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[ 日常の謎 ]
ビブリア古書堂の事件手帖2
栞子さんと謎めく日常
三上延 出版月: 2011年10月 平均: 6.67点 書評数: 15件

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アスキー・メディアワークス
2011年10月

No.15 6点 斎藤警部 2022/03/16 18:21
□□時計じかけのオレンジ□□ 中学生の読書感想文にケチがつく。ちょっとグラグラなミスディレクションを一旦ハネノケといて、バレバレの落ちには、更に奥があったんだな。。 「じゃ、店を閉めてからでいいですか」 
□□名言随筆 サラリーマン□□ 昔の因縁ある人の家へ”宅買い”に。 “上品さを失わない舌打ちを見るのは、生まれて初めてだった” 様々の人生、曝け出されたり暗示されたり。無理も多いが、それより泣ける。 「うん。遠足に行く前日の小学生みたいだった」
□□UTOPIA 最後の世界大戦□□ 持込査定待ちの男が消えた。軽ホームズ趣向良し。真相の深さ更に良し。そこでもう一突き尚更良し。善意の第三者、架空の犯人。 「結局、私も三十年○○○○やっていることは大して変わりません」
そしてこの、プロローグとエピローグ □□クラクラ日記□□ にさりげなく込められた、強い牽引力、収束力。 

「これってもしや、結構やばい話?」とハラハラさせて、「そうでもなかったか」と軽く平常に戻し、その虚を突いて、ジ~ンワリと心を動かしに掛かるような構成の作品たち。 さりげなくも徹底した伏線の絡み合いと回収は見事。 長いスパンの謎チラホラも快し。 知識の殻に閉じ籠らない蘊蓄波状展開も素晴らしい。
やっぱ鎌倉、北鎌倉いいな。大船の呑み屋が登場するのもグッド。(そいや火事になったあの店が心配) 
我が老父がハマったシリーズだってのも、分かる気がして来ました。

今後の展開(私は未読)に想いを馳せると、なんとなく、今を時めく「カムカムエブリバディ」を彷彿とさせるものが無くもない。

No.14 8点 mediocrity 2019/09/07 06:20
前作はドタバタした話も多かったが、今作はより動きが少なくなった。こちらの方が作風に合っていると思う。
シリーズ2作目であるが、前作同様、非常に丁寧に書かれている。3作目『UTOPIA 最後の世界大戦』のプロットが特に良かった。栞子の冴えも抜群だ。徐々に分かってきた母親の謎は次作以降に保留。これは読まざるを得ない。

以下どうでもいい話
前に東川さんの烏賊川市シリーズのドラマに関して、朱美役が剛力彩芽さんで、なんだかイメージと違うみたいなことを書いたのだが、当作品のテレビドラマの栞子役も剛力さんだったと聞いて驚いている。朱美以上にミスキャストだろう。当時ごり押しごり押し言われていたが、今になって納得。

No.13 9点 ねここねこ男爵 2018/03/06 18:33
これは恐ろしく素晴らしい!

特に「時計じかけのオレンジ」の話は、謎の設定、その真相、その理由、その身近さ、その解決、そして本シリーズの個性である古書にまつわる話題などを巧みに絡めており完璧な出来。探偵役もワトソン役もそれぞれの個性や推理力など持ち味を発揮しとても楽しい。これほどエンタメ要素と完成度を高次元で持ち合わせた話は稀。
話の設定上厳密にはミステリではないが、これぞ日常の謎。

とにかくトリックのためのトリックや、複雑にすることだけを目的とした複雑さとは無縁で好感をおぼえる。

これ以降のシリーズもクオリティが全く落ちることなく楽しめるが、篠川母はじめいかにもフィクションというか漫画アニメ的な人物がこれ以降増えていくので、個人的にはこの二作目が最高。

No.12 7点 羊太郎次郎吉 2016/12/08 20:03
栞子、よく今まで生きてこれたな。周りの人たちに恵まれていたからかな。しっかり者の妹もいるし。前巻を読んだ時にも思ったけど、多分この人普通のところでは就職できないわ。ブスで貧乳だったら今頃引きこもりだったかもね…というと酷いこと書いてるように見えるかもしれないけど、彼女の社会不適合者ぶり、半端ない。

No.11 5点 風桜青紫 2016/01/26 21:17
本の魅力を語るという点では、前作よりも充実していたように思う。シバリョーが推理小説を書いたりしてたところなんか驚いたし、藤子不二夫のエピソードも『まんが道』を思い出して楽しかった。栞子さんの読書感想文もなかなか笑える。うーん、やはりミステリーというよりライトノベルとして面白い。このシリーズ、作者の人の良さがなかなか良く出てるのよ。ただ残念なのはゴーラくんが高校時代に彼女がいた程度には青春を満喫していたこと。女っ気のないむさくるしい柔道部員だと思ってたのに(笑)。

No.10 5点 ボナンザ 2014/09/03 20:26
一巻から勢いが落ちない。面白く最後まで読めた。

No.9 8点 虫暮部 2013/04/04 19:43
敢て文句を付けるならば、第二話で栞子さんがいったん問題の本を見落とすのはちょっと御都合主義的展開では。司馬遼太郎というヒントは既に出ていたわけだし。
 

No.8 6点 まさむね 2012/12/15 21:14
 有意義な読書時間を頂戴いたしました。キャラの魅力,古書の薀蓄,温かな雰囲気などなど,確かに売れる要素が多いですねぇ。読者層も幅広いのではないでしょうか。早速続編も読むことになりそうです。

No.7 6点 ボンボン 2012/12/05 23:12
事件としては、何と言うか、普通に面白い。栞子さんの洞察力が凄すぎる。
本に関する薀蓄は、大変興味深い。これなら、まだまだシリーズは続けられそう。落ち着いた、静かな恋愛小説でもあり、そちらも爽やかに楽しめる。

No.6 6点 E-BANKER 2012/08/14 21:21
今や大人気のビブリオミステリーシリーズの2作目。
本以外のことには超奥手だが、美人で巨乳の栞子さん! これもヒロイン小説だな。

①「時計じかけのオレンジ」=アントニー・バージェス著、早川書房ということでミステリーファンとしては知っておかなくてはいけない作品なのかもしれないが、生憎未読。発売元や作者の事情で異なるバージョンがあるというのはよくある話なのだが・・・こういうことって読書感想文レベルならよくあるんじゃないかな?
②「名言随筆 サラリーマン」=福田定一著ということで、「誰だそれ?」と思ってしまうが、これが何と司馬遼太郎の本名。氏が作家デビューする前産経新聞社勤務時代に発表した作品とのこと(ネタバレっぽくてスミマセン)。五浦の高校~大学時代の恋人が登場し、彼と栞子さんの関係にも変化が・・・。でもこの父親心理って何か分かる気がする。
③「UTOPIA 最後の世界大戦」=こちらも足塚不二雄・作ということで、「誰だそれ?」なのだがさすがにこれは分かりやすいだろう。本編では栞子さんの母親についてのエピソードが語れらるが、この稀覯本(マンガだけど)に纏わる謎に対しては逆説的な真相(オチ)が待ち受ける。でもこの作品(UTOPIA)、昭和20年代の作品ということだが、内容はシュールでハリウッドの映画を思わせる内容。さすが○子不二雄だね。
④「クラクラ日記」=本作は本編ではなく、プロローグとエピローグとして本編を挟む形で語られる。作者は坂口美千代という人物なのだが、これは坂口安吾の奥様。本編の裏(?)テーマである栞子さんの母親の謎に本作が深く関係している様子で、詳細は次作へ持越している。

以上4編。
前作よりも面白くなった。
“栞子さん”についても、徐々に謎が明かされ、それに対する過去のエピソードなども少しづつ開帖されている感じ。
今回題材となった「本」についても、その背景や薀蓄について面白く読ませていただいた。
ビブリオ・ミステリーとして十分楽しめる作品。
(どれがというわけではないが、栞子さんの可愛い反応が楽しめる②がいいかな)

No.5 7点 2012/06/04 11:11
ビブリオマニアが泣いて喜ぶミステリー。いや、ふつうのミステリー好きでも十分に楽しめる爽やか系推理モノといったほうがいいでしょうか。
今回は、栞子さんと五浦くんの身辺のお話ばかり3編です。

第1話「時計じかけのオレンジ」・・・本書の中ではピカイチの出来。栞子さんは退院して自由の身になったせいか、力が入ってる。でも実はそれには理由があった。栞子さんは裏を固めただけだった。なぜ?
第2話「名言随筆 サラリーマン」・・・五浦くんの過去が絡む。こんな親子も悪くはないと思った。
第3話「UTOPIA 最後の世界大戦」・・・栞子さん、さすがに鋭い。栞子さんの家族の秘密がすこしだけあぶりだされるのもいい。もうすこしじわじわと次作、次々作ぐらいでやってほしいという気もするが。

前作が連作モノとしての色合いが強かったのに対し、今回はそうでもない。その点はマイナス。とはいえ、個別のレベル(ミステリー的にという意味ではなく)はほどほどに高い。

(以下、第1話に関しわずかにネタバレ)
第1話の真相について最初、すこしはこの可能性を考えていたのですが…。
栞子さんの結衣に対する態度。これはただ事ではない。高校生相手に逃げ道を与えない、このきびしすぎる真相究明の仕方。大人ならこれはやらないでしょう。青少年に対する教育的観点から、というのではなくどうみてもやりすぎ。この場面だけなら、栞子さんに対する見方が変わっていたかも。
もちろん、真相は実は・・・ということなのですが。それにしても栞子さんの迫力はすごかった。栞子さんの性格を他編で十分に開示したうえで、この作品を最終話にもっていったほうが面白かったのでは。

No.4 8点 HORNET 2012/04/30 09:15
 面白さは前作から全く色褪せず。微妙に進展していく主人公と栞子の関係、そこに登場する主人公の元カノ、ベールに包まれた栞子の家庭事情など、自然な流れで物語が展開し、その中に謎が散りばめられている。どれも精緻な仕組みになっているうえに、心温まる要素も盛り込まれていてよい(特に元カノの家庭の話がよかった)。
 ただ、栞子の母親の話は・・・・かな。

No.3 6点 メルカトル 2012/01/22 22:10
前作同様、読み心地もよく、雰囲気もふんわりしていて、とても感じの良い仕上がりとなっている。
今回は、古書にまつわる謎に加えて、ビブリア古書堂に復帰した栞子さんの母親の過去の秘密が明かされたりして、シリーズ第二弾としてありがちなパターンを踏襲している。
ただし、前作に比べて若干出来が劣る感じがするのは否定できない。
謎が若干弱いのと、キャラの魅力に頼りすぎな点がその原因ではないかと思う。

No.2 6点 kanamori 2011/12/06 18:27
北鎌倉にある古書店の美人店主・栞子さんと古書にまつわる日常の謎。ビブリオミステリの第2弾。

題材となった古書のトリビア・ネタに寄りかかっているもの(第2話など、その知識があればタイトル自体がネタバレ)があるが、青春恋愛ものの要素も加わり、今作も爽やかで読み心地が良かった。
ミステリの趣向では、第1話の「時計じかけのオレンジ」が面白い。前作までの流れがあるから、栞子さんの最後のオチが効いてくる。

No.1 7点 makomako 2011/11/27 10:05
 本書は売れ行きがよいようでamazonでは品切れ。こうなると読みたいもので近くの大型書店へ行ったら正面になんと山積みとなっていたので早速買っ読んでみた。
 内容は相変わらず感じのよいストーリーですらすらと読める。前回と同じように大胆なトリックや残酷シーン、殺人などはない。でも雰囲気がよくだんだんにこのシリーズが好きになりそうな気がする。
 いったいシリーズ物は2作目の出来がかぎのようで、前作よりつまらないとまず3作目はもっとダメになるようです。
 2作目はたいてい1作目で分からなかった主人公の秘密などがちょっとづつ明らかになるものだが(本作も然り)、このことにより主人公たちに愛着が増すのか、この秘密がさらに知りたくなるか、あたりが分かれ目かもしれない。
 栞子さんとても魅力的、今回はお母さんの秘密も出てきてなかなか興味深い。次が楽しみとなってきた。


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三上延
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