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[ 日常の謎 ]
ビブリア古書堂の事件手帖3
栞子さんと消えない絆
三上延 出版月: 2012年06月 平均: 6.57点 書評数: 14件

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アスキー・メディアワークス
2012年06月

No.14 6点 mediocrity 2020/06/18 05:51
第1話は謎は小粒だが古書会館の様子が興味深い。第2話は読者には解けないタイプの謎であまり楽しめず。今作では第3話の盗難事件が一番読みがいがあった。裏に隠された真実が良い。

No.13 7点 羊太郎次郎吉 2016/12/08 20:11
「たんぽぽ娘」読んでみたい。この作品は多分全ての人や全ての巻に対して言えるのだろうが、出てくる本によって面白さが変わる。だからこのミステリに限っていえば、他人の書評はあまりあてにならないような気がする。

栞子よりも栞子のママの方が好き。もうあそこまで本狂いだとかえって潔い。栞子はよく言えば踏みとどまってる、悪くいうといい子ぶってる感じ。
栞子みたいな天才か社会不適合者かわからない人間は他人を苦労させても何かを極めちゃった方がいいんじゃないかな。
というかそれしか彼女の生きるすべはないような気がする。この人若くなくなって容姿が劣化して五浦みたいな存在がいなくなったら「その道で誰もがひれ伏す存在」にならないと生きていけないでしょ。まー物語だから五浦が居なくなるなんてあり得ないんだけど。

No.12 5点 風桜青紫 2016/01/26 21:27
シリーズを重ねるたびにミステリ小説としての質はやや上がっていっている気がする。その代わりに世界観のライトぶりが少しずつ疑問になっていくけど。どいつもこいつもハッピー人間すぎて、悪党が栞子ママンしかいない……。なんかねえ、しのぶさんの話も嫌いじゃないけど、「何だかんだでうまくいくんでしょ?」って気になるし、事実その通りで、ちょっと……、うーん。ライトな筆致のおかげで気分転換にはいいのだけど、このスタイルが続きすぎるとちょっと飽きがきてしまうかもしれない。まあ、作者もそれを自覚していただろうし、今回のラストシーンでたぶんワルモノ(?)であろう栞子ママンの登場がほのめかされたのもそんなところにあるのだろう。なんだかんだでママンもいい人ってことで終わりそうだけど。

No.11 5点 ボナンザ 2014/09/05 23:46
巻を重ねているにも関わらず、質が落ちない。

No.10 7点 2014/01/28 11:13
先にテレビ版を見たから、すぐには読む気になれず、本の方は「2」で止まっていた。「5」が出ることを知って、その前に「3」、「4」をまとめてと思っていたが、それも遅れてしまった。

ドラマの人気はぱっとしなかったようだ。可愛いアイドルが出ていても所詮、古書にまつわる地味な謎解きモノだから仕方がない。大いに満足したし、上出来だったと思うのだが・・・。
原作を読むと、ドラマを見たときはそれほどでもなかったのだが、ネタ本とくに『たんぽぽ娘』は無性に読みたくなる。やはり、原作の力か。

謎解き的にはごく普通といったところか。でも、作者は本への愛着と同じぐらいにミステリー・マインドが強いのだろうか、日常の謎なのに一編ごとのゾクゾク感はほんとうにたまらない。もちろんミステリーに関係しない読み心地の良さもあった。

最新作の「5」は、副題が「栞子さんと繋がりの時」。Amazon情報はくわしく見ていないが、このタイトルからすればもうそろそろなのか?微妙なネーミングです。
ネタは無尽蔵にあるわけだから、あとは作者である三上さんのがんばり次第。栞子さんが40歳ぐらいになるまで続けてほしい。

No.9 7点 虫暮部 2013/06/28 11:16
 古書市場に関するあれこれが興味深かった。
 第二話で、“トービク”の正体は偶然判明するが、ミステリ的にそれは如何なものか。

No.8 7点 レイ・ブラッドベリへ 2013/03/11 22:11
 このシリーズ、ドラマ化されてテレビで放映していますが、これが大層面白い。毎週欠かさず観ています。ドラマを観たあとで本を読んでいますが、やはり原作の方が、舞台設定など細かく説明されているようです。
例えば、この作品の語り手である「俺」こと五浦君の実家は大船、という設定になっています。また、ビブリア古書堂は「横須賀線・北鎌倉駅の近く、小袋谷(こぶくろや)の踏切の南東」にあることになっています。

 ……全くの私事で恐縮ですが、勤務先の事業所のひとつが大船にあり、転勤で三年ほど住んだことがあります。小袋谷の交差点の近くに社宅があり、そこで単身赴任の日々を過ごしていました。そんなこともあって、この作品世界がとても身近に感じられます(笑)

 ドラマ化された作品の大半が、原作と、ストーリーや登場人物を少なからず変えているようです。3月4日に放映された「たんぽぽ娘」もそうでした。

 ところで、ロバート・F・ヤングの「たんぽぽ娘」には、ヒロインが語る「決めゼリフ」が出てきます。

 これが、本の方では次のように紹介されています。

   「彼女は毎日その丘に現れるわけですね。
   初対面の主人公に向かって、彼女はこう言うんです」
  
   栞子さんは内緒話をするように、俺に顔を寄せた。
   間近で見る彼女の瞳は、興奮を物語るように輝いていた。

   「おとといは兎を見たわ。きのうは鹿、今日はあなた」

 それから、大船駅の階段を下りたところにある和風居酒屋で、「俺」と栞子さんがお酒を飲むシーンがあります。そこでほろ酔い加減の栞子さんが、もう一度この台詞を言います。

   「……なんで兎なんですかね」
   「来年の干支(えと)、だからじゃないですか」
   「あ、なるほど」
   確かに2011年は卯年(うどし)だ。
   でも、ちょっと分かりにくくないか。

   「……おとといは兎を見たわ。きのうは鹿、今日はあなた」
   日本酒のグラスを握りしめたまま歌うようにつぶやいて、
   にこっと得意げに笑った。
   うまいこと言った、みたいな顔をされても困る。

 やはりこの台詞は、うら若い娘さんが何の邪気もなく、そっとつぶやくのが似合っているようです。

 一方、ドラマの方はこうです。

 作中に井上太一郎という古書店主がでてくる。これがまことに狷介で固陋な人物なのです。佐野史郎さんが、この見るからに憎々しげな初老の男を好演しています。
 さて、この井上氏が、能面のような無表情で、「ズイッ、ズイッ」とビブリアの店内に入ってくる。
そして「ついに見つけたぞ!オマエら、もう逃げも隠れもできないからな!」とばかり、ゆっくりと、ねちっこく、この台詞を言うのです。

 「……おとといは兎を見たわ。きのうは鹿、今日は、あ・な・た!」

 ……ん? これはいったい何の演出なのだ?
言っている内容と場面とが、全然関連してないじゃないか?

 どう考えても、この脚色はハズレだよな。
あの決め台詞を、こんなタイミングでこのような人物に語らせるとは……

 ドラマを見た人が、後に「たんぽぽ娘」を読んでこの台詞にふれた時、あの佐野史郎さんの表情と言い回しを思い起こしたら、一体どうするんだ?
と、余計な心配をしてしまいました(笑)

 あとは余談ですが、「たんぽぽ娘」はkanamoriさんと同じく、「年刊SF傑作選2」で読みました。その後、持っていた本は処分したので、もう手元にはありませんが……

 それから……。何年か前に、小林泰三さんの「門」を読んだとき、
「ああ、これは『たんぽぽ娘』だな。それも辛口バージョンの……」
と思いました。
 そして、二人で手を取りあって家路につくラストシーンを、懐かしんだ記憶があります。

No.7 6点 まさむね 2012/12/19 21:54
 どんどん安定感が増している印象です。安心感をもって読書できるシリーズがあるということは,何とも幸せなことだなぁ…と感じ入っています。
 「栞子さんの家族の秘密」については,結構引っ張るなぁ…というもどかしさと,簡単に秘密の開示がなされシリーズ終了ってのも困る…という,相反した心情を持っています。それも,このシリーズにハマっている証拠か。早く次作を読みたいですね。

No.6 6点 E-BANKER 2012/12/08 15:22
大人気となったビブリオミステリーシリーズもついに3作目へ突入。
シリーズ通しての謎となっている「栞子さんの母親」についても徐々に判明してくるが・・・

①「ロバート・F・ヤング『たんぽぽ娘』」=古書店が集まる古書市場内で起きた盗難事件に巻き込まれる栞子さんと五浦。真犯人は栞子さんの慧眼で程なく判明するが、本作では母親を敵視する男・ヒトリ書房の井上某の存在がクローズアップされる。それにしても、この『たんぽぽ娘』は本当に読みたくなってきた。
②「タヌキとワニと犬が出てくる、絵本みたいなの」=馬鹿にしたようなタイトルだが、これは登場人物が子供の頃に読んだ覚えのある本を探して欲しいという依頼によるものだから。この本は何かのTV番組で紹介されていたのを見たことがある。ラストはある家族の再生の物語に・・・。
③「宮澤賢治『春と修羅』」=これも稀覯本の盗難事件がメインテーマ。事件の謎を解いているうちに、母親に纏わる背景やエピソードも明らかになってくるという具合。これは本筋よりも宮澤賢治の薀蓄の方が興味深かった。
・「王さまのみみはロバのみみ」=これは本編ではなく、プロローグとエピローグとして登場。栞子さんの妹・文香が今後の展開の鍵を握る存在となるのだろうか?

以上3編+1。
ビブリオ・ミステリーとしての1編1編はもはや安定感十分で、特に①などは「読んでみたいなぁー」という気持ちにさせられた。
1冊の本が1人の人間だけでなく、家族や親類、友人たちにまで影響を与える存在なんだという、作者の本に対する強い想いが感じられてうれしい気持ちにさせられる・・・そんな作品。
で、シリーズ全体の謎については、徐々に明らかになってはきたものの、まだまだ不明の部分も多く、次作へ持越しとなった。
シリーズが続いていくのはうれしいのだが、あまり引っ張り過ぎるのもどうかと思うので、次作はちょっと違った展開を期待したい。
(しかし、栞子さんのような女性・・・近くにいないものか・・・? いないわなぁ・・・)

No.5 6点 ボンボン 2012/12/05 23:32
古書業界情報が楽しくてしょうがない。
また、次々に登場するキャラクターがなかなかにいい。みんな意外な面を見せたりし、一面的でない奥深さがある。特に、若い(子ども?)人たちが、活き活きしている。
栞子さんの母親のことや妹のことが、個別の事件とは別の線で展開し、目が離せない。まだまだ続くみたいなので安心した。

No.4 7点 kanamori 2012/08/22 22:34
人気ビブリオ・ミステリの3作目。栞子さんが謎解く古書にまつわる3編のエピソード部分も相変わらずよく出来ているが、今作はシリーズ全体を貫く”篠川家の秘密”に関する伏線を個々のエピソードに絡めた構成になっている。
サブタイトルが暗示する妹・文香の独白風のプロローグとエピローグにある仕掛けを施すところなどミステリ趣向がうれしいし、シリーズものによくみられるキャラクターによりかかるだけの作品になっていないのがいいです。
あと、個人的には、第1話の「たんぽぽ娘」を読んで「年刊SF傑作選2」をダンボール箱から引っぱり出したくなった。これがビブリオ・ミステリたる所以でしょうね。

No.3 8点 HORNET 2012/08/13 02:50
 近年まれに見る,シリーズ作として巻を重ねても質の落ちない良作。前作までと作品としての評価はさほど変わらないが,そういう点で評価を高くした。
 篠川家の秘密に何らかの形で関わって来る話が増えてくるため,どうしても最後に不穏さや謎が残る話が多い中で,2話目の坂口夫妻の話が心がほっとする感じでよい。本シリーズの本来の魅力はこういう「古書を介して人がつながること」にあると思うので。
 だが,そうした要素を織り込みながら,シリーズを重ねていく中で少しずつ栞子,篠川家の秘密が明かされていく段取りは秀逸。本作品ではプロローグとエピローグの位置づけもうまく,作者の腕を感じる。
 次作にも期待。

No.2 7点 白い風 2012/08/10 20:19
第三弾ですね。
前二作に比べ、主人公の五浦さんと栞子さんの関係が益々深くなってきましたね。
また、母智恵子の存在も大きくなってきましたね。
その分、古書に関わるミステリーは弱くなってきたかも・・・。
でも、やっぱり面白い!
このままどんどんシリーズが続くといいな~。

No.1 8点 makomako 2012/07/20 06:14
 このシリーズは奇抜なトリックや殺人などは皆無なのだが、愛すべき登場人物と暖かい雰囲気が満ちていて読んでいて楽しい。
 栞子さんは精神科医や心理からみればアスペルガーだというかもしれないが(本格ミステリーの登場人物はしばしば精神的に異常な人間が活躍するのであるが)、大変好きな探偵さんです。
 たまたま海外旅行する飛行機の中で読んだのだが、時間が余って何度も読み返すこととなったが、やっぱり楽しく読むことができた。ストーリーやトリックを読んでいるのではなく雰囲気を楽しんでいたからなのでしょう。
 シリーズ物はだんだん飽きてくることが多いのだが、このシリーズはだんだんすきになってきたようです。次が楽しみ。


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