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[ 本格/新本格 ]
ロートレック荘事件
筒井康隆 出版月: 1990年09月 平均: 6.12点 書評数: 67件

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新潮社
1990年09月

新潮社
1995年01月

No.67 4点 ALFA 2023/07/13 13:44
読みやすい文体といい巧みな人物造形といいさすがの練達。
しかしミステリーとしては叙述トリック一発で芸がない。
エンディングもあまり好みではない。ここでシミジミとさせてどうしようというのか。

見取り図をあらためて見ると笑える。

No.66 8点 斎藤警部 2021/05/24 06:48
“全員が声にならない息を、あっ、と、呑んだ。彼らは一様に、今まで何かに覆われていた眼が本来の視力をとり戻したかのような表情をした。” .. アンフェアなんじゃない。 ただちょっと、やり方が面倒なだけだ。

最後に明かされたドラマで一気に燃え上がりました。 特異に過ぎる犯行動機の暴露だけでは、ここまで心を揺さぶりはしませんでしたね。

読者側はともかく、登場人物達にとって本事件真犯人の意外性は如何なるものであるか、をよく考えると、あるテーマ的なものが浮かび上がりますよね。更に、登場人物の中でも特に或る人物にとってその辺がどんな思いだったのかを思えば。。とんでもない考え落ちの地雷を忍ばせた作品と言えましょう。

アレの目眩し及びヒントとしては、、従兄弟にとって「◯◯の◯◯」が不自然でない事とか、「◯◯」の合う合わないとか、見取り図上で「ある事」を巧妙に目立たなくするやり方とか、唐突に姿を現す「被害者視点」の章とか、ある章からある章への繋ぎの妙とか。。 そっかー、或る人物にダミーの●●感を押し付けてるって構造でもあったのか(そこが肝かな)。。 何より或る人物の特性とそれに付随する特殊状況があるわけですが。。 うーむ、こりゃ実生活で応用出来るライフハックでいっぱいですな。
 
でもね、警部から犯人特定根拠をもっとこってりと演説してもらってから、衝撃の真犯人名指し! というスリリングな場面を作ってもらってもよかった気はします。

アレをネタバラシするのに一章まるまる使って丁寧にやってくれてるのは、ちょっと長いかも。動機の説明も兼ねているから全篇カットは出来ないけど、もう少し「中略」「以下略」的な書き方もあったのでは? なんてね。

まさか、最後の一文に不謹慎なブラックユーモアを滲ませちゃいないよな。。ってちょっと心配もしました。(「●●●の時に●●が必要か?」的な)

無駄無く本題、本題、本題の連続で、独特の冷たい格調に満ちた作品でした。

No.65 6点 ミステリーオタク 2020/07/19 17:39
後から見取り図に笑った。

No.64 7点 mediocrity 2019/02/21 20:20
<ネタバレあり>



「おれ」が誰なのかわかりにくい、かつ登場人物の名前がフルネームだったり、姓だけだったり下の名前だったりバラバラ。以上からなんとなく自分の人物把握が間違っているんだろうなあと思いながら読んでました。最後は驚きもありましたが、むしろ納得。そりゃ従兄弟ですからそうなります。

No.63 4点 レッドキング 2019/02/14 22:59
ついロートレックの絵画自体を考察してしまった。あの描写って何だったんだ?ミスリードだったのか?それともヴァンスや黒死館の衒学趣味をちょびっと真似たものだったのか?
真相解明部での「作者注」みたいな伏線自慢がウザい。ああいうのは読者に「ああ、ここで既に伏線が張られてたんだ。すごいなあ」って見つけてもらって感心してもらうべきもんで、その方が奥ゆかしくないか?

No.62 7点 好兵衛 2018/10/27 15:33
とても、読みやすく。
無駄なページがあまりないなと思った作品。

本の要所要所に、ロートレックの絵が挟み込まれていて、
作品の登場人物たちが見ている感覚で、
読者も絵画も鑑賞できるところがとても好きです。

推理小説って、建築物や、美術品の衒学か、
結構でてきたりするんですが、
うまく頭で想像しずらかったりするので、
こういう試みをもっと増やしてもいいんじゃないかな?と思いました。



↓こっからネタバレです。___________________



好きな作品で、ほぼ同じトリックがあったので驚きました。

こちらの、作品の方が見ると、古い…
少し、ショックです。

ただ、こちらのほうが、隠し方が易しく。
推理小説を何冊か読んでしまうと、少し易しすぎるんじゃないかな?と、思うほど文章の形式。
ヒント提供が。 においます。

もう、最初の数ページから。
逆に言えば、こういう形を一冊も読んでない方だと
相当のインパクトを残すのではないでしょうか?

見取り図は、個人的には大好きです。
ないくらいが、難易度てきにはいいと思いますが。
あったほうが、作品を面白くしていると思います。

No.61 6点 take5 2017/05/23 06:07
ロートレックの絵が挿入されている事が大きいです。私自身妻と美術館によく行くのですが、絵画の鑑賞者として、読み手の私自身が作品中にあたかも入り込んで全ての登場人物と共に絵画を見ていると誤認してミスリードを招くのだと解釈しました。第一人称の私が読み手の私とシンクロするのです。
後半の一人語りの解説は、やや饒舌に過ぎると言えますが、作者の作家としてのフェアさが表れています。
装丁も素晴らしい作品でした。

No.60 9点 MS1960 2017/03/25 22:24
「りゅう」さんご指摘の通り、平面図に「浜口重樹」ではなく「浜口」とすべきでしたね。そうしないとアンフェアだと感じました。しかし、その点を除くと、とても斬新かつ無駄のない本格推理小説です。読後の満足感が高いのは、筆者の文学者としての力でしょうね。

No.59 5点 まさむね 2017/01/08 20:47
 確かに、大胆な仕掛けではあるのですが、序盤から相当な違和感があり、読み進めながらも、あれ?といった点が複数ございましたので、最終的にはそれほどの驚きはありませんでしたねぇ。(勿論、全てを見通せたわけではないのだけれども。)
 ちなみに、読み返してみると、これはアンフェアでは…と思わずにはいられない記述もあるのですが、ソコは措きつつも、私の潜在的なある種の意識に気付かせてくれたことは、有難かったかな。色々な意味で、ギリギリの際を狙った作品ではありますね。

No.58 6点 tider-tiger 2016/12/22 23:50
ネタバレあり

ミステリとしては6点。
真相判明後がダラダラ長い印象あるが、ミステリ的には不要でもこの作品のテーマを考えるに犯人の思考過程を知るために必要な部分だと考える。
断定的な(決めつけの多い)一人称文体。この断定的な文章はこのキャラの特性であるが、筒井氏の全般的な特徴の一つでもある。本作ではこの断定的な思考が救いのなさへと直結してしまう。幻想を抱かず、現実を直視する頭の良さが悲劇を生んでしまった。その自虐性、現実直視性がタブーに触れている。差別用語の問題で断筆していた時期もある筒井氏だが、本作もいかにも筒井氏らしい、解説にもあるとおり、普通の作家ならちょっと書くのを躊躇ってしまうようなテーマ。ただ、本作は少し腰が引けているようにも感じられるし、取り上げ方もあまり好きではない。ゆえに採点も6点とします。
実験的で通俗的というあまり両立しそうもない要素を併せ持ち、後続の作家に大きな影響を与え、いつも挑戦的、挑発的でもある筒井康隆氏。個人的にはこの人こそノーベル賞の候補に上げて貰いたい。

No.57 7点 パンやん 2016/06/22 09:48
SF作家の重鎮、筒井御大の作家力に改めて驚愕する、初出1990年の快編。叙述トリックの二度読みの楽しみに溢れ、見取り図をよ〜く見直すと、いかに緻密な工夫なのか、日本語の持つ言葉の技巧を駆使してあるか(浜口 重樹ですぞ!まだ、解らぬか?)。小生も納得!フェアだね(笑)

No.56 6点 パメル 2016/05/07 01:46
気軽にどんでん返しの本格ミステリを味わうには最適の一冊
真相は衝撃的でそれまでの世界観がひっくり返るほどの仕掛けになっている
トリックに関してはアンフェアだという意見も頷ける
ただ最後まで上手く騙されたという快感が残る

No.55 5点 maron 2015/10/05 16:55

思っていたより微妙

冒頭に出できた二人のうち一人しか描写していないようにみえたり
違和感があるので叙述トリックであることは
結構分かりやすかったように思う

No.54 7点 名探偵ジャパン 2014/09/22 09:13
私が最近読んだある作品と同じ仕掛けが施してあると聞いて購入してみた。
まず、その薄さにびっくり。今のミステリの一章分くらいの量しかない。カラーでロートレックの作品が挿入されているのも驚いた。絵自体が作品やトリックに関わってくることはないのだが、こうした配慮はうれしい。より視覚的に作品を捉えることができる。(本当に視覚的に捉えながら読むと、あとで面食らう羽目になるのだが。もしかしたらそういう効果を狙って絵を入れたのかもしれない)他の作品でも真似をしてもらいたい。たまに音楽が重要な位置を占める作品があるが、それも該当作の音楽CDを付けてもらってもいいくらいだ。
「本格ミステリの鬼」と言われる方々の中には、冒頭のエピソードを読んでからしてすでにトリックを見破ったという猛者もおられるが、筒井氏がミステリ畑の作家でないことを考えると、解答編の該当ページを指定しての犯人供述と合わせて、普段ミステリを読まない読者への配慮なのでないかと思う。
犯人のある特徴が仕掛けのミスリードとなっているところは、歌野晶午の「葉桜~」に通じるものがある。いかに普段自分が、自分だけの物差しで周りを見ていたかということを改めて思い知らされた。
本棚に並べると、近年の分厚い本格ミステリの背表紙に埋もれて掻き消えてしまうが、それがむしろ「これくらいの分量で十分だろ」という、大ベテランの示唆に思えて、存在感はまったく薄れることはなかった。

No.53 5点 ボナンザ 2014/04/08 01:04
かなりの一発勝負。だが、そこまでのミスリードはさすがにうまい。

No.52 6点 いいちこ 2014/03/20 18:04
トリックの巧拙よりも、トリック以外のプラスアルファが感じられない点でこの点数に止めたい

No.51 7点 ミステリ初心者 2014/02/05 14:54
 ネタバレがあります


 伏線がとても多く、最後に作者が回収してくれる。他の叙述ミステリ系も、最後に回収ページを作ってくれるといいなぁ。
 ロートレック荘面図のギリギリのヒントが、最も好きな点です。

 あえて欠点を探すと、メイントリックがポピュラー(?)すぎる。登場人物紹介がない点と1章の文から、叙述トリックを予感する人が多いと思う。(自分は荘図面で確信しました)。ヒント過剰な気がします。
 最後はちょっとだけ後味が悪いです。

 そういえば、裏表紙にメタミステリーと書いてあったんですが、これは書いては いけないのでは??

No.50 6点 バード 2013/12/13 03:52
約二ヶ月ぶりの読書だったのでリハビリ目的もかねてあまり贔屓にしてない作家のミステリを、ということで筒井さんのロートレック荘に白羽の矢がたった。だから実はそこまで期待はしていなかったのだが(失礼)面白かった、というより自分の好みのトリックで正直リハビリなんかに使って後悔した。ぜひ記憶をなくしてもう一度読みたくなった。

ただ自分の好みではあるがこのやり方はかなりアンフェアだと思うのと、こういうジャンルは騙された後自分で引っ掛け部分を探していくのも醍醐味なのだから解決部分の解説は正直蛇足。そこの点は減点させていただいた。何度も言うが個人的にはこういうのはかなり好き。

No.49 5点 メルカトル 2013/11/21 22:26
なんだか違和感ありありの文章で、何か仕掛けがあるのかなと思いながら読み進んでいったのだが、これがいわゆる叙述トリックだと気付くのにちょっと時間が掛かった。その頃の私はまだ擦れていなくてあまりこのようなトリックに慣れていなかったため、あっさり騙された。しかし、やられたという感じは全く受けなかった。なので、良い意味でのカタルシスは生まれなかったのを覚えている。本来なら、そうだったのかと、膝を打つような軽いショックを受けても良さそうなものなのに、その辺がミステリ作家ではないゆえなのかとも思う。
事件そのものもありきたりであまり感心しないが、まあ短くて伏線を後から確認しやすいのが美点と言えるだろうか。
他はこれと言って褒めるべきところが見当たらないかな。

No.48 6点 2013/11/12 10:02
叙述トリックで評判の作品ということは知っていた(惹句もそれっぽいし本サイトの評もそれらしい)ので、かなり早め(第二章の初め)に、○○○○ねらいではないかと見当がつきました。ただ、かなりきわどい技が使ってあるので完全に読み解くことはできませんでした。

叙述的に技巧を凝らしてはいるけど、総合的な面白さとしては?です。アレだけで終わってるという感じですからね。
本作は作者がお遊び感覚で楽しみながら書いたのではないでしょうか。もちろん大変だったとは思いますが。
筒井氏は純文作家ではありませんが文章に長けた作家さんです。だからこそ、こんなミステリーにチャレンジできるのでしょう。しかもコンパクトにうまくまとめあげています。
平面図も上手いと思いましたし、解決編の親切な書き方にも感心しました。
ロートレックの挿絵がいっぱい入っているのもいいですね。


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