[ 日常の謎 ] ビブリア古書堂の事件手帖 栞子さんと奇妙な客人たち |
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三上延 | 出版月: 2011年03月 | 平均: 6.50点 | 書評数: 22件 |
![]() アスキーメディアワークス 2011年03月 |
No.22 | 7点 | mediocrity | 2019/06/23 14:06 |
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先日読んだ東川さんの『純喫茶「一服堂」の四季』の元ネタ?が、この本と『喫茶店タレーランの事件簿』だということで、とりあえず両方一作目を購入。出版順通り、こちらを先に読んでみました。
これは売れたのもよくわかります。 ライトノベルということで実際軽く読めるのですが、なんというか非常に丁寧に書かれていると感じました。本にまつわるミステリーと人間にまつわるミステリーが、密接に絡みつつ進行していくのが良かったです。 登場人物も魅力的だし、べたな表現ですが心温まるストーリーです。続編もいずれ読もうと思います。 |
No.21 | 8点 | ねここねこ男爵 | 2018/03/06 18:24 |
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これは素晴らしく面白い。
日常の謎、という括りになるかと思いますが、そのタイプの最高峰ではないでしょうか。 謎が軽いという意見もあるようですが、日常系としては十分な質で、なおかつ単に複雑にすることだけを目的としてあれこれこねくり回すことをせず、魅力的な謎、さり気ない手掛りの置き方、無理なくロジカルな解決と筆者の筆力の高さが伺えます。 登場人物も魅力的で、テンプレのいい所を頂きつつそれぞれが秘密を抱えていたり二面性を持っていたりなど素晴らしい。 ライトノベルというものをほとんど読まないのですが、やはり一大ジャンルを築くだけあって非常に素晴らしい作品も多いのですね。 |
No.20 | 6点 | 斎藤警部 | 2017/11/24 00:29 |
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実家に帰ってみると図書館本「ビブリア古書堂の事件手帖7」があった。てっきり妹が借りたんだろうと思っていたら、意外にも我が老父だと言う。それも第一巻から全巻制覇で、きっかけはTVドラマ(剛力彩芽主演)だったとか。
第一話、古書堂店主が入院中といういきなりの変則設定にやられた。独立短篇だったらちょっとした小味だが連作の頭となると途端に重い主題、という切なくもヒネリ有る趣向が読書のスピードを増す。北鎌倉の穏やかな雰囲気を最初から読者の目前に敷きつめる作業にも成功。 第二話、存外に早い段階で探偵役のアンバランスな斬れ過ぎを憂慮する、まるで騎士(ナイト)的アドバイザーの存在誇示が良い! ミステリとしては相当に薄い真相だけど、見せ方読ませ方が上手で、ワクワクさせますね。これがラノベ力というものか? 第三話、ちょっとしたもんではあるが暖かい「心理のロジック推察」にほっこりだぜ。これがいちばん好きだな。 第四話、風雲急を告げるいきなりのアクション展開サスペンス付き。こんな温かい連作のここでこう来られると微妙に時ならぬイヤミスの雲行きが生じちゃうけど、、これでいいんです。 探偵役の二段底、更にはワトソン役の二段底が見え隠れするよな全体構造もなんだか楽しみで、父の後を追い続篇もいずれ読んでみようと思います。 |
No.19 | 7点 | Tetchy | 2017/01/20 00:06 |
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私は熱心なライトノヴェル読者ではないのでそれほど同ジャンルの作品を数多く読んでいる訳ではないのだが、色んなメディアから見聞きした昨今の業界事情から考えるとキャラクター設定としては決して突飛なものではなく、ミステリを中心に読んできた私にしてもすんなり物語に入っていけた。
人見知りが激しいが、いざ書物のことになると饒舌になり、明敏な洞察力を発揮する若き美しい古書店主というのは萌え要素満載だが、いわゆる“作られた”感が薄いのが抵抗なく入っていけた点だろう。また古書店主というのが本読みたちの興味をそそる設定であることもその一助であることは間違いでないだろう。 しかし扱っているテーマは古書というディープな本好きには堪らないが普段本を読まない中高生にはなんとも馴染みのない世界であるのになぜこれほどまでに本書が受け入れられたのだろうか。 こういった古書ミステリに登場する古書収集狂は最後のエピソードにしか出てこないことが大きな特徴か。 本に纏わる所有者の知られざる過去が判明する第1話。その文庫しかないある特徴を上手く利用した、本自体を物語のトリックとして使用した第2話。夫が大事にしていた本を突然売ることになったことでそれまで隠されていた過去が判明する第3話と、1~3話まではいわゆる本を中心に生きてきた狂人たちは一切出てこらず、我々市井の人々が物語の中心となっていることが特徴的だ。従って古書を扱っていながらも所有者の歴史を本から紐解くという趣向がハートウォーミングであり、決してディープに陥っていない。 しかしそれでも1話目から作者自身が恐らく古書、もしくは書物に目がないことは行間から容易に察することができる。従って作者は話を重ねるにつれて読者を徐々にディープな古書の世界へと誘っていることが判ってくる。例えば1,2話では現存する出版社の本であるのに対し、3話目からは青木文庫、砂子屋書房と今ではお目に掛かれない出版社の書物を扱ってきており、そこからいわば古書ミステリのメインとも云える収集狂に纏わる事件となっていく。 しかしそれでも作者自身もこれほどまでに世間に受け入れられるとは思っていなかっただろう。なぜならば本書にはシリーズを意図する巻数1が付せられてなく、また話も五浦の出生に纏わる過去が最後で一応の解決が成され、更に五浦がビブリア古書堂を去るとまでなっていることからも本書で一応の幕が閉じられるようになっていたことが判る。 しかしその作者の予想はいい方向に裏切られ、順調に巻を重ねる人気シリーズとなっている。これはビブリオミステリ好きな私にとっても嬉しいことだ。 ラノベという先入観で手に取らなかった自分を恥じ入る次第だ。このシリーズがたくさんの人々に古書の世界への門戸を開くためにバランスよく味付けされた良質なミステリであることが今回よく解った。次作も手に取ろうと思う。栞子さん目当てでなく、あくまで良質なビブリオミステリとして、だが。 |
No.18 | 7点 | 羊太郎次郎吉 | 2016/12/08 19:57 |
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栞子が足を最初から怪我していて吃驚した。でもいくら栞子が自分の欠点を補ってくれそうなバイトを欲しがっているからって五体満足で健康な店主が五浦みたいなやつを雇う訳ないよなーとドラマを見ながら思っていたのでこれなら納得。 |
No.17 | 5点 | 蟷螂の斧 | 2016/02/22 12:16 |
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日常的な謎、青春もの、安楽椅子ものとして楽しく読めました。 |
No.16 | 6点 | 風桜青紫 | 2016/01/26 21:08 |
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ミステリーとしてはやや弱く、トリックはどれも(後の栞子さんシリーズと比べても)単純で、割とすぐにわかってしまう。しかしまあ、文章はそれなりに安定していて、フリーターが歳上の美少女(というには少しきついか?)と初々しいラブを繰り広げるライトミステリーとしてなかなか楽しく読めた。「美少女が優しくしてくれるなんてそんなことあるわけじゃねえか!」などと宣うホームレスが女子高生と仲良くなる有り様は必見。 |
No.15 | 5点 | ボナンザ | 2014/09/02 20:12 |
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古書にまつわる日常ミステリということで、私のような古本好きには楽しい一冊。 |
No.14 | 7点 | Q-1 | 2013/12/19 19:20 |
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全体的に雰囲気がよく柔らかい世界観を感じました。
それは単に栞子さんのキャラのせいだと思います。 本巻の大部分は入院中の栞子さんのほのぼの安楽椅子もので、 後半の一章だけがシリアス展開ですが 各章に伏線というか繋がりがあるので無理やりにクライマックスを作った印象はなく自然と話が盛り上がります。 ラストも今後の二人が気になる終わり方で 次作も読んでみようという気になりました。 |
No.13 | 6点 | アイス・コーヒー | 2013/10/26 19:14 |
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ビブリア古書堂を舞台に幼いころの体験から本を読めない体質になってしまった主人公と女店主・栞子の物語を描く。
一つ一つの短編がそれぞれ古書を題材にしているところは面白い。人物もよく描かれていて、作者の本に対する愛着や思いが感じられる。ミステリとしても良くできていて、個人的には「漱石全集」と「落穂拾ひ」が気にいった。「漱石全集」はあの人にそんなことが有ったのか、と思わせる。「落穂拾ひ」はなじみ深い新潮文庫のあれを使ったミステリ。 一つ思ったのは、「珈琲店タレーランの事件簿」に酷似しているという事。「タレーラン」の方が後なのだが、キャラ構成と言い、ラストと言い、「あれ?」と思うことが有った。でも、こちらの方がうまく練られて、物語性もあって良くできていると思う。 |
No.12 | 7点 | ドクターマッコい | 2013/07/16 10:27 |
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さすがベストセラーだけのことはあると痛感した本でした。
ミステリー要素はさほどありませんが、登場人物が魅力的に描かれています。タレーランも面白かったですが、このビブリアとベストセラーの双璧ですね。 |
No.11 | 6点 | 虫暮部 | 2012/12/24 11:31 |
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第四話は、正直そんな怪我をしてまで守るようなものかと思った。犯人も動機も判っている、ならば傷害は親告罪なのだから、示談にして慰謝料を上乗せして高く売り付けたほうが、安全のためにも良いのではないか。なんて言っていたら栞子さんとお友達にはなれないかな。
ただ、それを“構成上の不備”ではなく“登場人物の性格に対する苛立ち”として感じてしまったあたり、作者に見事に乗せられているようだ。 全体的には悪くない作品だと思うが、文章がちょっと言わずもがなのことを書き過ぎな気はする。例えばこれで文章が北村薫だったら、とか言っても仕方が無いか。 |
No.10 | 7点 | まさむね | 2012/12/02 18:30 |
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店長の栞子さん,アルバイトの五浦クンその他登場人物も魅力的で,非常に読み心地のよい連作短編ですね。売れるのも素直に頷けます。…と言うか,こういう作品が売れるってこと自体で,何かいい気分になれるなぁ。そのうち続編も読んでみます。 |
No.9 | 6点 | ボンボン | 2012/11/25 10:50 |
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はじめ、栞子さんの極端なキャラクターがアニメっぽく感じられ、引き気味だったが、全体に登場人物が丁寧に描かれていて、次第に引き込まれた。
栞子さんが異常に名探偵過ぎることを不安視する見方や、実際に問題に発展するところなど、なかなか単純ではなくて好感が持てた。 ついでに、古書店が舞台ということで、いろいろな古本あるあるを知り、へー、そうなんだ、と感心することが多かった。 |
No.8 | 2点 | ムラ | 2012/11/05 16:02 |
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つまらなくは無かったけど、そこまで惹かれる部分もなかった。
もう少し、本についての薀蓄を聞きたかったかなぁ。 最後は続巻が見てみたくなる終わり方ではあったけど |
No.7 | 8点 | 白い風 | 2012/07/06 21:59 |
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古本屋の美人店主による、一種の安楽椅子探偵、いや安楽ベット(?)探偵だね(笑)
基本は短編の形を取っているけど、それぞれの関係者がつながっていくのも面白い! 北村薫さんの『円紫さんと私』シリーズのようだったね。 また、主人公を含め登場人物のキャラもいいしね。 ちょっとマニアック的だけど、古い作品の内容も話に関わってくるのも、本好きにはたまらないと思うな。 |
No.6 | 8点 | HORNET | 2012/04/30 09:03 |
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古書にまつわる、それにかかわる人たちの謎を、古書堂店主・篠川栞子が安楽椅子探偵ばりに解き明かしていく。一冊の本ごとに一つの謎解きが展開され、最後には栞子自身にかかわる大きな謎が解き明かされる。
ミステリとしても秀逸な上に、栞子の口から語られる古書の薀蓄も面白い。文句なしにライト・ミステリの傑作。 |
No.5 | 7点 | 臣 | 2012/04/18 10:08 |
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一話ごとに謎解きあり、最終話では大きな謎が解明する、典型的な連作短編集。
どの短編もプロット良し、謎解きレベル高し? しかも、しっとりとした雰囲気も良し。安楽椅子探偵役は対人恐怖症気味で本好きな美人店主の栞子さん。よって、キャラクタも良し! 4話とも、古書にまつわる薀蓄を散りばめながら話が進み、栞子さんが少ない情報をもとに真相を解明していく。テーマは、ほのかな恋愛というところか。どれがベストということはなく、甲乙はつけがたい。ただ、最終話はそれまでのしっとり感とちがって、ややドタバタ気味(ある意味、スリルとサスペンス)なのは評価が分かれるところでしょう。まあ、このぐらいでないと連作短編の最終話として盛り上がりに欠けるのでしょうね。ちょっと微妙な印象ではありますが。 ネタ元書籍の「○○○○」を読んだくせに最終話の真相を見抜けなかったことには悔しい思いもありますが、それ以上の満足感が得られました。 こういう作品は、少ないファンの間でひそかに読んでもらいたいなという気持ちはありますね。でも、これだけ目立って売れてしまえば、「告白」「謎解きはディナーのあとで」を追い抜くぐらい、とことん売れてほしいという期待感もあります。 |
No.4 | 6点 | E-BANKER | 2012/03/19 23:44 |
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北鎌倉の住宅街にひっそり佇む古書店「ビブリア古書堂」・・・
店主である栞子さん(美人で巨乳!)とアルバイト店員の五浦を中心として、古書を巡る不思議な世界が紡がれる。 ①「夏目漱石『漱石全集・新書版』」=五浦が本を読めなくなった理由がこの夏目漱石全集の中の1冊、「それから」。栞子さんと出会い本に関する彼女の類まれなる推理力で、五浦の祖母の秘密が明らかになる。 ②「小山清『落穂拾い・聖アンデルセン』」=ビブリア古書堂の常連の「せどり屋」が巻き込まれた古書の盗難事件。で、盗まれたのがタイトルにある小山清の作品なのだが、「新潮文庫」だけにある「ある特徴」が事件の鍵に・・・本好きならすぐに分かるよね。 ③「ヴノグラードフ・クジミン『論理学入門』」=タイトルだけ見ると、「何だそりゃ?」という気になるが、ストーリーは不器用な男と、男を一途に愛する馬鹿な女のちょっと泣かせる話。「三段論法」なんて小難しい話にしなくてもいいのに・・・ ④「太宰治『晩年』」=本作では、栞子さんのある秘密が明らかになる。そして知る敵の存在。古書の世界ってこんない熱いものなんだなぁー。そして今後に期待を抱かせるラスト・・・ 以上4編。 さすがに売れてるだけのことはあって、軽そうにみえてしっかりしたプロットを感じる作品集。 1冊の古書は多くの人の人生を背負って書店の棚に並んでるんだねぇ・・・ そう考えると、某「Book-○○○」で無造作に並べてある均一本に対しても愛着が湧くかもしれません! 連作形式で、「栞子さん」の謎が徐々に解きほぐされるのもなかなか良い。 ミステリー的なガジェットとは無縁だが、まずは軽~い気持ちで読める佳作でしょう。 (ベストは①。②④はまずまずだが、③はちょっとなぁ・・・) |
No.3 | 7点 | メルカトル | 2011/11/30 22:08 |
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このような良作が世間の注目を集め、人気を博しているのは非常に喜ばしい事だと思う。
古書にまつわる日常的な謎を、入院中で安楽椅子探偵の栞子さん(ビブリア古書堂の店主)が最低限の情報だけで解決に導いていく、という連作短編集。 しかし、最終話では思いもよらない展開が・・・ 途中、何度も女性作家による作品と勘違いしそうになるほど、描写が細かいと言うか繊細である。 栞子さんと、ビブリア古書堂でバイトをすることになった大輔との微妙な関係も、今後どう発展して行くのか気になるところだ。 続編も読みたいが、makomakoさんのように近所に大型書店がないため、しばらくは我慢するしかなさそうである。 |
三上延
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