海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ サスペンス ]
愚かものの失楽園
トラント警部補
パトリック・クェンティン 出版月: 1967年01月 平均: 6.50点 書評数: 4件

書評を見る | 採点するジャンル投票


東京創元新社
1967年01月

No.4 7点 クリスティ再読 2026/05/27 20:31
「失楽園」っていうと有名な不倫話だったよね、とかつい余計なことを思い出してしまう(笑)原題は "shadow of guilt" だから「罪悪感」という程度の意味で関係がないし、創元で本書が出たのはずっと昔だ。

なんだけど、本書の文芸設定、評者は好きだなあ。PQのお得意パターンだけど、金持ち一族の妻で「社交婦人」、社交界での女ボス的な立場にあるしっかり者のコニーの肖像が素晴らしい。有能なビジネスマンの夫を引き立てて一族に迎え入れ、養女にも優しく厳しく育てる良妻賢母なんだけども、夫はどうも妻の有能さ・立派さに気後れしている...コニーは養女に自分の自慢の甥を娶せようとするのだが、養女アラもそんなコニーに不当な反発をしておかしな男と...その色事師の男が殺される。

このコニーが悪女?違うよ、だってコニーはホントに頑張っているんだ。だからこそこの殺人事件で家族が崩壊しようとする瀬戸際で、コニーが夫に独白する。

わたしは、いつでも正しいことをしようと努力してーそのあげく、どんなことになって?そのためにわたしを憎むようになっただけだわ。

これが本当に悲しい。読んだ感想で一番近いのはクリスティの「無実はさいなむ」。危機の中で、家族の紐帯という呪術めいた絆が浮かび上がるさまがいい。だから「PQお得意の悪女もの」とまとめてしまうのは残念。そういう話ではないよ。人間ドラマがミステリを強く上回った作品である。

No.3 6点 蟷螂の斧 2015/04/29 20:08
「わが子は殺人者」(1954・ホイラー単独作品)の2年後の作品ですが、前作品には及ばなかったですね。プロットはなんとなく似ているのですが、二転三転という意味では物足りなかった。なお、裏表紙は、犯人像を特定してしまっているので、それ以外の登場人物を犯人から排除してしまうという罪づくりなものです。

No.2 6点 kanamori 2014/07/07 22:09
資産家コーリス家出身の妻をもつ「私」ジョージ・ハドリーは、愛人の女性秘書のマンションで、娘のマルカムから切羽詰った電話を受ける。マルカムは、女たらしのゆすり屋・サクスビーという男のマンションを訪ね、彼の死体を発見したという---------。

クェンティン名義のホイーラー単独作品。
主人公自身や家族・親族が殺人事件に遭遇し、ある秘密を隠匿することで、その人物が重要容疑者になってしまうという、「わが子は殺人者」や「二人の妻を持つ男」と基本プロットが同様の巻き込まれ型サスペンス。いずれもニューヨーク市警のトラント警部補が主人公を追い詰めるという構成も共通している。
「私」が真犯人でないのは読者には分かっているが、脛に傷持つ主人公視点でトラントの捜査が描写されるので、一種倒叙ミステリのような趣がある。このように各作品で主人公が異なるのに、”敵役”の刑事に同一人物を持ってくる形式はちょっとユニークだと思います。(ちなみに、先月復刊になった「女郎ぐも」では、ダルース夫妻VSトラントという図式になっている)
主人公の周辺の女性達が何らかの形で被害者と関係があり、アリバイを巡って重要容疑者が二転三転するプロットは十分に面白いのですが、あらすじ紹介が内容に踏み込みすぎているので、真犯人の正体はわりと分かりやすいと思う。

No.1 7点 こう 2010/07/28 22:10
 不倫中の中年男とその妻、夫妻の養女(婚約中)といった家庭に女たらしの強請屋があらわれ殺人事件が起こり、という典型的なパトリック・クェンティン(ホイーラー)のサスペンスでした。
 真相、真犯人は登場人物が少なく当てやすいですが主人公視点で犯人候補が二転三転するのは「わが子は殺人者」などと同様です。展開が他作品同様でかなり露骨な伏線もあり予想通りでしたが楽しめました。


キーワードから探す
パトリック・クェンティン
2019年09月
八人の招待客
平均:6.50 / 書評数:6
2015年04月
死への疾走
平均:5.80 / 書評数:5
犬はまだ吠えている
平均:6.00 / 書評数:4
2013年03月
人形パズル
平均:5.20 / 書評数:5
2012年09月
巡礼者パズル
平均:6.50 / 書評数:4
2012年04月
迷走パズル
平均:5.91 / 書評数:11
2010年05月
悪魔パズル
平均:5.57 / 書評数:7
2008年02月
グリンドルの悪夢
平均:6.33 / 書評数:3
2005年10月
悪女パズル
平均:6.70 / 書評数:10
2000年08月
死を招く航海
平均:5.20 / 書評数:5
1967年01月
愚かものの失楽園
平均:6.50 / 書評数:4
1966年01月
網にかかった男
平均:6.00 / 書評数:3
1963年06月
金庫と老婆
平均:6.00 / 書評数:4
1962年01月
女郎ぐも
平均:6.86 / 書評数:7
疑惑の場
平均:4.50 / 書評数:2
追跡者
平均:6.00 / 書評数:5
わたしの愛した悪女
平均:7.75 / 書評数:4
1961年09月
わが子は殺人者
平均:9.00 / 書評数:4
1961年01月
俳優パズル
平均:7.00 / 書評数:11
1957年01月
二人の妻をもつ男
平均:7.79 / 書評数:14
不明
ミセス・ヴァン・ホーテンの秘密の仕事
平均:5.00 / 書評数:1
ティモシー・トラントの殺人捜査
平均:6.00 / 書評数:1