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[ 日常の謎 ]
空飛ぶ馬
円紫さんと私シリーズ
北村薫 出版月: 1989年03月 平均: 6.00点 書評数: 86件

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東京創元社
1989年03月

東京創元社
1994年03月

No.86 5点 みりん 2024/08/29 20:51
これは美しい…得点分布が。普通に万人受けする作品かと思っていたら、『黒死館殺人事件』並みの評点の割れ方(笑)
「日常の謎」のはしりとして著名な作品をいまさら読みました。謎のスケールに興奮を覚える殺人・密室・首無中毒者の私には少々物足りないけど、等身大の女子大生を主人公にして、日常に潜む謎と人間心理をハートフルに描き出す。
-人間というのも捨てたものじゃないでしょう-

No.85 7点 Kingscorss 2020/09/04 11:53
北村薫さんの日常の謎系傑作ミステリー。氏のデビュー作で、円紫さんと”わたし”シリーズの第一作。五つからなる短編集です。

この作品ははっきり言ってしまうと地味の一言です。なので、あまり面白味を感じない読者も少なくないとはおもいます。派手な殺人事件等でなく、日常の謎という身近なテーマに主眼をおいて、女子大学生の”わたし”の周りで起こるちょっとした不思議を、それらの謎とは全く関係のない噺家である円紫さんが聞いただけで推理して解決?(または解明のみ)するという、いわゆる安楽椅子探偵ものです。

この本の特徴は読後感でしょう。どの話も北村さんの良質な文章力でやさしく心をなでられ、あるものは謎が解明した後にもやもやしたり、あるものはほっこりしたりと、他の推理小説では味わえない不思議な読後感を満喫できます。

このシリーズはどの本から読んでもおもしろいんですが、今作はシリーズ第一作なので”わたし”と円紫さんとの出会いや交流のはじめがキチンとエピソードに入っていて、この本から順番に読んでいくのがおすすめです。シリーズ毎に”わたし”の成長も合わせて読めるので今作が面白いと感じたなら、自然と残りのシリーズも読破されることでしょう。

No.84 5点 take5 2019/11/24 21:11
砂糖が一番分かりやすいので人気なのでしょう。
円紫さんシリーズでは二作目の方がいい出来と感じます。

No.83 8点 バード 2019/11/01 09:58
この優しい雰囲気がいい。更にそれが読者にふつふつと伝わる文章力が見事。また、全体的に文章が上手いのか伏線が良い意味で物語に隠れており、推理パートで伏線が回収されると、そういう意味だったのか!となる。
デビュー作でこのクオリティって凄いわね。北村さんのファンになったかも。点数は各話の平均+1点(デビュー作補正)。

文学と落語の引用が多く、教養の無い私はそこでにやりと出来なかったのが悔しい。94年の創元文庫での安藤さんの解説にもあるようにぜひ時間をおいてから再読したい本です。


収録作毎の書評
・織部の霊(7点)
切腹の伏線が重要。私は本のページを破っていたのかと思いました。

・砂糖合戦(6点)
「私」が微妙に円紫さんに対抗意識を持っているのが微笑ましい。事件の動機は逆恨みだが、現代では逆恨みってのは馬鹿にできない犯罪の動機になりつつあるね。

・胡桃の中の鳥(6点)
正ちゃんが良いキャラ。仮に事件が無くても女子大生と円紫さんの旅だけで間が持ちそうなのが凄い。

・赤頭巾(6点)
本短編集の中では暗めの話でいわゆるふつーのミステリの空気に近いが、この作品群の中では逆にそれが個性になっている。話は6点だが以下の何気ないやり取りが本短編集の中で一番気に入っている。

円紫「和食にしますか、洋食にしますか、それとも中華?」
私 「和食が好きです」
円紫「そんな気がしました」

私も読んでてそんな気がしましたもん。

・空飛ぶ馬(8点)
これと「織部の霊」は読者も推理可能だったのかな、と思う。木馬を消した人物はヤマ勘でも分かるが、消した理由はきちんと途中のヒントを拾わないとわからない良作ミステリ。

No.82 3点 ねここねこ男爵 2018/01/30 22:33
オサレ文学としてもミステリとしても中途半端で、未完成品を合体させたらたまたまハマったとしか思えない作品集。

ミステリとしては天才的探偵による完全神視点推理。いや推理じゃねぇな、絶対に推察できないごく断片的な情報からの非論理的結論でなんも言えない。日常の謎の元祖という位置づけらしいですが、コレ系にありがちの強引矢のごとしな論理展開もコレが元祖か。

オサレ文学としては、某万年ノーベル文学賞候補作家並の「こんなやついねぇよ」的人物のオンパレード。ワトソン役の女子大生があまりに現実感のない設定なので女性作家にしては珍しい、と思ってたら作者は男性なんですね、納得。こういう文章は実は書きやすい上に作者がバカに見えづらいという利点があるのですが、本作はソレの良い見本です。なにかわかったような気になるだけでなんもない。こんなんでいいの?探偵役の無個性魅力のなさは言うに及ばずで、コレを読んでると「人間的にはまるでダメだが推理力だけは優れている」というベタな探偵って悪くないなぁ…と思えてしまう。文学作品的に見て、主人公女子大生や探偵役落語家について人間的な深みを感じない。フィクションの住人だ。

エンターテイメントとしてどうか?ひたすら知識のひけらかしウンチクが垂れ流されるストレスの溜まる文章。とにかく話があちこちに飛ぶ。飛び方に必然性がなく単なるページ数稼ぎとしか思えない。なんで推理の合間にウンチクを無駄に挟むのかな。それが情緒的だと勘違いしてる人にしかウケないぞ。こいくちしょうゆをこんちくしょうゆと読み間違えるのになんで五行も説明挟むんじゃ。

「理屈なんかどうでもよい。とにかくびっくりの結論があれば良い」「はっきり結論を書かずどっちつかずの描写さえあれば自分が賢くなった気がするので良い」という方にのみおすすめします。

No.81 5点 いいちこ 2017/01/20 14:06
「可もなく不可もなく」を一歩超えて、「悪くはないが良くもない」の評価。
収録作品ごとの評価では、本サイトの大勢と同様に「砂糖合戦」が断然。
ただ正確に言えば、それ以外の作品は推理のプロセスにおける論理の飛躍が大きすぎる。
主人公の人物造形も魅力とリアリティに乏しく、発表当時に覆面作家と言われていた点や、鮎川哲也氏が著者を女性と誤認した点には首を傾げる。
悪い作品とは思わないが、世評が高すぎるだけに裏切られた印象を拭えない

No.80 7点 斎藤警部 2016/12/26 20:32
‘日常の謎’と呼ばれるが、実際は犯罪乃至悪い事の絡むお話がけっこうな比重。だから従来型の”必ずしもおどろおどろしい事件が直接起こるわけではない”短篇ミステリの一群とさほどかけ離れてはいない。独立サブジャンルの草創期はそういうものでしょう。推理小説自体もそうですし。

主人公(女子大生)と探偵役(落語家)の出会い話を普通小説然と絡め、主人公の先生(老教授)が抱える幼き日の謎をきれいに解き明かす『織部の霊』。文章の良さもあって、読ませますねえ。謎と解明の構造はいたって単純ですが、幼少期の先生を取り巻く環境要因群との響き合いがちょうど心地よいくらいのダークサイド感を醸し出し、コクと締まりのある物語に仕上がっています。最後にネタバレ寸前の軽口を叩くと、これだけシンプルな真相なのに一ページでは収まらず、二ページも必要だったとはね。。なんちゃって。

世評の高い『砂糖合戦』。’日常の謎’なる枠組みが確立された現在から見ると、むしろ”日常の謎に見せかけた犯罪(未遂?)物語”っぽいです。それゆえ当時の一般的ミステリ読みに取っ付きが良くって、それも高評価の一因だったりしないかしら。それにしても、まぁこれ言ってもネタバレじゃぁないでしょうが、ブラウン神父直系ど真ん中。

『胡桃の中の鳥』。。これは響いたなぁ。。。ず~っと緩ぅい旅行小説風に進んで、おしまいあたりで急に”事が迫る”んだけど、そのクライマックスに辿りつくまでのそれなりに質感ある話運びぶり、そこにはたまらなく巧みな伏線が潜んでいます。”あること”の冷たさを永久に包み込もうとする”別のあること”の凛とした温かさ、その奥行きの俯瞰が今にも旋回し始めそうな山頂からの眺望に被さって、、感慨を誘いましたね。 どうにも中途半端な後日談(次に並ぶ作に出て来る)は無くて良かったと感じますが、、んーーだけどその物語構造の、攻め弱く守り強いメンタルの雰囲気も女子らしさ全開で(発表当時でも女子”大生”が書いたとは思わないだろうが)短篇集全体を通して見るとその後日談のバランスも必要なのかな、って思わなくもない。

ブラウン神父某人気作を思わす趣向の『赤頭巾』。佐野洋がサラッと書きそうな題材を幻のメルヘンタッチで。。これも一般ミステリファンに受けが良いのは納得。てか普通にミステリですね(って言うとネタバレになるのか??)

ただ、最後の『表題作』だけは、やんわり包まれる優しさがあるものの、ミステリとしてはその枠を踏み外しちゃうほど緩々のカックン作。これだけは’非ミステリ’のエピローグだと思えばいいのかも知れない。何しろ後味は最高に柔らかい。うん、決して悪い話ではない。むしろ普通小説の一篇として接したら’あれ、これミステリーちゃうん、じぶんミステリーちゃうん?’って思ってまうやろなあ。

苦々しいシーンも多いけど、繊細極まりない語尾の力や、決定機を逃さない表情の力に通じる温かい逸話のきらめきに癒される箇所も多い。純粋なミステリ要素の弱さをそのあたりで補っているとは思うが、総合力はなかなかのもの。

No.79 9点 青い車 2016/01/25 11:43
何といっても『砂糖合戦』が秀逸です。論理の心地よい飛躍によって、些細ではあるものの魅力的な謎が解かれるのが実に快感。最後に苦い後味を残す結末も物語にコクを加えています。短篇集としての流れで見ると、人間の温かさを描く表題作で締めるのがまたいいです(甘っちょろいという方もおられるかもしれませんが)。

No.78 5点 E-BANKER 2015/11/08 19:19
1989年発表の連作短篇集。
今さら何をという感じですが、当時覆面作家だった作者が発表し、大きな反響を得た「日常の謎系」作品。
落語家・円紫と「私」が織り成す絶妙なハーモニー。

①「織部の霊」=円紫さんと「私」の出会いが語られるシリーズ第一の作品。恩師である加茂教授が幼い頃見た夢。見るはずのない「姿」を見たのは何故か・・・ということなのだが、円紫の推理はロジカルに解き明かす。
②「砂糖合戦」=世評の高い一編らしいのだが、なるほど作者のアイデアが光る内容。三人組の女性がしている不思議な行動の意味を推理する・・・という「日常の謎」ミステリーの典型のような作品。でもまぁここまで手の込んだことやるか?という気がしないでもない。
③「胡桃の中の鳥」=円紫独演会を追って山形・蔵王まで繰り出した「私」ほか女子大生三人。落語家の追っかけについてのリアリティ云々は置いといても、ミステリーとしての本筋より蔵王の観光案内の方が良かった。
④「赤頭巾」=もちろん有名なグリム童話に引っ掛けた一編なのだが、何ていうか「謎」そのものに魅力がないような気がした。真相もあまりに紋切り型というか予想の範囲内過ぎるだろう。
⑤「空飛ぶ馬」=これは・・・何ていうか“いい人”の話。こういう謎に対してあっという間に解答を示す円紫師匠の眼力&推理力はすごいと思うが、いかんせんこれも「謎」そのものに魅力がない。

以上5編。
今さらこの世評の高い名作を手に取ったわけだが、正直な感想を言うと「可もなく不可もなく」ということになる。
恐らく本作がその後のミステリーに大きな影響を与えたのもまた事実。
(「日常の謎」系作品は多かれ少なかれ、似たようなテイストの作品が多いからな・・・)

後はもう好みの問題だろう。
他の多くの方が触れているとおり、主人公の「私」があまりに純真無垢で血が通ってないようなところも気になった。
続編もあるが、まぁ・・・読まないかな。
(中年のおっさんが女子大生目線で書けること自体がスゴイことではあるが・・・)

No.77 8点 ロマン 2015/10/20 17:35
落語と文学をこよなく愛する女子大生「私」と頭脳明晰な落語家・円紫さんが日常の謎に挑むシリーズ第一作で北村薫のデビュー作。以前「私」の女の子らしからぬ語り口に引っかかりを感じたのだが、彼女が落語の影響を受けている設定だとすると違和感はない。連作5篇中「砂糖合戦」が傑作。悪意や人間の厭らしさも描かれるが、最終話を温かみに充ちた表題作で締める構成の妙が良い。

No.76 10点 Izumi 2015/07/19 00:03
北村薫のデビュー作。円紫さんと私シリーズ一作目。
女子大生の<私>が出会う日常にひそむささやかな不思議な謎。それを円紫師匠が解き明かすとき、貴重な人生の輝きや生きていくことの哀しみが浮かび上がる――。

殺人などの犯罪がでてこない、いわゆる<日常の謎>をメジャーにした作品。これ以前にもアシモフの『黒後家蜘蛛の会』や戸板康二の『中村雅楽シリーズ』などはあったが一般的知名度は低かった。現在のようにジャンルとして確立した功績は大きい。また本や落語に関する薀蓄が随所に散りばめられており作者の造詣の深さが窺える。そのため推理以外の箇所を読むだけでも十分に楽しめる。

もちろん肝心の謎も魅力的である。北村薫はハートフルな作風と捉えられがちだがそれだけではない。善意とおなじぐらい悪意や人間の負の部分を正面から書いている。それらは身近な日常にあるからこそ恐ろしく、心温まる。そしてこの物語で推理しているのは、直接的なトリックではなく、それらをおこす人の感情=動機なのだ。
「人間が書けている」と言うと陳腐に聞こえるが、第一人者である作者と後続の作家との差はこの部分だと思われる。
<日常の謎>を語るには必読の一冊だろう。

No.75 6点 sophia 2014/04/21 22:04
この作品ほど評価が難しい作品はかつてなかったです。「織部の霊」「砂糖合戦」「胡桃の中の鳥」「赤頭巾」と読んできて、どうも合わないなあと思っていましたが、最後の「空飛ぶ馬」で全部救われた感じです。連作短編集を超えて一つの長編作品のような後味でした。ただ、会話文や地の文で話が飛んでいるところがあって、軽快な文章にも関わらず読み辛さを感じました。また、落語や文学など事件とは無関係の薀蓄が多いので興味がない人には退屈でしょう。

No.74 4点 ボナンザ 2014/04/07 22:46
作風があわないと無理。よく考えてはいるが、どうしてもミステリらしい雰囲気に乏しい。

No.73 6点 アイス・コーヒー 2013/12/18 15:44
女子大学生の「私」と噺家春桜亭円紫師匠の「日常の謎」をめぐる連作短編。
このジャンルを開拓した作品としては画期的。読書好きの「私」や、円紫師匠の魅力はなかなか趣味が合わないと分からないだろうが、自分はとても楽しめた。特に円紫師匠の落語がなかなか臨場感が出ていて面白い。
また、今までのミステリでは描き切らなかった人情や人の内面の温かさを巧く表している。世知辛い時代にこのような作品が出てきたことは嬉しい。また、ミステリとしても「砂糖合戦」や「空飛ぶ馬」は面白かった。
ところで「織部の霊」は「半七捕物帳」の「お文の魂」のパロディなのかな。おふみさんもゲスト出演していたし。

No.72 4点 ナノ 2013/12/17 13:42
純文学的な文体がどうしても合いませんでした。
日常の謎を扱っているのにどうしても日常感を見出せない。そうさせているのは気の利いた言い回しが鏤められていたことです。
いやまぁ、この作品は「日常の謎」というジャンルの先駆けですので、後付けされた日常の謎の定義を几帳面に当てはめるのもおかしいかもしれません。
ともかく、私はミステリと純文学は切り離して考えておりますので、どうしてもトリックなどがスラリと入ってきてくれませんでした。
もちろん、そういった嗜好の垣根を取り払ってどんな本でも楽しめるようにはなりたいのですがね。

No.71 5点 2013/11/06 10:11
主人公の女子大生の平凡な日常生活の中に、些細な謎がある。そんな謎と謎解きを描いた5作品が収録してある。
北村作品には縁がなく、本作が2冊目。これが日常の謎の原点なのかと納得しました。

話の大半に、主人公の身の回りのちょっとした出来事が描いてあります。歯が痛くて歯医者に行っただの、そこで隣の見知らぬ人に話しかけられただのという感じに。
そんな日常話に、些細な謎をくっつけて70ページにも及ぶ大作にしてあるから、たよりないやら、退屈やら。さらに気取りもあり、上品ぶった感じもありで、自分のようなへそ曲がりで、殺し(の話)の好きな下品なミステリー読みから反感を買われそうな作風です。
とにかく私小説と言い切っていいでしょう。何作目かに『赤頭巾』という作品がありましたが、庄司薫の『赤頭巾ちゃん気をつけて』の女性版のようにも感じました。「薫」つながりですしね。

謎の面では飛躍した推理もあり、ちょっとした驚きの結末もありですこしは楽しめました。でも、中途で緊張感が持続しないのはミステリーとして、かなり物足りません。
ミステリー・ファンであれば、ミステリーの合間に純文学を楽しむつもりで臨んだほうがいいでしょう。そのほうがまちがいなく得した気分になります。

本作品集の出版時には覆面作家だったんですね。その後作者がおじさんだと知れ、ファンは驚いたことでしょう。そのサプライズを狙ってのミステリーだったのかもしれません。

No.70 6点 測量ボ-イ 2013/09/28 17:03
今でこそ「日常の謎」的なコンセプトの作品も市民権を
得ていますが、その先駆的作品。
それなりに楽しめますが、ややインパクトに欠けるか。
「砂糖合戦」はなるほどのオチですね。
それにしても、皆さんの評価が1点から10点まで、見事
に異なります。読み手によって、評価が大きく分かれる
のでしょうね。

No.69 6点 メルカトル 2013/07/28 23:13
再読です。
まあ、可もなく不可もなく、というのが正直な感想。
文体は時折キラリと光るものを感じさせる時もあるものの、どちらかというと平板で読んでいて若干退屈さを覚える。
『砂糖合戦』はなかなか面白かったが、他はごくごく普通の出来。
女子大生の「私」にもあまり魅力を感じず、探偵役の円紫はおとなしすぎてあまり好みではないし。ただ、さすがに推理は切れ味鋭いものを見せる辺りは名探偵の面目躍如といったところか。
全体的に、謎はまずまず興味を持たせるが、肝心の真相がいまひとつ感心しなかったのは残念である。

No.68 6点 TON2 2012/12/28 18:26
創元推理文庫
 日本文学専攻の本好きかつ落語好きの女子大生と落語家円紫師匠のコンビで、日常の謎解きを行います。
 一般人の心にひそむ様々な思いが明らかになっていきます。
 作者の手練はたいしたものだと思いますが、ストーリーに緊張がないため、自分的には今ひとつという感じです。登場人物が、心根やさしく正しいものの考え方をする常識人であることに好感を覚えました。
 

No.67 4点 蟷螂の斧 2012/12/12 10:23
氏の作品は初めてです。「日常の謎」というジャンルを確立した(東西ベスト100より)とのことで拝読。日常の謎自体、あまり興味がわかない分野なので、ミステリーとして読むと?マークです。通常小説として読めば評価は高いのでしょう。解説(鮎川哲也氏)にある、「私が熱烈な賛辞を呈したのは、薫女史が女性であると信じたがために他ならない」という言葉が、『鮎川哲也と十三の謎』シリーズの最大のミステリーとなっているのでは・・・と考え過ぎでしょうか?。


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