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ミステリの祭典

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Zの悲劇
悲劇四部作

作家 エラリイ・クイーン
出版日1959年01月
平均点6.45点
書評数33人

No.33 6点 メルカトル
(2024/05/22 22:43登録)
黒い噂のある上院議員が刺殺され刑務所を出所したばかりの男に死刑判決が下されるが、彼は無実を訴える。サム元警視の娘で鋭い推理の冴えを見せるペイシェンスとレーンは、真犯人をあげることができるのか?
Amazon内容紹介より。

『Xの悲劇』を再読したのは8年前。そんなに前だったのかと正直驚きました。時の流れの速さを嫌でも実感させられました。一方『Yの悲劇』は大昔で何となく覚えているくらいですが、犯人像は強く印象に残っています。その二作に比べるとやはり数段落ちる感は否めません。シリーズなので仕方ないですが、どこが悲劇なのかよく分かりません。(一晩考えたら、やはり悲劇である事を自分の中で確認しました。早とちり失礼)。
新たなキャラである若い女性のペイシェンスを記述者兼助手役として迎え、前二作と作風を変えてのレーンの活躍を描いているのですが、『Y』から十年後と云う設定なので、色んな意味での衰えを隠せません。その辺り、悲哀すら漂います。

まあ地味というか堅実というか、派手さはありませんが飽くまで論理優先で進みます。これといったトリック等は見当たりません。消去法で犯人を絞り込んでいくレーンの推理は見事で、大勢の前で披露する段に当たって思わず襟を正してしまう自分がいました。名探偵としてそれだけの魅力を備えている証左です。老境を迎えたレーンの人間性が自然と滲み出ていて、描き方が上手いなと感じました。何と言ってもクイーンですから、その辺りは今さら私が指摘するまでもないでしょうけどね。

No.32 6点 ミステリ初心者
(2022/10/05 22:50登録)
ネタバレをしております。

 XとYの悲劇を読んでからすさまじく長い時間が経ってしまいました(笑)。X、Yとそれぞれ趣の異なった名作ですが、ZはややXよりの、もっというと国名シリーズ初期のような細かい論理の積み重ねによる消去法で犯人を指摘するタイプの推理小説でした。本格度は極めて高く、早川版あとがきいあるおうに、国名シリーズに使うはずだったものを流用したのではないかと疑惑がもたれるぐらいです。

 珍しい?ことに、神の視点でもなく、レーンの視点でもなく、ペイシェンスという女性が主観の文章でした。それにより、若干のサスペンスや冒険、恋愛の要素も加わり、なんだかみずみずしい小説になっていました(笑)。

 殺人が早くに起こるものの、すこし社会派なストーリーが続いたため、社会派が苦手な私にとってはやや読みづらさを感じました。
 レーンの推理は見事だったものの、あまりの細かさにピンとこないことも多々ありました(笑)。
 また、私の苦手な右手左手問題もありました。これは小説によってまったく異なった話や論理になってしまい、あまり好きではありません。
 さらに、医者ならば生死の確認をミスするはずがない…というのは何となくわかりますが、あれって素人でも判断を誤るものなのですかね…? ほとんどの人がそうだと思いますが、そういった経験が皆無なので、なんとも想像に難しかったです。

 電気椅子での処刑のシーンは、クイーンがわざわざ書くのなら推理に必要なシーンなのだ…と予感しつつも、1から10までまるでわかりませんでした。私の推理は、推理と呼べるものすら形成できない完敗でした(笑)。

No.31 7点 バード
(2019/09/22 14:25登録)
(再読シリーズ7)

ドルリー・レーンシリーズも折り返しの本書、出来や面白さは別に自分にとって思い入れのある一冊です。(そういえば書評を書いていなかったのに気が付いたので、今回読み直し書くことに。)

というのも、実は解決編の手前まで読んで少し考えて放置、内容を忘れたのでまた最初から読む、というのを何度かやってしまった。(まるで電車で寝過ごして、戻るもまた寝過ごして目的の駅を通り過ぎるという感じ。)
おかげで図らずとも問題編の内容をほとんど覚えることになった。これだけ時間をかけたのだからなんとか犯人当ててやる、と後半は意地にもなり、おかげで犯人当ては無事成功しました。しかし、作中の論理でまずいだろうと思う点があるので、下でつっこませていただく。

・本書の論理の穴
私が当てられたように読者が「登場人物」の中から犯人を当てるのに必要なヒントは十分提示されていると思う、そこは流石のクイーンというところ。
しかし、クイーン作品だからあえて厳しめに評価するが、私は本書のロジックには穴があると思う。
解決編によると真犯人は監獄の関係者で夜勤担当でない、また水曜日に殺人ができない理由があったという。これについては穴などない。ただし水曜日に殺人ができない理由をスカルチの死刑があったからと決めつけるのは強引じゃなかろうか?
もちろん普通に本書を読めば水曜の死刑に立ち会ったのだろうと推測できる。しかし犯人はスカルチの死刑とは無関係な用事で殺人を行えなかった可能性を本書では否定していない(と思う)。
私は登場人物紹介の中以外に犯人がいるはずないというメタ要素から、容疑者をマグナスに絞れた。しかし登場人物紹介を見られない作中のキャラクターは他の監獄関係者も網羅的に調べ、そのうえで水曜日に殺人ができない理由はスカルチの死刑があったためだ、と論理的に導かないといけないと思う。

No.30 4点 レッドキング
(2019/04/22 18:46登録)
「竜頭蛇尾」その一言。それも「龍」でなく「竜」。

No.29 7点 虫暮部
(2019/03/04 12:26登録)
 初めて読んだ時は10代前半。本書のおかげで patience という英単語を覚えた。
 ドルリー・レーン達は、証人の立会いなしに監房で被告に実験を仕掛けて証拠をひとつ駄目にしているが、最終幕直前に某の証言を得る際も同じ失敗をしていないか。作中では誰も問題視していないけど。
 第二の殺人、強請る相手を殺しちゃったら元も子もないだろうに。
 サム元警視は何度も身分詐称している。

 気になるので書いてしまいます。クリスティ再読さんの評の「医者ならば聴診器を使うはずだ」のくだりですが、現場の状況から“聴診器を使わなかった”と判断するのは困難。かといって“医者ならば脈で死亡確認はしないはず”という理屈はちょっと微妙。〝医者ならば聴診器を使わねばならない”と言う必然はなく、裏をかいて“医者があえて聴診器を使わない”という可能性もある。やはり最後の証言は必要だと思います。

No.28 7点 ことは
(2019/02/01 12:20登録)
やはり、X,Yと比べると色々落ちる。雰囲気も変わってしまっていて、原因はこのころのクイーンの量産体制と邪推。
それでも最後の推理シーンはいいので、少しおまけで7点

No.27 6点 いいちこ
(2017/05/07 09:34登録)
真相解明に至るプロセスにおいては、その根幹を成す利き手・利き足の根拠の薄弱さが大きな弱点。
その他、冤罪事件を生んだ当局による杜撰な捜査、魅力に乏しい容疑者の人物造形、レーンが犯人候補を3人に限定した後の不可解なまでに迂遠な捜査など、プロットの綻び・不味さが散見。
以上、本格ミステリとしての骨格は堅牢であるものの、随所に減点材料が見受けられ、この評価

No.26 5点 ボンボン
(2016/10/21 17:41登録)
<ネタバレ含む>
前2作から雰囲気一転。80年以上前のアメリカの女の子の一人称に戸惑い、立場が変わってしまったサムとブルーノ、そして何より年老いたレーンの様子に気分が落ちる。
残念ながら、捜査のパートに魅力を感じられない。実際、ペイシェンスの視点だけで進むので、レーンが具体的に何をしているのかよく判らない。振り返れば、皆で手詰まりになって、困って、疲れて、じっとしている場面ばかり。
さて、解決編だが、証拠がない場合に、逃げ道を絶って、論理的な消去法により犯人を追い詰めることでご本人に馬脚を現してもらう、という方法は嫌いではない。これを真似て、必要もないのに関係者を集めて「推理の説明」をするというのとは、訳が違う、説得力が違う。しかも、レーンの整理整頓は美しいし。
ただし、七人の看守を除外する理屈がおざなりなのが気になる。勤務形態を確認してほしい。Xのときは、くどいほど確認していたではないか。その他大勢だからいいのか?
いや、そもそもこれに限らず、医師の除外もクリップも日程変更も、大前提の利き腕利き足の件も含め、すべてちゃんとした話ではないからこそ、消去法発表の緊迫の舞台設定を必要としたのだった。名探偵というよりも押しの強い名優の演技力で犯人にもう駄目だと思わせてしまう作戦か。
そして、最後に、「社会にとって必要のない人間だという天からの知らせ」などという恐ろしい言葉で後味の悪いおまけがつく。Yに引き続き、また?この落とし前はどうつけるのか、『最後の事件』が楽しみだ(つくのかどうかは、まだ知らないが)。

No.25 6点 nukkam
(2016/08/13 05:42登録)
(ネタバレなしです) 1933年発表の本書はドルリー・レーン4部作の3番目にあたる作品であることが重荷となってしまったような作品です。語り手による1人称形式、当時としては珍しい女性探偵の登場、タイムリミット・サスペンスの導入、裏社会の存在など「Xの悲劇」(1932年)や「Yの悲劇」(1932年)にはない特徴で一杯なのですが、それがかえって読者に違和感を感じさせたことも否定できないでしょう。論理的で緻密な推理は同時期の国名シリーズに匹敵する内容だと思いますが「Xの悲劇」や「Yの悲劇」と並べてしまうと詰め込みすぎて読みにくいなどなどの弱点が目立ってしまってます。

No.24 6点 tider-tiger
(2016/06/26 15:54登録)
いつも余計なことが気になって、ミステリ読みとしてはピントのずれたことばかり書いてしまって、なんだか申し訳ないのですが、私が気になったのは「なんでペイシェンスの一人称?」ということでした。
クイーンは一人称が得意な作家とは思えないのですよ。案の定、読みやすくはあったけれど、一人称小説ならではの良さはあまり感じられませんでした。三人称ペイシェンス視点で良かったのではなかろうかというのが本書を読み終えた時点での感想でした。
また、序盤でペイシェンスの賢さが披露されているけど、周囲の人間が鈍すぎるんじゃないかという印象。あくまで相対的にはペイシェンスが賢かった、だけのように思えました。
ただ、レーンとの初対面で見せたホームズを思わせる推理は嫌いではないです。推理そのものがではなく、憧れの名探偵との対面で必死に背伸びしようとするペイシェンスがなかなか微笑ましかった。
死刑の問題に触れていますが、生贄にされそうになった男がどうにも心の底から助かって欲しいと思える人物ではなく、さらにはあの最期。後味の悪さばかりが残って、正直クイーンがなにをしたかったのかよくわかりませんでした。
問題の消去法もレーンの鋭い推理によって犯人以外の人物が消去されたという印象が希薄。
医師が消去された部分に多少の頓智はあるも、他はいまいちトキメキがない。犯人の存在する枠が決まるところまではいいのですが、そのあとはきちんと動機やアリバイを考慮すれば、誰が考えても犯人以外は消去されていって自然と真相は判明するのではないかと。
ただ、小説としてはXやYよりも読みやすくなっているように感じました。それなりに読みどころもあったし、読んでいてつまらない作品ではありませんでした。高評価というわけにはいきませんが。
最後に、これまたどうでもいいことなんですが、私は本作を読んでアメリカよりもイギリスっぽさを感じてしまいました。なぜでしょうか?
以上 Zを読み終えての感想です。以下、レーン最後の事件を読み終えて、本作について思ったこと。
ネタバレはありません。

いろいろと腑に落ちました。一人称も成功しているかはともかくとして、作者の考えていたことはなんとなく想像できました。
Zは元々の構想にはなく、急遽付け足されたという説もあるそうですが、そうであったとしても本作が書かれたことは必然だったように思われます。Zがなかったら、最後の事件はポカーンだったと思われます。ミステリとしては単体での魅力が薄い。物語としてはそんなに悪くはなかった。そして、悲劇シリーズ四作を一連の物語として捉えるならば、かなり重要な作品であるというのが結論です。

No.23 6点 クリスティ再読
(2016/05/30 00:02登録)
評者どうもX・Yとの相性が悪いようだ。
というのは、ドルリー・レーンの描写がどうも厨二的に見えて仕方がないんだよね...で、描写は結構大仰だし、小説的にハッキリ苦手である。
でまあ、その原因はというと、ヴァン・ダインもそうなんだが、第一次大戦後にアメリカが世界の覇権を握ったために、「もはやアメリカはヨーロッパに文化的にも追いつき・追い越した!」というような夜郎自大な自意識が鼻につくわけだよ。ドルリー・レーンの、アメリカの(イギリスの代名詞である)シェイスクピア俳優という設定はそういう意味でしょ。で、訳の分からない根拠で上から目線で殺人事件に介入するし、果ては真犯人を私刑してしまうし...と、評者どうも受け付けないや。
けどX・Yでもいい部分というのは、ある。アスピリン・エイジのドライでクールなアメリカらしさを描写している部分(市電格納庫での取り調べ場面とかね)とか好きなんだがねぇ...
逆にこの「Zの悲劇」という不人気作は、どこがどう不人気か...というと、ドルリー・レーンがあまりヒーロー的活躍をしないあたりなんだろうな、実際大ミスするし。X・Yがバブル仕様のヒーロー小説だとすると、実はこのZは「不景気仕様のヒーロー」少しヒーローに懐疑的になっている小説だと思って読むのがいいんじゃないかな(まあ次が次だし..)。本格パズラーの夢というのは「論理と推理が常に成功を生む」というはなはだ楽天的な夢想であるがゆえに、バブルの高揚との相性がきわめて良いものであったのを、大恐慌がその非論理性やリアリズムによってその夢を破ることになった...なんて読みができるのかもしれないや。
まあ本作のウリは例の消去法推理だけど、評者コレを結構買ってる。ある意味これは結果によっては20則違反になる(端役的な人物が犯人)可能性もあるんだが、そういう可能性を含めてミステリの「推理」としてはアリだと思うし、未開拓のネタがいろいろあるのでは..と思うよ(どうも最近流行ってるようだな)。
けど、最後のツメが少し? 医者二人を除くロジックだが「医者ならば聴診器を使うはずだ」で論理は完結しているのであって、とくに息を吹き返した証言があろうとなかろうと、この論理には関係がないんだよね..まあ厳密な証明というよりも、一種の弁論術くらいで聞いておいたほうがいいのかな。
まあ、クィーンの論理、って人は言うけどさ、利き手・利き足・利き目については散々心理学で実験されていて、同じ側で一致することも多いけど、一致しなくても珍しくはない..くらいが、現在の結論のようだ。「非対称の起源」(クリス・マクマナス著)って面白い啓蒙書があるけど、これによると1920年代に利き目と利き手が入れ違うことが失語症の原因となる..という説を唱えた学者がいるのを紹介してる。まここらをクィーンが真に受けて採用したあたりの話じゃないかなぁ。そもそも説得力がないのを自分で認めてるわけだから世話はないけどもね。
最後に一点。生贄にされかけた囚人の最期についての記述が結構ヒドい。ちょっとなぁ...マイナス1点。

No.22 8点 take5
(2016/05/14 23:09登録)
学生時代に4冊一気読みしたので、
評価はまとめてXにしました。

No.21 8点 青い車
(2016/01/28 20:39登録)
先の二作の評価が高いあまり、まるで凡作であるかのような扱いを受けてしまう不遇な作品。確かに中盤での利き腕の推理はこじつけめいていて厳密さに欠けるという弱さがありますが、論理的な解決を信条とするクイーンの技は随所に見受けられます。犯人も前二作ほどではないにせよなかなか意外で、それまで精彩を欠いていたレーン氏もクライマックスでは怒涛のロジックを見せてくれます。新キャラクター、ペイシェンスの冒険も魅力的です。あくまで他の代表作と比べたら、というだけであって単体で見ると十分に魅力的なパズラーに仕上がっていると思います。
余談ですが、本作のプロットはまず国名シリーズ用のものとして作り始めたそうで、邦題では『ドイツ監獄の謎』となるはずだったという説があるそうです。つまり原題では『The German Prison Mystery』といったところでしょうか?

No.20 4点 斎藤警部
(2015/12/02 15:36登録)
「Y」をジュブナイル版で読んだばかりの小学生がたまたま親が持ってた角川文庫の「Z」に手を出し、「Y」とはうって変わった退屈と難解の壁に何度も払い落とされつつ辛くも読破(大人の文章が難しかったってのも大きい)。ただ、あの死刑囚の悲惨な有り様だけは子供心に強く残ったなあ。。 さて高校あたりで再読しましたが興味の薄さはさほど変わらず。 「X」「Y」同様”犯人が意外”と言われるらしいけど”はァ?”ってなもんです。でも物語の重厚さには一定の威厳と魅力を感じるわけで、点数付けるなら4くらいキープかなと。

No.19 7点 ロマン
(2015/10/29 19:05登録)
前二作とは違い、近い将来刑に服する事を定められた人物の無実を証明すると同時に、真犯人を割り出すという、のっぴきならない展開。そんな中でもサムの娘であるペイシェンスは鋭い推理力を発揮しながらも、おなじみのドルリー・レーンに力を借りる訳だが、前二作とは違った味わいがあり、ドラマ性が強くなっていることも見逃せない。個人的にはレーン氏の活躍ぶりがあまり見られなかった事がやや残念。

No.18 5点 ボナンザ
(2015/07/10 07:22登録)
このシリーズとしては落ちる印象なのは否めない。

No.17 6点 makomako
(2015/06/21 08:21登録)
 XとYは読んでいたのですが、Zと最後の事件は未読でしたのでちょっとワクワクしながら読みました。
 期待ほどではなかったというのが正直な感想です。
 若い女性の一人称で語られる物語は興味深いところですし、レーンの推理も相変わらず精緻ではあるのですが、XやYと比べるとだいぶん落ちる感じでした。
 なにがといってまず颯爽とした老人だったドルリーレーンが10年たってよたよたのじじいになっている、というシチュエーションが面白くない。どうしてこんな風にしたのでしょうかね。
 若い女性の語りも悪くはないが、全然可愛げがなくずうずうしい。日本人でよかったというところか。
 物語も途中までレーンの活躍がパッとせず、最後の推理に至っても3人に絞ったといっているが、そこまでわかればこんな無茶の方法を取らずとも十分解決したでしょう。

以下ネタバレ気味です。
レーンの推理は推理ゲームとしては面白いが現実性に乏しく、最後には救おうとした人間に実にひどい仕打ちをあたえたうえ、事実上命を奪ってしまった。こんな行き当たりばったりの事件で、このような方法で解決というのは、どうも納得がいかない気もします。ほかの犯人だってあり得そうな感じが否めません。

No.16 5点 蟷螂の斧
(2014/01/26 12:48登録)
サスペンス的な観点からは物語は楽しめました。本格的には今一つといった印象です。物足りない点は以下の通り。アリバイ・動機にほとんど触れていない。○○の伏線は弱すぎる(読者は推理不可?)。右手・左手は納得性がない(陪審員と同様)。消去法の推理(この部分は高評価)がメインとなるので致し方ないのか?

No.15 7点 あびびび
(2013/11/04 17:10登録)
X、Y、そして最後の悲劇と読んでいて、長い間このZだけが未読だった。どちらかといえば4冊の中で一番地味というイメージだったが、そんなことはなく、本格推理小説として十分に楽しめた。

ドルリ―・レーンの苦悩が長ければ長いほどエンディングが楽しめるが、今回の犯人は想定内であり、意外な人物ではなかった。ただ、消去法による犯人探しは緊張感があり、手に汗を握る感じだった。

No.14 8点 アイス・コーヒー
(2013/07/23 18:14登録)
前作「Yの悲劇」から十年ほどたって、私立探偵となったサム警部とその娘パティが上院議員の殺害と謎のZに挑むというストーリー。
この作品について深く言及する必要はない。雰囲気はレーン四部作らしく、論理的な推理は素晴らしかった。Y程の衝撃はなかったが面白い作品だ。ただ、あまりZである意味がないともいえなくもなくそこは残念。

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