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[ サスペンス ]
女郎ぐも
ダルース夫妻、トラント警部補/別題『女郎蜘蛛』
パトリック・クェンティン 出版月: 1962年01月 平均: 6.71点 書評数: 7件

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東京創元新社
1962年01月

東京創元社
2014年05月

No.7 5点 ボナンザ 2020/08/02 15:08
例によってどことなく間抜けなダルースの行動とはた迷惑なわき役たちが繰り広げるドタバタミステリ。
息をつかせず一気に読ませるのは流石。

No.6 6点 nukkam 2016/07/15 12:16
(ネタバレなしです) 1952年発表のダルース夫妻シリーズ第8作でシリーズ最終作(トラント警部も登場します)、ウェッブとホイーラーのコンビ作品としても最後の作品らしいです。本書以降のクェンティン作品はホイーラー単独執筆によるサスペンス小説路線になるのですが本書でも本格派推理小説としての謎解きはあるけれどピーター・ダルースの危機また危機の描写の方にに力点を置いており、後年の代表作「二人の妻をもつ男」(1955年)を彷彿させます。もっともピーターの行動は時に思慮を欠いていて身から出た錆ではないかと思いましたけど(笑)。

No.5 8点 あびびび 2015/04/09 16:02
辣腕プロデューサーに名女優のおしどり夫婦にかかる災難。男なら誰にでもありそうな心の隙間に、女郎蜘蛛が忍び寄ってくる…。

妻が母の療養のため旅立った。高級アパートの上の階に住む、親友の大女優とその夫がパーティーを開き、「さみしいんでしょう。私は大親友としてあなたの面倒を見る義務がある…」と言って強引にプロデューサーを誘った。彼は仕方なく、顔を出したが、案の定気が乗らず、帰ろうとしたときに若い女性から声を掛けられる…。

その女性が、絶妙な駆け引きでプロデューサーを虜にしようとするが、彼は自分の立場をわきまえていた。しかし、意外な事件が起き、彼は殺人の容疑者となる…。

若い女性がそのままプロデューサーに対し、悪意を放ち続ける物語かと思ったが、思わぬ展開にページをめくる手が止まらず、一気に読んでしまった。

No.4 8点 蟷螂の斧 2015/03/08 11:04
シリーズ最終話にふさわしい出来栄えですね。前半はサスペンス(サイコ系?)かと思わせ、後半は本格的な展開となります。主人公ピーターの部屋で自殺した娘ナニーのことを調べるうち、段々自分に不利な状況に陥ってゆく過程は読みごたえがあります。シリーズでは、ピーターとその妻アイリスの絆が背景にありますが、本編でもその夫婦の揺れ動く心理がうまく描かれていました。また、周りに登場する女性陣(性悪女?)にイライラさせられたりしました。~ほめ言葉~(笑)。「○○パズル」シリーズなのに、本作だけ「女郎蜘蛛」となっていますが、読後はこれでいいのかなと納得。単独で読んでもOKですね。初登場のトラント警部補の飄々とした雰囲気がお気に入り。(その後の「二人の妻をもつ男」(1955)に登場していたんですね。その書評で”トラント警部が切れ者なのか、またはサラリーマン的な性格なのかよく解らない点が魅力的で、非常に効果があったと思います。”としていました(笑)。「わが子は殺人者」(1954)は絶版で読めないのが残念です。

No.3 7点 E-BANKER 2014/10/19 20:36
「パズルシリーズ」で始まるダルーズ夫妻ものの掉尾を飾る作品がコレ。
1952年発表の長編。最近創元推理文庫で出た新訳版にて読了。

~演劇プロデューサーのダルースは、妻アイリスが母親の静養に付き添ってジャマイカに発った留守中、作家志望の娘ナニと知り合った。ナニのつましい生活に同情したダルースは、自分のアパートメントは日中誰もいないからそこで執筆すればいいと言って鍵を渡す。それから四、五週後空港へアイリスを迎えに行って帰宅すると、あろうことか寝室にナニの遺体が! 身に覚えのない浮気者のレッテルを押され肩身の狭いダルースは汚名をそそぐべくナニの身辺を調べ始めるが・・・~

さすがの安定感。
そういう表現がピッタリくる作品に仕上がっている。
他の方の指摘どおり、確かに「犯人当て」としては分かりやすいし、もうひと捻りあっていいという感想を持つ方もいるかもしれない。
(最後は勧善懲悪っていうか、そうなるべきだよなぁという真相に落ち着いたんだから・・・)

でもまぁそんなことより、プロットが実にスッキリしているのだ。
余計なものが一切入ってないし、まさにシンプル・イズ・ベストという表現が当て嵌る。
男性としては、ピーターの心情というのは十分理解できるよなぁー。
(「マイ・フェア・レデイ」っていうか、「源氏物語」の若紫っていうか・・・女性には理解できないだろうけど)
“女郎蜘蛛”の巣に絡み取られてしまったピーターの心にシンクロしながら読むのがいいかもしれない。

登場人物たちの裏の顔が徐々に剥がされいく展開も旨い。
大作という訳ではないので評点としてはこんなものだけど、一読の価値アリという作品。
(新訳版は実に読みやすくてGood! それにしてもトラント警部といえば「二人の妻を持つ男」「わが子は殺人者」に登場する、あの警部だったのね・・・)

No.2 7点 こう 2012/02/06 00:55
 ダルース夫妻物第8作でシリーズ最終作は以前「わが子は殺人者」での法月氏の解説で是非読みたいと思っていた作品でした。
 被害者の人となりが徐々に露わになる所は相変わらず上手いですしラストの部分の展開もホイーラー単独作の力作サスペンスをほうふつとさせます。犯人あてとしては物足りなくてもサスペンスとしては十分楽しめました。
 訳が古臭く特にアイリスのセリフが読んでられないのは少し残念な点です。
 Qパトリック名義でもジョナサンスタッジ名義でもホイーラー単独でもいいので未訳作品が訳出されることを期待したいです。

No.1 6点 kanamori 2010/06/05 18:44
本書はダルース夫妻シリーズの掉尾を飾るサスペンスで、ウェッブ&ホイーラー合作の最終作ですが、内容は後のホイーラー単独作品の持ち味が多分に出ています。
アイリス不在中に世話をした、作家志願の娘を殺害した容疑をかけられた劇作家ピーターが真相を追うといった内容で、死んだ娘ナニーのとんでもない裏の顔が読みどころとなっている。
傑作「わが子は殺人者」には及びませんが、同種の巻き込まれ型サスペンスの先駆的作品といえそうです。


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