皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格/新本格 ] 8の殺人 速水三兄弟妹シリーズ |
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我孫子武丸 | 出版月: 1989年03月 | 平均: 5.27点 | 書評数: 78件 |
講談社 1989年03月 |
講談社 1992年03月 |
講談社 2008年04月 |
No.78 | 5点 | 虫暮部 | 2023/03/09 12:05 |
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ユーモアの要素は、作品を戯画化し、細かなリアリティはどうでもいいと感じさせる効果がある。三きょうだいのキャラ立ちも、その世界の中でなら有効と認めていいだろう。
第一の事件。目撃の絶妙なタイミングを鑑みれば、共犯者が誰か容易に見当が付いてしまう。作中の探偵役は “犯人にあやつられた可能性” とか慎重な意見を述べたが、素直に考えれば明白である。共犯者本人は、自身のその危ういポジションに気付かなかったのか。普通あんな計画には乗らないだろ。 この点、一捻りを期待していたんだけど……。 第二の事件。磔が成立するには、被害者が扉を背に或る程度まっすぐ立つ必要があるけれど、あの状況でその姿勢はポーズを取るようで不自然。まるで狙ってくれと自ら的になっているようだ。具体的にイメージしてみると、凄くカクカクした動き。道を直角に曲がる人? 細かなリアリティはどうでもいい? あと解決編。“この犯人はダミーで、あっちが真犯人だ” とする論理的な根拠は無い(よね?)。本棚の中身で探偵役がショックを受ける展開は作者の苦肉の策に思える。 |
No.77 | 6点 | 人並由真 | 2020/09/16 05:46 |
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(ネタバレなし)
初刊から30年以上経って、初めて読んだ(汗)。 ユーモアミステリとしてのゆかしさについては、三つ昔前ならこちらももっと純朴に楽しめたはずが、平成に豊潤をきわめたキャラクターミステリの爛熟を経て、今となってはすんごく地味になってしまった感じ。 とはいえ最後に明かされた犯人のキャラクターは、個人的にはなかなか鮮烈だった。第二の殺人の(中略)という事象も結構面白い(なお○○○というキーワードから、同時代? の某・新本格作品を連想したが、厳密にはどっちが早かったんだっけ?)。 あと、死体を動かしたホワイダニットの謎解きもよろしい。 割とホメるところも多いが、全体的には、昭和ミステリみたいな枠のなかに落とし込んでカビ臭くなってしまった平成初期の新本格、というあたりが正直なところ。 それと巻末にまとめたとはいえ、こうも堂々と品のないネタバレのオンパレードをやっているのは、悪い意味で若さだなあ、という印象。 『三毛猫ホームズの推理』のメイントリックをさも革新的なもののように書いているけど、作者は本書の執筆後にミステリの知見が増えてからさぞ早まった、と思ったろうね? そのくらいの天罰はあってもいい。 |
No.76 | 5点 | ねここねこ男爵 | 2017/12/18 10:58 |
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最初にまとめると、ミステリマニアの学生がサークル活動で気合を入れて書いた(学生にしては)優秀作というところ。
ミステリのとりあえずの入門書ですかね。ノリが軽く長さもほどほどで謎がそれなりに興味をそそるので、ミステリ読みはじめの人は途中で挫折することはないんじゃないでしょうか。有名ミステリの名前が幾つか出てくるので、ミステリ初心者は興味を持って読んでみるということもあるでしょうし。 逆に、ある程度読み慣れている人はキツい…というか怒る人も多いんじゃ。『有名作のネタバレ多数』『密室講義のトレース』『偶然に次ぐ偶然』などなど。全く不要な密室講義のトレースにかなりのページを割いているあたりにマニア学生っぽさを感じます。それからネタバレは巻末の注釈だけでやればいいのに、本文で思いっきりやってるのが…「ボクはこんなに古典ミステリを読んで独自の見識をしっかり持ってます( ー`дー´)キリッ」というアピールがやっぱり学生っぽい。 |
No.75 | 6点 | まさむね | 2016/08/10 20:05 |
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評価は分かれそうですが、私は結構好きなタイプの作品。確かにトリックの一つは分かりやすいのだけれども、綺麗にまとめていると思います。何気に、第二の殺人の方が、バカミスとしての面白味も含めて好きだったりします。木下刑事の存在も、個人的には嫌いになれない。
文庫版に収録されている島田荘司氏の「本格ミステリー宣言」も、その主張の全てに賛同できるかは別として、かなり興味深かったですね。 |
No.74 | 5点 | 風桜青紫 | 2015/12/19 17:00 |
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軽いタッチの本格小説。カーみたいなメイントリック、どうも好きになれないんだよね。我孫子はカー好きみたいだから、たぶん趣味の違いだろうけど。どちらかといえば、軽いタッチのやや寒くてほんわかするギャグ(犯人指摘シーンの緊張感のなさとか)がいい味出してて好感が持てた。不遇のあまりか単なる頑固親父と化してしまった現在の我孫子には悲しくなるばかり。 |
No.73 | 5点 | ロマン | 2015/10/21 16:32 |
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事件自体は軽くないし、推理もきちんとしようとしているので、本格としての魅力もあると思う。ただトリックは簡単だったし、犯人像もいまいちに感じた。とにかく会話や行動で面白いところが多く登場人物に魅力があったのがよかったが、まだ三兄弟を中心に人物としての薄さを感じた。 |
No.72 | 2点 | 斎藤警部 | 2015/06/17 23:33 |
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こりゃ詰まらなかった! 何もかもカサッカサでパサッパサで、感じるところ無し。 その昔ミステリ本に限っては「売る」という習慣を持たなかった頃、この本だけは初めて売っちまおうと思ったくらい、どうにも本格的にダメだった。 アレンジし直して、ちょっと上級篇の推理クイズに仕立てればいいのに、なんて思ったなあ。 でも実際こんな形の建造物があって中に入ったら萌えるだろなあ、なんて考えたりもしたものでした。 好きな人、ごめん。 |
No.71 | 5点 | ボナンザ | 2014/04/24 17:20 |
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読みやすさは流石。第一作だけあってやや習作の感は否めないが、値段相応の満足は得られたかな。 |
No.70 | 6点 | メルカトル | 2014/03/21 22:29 |
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再読です。
まあ何と言うか、よくありがちなストーリーとプロットで、際立った特徴は見られないが、全般にユーモアが効いていて私には結構面白く感じられた。速水三兄弟の描き分けも上手く決まっていると思うし、他のキャラも性格や行動様式などがよく描かれている気がする。 トリックは目新しいというわけではないが、分かりやすく好感が持てる。また、死体を引きずった跡が残っていた理由などは非常によく考えられていて、デビュー作のわりにはそつなくまとめられているように思う。 いかにも新本格という作風だけど、我孫子氏独自の「色」をさりげなく押し出しており、その後の作品にも自然に継承されているのは、一応戦略として成功を収めてると言ってよいだろう。 余談だが、ノベルズの巻末に収められている島荘の『本格ミステリー宣言』に書かれている「予言」は見事に的中しており、今更ながらその慧眼に驚かされるばかりである。 |
No.69 | 4点 | バード | 2013/08/27 11:40 |
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今まで触れてきた作品の中で最も早くメイントリックがわかってしまったもの。一応犯人はこのトリックは警察に見破られるのを前提としてやってるとはいえその理由もどうにも納得しかねるもので・・・。木下刑事との掛け合いがおもしろかった以外は特に評価すべきところは無かったかな。 |
No.68 | 5点 | TON2 | 2013/04/01 18:30 |
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講談社文庫
8の字屋敷を使ったトリックは分かりやすいものでした。ユーモアミステリーということですが、文章がまだ幼い感じがして、殺人事件の謎解きという緊張感に欠けました。カーばりの密室講義も退屈でした。 文庫末の島荘の「本格ミステリ宣言」が拾い物でした。 |
No.67 | 5点 | ayulifeman | 2012/07/16 22:49 |
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ユーモアを含む感じの文体が好み。
お話の流れ、ストーリーはあまり好みではない。 でもこの後の作品も読んでみたいと思います。 |
No.66 | 6点 | ミステリ初心者 | 2012/06/20 09:47 |
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面白かったです。 ただ、よくあるミステリ?というかこの本独自の要素が少ないような気がします。
トリックも、ミステリを多く読んでる人には即バレかもしれません。 読みやすさが最高で、ほとんど一瞬で読み終えれます。 |
No.65 | 6点 | スパイラルライフ | 2012/02/05 21:40 |
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木下あってこそのバカミス。
リーダビリティも高いのでサクッと読めます。 第一の殺人トリックって某罪深き漫画作品や東野も採用してるけど元祖って誰なんでしょう? 第二の殺人のカラクリのほうが面白く感じる。 三兄妹の掛け合いは楽しいが、妹がやや浮いてると思う。 |
No.64 | 6点 | 好兵衛 | 2011/04/24 00:33 |
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普通に本格物+我孫子氏のユーモアといった感じ。
我孫子氏の軽いノリと話のテンポは読んでいて楽しい。 そういう作品(読みやすくてエンターティメント向け) にはトリックが甘かったり 地味だったりすることが多いですが。 さくさくよめるのに、謎もしっかりしているので 結構楽しめました。 あと、トリックがわかりやすいです。 |
No.63 | 5点 | kanamori | 2011/03/05 17:50 |
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速水三兄弟妹シリーズの1作目を再読。
このドタバタ調は、同時期デビューの新本格作家との差別化ということもあったのでしょうが、実現可能性が薄い偶然に頼ったトリックなので、ユーモア・ミステリで勝負する選択は止むを得ないところでしょうか。 屋敷の構造を利用したトリックより、偶発的な”扉に串刺し”のほうが面白いと思った。 |
No.62 | 3点 | ムラ | 2010/12/29 23:56 |
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速水兄弟シリーズの第一弾。
ところどころの遊びが読めるかどうかで面白さが代わりそうですね。 個人的には木下のキャラは好きでしたし、ユーモアもあってするすると読めました。 トリックは普通、ドンデン返しはちょっと緩い、全員のキャラを描ききれてはいなかった、ですが。家族の人数少なくして短編でまとめたほうが好みだったかも |
No.61 | 4点 | seiryuu | 2010/09/19 16:17 |
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講義とほかの作品の説明はいらない。
ストーリーだけ凝ってほしかった。 |
No.60 | 6点 | 白い風 | 2010/04/28 23:03 |
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やっぱり、第一作目ですね。
ちょっと平凡だったかな。 それに全体的にちょっとお遊びが過ぎる気がしますね。(木下刑事の怪我など) まっ、個人的には明るい話は読み易いから嫌いじゃないけどね(笑) |
No.59 | 6点 | こう | 2010/03/20 23:00 |
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この作品だけでいえば「遊び心」が全面に出すぎている気がしますがデビュー作ですしまあいいのかな、と思います。
スプラスティックな作品については個人的には海外のは読んでもくすりともできませんがこのシリーズはミステリの出来と関係なく好きです。 なにはともあれ「殺戮」の作者が世に出たわけですから島田氏の功績は大きいと思うのですが江守森江さんも触れておられましたが私も島田氏の解説(?)はいただけないと当時思いました。「本格ミステリー館 」でも綾辻氏と全然噛み合ってませんでしたし正直島田氏の考え方、思想は「合わないな」と90年代読んでいて思ったのを思い出します。 |