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ミステリの祭典

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四つの署名
シャーロック・ホームズシリーズ

作家 アーサー・コナン・ドイル
出版日1952年01月
平均点5.29点
書評数21人

No.21 5点 虫暮部
(2020/10/30 17:00登録)
 事件にこれと言ったポイントが見出せず、冒頭の薬物依存エピソードのほうが強く印象に残ったりして。最終章で語られる過去の因縁を、『緋色の研究』方式で時間を遡っての三人称記述にすべきだった、と強く思う。

No.20 8点 Kingscorss
(2020/10/01 22:28登録)
いや、コレも皆さんの評価低いですが、キャラクターものとしてよく出来ていて面白かったです。ハヤカワ版で読了。

ミステリー部分はそんなに濃くないので、その辺を重視する方には物足りないかもですが、ホームズ登場作品として安定して質の高い出来だと思います。有名なホームズのあのシーンや、ワトスンのあのシーンとか、ファンには必読エピソード満載です。

ただ、難癖つけるならやはり最終章。犯人の独白がちょっと長すぎな気がします。あんまり興味もない話を長々話されても…って感じであの部分を短くうまくまとめてたら、作品自体がもっと良くなったんじゃないかと感じました。

ホームズ第二段のこの作品も一連のホームズ作品の中で重要な立ち位置なので必読でしょう!200ページもないのでサクッと読めます。

No.19 7点 ことは
(2020/04/23 23:20登録)
長編代表作の人気投票をすれば、少し前ならば、まず「バスカヴィル家の犬」でした。最近は「恐怖の谷」の評価も高く、第1作として「緋色の研究」もあがるなか、本作は、世評はあまり高くないといえる。
でも個人的には結構好きなんですよね。
偶然の要素が強くて、ミステリ的構築度としては弱い。けれど、犯人の足取りを追っていく、探索行として面白い。こういうのなんかワクワクする。
私は古典の評価を考えるとき、「これを元にした作品は……」と考えるのだが、これにインスパイアされたと思えるかなり好きな作品があるので、この作品も点数は低くできないな。
インスパイアされたと思える作品は、御手洗ものの「ギリシャの犬」。

No.18 6点 クリスティ再読
(2020/04/11 22:41登録)
事件がなくて暇なホームズがコカイン注射で気を紛らす有名なシーンで始まる長編2作目。「緋色の研究」は事件が起きた後に警察に応援を頼まれて現場に行ったわけだが、本作ではホームズ一行が殺人現場にでくわす。そして犯人の後を追う追跡劇。「緋色の研究」よりもダイナミックな冒険色を強めた印象がある。
まあ本作だといわゆる「謎」は大したことはないので、ほぼこの追跡劇の面白味で作品ができているようにも思うんだ。ジャンル的には「スリラー」が適切なんだが...うん、だから「本格」というのはね、30年代にヴァン・ダインとクイーンが完成した、形式的は捜査プロセス小説で、フェアプレイに基づくパズル小説である「パズラー」が成立したあとで、そのルーツを辿って逆照射した系譜を「本格」として特別視しただけのことのように、評者は思っているんだよ。「本格」はジャンルじゃなくて、ミステリ史の概念だと思うんだ。
本作はホームズ聖典だから、当然歴史概念としての「本格」になるのだけど、内容は全然パズラーじゃなくて、ジャンルとしては伝奇スリラーだったとしても、何の不思議もあるものか。

No.17 5点 バード
(2019/07/22 18:39登録)
短編集よりは楽しめた。
結局ホームズものって、謎とかトリックではなく、かっこいいホームズが鮮やかに事件解決する様子を楽しむものなのかなあと、本書を読んで思ったり。

特に意外性が無いので、つまらんとまでは言わないが、それほど評価する部分もない。
前に読んだ短編集(シャーロック・ホームズの冒険)と平均点にだいぶ差がある理由がちとわからん。私は似たような出来と思うけどなあ。

No.16 5点 弾十六
(2019/05/25 08:19登録)
初出Lippincott’s Monthly Magazine 1890年2月号(英国版&米国版、挿絵Herbert Denman, 1枚だけ) 単行本Spencer Blackett 1891年10月出版(挿絵Charles Kerr, 1枚だけ) 河出の単行本全集2(1998)で読みました。Christopher Rodenによる注釈167項目と解説文付き。河出全集は、挿絵が充実しており、本書には前述のDenmanとKerrそれぞれ1点ずつと1903年4月刊行George Newnes社イラストレイテッド版単行本のF.H. Townsend8点を収録。小林&東山コンビの訳は穏当ですが、延原さんのリズム感に欠けてます。
物語はホームズとワトスンの有名な会話から。導入部として素晴らしい出来栄え。モースタン嬢の描写は足りない感じ。すでに男がいるのかいないのかを全然気にしていないのが変ですね。貧乏ワトスンのやきもき感だけは伝わってきますが… (執筆時のドイルも貧乏医師で駆け出し作家) 恋愛要素は展開が単調。冒険要素も結構あっさり目。過去の因縁話はもっと長かったような記憶があったのですが、前作の轍を踏んでいないところを見ると『緋色』の2部構成は作者としても失敗だったと思ってたのかも。
トリヴィアは今までさんざん全世界のシャーロッキアンがやってる事なので、今回も手を抜いて、あえてほとんど調べず、気になった項目だけを記しておきます。
事件は1888年9月の出来事と明記。『緋色』事件から7年もの年月が経過してるなんて意外です。前作との時間の隔たりはほとんど無い感じ。作者のつもりでもそーゆー設定だと思います。以下の現在価値の換算は、英国消費者物価指数基準1888/2019で128.90倍、1ポンドの現在価値18047円で計算。
銃は、ホームズが引き出しから取り出す「拳銃」(p31, took his revolver from his drawer)とワトスンの机にある「昔の軍用拳銃」(p119, I have my old service-revolver in my desk)が登場。いずれの拳銃もこれ以上の具体的描写がないのでメーカーや種類の特定が難しいのですが(ワトスンの銃については『緋色』で考察したので、そちらを参照願います) 一つ気になったところがあります。ホームズが犯人追跡中、今後の用心のため銃に弾丸を装填するのですが、たった2発しか込めないのです。(p89, He took out his revolver as he spoke, having loaded two of the chambers, he put it back into the right-hand pocket of his jacket.) 以下、妄想してみました。
<仮説1: 実はデリンジャー?> すぐに思いつくのは2発しか込められないタイプの拳銃。最も有名なのはレミントン ダブル デリンジャー モデル95(1866) ポケットに余裕で収まるミニ拳銃。でも回転式弾倉ではないのでrevolverとは言いません。(実はどー読んでも銃はレミントン ダブルなのにJ.D. カーがrevolverと書いた例(『魔女の隠れ家』)あり)
<仮説2: two shot revolverというのがある?> ネットで調べると畜殺用にリボルバーを改造して2発しか込められない拳銃を称してtwo shotと言うようです。英国の銃規制が原因らしい。でもホームズ当時の銃規制はまだ厳しくなかったし、わざわざ屠畜用の不便な拳銃を持って行く必要性もない。(屠畜のイメージで相手が獣という暗示?)
<仮説3: one shot, one kill主義だった> 相手が2人なら2発で充分。無駄弾不要。
<仮説4: 弾を2つしか持っていなかった> まーこんな理由なんでしょうね。当日は危険な任務をあまり予想してなかったと思われます。弾丸を込める前、ワトスンに銃持ってきてない?と聞いてるのは、僕のほうは2発しか無いんだよ…という不安からなのかも。
p15 フランスの探偵界: フランス優位の時代です。
p20 五十ギニーもする高価な時計: 現在価値95万円。(小林&東山による河出の注では「現在の約63万円」)
p25 一束6ペンスの封筒(Envelopes at sixpence a packet): 高級品と思われる。現在価値451円。(河出の注では「現在の約600円」上記の換算と明らかに矛盾。50ギニー=50×21シリング=50×21×12ペンス=2100×6ペンス)
p26 左から三番目の柱: なぜ三番目の柱?と思った人は関矢みっちょんさん主催の主催のホームズサイトshworld.fan.coocan.jpへ。
p27 Au revoir: モースタン嬢が返事をするのですが、なぜかフランス語です。実は、翻訳からは読み取ることが出来ませんが、先にホームズがAu revoirと言ったのを返しただけです。
p29 しがない退役軍医: 原文an army surgeon。「退役」は余計な読み込みだと思いました。延原訳でも「一介の退役軍医」
p71『小才のきく愚か者ほど、始末に悪い愚か者はない』: 無能な働き者、のヴァリエーションですね。by ラロシュフコー『箴言』451番(河出の注) 原文フランス語。ジョウンズ君本人にはわからないように外国語で言ってる?
p71 あなたがこれから言うことは、すべて、あなたに不利な証拠として用いられることがあります: ミランダの原初形。この習慣はいつ頃からなのか。
p73 いま1時だ。元気な馬に交換できれば、3時までには戻れるだろう(It is one now. I ought to be back before three, if I can get a fresh horse): 夜中なので、見つからない懸念があっての発言か。「交換」は読み込みすぎのように感じる。延原訳では「馬の元気な辻馬車さえ見あたったら」ググるとUpper NorwoodからLower Camberwellまで約7km、徒歩で1時間半程度。
p76 退職年金を受けている軍医(a half-pay surgeon): ヴィクトリア朝Royal NavyのStaff Surgeonの年収が383〜438ポンドというネット情報あり。『緋色』でワトスンの手当は日額11シリング6ペンス(年額で209ポンド17シリング6ペンス、現在価値379万円)とあるので、確かに半額です。でもStaff Surgeonは当時のワトスンの身分と同等なのか。
p82 マーティニ銃弾を相手にする(I would sooner face a Martini bullet):.577/450 Martini-Henry弾、英国陸軍の制定銃Martini-Henry(1871-1918)の弾丸です。日本の銃世界では「マルティニ・ヘンリー」という表記が一般的。延原訳「マルティニ銃で狙われる」
p89 角のパブは、店を開けたばかりで(…)朝の一杯をひっかけ: 朝の四時くらいの情景。当時はこんなに早くからオープンしてたのですね。
p93 一シリングほしい: 子供へのお駄賃。現在価値902円。結局ホームズは子供に2シリング渡しています。河出の注では「現在の約1200円に相当」p25の換算とは整合。
p100 三ボッブとタナー(three bob and a tanner): 3シリング6ペンスのこと(河出の注)
p100 次からは: 『緋色』でも同じことをウィギンズに注意してましたが…
p100 見つけたものには、さらに1ギニーあげよう。これが1日分の前払いだ…[全員に1シリング渡す]: 成功報酬1ギニー(現在価値約1万9千円)は高額ですね…
p105 半ソブリン金貨: 10シリング(現在価値9024円)相当。トビーの貸し賃。当時の半ソブリン金貨は純金、ヴィクトリア女王のJubilee Head(1887年から)、4g、直径19mm。
p110 謝礼5ポンド: 行方不明者の情報に対する謝礼。現在価値9万円。
p116 名優だ(…)週に10ポンドは稼げそう: 年収で現在価値938万円。千両役者という決まり文句なのか。
p116 このワトスンが、わたしのかかわった事件のうちいくつかを発表(our friend here took to publishing some of my cases): 初版からこの表現?であればsome of my casesが気になりますが…
p137 二、三十万ポンド(…)年金にすれば1万ポンド(will have a couple of hundred thousand [...] An annuity of ten thousand pounds): 普通に運用すれば年収1万ポンド(現在価値1億8千万)は固い、ということなのでしょう。
p140 テナー(a tenner): 警官が貰えると思っていた謝礼。
p143 女王陛下の1シリングのお手当を頂く(taking the queen’s shilling): 陸軍に入隊するの意。(河出の注)
p151 モイドール金貨(gold moidores): ポルトガル金貨(moeda d’ouro)のこと。イングランド西部やアイルランドでも結構流通していたという。英国では27シリング(現在価値24363円)相当。(本来はdouble moidoresの換算価値)

ドイルはこの中篇1作でリピンコット誌から100ポンドを得ました。(前回と違い版権は作者が保持。地方紙でも1890年だけで3紙が連載しており他の出版と合わせると結構な収入になったものと思われます) ストランド誌の最初のホームズもの6短篇の原稿料は1作あたり約30ポンド、続く6作では1作50ポンド。そしてホームズを殺したいドイルが12作1000ポンド(1作あたり83ポンド)をふっかけたにもかかわらずストランド誌は申し出を受け、物語は続いて行くことに…

No.15 4点 レッドキング
(2019/05/16 21:13登録)
「・・モルヒネかい?コカインかい?」「コカインさ。~%水溶液。君も一本どうだい?ワトスン君・・」じつに痺れる会話だ それにしても宝箱が空っぽで本当に良かったねえワトスン君。「僕はおかげで妻まで得るし・・・それで君はいったい何を得るんだい?」「僕か?僕にはコカインがあるさ」

No.14 7点 青い車
(2016/12/01 18:58登録)
 NHKで、巧みなオマージュを随所に散りばめた人形劇「シャーロック・ホームズ」を手掛けた三谷幸喜氏が言ったように、ホームズシリーズは推理小説というより、名探偵のキャラを楽しむクラシカルな冒険活劇ではないでしょうか。そういう意味では、本作もまたすばらしい輝きを放っています。クライマックスの船での追跡には痺れました。さらにはワトスンとメアリー・モースタンとのロマンスまで取り入れて、実に贅沢な仕上がりです。

No.13 5点 nukkam
(2016/09/02 08:43登録)
(ネタバレなしです) 1890年発表のホームズシリーズ長編第2作です。前作の「緋色の研究」(1888年)より冒険スリラー小説の要素が濃くなっており、死体発見場面での不気味な雰囲気や犯人追跡場面での疾走感などに見事な描写力を発揮しています。一方でロマンスがいやに堅苦しいのもドイルらしいです(笑)。最終章になって(犯人の自白で)物語のテンポに少々ブレーキがかかりますがそこまでは一気呵成に読めました。

No.12 4点 斎藤警部
(2015/11/22 09:53登録)
個人的には退屈極まりない「緋色の研究」に較べると物語の時間的・空間的拡がりにある種の明るさ、爽やかさが強く入り込んでいる所為か、こちらの方が俄然好感度は高い。が、面白い!とまでは行かないな。やはりホゥムズは短篇が。。

No.11 5点 ボナンザ
(2014/04/08 21:22登録)
これを最高傑作に押す声も少なくない。
確かに読み終わった後の印象はすがすがしい。

No.10 5点 songpu gu
(2013/05/13 21:23登録)
「緋色の研究」に続くドイルの長編で、さるインドの王族が有していた宝石箱を巡るといった第2作。

ホ-ムズ自ら変装してオーロラ号の所在を突き止めたりテムズ川での追跡などから、推理物というより冒険小説といった趣がある。事件解決までに偶然性もそこそこ強く、犯人の1人が木材の防腐剤として用いられるクレオソート油にたまたま足を浸してしまうことで捜索が可能になるやら、彼らの追跡が困難になった波止場で義足の男の情報を得たり。何かここぞと言うところでは推理と言うより、そういった思いがけない無いところから犯人へと道筋がみえるといった記憶でした。(真相についても検証なしの自白がほとんどだったと)
それより事件後のワトスンとモースタン嬢の結婚。当時のアジア人に対する「醜い」やら「あさましい」やら偏見、というか当時の英国人の国民意識など、本編よりも側面的なことで印象に残る一作だったかと思います。

No.9 5点 TON2
(2012/11/13 18:58登録)
新潮文庫
ホームズの「緋色の研究」に続く長編第2作。
ワトソンが依頼人の婦人と結婚することになる経緯も描かれています。
植民地インドの王族の宝=アグラをめぐる話で、伝奇的なおもむきもある冒険小説です。
「緋色の研究」ではモルモン教徒をさんざん悪党とののしったのと同様に、植民地の民や原住民に対する偏見が随所に見られます。やはり大英帝国の作品だからでしょう。

No.8 5点
(2012/06/08 10:21登録)
本書も奇想かつ不気味な雰囲気がよくでています。
この不気味な味と、ホームズのスマートであり偏屈でもあるキャラクタとの一見すると不釣合いにもみえる組み合わせが、ホームズシリーズの魅力です。本作はさらに冒険小説的な要素もあり、少年たちのこころを揺さぶるような作風となっています。
タイトルからは謎解き要素がたっぷり詰まったミステリーとも想像できますが、実際には推理小説とはいえず、自ら進んで謎解きを楽しむことはできません。でも、ホラー系冒険ミステリーとして読めば、十分に小説世界を堪能できると思います。
最終章では、それまでの事件の顛末編とはがらりと語り口を変えて、動機・真相を開示しています。このメリハリのある構成も巧みです。そのあたりは「緋色の研究」に似ていますが、現代のミステリーにすこしだけ近づいたような感じがします。

『すべての条件のうちから、不可能なものだけ切りすててゆけば、あとに残ったのが、たとえどんなに信じがたくても、事実でなくちゃならない』
このワトスンに対するセリフは本書に出てきたのですね。そのあとの、「あれほどたびたびいってあるじゃないか」というセリフからすれば、他の作品でも繰り返されているのでしょうか。

No.7 6点 おっさん
(2011/06/13 17:32登録)
英米で同時に発売されていた、Lippincott's Monthly Magazine の1890年2月号に掲載された、ホームズ譚の第二作を、引き続き光文社文庫版(日暮雅通訳)で読み返してみました。

『緋色の研究』が、犯人を罠にかけて急転直下の解決をみせたのち、作者が事件の背景(於アメリカ)をじっくり語り、ホームズの謎解きで一瀉千里に締めたのに対し、本作は、話の推移とともに段階的に推理が開陳され、やがて興味は追跡劇へと移行し、逮捕後に犯人の口から事件の背景(於インド)がざっと語られて幕となります。
「犯人の物語」の混ぜ込みかたは、このほうがスッキリしているとも言えますが、力点の置き方が冒険小説寄りで(クライマックスは水上のチェイス)、「探偵の物語」としては、最後にもうひとつ、何かサプライズが欲しい。
事件の性質も、前作が、ある種の都市型犯罪であったのに比べ、こちらは『月長石』(東洋の、盗まれた宝石の因果噺)と「モルグ街の殺人」(“抜け穴”から、とんでもないものが闖入してくる密室もどき)のちゃんぽんのような古風さで・・・。
個人的に、アチラの小説には珍しい、“屋根裏”のエピソードは好きなんですがね。足跡発見のくだりとか、乱歩が大正14年(1925)に例の短編を書いたとき、潜在意識下には、本作があったと思うのですよ。
あとまあ、『四つの署名』のウリといえば、ワトスンの恋か。なんか、とってつけたようなロマンスで、どうでもいい――とこれまで思ってきたんですが、じつは今回、オシマイ近くのワトスンのセリフが、はじめてストンと胸に落ちました。

 「これで、ぼくらのちょっとした芝居の幕もおりたわけか。
 きみの方法を研究するのも、この事件が最後になるかもしれないよ。(以下略)」

なんだドイル、これを言わせたかったのか。つまりはこれ、ホームズ終了のフラグ。記録者が○○していなくなるから、続きはもう出ませんという、ミステリ史上前代未聞のケース! うん、ドイルはやっぱり、マジメな歴史小説のほうにいきたかったんだなあw
『ストランド』誌にホームズ短編の読み切り連載を始めるのは、この一年後。その心境の変化をアレコレ考えるのも一興です。

No.6 4点 E-BANKER
(2011/02/18 20:48登録)
シャーロック・ホームズ作品。
「緋色の研究」に続く2作目の長編。
退屈にまかせてコカインを注射するホームズの姿が書かれる冒頭のシーンから始まるストーリー。(この辺り、昔読んだジュブナイル版では当然カットされてました)
そんな中、依頼主(モースタン嬢)から、インドの財宝にまつわる事件の話が舞い込み、早速ホームズは事件解決に乗り出す。
ストーリーとしては、「推理小説」と言うよりは「冒険小説」と言った方がしっくりくる感じです。ホームズの推理もあまり目立たず、途中からは、如何にして犯人グループを捕らえるかというアクション部分に重きを置かれてます。
殺人事件についても、窓やドアには鍵がかかっており、「密室か?」と思ってると、屋根裏部屋から侵入可能なのがすぐに判明するなど、「謎解きもの」としてはかなり中途半端な印象。
犯人逮捕以降、動機や経緯が語られるのは「緋色の研究」と同じパターンを踏襲してます。(「緋色」ほどは長くないですが・・・)
まぁ、ミステリーの歴史的価値という以外では誉めるのが難しいですねぇ。仕方ないかな?
(本作でワトソンが依頼主の女性と結婚するエピソードが有名。完全に「一目ぼれ」だったんですねぇ。)

No.5 6点 isurrender
(2010/02/12 03:15登録)
当時の偏見というか風潮が窺える作品

No.4 5点 okutetsu
(2009/08/21 07:16登録)
冒険小説って感じですね
推理自体はあんま印象に残りません

No.3 5点 堀木正雄
(2009/01/18 15:39登録)
ワトスン結婚。

No.2 5点 あい
(2008/11/13 15:12登録)
正直あまり楽しめなかった。冒険小説の様に感じてしまった

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