図書館に火をつけたら |
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作家 | 貴戸湊太 |
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出版日 | 2025年02月 |
平均点 | 5.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 4点 | makomako | |
(2025/02/18 20:42登録) この小説は本格推理として書かれています。 推理小説の形としては、興味深い謎、不可能犯罪のように思える事件、そして密室とその解明などきちんと整っています。 読後感も良い。 これだけそろえば本格ものが好きな私としては高得点をつけたいのですが、残念ながら低い評価となりました。 以下ネタバレあり。 防犯カメラに人が映らなかったのは図書館の書庫に住んでいたため??。 ちょっとひどくないですかねえ。住んでいた人は食事やトイレはどうした?。服の着替えなんかも。推理小説なのでありファンタジーであるオペラ座の怪人じゃないのだから。 それに容疑者を特定していく手段が穴だらけで、とても納得できない。 表題がファンタジー風なので、いっそファンタジーとして書いてくれたら結構評価が高くなったと思います。 |
No.1 | 6点 | 文生 | |
(2025/02/11 13:21登録) 市立図書館で火事が発生し、火元の地下書庫で身元不明の焼死体が発見される。しかも、頭部に殴られたあとがあるにも関わらず、現場は密室で...。 密室殺人ものですが、トリック自体は大したことはありません。メインはなぜ現場を密室にしたのかというホワイダニットと図書館に残っていた人間のうち誰が犯人かというフーダニットです。そして、その答えを導く推理がなかなか凝っています。関係者を一堂に集めて犯人ではありえない人物を一人一人除外していく消去法推理なのですが、容疑から逃れるために偽の手がかりを残すといった後期クイーン問題まで踏み込んで推理しているのが面白い。それに、ホワイダニットがフーダニットと密接に繋がっているという趣向も秀逸です。ただ、この推理はあくまでも犯人が論理的に正しい行動を選択し続けることが前提になっており、愚かな行動をとる可能性は視野に入れていないのが苦しいところ。それに、共犯の可能性も最初から除外して何故か単独犯である前提で推理が進んでいきます。加えて、証拠がないので推理をぶつけて犯人を揺さぶってみようというのも、素人探偵ならともかく、刑事が行うには乱暴すぎです。 |