奇岩館の殺人 探偵遊戯シリーズ |
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作家 | 高野結史 |
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出版日 | 2024年02月 |
平均点 | 6.14点 |
書評数 | 7人 |
No.7 | 7点 | まさむね | |
(2025/04/21 21:30登録) 「探偵遊戯」の設定が絶妙な効果を発揮しています。誰が探偵なのか…といった点以外にも、様々な面で興味深く読ませていただきました。個人的にはメタ・ミステリー的な面が楽しかったりして。ちなみに、小園間さんに同情し、応援したくなっちゃう方って、多いと思うな。 |
No.6 | 5点 | メルカトル | |
(2025/02/18 22:19登録) 孤島に立ついびつな形の洋館・奇岩館に連れてこられた日雇い労働者の青年・佐藤。到着後、ミステリーの古典になぞらえた猟奇殺人が次々起こる。 それは「探偵」役のために催された、実際に殺人が行われる推理ゲーム、「リアル・マーダー・ミステリー」だった。 佐藤は自分が殺される前に「探偵」の正体を突き止め、ゲームを終わらせようと奔走するが……。 密室。見立て殺人。クローズド・サークル――ミステリーの常識が覆る! Amazon内容紹介より。 そもそも本格ミステリはそういうもんじゃないだろう、という気がしますが?ほとんどの謎が最初から明らかにされ続けて、一体佐藤は何を探ろうとしているのかすらよく分かりません。犯人の正体なのか、探偵役なのか。 運営側と役者側の両サイドから描かれているのが、異色とは言えるかも知れません。有りそうでなかった仕掛けで目新しいのでしょうか。 謎めいた殺人事件やトリックが解明されるカタルシスが最初から否定されているのが、私にはどうにも納得が行きませんでした。別に読者への挑戦状など要らないのではないかと思いますね。途中から、ああこの作品はこういうタイプのやつなんだと割り切って読みましたが、どうしてもそれ程面白いとは思えませんでした。謎解きが好きな私にはちょっと興醒めでしたね。 |
No.5 | 7点 | sophia | |
(2025/02/04 16:30登録) ネタバレあり 主人公の青年の自分の置かれている立ち位置の必死の模索、それに加えて運営の苦労が楽しめるお得な作品です(笑)終盤に明かされる探偵遊戯の真の姿は、まあありがちな物かもしれませんが、その圧倒的な絶望に対してそういう角度から風穴を空けるのか、と素直に感心させられました。8点にしようかなとも考えたのですが、そもそものシナリオ、特に古典作品になぞらえた3つのトリックがちょっと弱いので7点止まりです。この作品は映画で言うと「ホステル」シリーズですかねえ。 |
No.4 | 7点 | 虫暮部 | |
(2024/10/31 12:41登録) この設定いいなあ。更に、アイデアだけで慢心せず細心の注意を払って(視点によって事態の捉え方が変わる、とか)具現化した手付きが好印象。ドタバタ喜劇的な状況の見せ方も抑制が効いていて上手い。小園間さん頑張れと念じつつ読了。全体的に軽めなのも、このミス大賞シリーズだから問題無いだろう。 |
No.3 | 7点 | 人並由真 | |
(2024/08/15 09:36登録) (ネタバレなし) 面白かった。素直なフーダニットのパズラーじゃ全然ないんだけど、誰が……の興味を織り込みながら、舞台劇のような、いささかイカれてやや悪趣味なサスペンスミステリを展開していく。 いちばん近い作風で言うなら、1950年代のポケミスの中にありそうな、ひねった趣向で勝負の技巧派系。トマス・スターリングとかパット・マガーとかあっちの傾向か。 作者はセンス的に、ミステリが「わかってる」人だと思う。 次作に期待。既刊作もそのうち、読んでみよう。 |
No.2 | 7点 | 文生 | |
(2024/07/01 20:24登録) 被害者役として雇われたバイトを犯人役が殺害して、富裕層のゲストに探偵役を楽しんでもらうリアルミステリーゲーム。 そのカラクリに気が付いた主人公がなんとか殺されるのを回避しようとし、また、運営側もアクシデント続出のイベントを完遂すべく場当たり的な対応に追われるという悪戦苦闘ぶりが楽しい。一方で、本格ミステリとしては最後にちょっとしたどんでん返しはあるものの、そこまで凝った仕掛けがあるわけではありません。しかし、ブラックユーモアを散りばめたクローズドサークルミステリーのパロディとしては十分に面白い作品でした。 |
No.1 | 3点 | makomako | |
(2024/06/27 20:25登録) 本格推理小説はトリックが話の重要な役割となることは間違いないのですが、トリックだけを突き詰めた形にすると無機質で殺人をお遊びとしてしか認めないところへいってしまう。 私は本格ものが好きですが、こういった突き詰めた形のお話はどうしても拒否反応が出てしまいます。 人をものとしてしか扱わず、それを楽しんでいる姿勢が嫌なのです。 本格ものの傑作はトリックにバラバラ殺人など残酷なお話もありますが、殺人事件そのものを登場人物が楽しんでみているというものではない。 この小説は古典的な本格ものを根底にしてひねった形を示してはいるのですが。こういった傾向のお話は好きになれませんでした。 |