海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

[ ホラー ]
夏と花火と私の死体
乙一 出版月: 1996年10月 平均: 6.81点 書評数: 48件

書評を見る | 採点するジャンル投票


集英社
1996年10月

集英社
2000年05月

No.48 6点 パメル 2024/03/24 19:41
乙一らしさが凝縮された類稀なる才能の片鱗を感じさせる2編からなる短編集。
「夏と花火と私の死体」ある夏の日、ふとしたきっかけで友達を殺してしまった妹に、兄が救いの手を差し伸べる。二人は必死に死体を隠そうとするが。まずこれを書かれたのが16歳の時だというからビックリ。死体目線で語られ、サスペンスを盛り上げる絶妙な描写力、無駄のない構成力。淡々とした中に、陰鬱な世界を生み出し恐怖を感じさせる表現力に圧倒された。そしてラストの恐るべき真相は衝撃。
「優子」鳥越家の使用人として働く清音は、主人である政義の妻の優子の姿を一度も見たことがなかった。実際に存在しているのか気になっていた。優子は生きているのか、いないのか。幻を見ているのは、清音なのか政義なのか。どこかのどかな語り口なのに、不気味な雰囲気。淡々とした展開からのクライマックスの炎上のイメージ喚起力がすごい。

No.47 5点 2021/10/09 13:26
表題作
「スタンド・バイ・ミー」みたいな冒険物語として楽しめる。いやそんな生易しいものではない。怖すぎる。といっても読者に襲いかかるような恐怖感はない。
いちおうオチがある。それが作者の狙いなのか。

「優子」
こっちも仕掛けがある。でもありがちかな。
でもじつは映画で有名な「サ〇〇」みたいなのを想像していた。ちょっと発想が貧困だったかな。
こっちのほうが中途の展開が怖いように思う。

No.46 6点 zuso 2021/03/24 23:16
怯える妹と冷静沈着な兄の行動に、終始ハラハラさせられる。ラストはまさかのどんでん返し。物語としての完成度はまずまずだが、ミステリとしては今ひとつ。

No.45 7点 バード 2020/01/01 11:14
-----------------------------------------------
・表題作
はっきり言って読んでる途中はあまり面白くなかった。私の基準でいうと4点くらい。その理由は、自己中なアホガキ(弥生)と狡い悪ガキ(健)の死体隠蔽をだらだら読まされたからである。この子らにもう少し魅力があれば、死体が発見されるかどうかのハラハラ感を共有でき、面白かったのだろう。しかし、私はさっさと彼らに天誅が下れとしか思えなかったので、イマイチと感じたのである。
ところが、最後まで読みきった所で本作の評価はひっくり返った。

本書の良さは、健君の悲惨な未来を想像させるホラーオチなのだが、ホラーオチにもかかわらず読後感が悪くない。それどころか、寧ろすっきりさすら感じた。
この締めの綺麗さは、弥生と健のキャラクター性を好感度が低くなるように書いていたことによる。

つまり、途中イマイチと感じた子供らの描写がオチで一転し、効果的な描写に変貌したのである。本書はいわゆる叙述トリックでは無いのですが、文章構成を利用したより高次の意味での叙述トリックと勝手に命名したい気分です(笑)。

-----------------------------------------------
・優子
こちらはそれほどですね~。
乱歩さんや横溝さんが昔に書いた話、と言われたらそんな気がする程度には新しさが無く、現代の作家さんがわざわざ書く話でないと思った。

-----------------------------------------------
私にとっては、二冊目の乙一さん本なのだが、本書を受け一筋縄では評価できない作家さんだなと思った。特に表題作の構成力は私がこれまで読んできた小説の中でトップレベルです。

No.44 6点 いいちこ 2019/01/04 15:11
奇抜極まるアイデアは買うが、それ頼みの印象が強く、いわば「掴みはOK」という作品。
ただ、執筆当時の年齢が17歳であるという事実を考慮しなくても、その乾いた筆致には高い筆力が感じられ、後日の飛躍を伺わせるデキではある

No.43 5点 ニックネーム 2015/12/20 17:07
17歳が書いたにしては凄いかもしれません。しかし巻末に小野さんが書いているように作品の出来と作者の年齢は関係ないと思います。

No.42 5点 ∠渉 2015/02/22 21:26
どうやら初乙一ではないっぽいけど(ジョジョのノベライズをたしか読んだ)、ほぼ初乙一の気分で読んだ(なんだそりゃ)。
しかもデビュー作。読む側もほんの少し力が入る。でも気付いたらいつのまにその力も抜けて、自然体で乙一作品の世界に入り込めてました。物語設定の異色さに比べて乙一氏の作品へのスタンスは非常に明快で、素直な気がした。自然体で書いたからこそ、死体の一人称が際立つし、「優子」の世界観は美しかったのかなと、勝手に自分の中で乙一像を作ってました。シンプルで凡庸な作品だという世評も多いけど、ライトな作風はかなり作者も意識してると思うし、簡単に書ける代物ではないかなと、個人的には感じた。まぁ、フツーに衝撃的だった。

No.41 7点 Tetchy 2012/11/19 21:58
そのあまりに鮮烈なデビューとなった表題作は一言、上手い!いわゆるアンファンテリブル物だが、ことさらに恐ろしさを強調するわけでもなく、あくまで静かに淡々と語ることで恐ろしさを助長しているのがすごい。わずか16歳でこの文体で子供による死体遺棄事件の顛末を語る着想に至った乙氏の才能に戦慄する。
しかし語り手である犠牲者の五月とその母親が何とも浮かばれないなぁ。

もう1編の「優子」はありがちな作品と思わせておいてひっくり返すという読者の先入観を逆手に取った趣向が見せ所だろう。相変わらずその筆致は時間の流れをゆっくりと感じさせる独特の雰囲気に満ちている。
しかし本書では逆にそれが物語の深さを減じているように感じた。最後に明かされる政義の業深き出生の秘密などはやはり情念を滾らせるような濃い文体で書いてこそ深みを増す。坂東眞砂子ならばもっと土着的な濃厚な物語を繰り広げただろう。主題と文体が結びつかなかった、そんな印象を受けた。

しかし久々に語るべき物語を持った作家に出逢った思いがした。次に我々に見せてくれる物語が楽しみだ。

No.40 4点 スパイラルライフ 2012/02/07 20:13
10代で書き上げた才能には脱帽。
無邪気な狂気がうまく描けています。
でもミステリではない。
ラノベのホラー。

No.39 1点 ムラ 2010/12/18 20:57
文章がちょっと拙かったという印象でした。
ホラーとしても物足りないし、ミステリーとしても世間に有り触れたプロットって感覚。
オチも普通でした。
死体の一人称って所は面白かったですけど、ときどき視点可笑しくなってたのがなお残念。
「優子」のほうも、どっかの怪談話で聞いたような奴でした

No.38 5点 まさむね 2010/10/04 18:33
確かに,書かれた当時の作者の年齢を聞けば,驚かざるを得ません。(描写力などは,年輩の作家よりも巧く感じたりも!)
ただ,作品自体を冷静に見れば,標準レベルのような気もします。
表題の「死体の一人称」は結構斬新で面白かったけど…
逆に「優子」は,結末が想像できてイマイチでしたね。
総合して,この評価でしょうか。(ハードルを上げ過ぎて読んでしまった面もありますが…)

No.37 6点 メルカトル 2010/05/06 00:09
うーん・・・微妙かな。
ホラーと言っても全く怖くはないし、あのオチがなければ、ただの凡作としか言いようがない。
世間の評価は高すぎる気がするね。

No.36 6点 白い風 2008/12/20 19:53
初めての乙一さんの作品でした。
推理系じゃなくてホラー系は個人的に苦手なもので…。
作品自体は読みやすい方だと思う。
確かに書かれた年齢を考えるともう少し高評価もありかな、とは思います。

No.35 8点 おしょわ 2008/12/07 15:35
ラスト良かったです。そうくるかと、という感じでした。
途中展開の遅さに結構いらいらするけどラストで納得です。

No.34 9点 かづき 2008/07/02 11:42
この作品に出会ったのは、単行本としてではなく「怖い話」というオムニバス作品集のラストに掲載されていたものを読みました。はっきり言って、他作品はどこが怖いんだって感じのものばかりだったのですが、ラストのこの話は読んでいて思わず世界観に引き込まれてしまいました。通勤電車の中で読んでいたのですが、読み切る前に駅に着いてしまい、慌てて降りた後も頭が切り替わらず、物語を引きずる程衝撃を受けました。
その後、これを書いた乙一はどんな人だろうと調べ、彼の作品を読み漁る切っ掛けとなりました。

No.33 4点 深夜 2007/11/14 19:02
周りが絶賛するので、ハードルを上げ過ぎていたようだ。ラストまでは健くんにイライラさせられたし、ラストもそれ程驚けなかった。それでも、17歳で賞を取っただけあって、文章力は相当なものがあると思う。

No.32 5点 こもと 2007/10/13 12:34
 「そろそろ一冊くらい」と、手にした乙一氏作品です。
 確かに、おもしろかった。 いや、それ以前に読みやすかったと言うべきか。 その点は、高く評価。
 ホラーという括りのこの作品ですが、乙氏が意図した怖さって、何だろうか、と。 ホラーによくある超常現象のようなそれよりも、私は生身の健くんの一挙手一投足に恐怖しました。

No.31 8点 2007/09/25 22:47
16歳でこれだけ書くというのは…すごい。
最後に驚いた。そして背筋がひやっとした。

No.30 6点 ぷねうま 2007/09/19 17:22
「死んでも一人称」という発想はすごい。そしてキレイにオチまで付けて完結させてるのもすごい。これ書いた時16歳っていうのもすごい。内容は普通。

No.29 7点 dei 2007/09/08 21:06
なんでこんなに平均点数が高いのかわからない。このくらいの話は珍しくないと思うが。
-ややネタバレ-
死体を隠そうとする動機が弱すぎるし、オチも突拍子な感じがあった。それでも16歳でこのレベルの作品をかいとのはさすが。


キーワードから探す
乙一
2022年05月
沈みかけの船より、愛をこめて
平均:7.00 / 書評数:1
2022年04月
さよならに反する現象
平均:5.50 / 書評数:2
2019年11月
小説 シライサン
2016年02月
メアリー・スーを殺して
平均:6.00 / 書評数:1
2013年07月
GOTH番外篇 森野は記念写真を撮りに行くの巻
平均:7.00 / 書評数:3
2011年03月
箱庭図書館
平均:6.00 / 書評数:3
2008年12月
GOTH モリノヨル
平均:5.50 / 書評数:2
2007年11月
The Book―jojo’s bizarre adventure 4th another day
平均:5.33 / 書評数:3
2006年05月
銃とチョコレート
平均:6.29 / 書評数:7
2003年12月
失はれる物語
平均:6.67 / 書評数:18
2003年11月
くつしたをかくせ!
平均:3.00 / 書評数:1
2003年06月
ZOO
平均:6.41 / 書評数:27
2002年12月
さみしさの周波数
平均:7.20 / 書評数:5
2002年07月
GOTH リストカット事件
平均:6.83 / 書評数:52
2002年04月
暗いところで待ち合わせ
平均:7.26 / 書評数:38
2001年10月
死にぞこないの青
平均:6.62 / 書評数:21
2001年09月
暗黒童話
平均:7.09 / 書評数:11
2001年05月
きみにしか聞こえない
平均:7.36 / 書評数:11
2000年12月
失踪HOLIDAY
平均:6.50 / 書評数:12
2000年07月
石ノ目
平均:6.91 / 書評数:11
1998年04月
天帝妖狐
平均:5.86 / 書評数:14
1996年10月
夏と花火と私の死体
平均:6.81 / 書評数:48