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ミステリの祭典

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ボタニストの殺人
ワシントン・ポーシリーズ

作家 M・W・クレイヴン
出版日2024年08月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 文生
(2024/09/29 21:01登録)
ワシントン・ポーシリーズ第5弾。
テレビに出演中の男が殺害予告を受け取ったと主張した直後に絶命し、その一方で、ポーの仲間であるエステル・ドイルが父親殺しの容疑で逮捕される冒頭の展開は最高に面白い。しかも、前者は不可能状況下での毒殺で後者は容疑者以外出入り不可能な雪密室と、謎も実に魅力的です。テンポも良くてお馴染みのキャラにも感情移入しまくりな極上のエンタメ作品といえるでしょう。
ただし、謎解きに関してはガッカリ。毒殺の方は専門知識に基づいたトリックで知識がなければ解くことは絶対に出来ませんし、雪密室の方も突っ込みどころ満載の脱力トリックです。考えてみるとこのシリーズは『キュレーターの殺人』を除けば謎解きでガッカリしたものばかりですが、今回は特に話の面白さとのギャップが大きかった気がします。

No.1 6点 HORNET
(2024/09/24 21:17登録)
生放送の番組中に、女性差別主義者で世間から批判も強い男性ジャーナリストが倒れ、死亡した。捜査により、男性は衆人監視下でありながら「毒殺」されていたことが判明する。男性は番組中で、自身に脅迫状が送られてきていることを話していた。ほどなくして同様の脅迫状が、汚職スキャンダルがあった下院議員のもとへ。ジャーナリスト同様、複数人が見守る状況下に関わらず、またしても毒により殺された。一体どのような方法で、殺人は実行されているのか―

 今あるシリーズものの中で、私が最も好きな「コンビ」がこのポー&ティリーのコンビ。武骨で歯止めの利かない根っからの刑事ポーと、世間知らずの天然ながらITの天才・ティリーのコンビネーションは最高。
 今回は、脅迫状を送付後に毒殺を実行する「ボタニスト」の事件と、一方でポーの長年にわたる仲間、エステル・ドイルが容疑者となってしまった事件の2本立てでも物語が進行していく。どちらも密室状況と思われる殺人で、2本の大きな謎を抱えての展開に心が躍った。


<ネタバレ>
 ただ「ボタニスト」事件のほうの密室毒殺事件の真相は、結局最新の科学・医学によるものと分かり、トリックとは言い難い。ボタニストの正体も、物語中の主要人物の中から明らかになった感じではない。それでもラストに「一仕掛け」するところはさすがで、ただでは終わらせない企みを感じることはできた。
 前段にも書いたように、ポー&ティリーの獅子奮迅の活躍が楽しめるだけで個人的には満足できるが、ミステリとしての手応えを採点するならこの点数。

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