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ミステリの祭典

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満願

作家 米澤穂信
出版日2014年03月
平均点6.63点
書評数30人

No.30 7点 take5
(2024/02/12 21:23登録)
齋藤警部さんが書いてらっしゃるのですが、
連城節を感じさせる作品がちらほら。
短編集としてはまぁまぁよかったです。

夜警   
警察小説。 困り者の部下の見え方が反転

死人宿
これから自殺する犯人捜しの末、反転

柘榴
家族愛憎系、事件を捉える視点で反転

万灯
バングラデシュ経済サスペンス、
すごく良く描けていると思います。
しかし日本に帰ってからが淡白。

関守
峠の茶屋のおばあさんがよい味出してます。

満願
下宿でお世話になった奥さんは殺人犯となり、
弁護士になった主人公と再会。
怪しい雰囲気がよいです。

No.29 6点 バード
(2023/05/14 14:51登録)
全話が最低限の水準以上で、外れの無い短編集という印象。その一方で、後味の悪い話を扱うには全体的に描写があっさりし過ぎ。短編集として外れとは言わないが当たりとも言えない。
表題作以外はこちらの感性に訴えかけてくる深みを文章に感じなかった。

<個別書評>
・夜警(6.5点)
「満願」の次に嫌な雰囲気を書けていたと思う。川藤の思慮の浅さは、昨今のSNSでやらかす輩に似ているので、印象に残りやすかったのかもしれない。

・死人宿(6点)
どこかで読んだ事あるようなオチで、ストーリーの評価は特に高くない。しかし、主人公が奮起するシーンや佐和子が失望するシーンなど分かりやすい見所も多く、個人的には好きな話。

・柘榴(5点)
嫌いという程ではないが、特に魅力を感じなかった。

・万灯(6点)
伊丹の置かれる最前線のキツイ感覚が伝わってくる描写力と、意表をつくアラムの思惑から動く展開に良さを感じた。話が少し長いので、前半はもう少し短いと更に良かった。

・関守(5点)
読んでいた最中はどういった決着になるのかが気になり一気に読み進めたが、オチはありきたりと感じたため点数は伸びず。

・満願(7点)
妙子さんの底を見せない感が不気味さを醸し出しており、収録作で一番好き。このレベルが揃っていれば短編集としても7点以上でしたね。

No.28 5点 みりん
(2023/02/26 02:44登録)
夜警 6点 
死人宿 3点
柘榴 6点
万灯 3点
関守 7点
満願 4点

No.27 7点 猫サーカス
(2022/01/06 19:24登録)
六編収録されているが、一番スリリングなのは「関守」。フリーライターの「俺」が都市伝説を取材することになり、車の転落事故が多発する「死を呼ぶ峠」に赴き、ドライブインを経営するおばあちゃんに話を聞く。のんびりした話から、だんだんと鬼気迫るものになり、驚きの真実に触れることになる。迫力という点では「万灯」もいい。在外ビジネスマンの冷徹な犯罪遂行を意外な落とし穴を捉えているのだが、ジレンマに陥り不幸な選択を迫られる結末が何とも皮肉。そのほか中学生姉妹が両親の離婚に際して親権争いで予想外の行動をとる「柘榴」、警官の殉職の裏に隠された周到な計画をあぶりだす「夜警」、元彼女が働く温泉宿での事件阻止をめぐる思いがけない顛末「死人宿」、そして殺人を犯して刑期を終えた女との再会と事件検証「満願」など、どれも巧妙に作り上げられていて着地も見事。奇妙な事件の意外な成り行きを、驚きと共に語る語り口は抜群であり、プロットの切れ味も良い。静かな心理ドラマを潜ませてたっぷり読ませる優れた短編集といえる。

No.26 7点 じきる
(2021/09/11 11:24登録)
どれもじわりと苦い後味を残す、バラエティー豊かな短編集。
ミステリとしては作者の狙いがわかりやすいものもありますが、読み応え抜群で面白かったです。

No.25 8点 ʖˋ ၊၂ ਡ
(2021/06/29 17:31登録)
人の願望が、謎を呼ぶ。人間の醜さ、愚かさが怖いほど迫ってくる。作者らしいほろ苦さも味わえる。

No.24 6点 蟷螂の斧
(2021/05/26 17:26登録)
①夜警 7点 殉職し勇敢な警官といわれたが・・・彼の心のうちは?反転が心地よい
②死人宿 7点 自殺の名所と言われる温泉の脱衣所に遺書が・・・その持ち主は?アンチミステリー的
③柘榴 4点 よくある題材だが本作は気色が悪かった。何故だろうと考えたところ、父親が受け入れ難い人物。そんな父親に〇が?といったところ
④万灯 6点 やや引っ張りすぎの感。アイデアはいいのだから、もっとインパクトのあるオチになったと思う。短編らしい切れの問題か?
⑤関守 8点 ライターは都市伝説にならないかと峠の4件の事故を追う・・・峠のお婆さんがいい味
⑥満願 6点 うーん、期待しただけに・・・といったところ。家宝に対する気持ちなど理解できないからなあ

No.23 8点 ミステリーオタク
(2020/07/14 18:04登録)
史上初のミステリーランキング三冠に輝いた故野村克也氏のような中短編集。


『夜警』 美談の真相がジワジワと・・・

『死人宿』 変わった趣向の「犯人探し」。途中でチョッとホームズの「三人の学生」を思い出したが、だんだんグダグダ感が鼻についてくる。そして終盤、「何それ...」と思ったが、しかし・・・

『柘榴』 うーん、そう行ったか・・・
何か今邑彩の短編集にでも出てきそうな話だ。いや、湊かなえかな。

『万灯』 本書の中で唯一100ページ超の中編だが、とても面白い読み物になっている。ただ最後は・・・助かる目はあると思うが。(出だしが「私は今、裁かれている」だからネタバレじゃないよ)

『関守』 これも中編に近いヴォリュームの作品でチョッとダラついてる感も否めなかったが、やはり面白かった。
本書の中で唯一「ある程度」ヨメた。

『満願』 イマイチすっきりしないが、これもよくできているし趣深い。


凡作なし。
実力派作家の真価が遺憾なく発揮されている好作品集。

No.22 8点 ぷちレコード
(2020/03/27 19:37登録)
人間誰しもが持っている弱く痛い部分を突かれるような、じわじわと締め付けられるような怖さが少しずつ迫ってくる。
後味は不穏であり不気味で背筋がゾクゾクして、でもそれが何とも魅惑的でどんどん深みにはまって抜け出せない。
極上のストリーテラーによる至福の短編集。

No.21 6点 ボンボン
(2020/02/03 21:01登録)
もちろん寄せ集めではなく、そして連作でもない、本当の短編集というのもなかなかいいものだ。どの話もそれぞれの雰囲気に入り込んで味わうことができた。
ただ、昭和な感じや文学の風味がありそうでいて、それほど深みは無い、丁寧に描かれているようで、現実味に欠ける、というような違和感があって、どうも半端な感じがしてしまう。
そのへんをあまり気にしなければ、ミステリとしては面白い。「夜警」「万灯」「満願」が印象深い。「関守」の怖さも悪くない。

No.20 6点 makomako
(2019/05/22 21:07登録)
発表された年に数々の大賞を獲得した注目すべき作品ですが、私は読むのをしばらく控えていました。
 というのも米澤氏は初期の作品では本当に魅了され感動していたのです。ところがインシテミルあたりから私の好みから離れていったようで、その後の作品ではどうも読んだ感じがよろしくなかったのです。
 今回この作品を読んで、さすがの物語構成力と文章を感じたのですが、やはり私の好みから言うとちょっと離れているなあと感じました。
 良い作品と思いますが、好みから言うとこのぐらいです。 
 好みによってはきっと高評価となる方もおられると思います。

No.19 5点 ボナンザ
(2018/05/20 18:53登録)
米澤流ブラックホワイダニット短編集。
肝心の表題作は今一つか。

No.18 7点 斎藤警部
(2017/12/29 12:09登録)
夜警   
某神父の或る原理を精魂こめて変型増幅し、警察心理小説の肉付けも立派な一篇。 困り者の部下を抱えた警官が、暴力亭主の現場に来てみれば。。。 これは良作。 8点強。

死人宿
失踪人とその経緯捜しに絡めたフーダニットならぬフードゥーイット、これから自殺するのは誰だという変形犯人捜しの末、妄想考え落ちの余韻を残して終わるのはニクい。 6点

柘榴
今一歩の腹落ちが欲しかった。。折角のドロドロ家族ドラマが。。惜しい反転!全体のバランスもちょっとグラグラで、結末のインパクトを直に左右するリアリティってやつが微妙に不足。でも面白い。 5点強 ・・・ いや、え⁉︎ まさかこのエンディング、実は⚫️が一枚上手って言う考え落ち!? だとしたら... 仮に作者がそこまで考えてなかったとしても妄想炸裂で一気に 8点 へジャンプアップ!!

万灯
“新技術の話はいつでも胸躍る”いい言葉だ。
厚みが魅力の南アジア経済サスペンスの末に、まさかのクイーンばりロジック攻め尽くしで振り出しに戻る(?)趣向。結末呆気なさのアンバランスは確かに在るが、、、目をつぶろう。読後しばらーーーーーく冷却の時間を強いられました。 8点

関守
峠の古びた茶屋を舞台に、ミステリ濃度は薄いがなかなかの犯罪ホラァ小噺。骨格より肉付けで押し切り。相撲で言えば琴奨菊の様な体型の一篇。 「先輩」の物語的役割がちょっとオチてない気がするが、、 5点

満願
“予感せよ”との強く甘い圧力は絶壁級。むかし下宿で世話になった奥さんは殺人犯となり、弁護士になった「私」と再会する。結末を予想しつつ、なんだそっちだけか、で淋しく終わるって仮説を併走させてもみたが、、、、、 参った、これですよ、これぞ連城スピリットの継承。色恋だけじゃない、っていう色恋の陰画の強さだね。 或る小道具の使いっぷりとそこに至らす伏線にも唸る。 9点弱

No.17 7点 E-BANKER
(2017/10/18 22:40登録)
『磨かれた文体』『完璧な技巧』『至高のエンターテイメント』・・・帯には豪華絢爛な惹句が書かれている。
それもその筈、何しろ史上初のミステリー三冠受賞作なのだから・・・(因みに「このミス」「週間文春ミステリーベスト」「ミステリが読みたい」の全てで第一位)
2014年の発表。

①「夜警」=横山秀夫の警察小説を思わせる第一編。主人公を通して語られる問題の男“川藤”。殉職した「川藤」の行動を追ううちに判明するある事実。そして反転・・・。心の弱さというのはやはり行動に出るということなのかな。それだけ交番勤務というのは窮屈なものなのかも。
②「死人宿」=トラベルミステリー風な序盤から、徐々に妙な方向にねじ曲がっていく第二編。自殺志願者は誰なのかというテーマなのだが、思わぬラストが待ち受ける。“旨さ”を感じられる作品。
③「柘榴」=これは・・・背筋がヒンヤリとさせられる第三編。大人よりも大人な美少女。だいたいこんな男に限って女にモテルんだよね・・・。東野圭吾「白夜行」の主人公・西本雪穂を思い出してしまった。作中では最も印象的な一編。
④「万灯」=これは・・・皮肉の効いたラストが見事に決まっている。バングラディシュでのやり取りも惹かれたが、そうか・・・まさに「因果応報」ってことだな。殺人の動機っていう意味ではかなり納得がいった。
⑤「関守」=ラストはこうじゃないかな・・・って思っていたとおりだった。なので、できればもうひと捻りあればということなんだけど、これはこれで十分ゾォーっとする。
⑥「満願」=これを連城風というなら、まぁそうかなと思わせる最終編。静かで緊張感のある序盤から中盤を経て、主人公の気付きから意外な真相が判明するラスト! まさに短編の見本とも言えるプロット。

以上6編。
作者の熟練した確かな力量を感じさせる作品集・・・ということで良い。
「儚い羊たちの祝宴」は背筋がザワザワするような感覚を残す、仕掛けの強い連作短篇集だったが、それに比べると本作は「王道」のような作品集。ただし、解説の杉江氏も触れているとおり、最後に「ザラリ」という後味が残るというのがいかにも作者らしいということなのだろう。

世評からするとハードルを上げたほうがよいのかもしれないけれど、個人的には十分に満足できる水準だった。
このレベルの作品を連発できるようなら、作者は稀代のミステリー作家ということになる。
まっ、「三冠」というのは偶然なのかもしれないけど・・・

No.16 6点 haruka
(2017/08/25 13:23登録)
「インシテミル」以来の米澤作品だったが、作風が大きく変わっていることに驚いた。「夜警」、「万灯」、「関守」は面白かった。それ以外はミステリーとして弱く、また小説としても微妙だった。

No.15 7点 パメル
(2017/07/29 01:04登録)
切りつけてきた男を交番勤務の巡査が射殺した事件の真相に迫る「夜警」
いわくつきの温泉宿で拾った遺書の謎を解く「死人宿」など一作ごとに舞台や設定は異なるがいずれも奇妙で不可解な出来事とその真相を解くロジックが丁寧に書き込まれた六つの短編が収録されている
表題作「満願」は周到な伏線がしかれたうえで驚きの真相が最後に明かされる
「柘榴」・「万灯」は生身の人間が持つ心理をしっかり描きつつ思いも寄らない展開を用意している
個人的には「関守」が一番好みだが全体的に上質で読み応えのある作品が揃った一冊

No.14 8点 sophia
(2017/05/16 20:31登録)
「夜警」は伏線がちょっと分かりやすかったかもしれません。
「万灯」は冒頭の現在を受けてのオチの裏切りが見事。森下が急にヘタレになりすぎるところに違和感は残りますが。
「関守」は世にも奇妙な物語みたいな話。この短編集で一番完成度が高いのではないでしょうか。「サエノカミ」というキーワードを隠して話を進め相手の様子を窺うお婆さんの語り口が見事。
表題作「満願」は動機にいまひとつ納得できませんでした。人を殺すほどのことなのか。

No.13 6点 いいちこ
(2016/10/12 15:59登録)
あまりにも高すぎる世評が災いし、期待外れの印象を受けるが、それなりに楽しめる水準に達していることも確か。
ただ、いずれの作品も、一定水準には達しているものの、突出した作品は見られない。
ブラックで捻りが効いた、似通った性格の作品が並んでいることが、単調な印象を助長している

No.12 6点 測量ボ-イ
(2016/05/17 18:54登録)
謎解きにはあまり主体を置いていませんが、楽しみ度はそれなり。
ちょっとイヤミスっぽいところもあるけど、気にならない程度です。
氏の短編集をはじめて読みましたが、他の方の指摘にあるように、
文章がまるで連城三紀彦氏のよう。でもこれって、連城氏のファン
の方は否定的に見るんでしょうか?

No.11 1点 R・M
(2016/03/10 06:42登録)
なんちゃってエログロストーリー。どこを面白がればいいんだか

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