皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
|
[ 本格 ] 取り違えた封筒 ティモシー・トラント警部補の事件簿 Q・パトリック名義/トラント警部補 |
|||
|---|---|---|---|
| パトリック・クェンティン | 出版月: 2026年09月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 2件 |
![]() 行舟文化 2026年09月 |
| No.2 | 7点 | 蟷螂の斧 | 2026/09/23 07:08 |
|---|---|---|---|
| 著者の長編では脇役であったトラント警部補。私にとって一番好きな探偵役。それが主人公で活躍。至福の至り。それにしても、今までの作品のトラントのイメージと違っており、金髪美女には、かなり積極的W。
①白いカーネーション 8点 過去、二人の親戚が誕生日に不審死。今日は私の誕生日。トラントに助けを求めてきたが…アーモンドの臭い(少しデレデレ気味のトラント) ②猫の石膏像 6点 女生徒の死。校長と担当医は事故と言い張るが…ダンスパーティの夜(女性のライバル心は怖い) ③クローゼットの死体 6点 「8時に帰れ、クローゼットに死体が…」とのメッセージ…死後30分以内(ちょっと、うまく行きすぎ) ④脚光と殺人と 8点 女優と男優がいる部屋で男が銃殺された。女優の指紋がある…単純な事件?(結構練られており、サプライズもあり) ⑤殺しのワンシーン 7点 トラントの元へ誤った手紙が届く。それは殺しを仄めかすものであった…夫婦仲(10分で証明してしまうトランプがかっこいいと登場人物が言っています) ⑥取り違えた封筒 10点 結婚の介添人から返事が来た。だが、それは未来の夫宛のもので、介添人と未来の夫が通じている内容であった。そして介添人が毒殺された…グラスの青酸カリ(主人公に感情移入してしまったW。誰を信じたらいいのか?。二転三転) ⑦アルプスの殺人 5点 雪の山中での殺人。3人の容疑者にはアリバイが…証人が起きた時間(ありふれたトリック) ⑧誰が人魚を殺したか 6点 車中でトラントをにらみつける男が殺された…読んでいた雑誌(不運な殺人) ⑨町の金髪、田舎の金髪 4点 どちらかの金髪の女性が犯人…証拠のグラス(ショート・ショートなのでクイズのようなもの) ⑩ローラ、其は氷の女 7点 トラントは、ローラを見たことがあるが思いだせない。犯罪の匂いが…動機の欠如(トラントは学生時代、画家志望だった?、知識はあるわ) ⑪あからさまな殺人 6点 「助けて、彼に撃たれたの」との電話…ワルツの音(刑事コロンボのような細かい点からの~) ⑫リビエラの死 7点 夫から逃れてきた美人妻は、トラントに助けを求めた…カジノの仕来り(警察官をカモに選ばないように) ⑬死とカナスタ 6点 ゲーム中に、夫人が風呂で感電死…ラジオ放送(機械的トリックだけど、もう一つ証拠があるので+1点) ⑭土曜日の夜の死 5点 夫人から映画を見終わったとの電話があった。その直後、夫人は死亡…映画の看板(③と同じパターン) ⑮朝飯前の殺人 6点 公園で、盲導犬が走り出した後、盲目の男が穴に落ちて死亡。…チケットの半券((そこに目を付けたか!。帯にある「クイーンとコロンボをつなぐ環(法月綸太郎氏)」ですな) ⑯魅惑のオープニング・ナイト 4点 風邪薬を飲むために、オレンジエードが用意された…毒を入れたのは?(動機の伏線はあるが、単なるトリック問題) ⑰お祭りの死 4点 万馬券が盗まれた。一緒にいた男が現金交換に現れたが…万馬券の隠し場所(事前に、何を買うか喋ってしまったことがアダ) ⑱拳銃と薔薇と 7点 トラントの姉が、友人と電話中に、その友人宅の別室で銃殺事件が起こった…寄生虫の甥(犯人の決め手は二つ) ⑲どうですか、あと一声……落札! 6点 女が特徴のある額を安価で落札した。その後、有名画商が殺された…裏取引(もしもルーベンスだったら?) ⑳二匹の危険な牝たち 8点 舞台でのアドリブ演技による殺人事件…毒入りグラス(ショートショーなので、謎解きの魅力はないが、真相が良い) |
|||
| No.1 | 6点 | nukkam | 2026/09/09 20:30 |
|---|---|---|---|
| (ネタバレなしです) トラント警部補シリーズは1930年代に長編3作が発表され(第1作ではまだ平刑事)、戦後になって中短編を発表するようになります。私は戦後の長編の「女郎蜘蛛」(1952年)や「二人の妻をもつ男」(1955年)を読んでいますがそこでのトラントは完全に脇役であまり記憶に残りません。しかしシリーズ中短編では名探偵らしさを十分に発揮しています。国内独自編集のシリーズ短編集では10作を収めた「ティモシー・トラントの殺人捜査」(2010年)があって、本サイトではkanamoriさんがご講評を投稿されていますが私は入手を断念していました。しかしその10作を含む全20作の本書を読むことができたので拾う神に出会えた気分です(笑)。「白いカーネーション」(1945年)から「二匹の危険な牝たち」(1955年)まで出版順に中編からショート・ショートまで多彩な本格派推理小説が収められています。同時代のエラリー・クイーンの短編と比べると読者への謎解き挑戦を意識しておらず証拠が後出し気味ですが、推理説明はしっかりしているし人物の描き分けや読みやすさでは上回っています。私のお気に入りは犯人以外の容疑者が無実の理由まで説明した「殺しのワンシーン」(1948年)、トラントと甥っ子とのやり取りが楽しい「お祭りの死」(1951年)、幕切れが印象的な「二匹の危険な牝たち」ですが、多くの読者が高評価しそうなのはトラントの出番を控え目にして女性主人公の不安をたっぷり描いた異色の中編「取り違えた封筒」(1948年)でしょう。「女郎蜘蛛」や「二人の妻をもつ男」のプロトタイプと考える人がいるかもしれません。 | |||