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[ 短編集(分類不能) ]

今邑彩 出版月: 2008年02月 平均: 6.29点 書評数: 7件

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集英社
2008年02月

集英社
2011年02月

No.7 7点 パメル 2023/08/31 06:50
日常に潜んだ誰もが迷い込んでしまうような不思議な世界を描く、ホラーテイストの8編からなる短編集。(単行本で読んだので8編。文庫本だと10編なんですね。)
「カラスなぜ鳴く」柳瀬正一は、仕事ばかりであまり家族を顧みなかった。ある日、妻と息子の間に自分には理解できない奇妙な何かがあることに気付く。殺人事件の真相は分かりやすいが、語り口が巧妙で読ませる。
「たつまさんがころした」春美は昔から神のお告げのようなものを聞くことがあった。その日も婚約者の辰馬が殺人事件の犯人のような気がして、姉の夏美に相談しようと思っていた。最悪の結末を示唆しつつも、最後まで分からせない。ある意味「操り」というべき作品。
「シクラメンの家」出窓にシクラメンを飾っている家がある。その家には赤と白のシクラメンがあり、日によって色が変わるのは、何かの暗号と思うようになる。短い中にサスペンス性がたっぷり凝縮されている。
「鬼」七歳の私たちは、みっちゃんとかくれんぼをしていた。いつも通り、みっちゃんが鬼で私たちは隠れたけれど、みっちゃんは探しに来なかった。ホラー映画のようなプロットにもかかわらず、結末はほのぼのしている。
「黒髪」私と夫以外の誰もいないこの部屋に、黒くて長い髪の毛が落ちていた。私は明るめの茶色なので自分のものではない。ファンタジー性が強い切ない物語。
「悪夢」臨床心理士になった私に旧友の内藤が相談にきた。妊娠中の奥さんは、子供を産んでも自分が殺してしまうと言っているらしい。夢判断という題材で、ホラーというよりサスペンスに近い。真相は途中で気付く人も多いのではないか。
「メイ先生のバラ」バーにやってきた男が手にしていたのは、黄色いバラの大きな花束だった。39本あるその薔薇の意味を男が語り出す。予想よりも穏便な結末。
「セイレーン」彼女と旅行の途中に喧嘩して車内から追い出されてしまった僕は、通りすがりの集団の仲間に入れてもらい、旅館に辿り着いた。テーマとしては暗いが、優しい世界なのではと錯覚してしまうほど、不思議な読後感。
誰にでもあるであろう人間の裏の顔を描くのが、とてもうまい作者。途中で真相に、ある程度予想出来てしまう作品もあったが、それでもこの世界観は好みである。

No.6 7点 虫暮部 2023/06/16 12:32
 短編集の統一感と多様性のバランスについて考えさせられた。高品質な作品揃いなのだが、どれも似たようなものに思えるのだ。
 勿論それが作者の持ち味だから当然だけれど、「セイレーン」だけはやや毛色が違う感じで、このくらいの差異が全作品の間にもあったほうが私は楽しめる。

No.5 7点 makomako 2011/09/17 16:21
10分程度で読める短編を集めたもので、ひとつの物語たいていは中断することなく最後まで読める。推理の要素は少ないがコンパクトにまとめられていて大変読みやすい。ホラーの傾向があるもの多いが、嫌な印象は受けない。なかなかの短編集。

No.4 5点 まさむね 2011/09/07 22:10
 ホラー風味の短編集。
 途中で察しのつく作品も多く,もう一捻りほしいかな…っていう印象も受けましたが,まぁ非常に読みやすいし,まずまずではないでしょうか。(同じ短編集だったら「つきまとわれて」の方が好みですけども。)
 個人的には,最も拍子抜けしつつ,一方で読後に最も考えさせられた表題作「鬼」が印象に残ったかな。それと「セイレーン」でしょうか。

No.3 5点 E-BANKER 2011/06/12 22:31
ブラック風味の短編集。
後半に進むほどブラックの度合いが増していく印象です。
①「カラス、なぜ鳴く」=家庭や子供に無関心な父親。「ドキッ!」とさせられる世の父親は多いんじゃない?
②「たつまさんがころした」=こういう姉妹の力関係ってなんかドラマに出てきそう。子供を巻き込むところが嫌らしいね。
③「シクラメンの家」=最後にひっくり返される展開。「まさかねぇ・・・」っていうのがこういう短編の醍醐味。
④「鬼」=これはまぁ、軽いホラーだよなぁ。オチにもう一捻りあるといいんだろうけど・・・
⑤「黒髪」=「ザ・女の執念」的なストーリー。こんな「髪の毛」見たら怖い!
⑥「悪夢」=これも、ちょっと「軽い」(怖さが)。カウンセラー視点というのは分かりやすくていい。
⑦「メイ先生の薔薇」=「子供って無邪気」では済まされない!
⑧「セイレーン」=これが1番まとまってて面白かった印象。こういう「薄幸な美人」てやつに男は弱いよねぇー。
⑨「蒸発」=これは「軽いSFミステリー」? プロットは膨らませ方次第では面白い筈。
⑩「湖畔の家」=過去の忌まわしい記憶が甦る・・・というのはよくあるプロット。
以上10編。
全体的な印象は「軽い」。まぁ、ブラックはブラックだけど、ちょっとまとまりすぎで、「怖さ」とか「サプライズ」に欠ける印象。
もう少し、「後味わるいなぁ・・・」的なインパクトが欲しかった。
(どれも平均点かなぁ・・・敢えていえば⑧)

No.2 6点 シーマスター 2011/04/26 20:15
今邑氏らしい「毒」のあるミステリー&ホラー10編が収録された短編集。

今まで読んだ氏の短編集の中ではこれが個人的にベスト。(ていうかこれ以外の短編集は読んでいない)

正直、各々の「ネタ」に関してはさほど斬新さを感じず、むしろ「昔懐かしい風味のタブー小説」という感じを受けたが、麻薬のようなストーリーテリングで読み止まらない話ばかり・・・おっと自分は麻薬なんかやったことなかった。(当たり前だろっ)

言いかえれば、子供の頃、親に内緒で、縁日のあやしげな屋台で食べたギトギトの焼きそばや駄菓子屋で買い食いしたドギつく染色された色とりどりの小さな揚げせんべい等々を思い出させる食感・・・といったところが個人的な感想に近いかなぁ

No.1 7点 メルカトル 2011/04/17 22:34
ミステリを中心とした、ホラーを含む短編集。
久しぶりに今邑女史を読んだのだが、この人の作品がこれ程洗練されていて、尚且つ読みやすいとはまさに嬉しい誤算であった。
全体として、切れ味の鋭い内角をえぐるシュートといった感じの作品が多く、ほとんどが読者の意表を突く展開で、意外性も十分。
オチも素晴らしく、短いが読み応えのある短編集である。
なんとなくやり切れない気分や、不可思議な余韻を残す作品が多いのも評価できる点ではないだろうか。


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今邑彩
2014年09月
人影花
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