皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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[ 本格/新本格 ] 「死霊」殺人事件 貴島柊志刑事シリーズ |
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今邑彩 | 出版月: 1994年07月 | 平均: 5.71点 | 書評数: 7件 |
光文社 1994年07月 |
光文社 1998年11月 |
中央公論新社 2011年04月 |
No.7 | 7点 | 虫暮部 | 2023/07/07 12:23 |
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“驚かせたかったから”――そんな理由、アリか? いやまぁアリだが、本格ミステリの核に据えるとは大胆な。読了後時が経つ程に笑えて来る(良い意味)。密室なのに見取図の無いことが読者に対するヒント。
“まだ終わっていない” 展開は、上手くまとまった話に小さなコブをくっつけた感じで、邪魔とは言わないが無くても良かった。 |
No.6 | 5点 | モグラの対義語はモゲラ | 2021/09/14 00:59 |
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読んだのは文庫本版。
死人が殺したとしか思えない事件を発端として、ドロドロとしたかつて俳優志望の若者だった者たちの人間関係や過去の事件、そしてそれらが落とした影が作り出した第二第三の事件が起こる、という展開は飽きないものだった。しかし、読み切ってみるとどうも作品の印象がぼやけるものだなと感じた。 多分、作品のメインとなる死体が起こしたような事件に、その俳優の元嫁の死や判明していなかったもう一つの事件は、ほとんど関わりが無いものであるからだろう。なんというか、とっ散らかっているようで気になったのだ。 とはいえ「死霊」がテーマであるという点がどれも共通しているのは好きだ。「死者」の桐子がある意味原因であったり(例の成功体験が無ければ多分奥沢の事件は起きてないし)、本来死んでいるはずの者が生き残り生きているはずの者が死んだために事件が複雑化したり……と徹底的に生死の違いが話を面白くしている。まあそうでなきゃこんな題名にしないよなあ。あとがきにもある通りアリバイ崩しに拘っているのも良い。そうした統一感があるからこそ最後まで楽しく読めた。 とはいえどの事件のオチもベタといえばベタで、やっぱり事件同士のつながりの薄さも気になる。5点が丁度いいんじゃないかなあ。 |
No.5 | 5点 | E-BANKER | 2012/09/08 22:32 |
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警視庁捜査第一課・貴島柊志シリーズの3作目。
今回は相棒としてトリッキーな女性刑事が登場。これって何か意味あったんだろうか? ~家に送り届けた後、「金を取ってくる」と言ったまま戻らない男性客。しびれを切らしたタクシー運転手が家の中で目撃したのは、2人の男の死体だった。さらに2階からは泥まみれの女の死体までも発見されて・・・。密室状態で起きた不可解な殺人に貴島刑事が挑む本格推理+怪奇の傑作、貴島シリーズ第三弾~ ちょっと「策に溺れすぎ」とでも言いたくなる。 作者が「不可解な状況」をどうしても演出したいのは分かるが、ここまで偶然の連続というか、後出しの要素が多くなるとちょっとげんなりしてしまう。 もともと事件関係者の数はかなり限定されており、要は役割(犯人または被害者)をどのように割り振っていくかということなのだが、アリバイはともかく、現場の不可解さというのが、想定外の人物の作為のためというのは、どうにも首肯し難いのだ。(ネタバレ?) それ以外は作者らしく丁寧で好感の持てるプロットではある。 事件の大筋が解決した後で、もう一つ裏の事件の謎までも解決する、という作者得意の展開も良い。 ただ、せっかく主人公である「貴島刑事」をニヒルで陰のある、謎めいた存在として温めてきたのに、本作ではそのキャラクターをまったく深掘りできないまま、女性刑事に振り回されるちょっとお茶目な刑事、という中途半端な存在にしてしまっている。 これも残念なポイント。 ということで、それ程高い評価はできないかな。 (TVの2時間もののドラマとかに嵌りそうな作品・・・) |
No.4 | 5点 | メルカトル | 2011/08/19 23:48 |
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今邑女史の作品としては珍しく読み辛かった。
冒頭に魅力的な謎が提示されているが、残念ながらその解決が納得の行くものとは言いがたい。 タイトルをこれだけ大袈裟にしたのならば、それ相応の結末を期待するところだが、それは果たされていない。 また、主人公を含む登場人物に魅力が感じられないのもマイナス点であろう。 |
No.3 | 7点 | makomako | 2011/06/19 09:06 |
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私は結構この作品好きです。初めからかなり解決が大変と思われる謎が提出され、刑事はあちこち振りまわされつつ意外な結論へ到達していくところなんかはなかなか面白かった。ただ欠点もある。女性が書いた作品のせいかは登場人物の女性がちっとも素敵でない。若いツバメ(死語?)がおばさんを捨てて若い女のところへ走ってしまうにも相手の若い女が狸顔で無教養下品ではねえ(そんな女のところへはいかないでしょ)。主人公の刑事も何となく暗い過去を待ったのはよいが、捜査会議で突然死体が殺人を犯したなどと言うだろうか。刑事のキャラクターがエキセントリックなら仕方がないが、常識をわきまえた普段の行動とはかけ離れていて違和感がある。
評価が余りよくないが私は楽しく読みました。 |
No.2 | 6点 | パピルス | 2009/10/22 11:09 |
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ネタばれになるが
メインとなっている事件は怪奇性に満ちてものすごく興味がそそりトリックも良かったが登場人物の俳優とその恋人が起こした事件やその俳優の元妻の自殺、俳優を恐喝した男の死は本編とは全く関係がなく不要であり、それらがなければいい作品になっていた。 |
No.1 | 5点 | シーマスター | 2008/07/22 22:07 |
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普通ならタイトルで軽くスルーする代物だが、偶々105円コーナーで見つけてしまった今邑作品なので・・・
で、読んでみると・・・・・・ いくつか面白い仕掛けもあるが、メインのカラクリは取ってつけたような不自然なアクトと好都合な事象のコラボで、とても褒められたものではない。 またプロローグは悪い意味で紛らわしいし、「顔」やオバハンは結局・・・? 過去の事件や歳月を経ての悲劇や隠蔽トリックも(これ自体は悪くはないが)本編との関係で言えば単にコンテンツ不足を補うものにしかなっておらす、一つの作品としては首を傾げざるを得ない構成になってしまっている。 本作が作者の作品群の底値であることを願いたい。 |