでした。
出だしはとても良い。SFと本格ミステリーが上手にカクテルされたようで、ワクワクします。
本格物は随分前よりネタ下れ気味になっているので、こういった方向での試みは悪くはない。
ところが一定の縛りはあるとはいえ、お話が時間を超越した移動方法が大きく影響してくると、なんだかばかばかしい感じが否めませんでした。
皆さんの評価が高いので、私の感覚が古いのかも知れません。
それでも作者の次の作品は読んでみたい、そう思わせるところはたくさんありました。
魅力的な作品であるとは思っています。


No.829 6点 碆霊の如き祀るもの
三津田信三
(2023/10/08 15:48登録)
ずい分久しぶりにこのシリーズを読みました。
まず難しい漢字だらけで、弱くなった頭では覚えるのが大変。極めて読みにくい。
それでも何とか読み進めると、このシリーズ独特の雰囲気が味わえるようになり、長いお話も途中まではすらすら読めました。なかなか良いではないか。
ところが怪奇な連続殺人事件がおこり始めると、はたしてこんな不可解なことがすっきり説明されるのであろうかと心配になってくる。さらに終盤に差し掛かって、大量の謎が提示される。こんなの全部解決なんて無理だよと思ていると、探偵が試行錯誤を繰り返しながらひとつづつ謎を解いていく。こりゃ無理な解決だと思って読んでいると解決案はあっさりと撤収。こんな感じが続いて最終的には解決案が提示されることとなります。
これですっきりしたかというとなんだかもやもやが残ります。
解決案では登場人物のキャラクターからちょっとこんなの無理というものから、実際のトリックがまず困難なものまで混じっていると思われるからです。
途中まではかなりよかったが、残念。


No.828 6点 ナイフをひねれば
アンソニー・ホロヴィッツ
(2023/09/30 06:54登録)
ホロヴィッツ氏の作品はカササギ殺人事件以来いつも注目していますが、このホーソーンが出てくるシリーズはもう一つな感じです。
本作も確かに伏線が張ってあり、意外な犯人、どんでん返しと本格推理の王道を外しているわけではありませんが、探偵も登場人物であるホロヴィッツ氏も私には感情移入しにくいところがあり、あまり好きにはなれません。イギリスの警察もこんなに思い込み調査ばかりして人を逮捕したり、探偵が真犯人を指摘したら簡単にほかの人を逮捕できてしまうものなんですかねえ。
ホーソーンも冷たく非情な神経の持ち主ではあるが、行動としては窮地に陥ったホロヴィッツを助けに一肌脱ぐのですから、もっと好感度が上がってもよいのですが、そういった書き方はされていないようです。ホロヴィッツも助けてもらったのにホーソーンが秘密にしておきたいところをこそこそ探し回ったりなどしてちょっといやなやつですね。
こういったシリーズものは登場人物への好感(または興味?)がないと読む楽しみが半減します。少しずつホーソーンの実態が判明してきたので、次回ぐらいにはちょっと好きになるのかも。


No.827 5点 復讐は合法的に
三日市零
(2023/09/19 20:04登録)
4つの話の連作です。
このミスの隠し玉とのこと。
復讐を手伝う稼業のお話なんてちょっと陰湿で、性格が悪そうな感じです。
実際最初の話などやっぱりなあというところがあり、復讐が成功してもあまり良い気分になれませんでした。
ところが読んでいくとこんな設定にも慣れてくるのか、自分の性格が悪くなってくるのか、違和感は感じなくなりそれなりの面白く読めました。
いかにも次作ができそうな感じなのですが、もし出ても読むかどうかは今のところ不明です。


No.826 5点 バベル九朔
万城目学
(2023/09/15 20:17登録)
この作品は多分ファンタジーの部類の入るものと思います。
私はファンタジーが嫌いではありませんが、こういった作品は現実とかけ離れているので、何らかの共鳴なり美しさなり感動なりがないと、単なる独りよがりのお話となってしまいそうです。
この作品は独りよがりとまではいきませんが、美しくもなく、感動的でもなく、なんともないお話となっているように感じました。
読みにくいことはないのですが、大して面白くもなかった。


No.825 6点 若きウェルテルの怪死
梶龍雄
(2023/09/09 07:46登録)
梶氏は登場人物の描写がとても上手な方とお見受けしておりますが、この作品では肝心の中心人物たる若きウェルテルなる堀分くんのキャラクターが今一つはっきりしなかった。
登場人物が少なくトリックの多くは私でもわかるものでした。勿論すべてがわかったわけではなく、犯人は誰だが出てくるときには違う人を犯人と思っていた次第(これでも十分に理屈は通じると思っている二ですが)。
いろいろ割り引いても素敵本格推理小説です。
梶氏にはちょっとはまってしまった。
まだ未読作品がいろいろありそうなので楽しみです。


No.824 6点 仮面幻双曲
大山誠一郎
(2023/09/02 18:08登録)
今のところ大山氏唯一の長編とのこと。
短編でのトリック一発勝負が作者は得意のようですが、本作品は悪くないです。長編も書いてほしいなあ。
トリックは大胆で見破れそうで結局見事にやられました(まあ大体やられるんですけどね)。
私が読んだのは文庫本で、初版本から相当の改装があったとのことです。
作者が本作品へ注ぎ込む力が感じられますね。全体としてよかったですよ。
残念なのは医療のところで、これほどの形成手術は全身麻酔が必要になってくると思われますが、助手もなく医師一人でやってしまうのは同職を生業にしているものとしては強い違和感があります。要するにほとんど無理。
さらにこの医院には入院患者がいるようなのに、医師は昼ご飯も近くの人に作ってもらっているとの事。入院患者はどうなるのでしょうかねえ。せっかく改装したのならこの辺りも是非直していただきたいものです。次回の改装でご考慮して下さるとありがたいね。


No.823 6点 レモンと殺人鬼
くわがきあゆ
(2023/08/27 12:27登録)
めまぐるしく変わっていく展開がなかなかすごい。
登場人物もどんどんキャラクターが変化してしまう。
これだけやると普通はあきれるかちょっといやになるのだが、何とか最後まで持たせてくれている。

ちょっとネタバレ

最終的にはとんでもない登場人物たちがとんでもない行動をしていることになるのです。
こういった展開だと性悪でご都合主義のお話となりがちなのですが、何とかうまくまとめてあるので、読後感がそれほど悪くはありませんでした。

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