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[ 本格/新本格 ]
名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件
白井智之 出版月: 2022年09月 平均: 8.10点 書評数: 20件

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新潮社
2022年09月

No.20 6点 2024/05/19 17:26
普段読み慣れていないせいか多重解決モノは私には合いませんでした。

No.19 10点 hsiyehmeipo 2024/05/05 02:08
多重解決モノは基本的に、最後以外はしょっぱい出来だったりすることが多いが、これはどの推理もしっかりしていて、しかも多重解決である意味がしっかりしている。
一番最後の解決もおもしろく満足度が高かった。

No.18 6点 蟷螂の斧 2024/02/29 17:58
多重解決にそもそも興味がないというより、つまらない仮説ばかりというイメージを持っています。過去、多重解決で面白かった作品は2、3冊しかありません。本作は、あまりにも高評価なので、手に取った次第ですが・・・。成程というような仮説は、やはりありませんでしたし、また犯人は分りやすい?(苦笑)。題名に関する点が良かったので、この点数で。

No.17 10点 パメル 2024/01/06 19:33
一九七八年十一月十八日、中南米のガイアナ共和国にある密林を切り拓いた小集落ジョーデンタウン。そこはジム・ジョーデンを教父とする教団「人民教会」の信者たちが、世俗に背を向け奇跡を信じて暮らす楽園だった。しかし、ジョーデンの号令のもと、二百六十七人の子供たちを皮切りに、計九百人以上の人間が服毒自殺に走り、ジョーデン自身も拳銃で自らの命を絶ってしまう。いったい彼らは、なぜこのような終局を迎えることになってしまったのか。この集団自殺事件は、ジム・ジョーンズを教祖とする実在した教団「人民寺院」がたどった惨劇をほぼそのまま下敷きにしている。
ここで物語はいったん時間を遡り、日本を舞台に改めて進み始める。主人公である探偵の大塒崇は、調査先に行ったきり帰ってこない助手・有森りり子を探しにジョーデンタウンを訪れる。ジョーデンタウンは、奇跡の楽園と言われ、病気や怪我も存在しない、しかも失われた四肢さえも蘇るというカルト教団。ジョーデンタウンには助手以外にも外部の人間が訪れていた。その調査団のメンバーが不可解な死を遂げ、その後も次々と起こる。しかし、ここでは病気や怪我もなく、つまり死んだりしないので彼らに事情聴取をしても、事件のことを伝えても誰も信じない。そのような奇跡が存在する土壌で起きた密室殺人という特殊ミステリ。
なんといっても白眉は解決編。全体の1/3以上が解決編という構成。いわゆる多重解決もので、作者の得意としているところ。ひとつの事件に対して仮説を立てて、謎を解決したかと思いきや、その推理を上回る新たな解決が現れることが延々に続く。この圧巻の解決編が読ませる。この多重解決は、今までにない着地のさせ方、新しい趣向がなされている。複数の推理が語られてこそ、この犯人を真に断罪できるという構図が見事。緻密な推理を組み立てるためには、多くの手掛かりが必要であり、多くの手掛かりを生むためには、それと気づかせない工夫が必要だということに労力をかけていることがよくわかる。
最後の最後までサプライズが詰め込まれ、どんでん返しに次ぐどんでん返しで振り回される快感が味わえる。終盤に明かされるタイトルの真意も実に衝撃的で、真犯人の動機には戦慄させられた。作者にしてはグロテスクな描写が抑えられているので、万人にお薦めできる本格ミステリの傑作。

No.16 8点 レッドキング 2023/09/30 11:56
作者第七(連作短編集含め)長編。「ナミ」のミステリならば、メインネタで出て来るレベルの密室トリックを、オードブル・八寸と言うより付だし・お通しの如く初っ端から軽いジャブで放ち、本編に入り、なんだ、「フツウ(ホメ言葉よ)」のミステリも書けるんじゃん、白井智之・・・と思わせといて・・・ウォっーとお!!!

No.15 5点 ALFA 2023/09/07 15:08
ミステリーの謎解きは現実のロジックに則ってほしい。
この世に存在しない特殊設定を持ち出して謎解きをするなら、それはミステリーを離れた一種のパズラーノベル。
そのつもりで読めば楽しめるかもしれない。

No.14 8点 take5 2023/09/06 19:51
バタバタと人が死に、
げぼが撒き散らされ、
どうなることかと思いましたが、
反転、反転、また反転、
これ程練り込まれたロジックは
なかなかないなと、
現代ミステリーの1つの到達点です。
情緒や風情を求めずに、
紙媒体の可能性を広げた名作と言えるでしょう。

はらわたから2年でここまで精度が上がるとは。

No.13 5点 ミステリーオタク 2023/08/02 21:11
 このサイトでは非常に評価が高いが、自分にはあまり合わなかったとしか言いようがない。

 不可能と思われる殺人を演出するトリックの数々やそれらを突き破るロジックのしつこいまでのお披露目直しなどが高評価の理由なのだろうが、トリックはいずれもチマチマせせこましい上、成功率が高くないと思われるものばかりだし、現実には存在しない疾患を作り出して利用するのも如何なものかと思うし、それらに目を瞑ってもこの程度のロジック、多重解決なら有栖川や法月や綾辻の作品で何度も味わったレベルにしか感じられなかったし、最後の動機の解明もただの変な価値観としか思えない。

 このサイトのおかげで読んでみた「方舟」の衝撃があまりにも大きかったため、当サイトでの現在、国内作品ランキング第1位の本作に期待し過ぎた部分はあるかとは思うが、本作の世評の高さは自分には理解できなかった。

No.12 10点 点と点 2023/07/04 18:23
夕木春央の「方舟」や方丈貴恵の「名探偵に甘美なる死を」などレベルの高かった2022年の他作品にぶっちぎりの票数差をつけて「本格ミステリ大賞」を受賞したのが本作品。
他にも「このミステリーがすごい」では呉勝浩の「爆弾」に惜敗し,第2位に甘んじることになったが,「2023本格ミステリベスト10」では堂々の第1位
パズラーを重視する本格ミステリとしてはひとつ新しい次元に到達したのではないかと読了後素直にそう感じた。20年間のベストを決める本格ミステリ・ベスト・オブ・ベスト10では三津田信三の「首無の如き祟るもの」が選出されたが,今後この企画がまたあれば「名探偵のいけにえ」が勝ち取ってくれるだろうと信じている。

No.11 8点 mozart 2023/06/22 10:08
少し前に読んだので大分記憶が薄れていますが、大塒が不可能とも思える事件の全容を「合理的」に説明できる「二択解」を提示することでジョーデンを追い込んだのは実に見事だったという印象は強く残っています。

No.10 10点 irumi 2023/06/02 02:45
この作品を読んでレビューしないのは著者に失礼だと思ったので・・・ネタバレはなし

本格ミステリもとうとうここまできた!!
2021年の「硝子の塔の殺人」が新本格のフィナーレだと謳われていたが、それならば「名探偵のいけにえ」は新たな芽生えと言えるだろう。私は「運命の一冊」に出会う為に睡眠時間を削りながら日夜小説なんて時間のかかる娯楽を嗜んでいるわけだが、そういう一冊に出会えた日は疲れも吹き飛んでこんなレビューまで残したくなるもんだ。他の方のレビューも拝見するとやはり合わない方もそれなりにおられるようで、万人にウケると太鼓判を押すことは憚られる。しかし国内の本格ミステリ界で十年に一度の傑作だと断言しよう。

No.9 10点 ひとこと 2023/05/28 16:27
2022年の個人的ベスト

No.8 10点 密室とアリバイ 2023/05/01 23:41
近年の本格ミステリの中では頭ひとつ抜けた完成度ではないか。ミステリも土台次第でまだまだ新しいものを提供できるんだとそんな可能性を見せつけてくれた作品である。

No.7 10点 みりん 2023/03/18 03:04
信仰と現実の齟齬をテーマにカルト宗教内で起こる連続殺人事件。

【ネタバレあります】


犠牲者を最小化しようとするりり子・信仰者・余所者 すべての殺人が不可能犯罪であるにも関わらず、これらの3つの立場からそれぞれ3通りの真相を作り出す作者の引き出しの多さ。そして、複数の真相を示すことでカルト宗教を集団自殺に追い込むという怜悧さ。名探偵のいけにえというタイトルに隠された本当の意味。どんな頭脳を持ってすれば、ここまで洗練されたシナリオが思いつくのか…ひたすら作者の発想力に圧倒される作品です。もし「このミステリーの作者が怖い」大賞があれば堂々の1位です。

No.6 7点 まさむね 2023/01/29 20:52
 作者のこれまでの特徴であるエログロは、ほぼ封印(でも、決して「嘔吐物」などとは表記せず、「げぼ」で通すところは作者の拘り?でしょうか)。封印しながらのこの展開&結末は、素直に素晴らしいと思います。カルト宗教を舞台とした効果が絶大、というか、だからこその舞台設定であって感心しました。そもそも、実際の事件をモチーフにしたこと自体が効果的。
 無駄のない巧さに感心しつつ、一方で何だろう、ロジックとは違う面でもの悲しさを感じたりもしたので、7~8点の気持ちの中で、この採点とさせていただきます。

No.5 8点 人並由真 2022/12/02 07:47
(ネタバレなし)
 う~む。全体的にはもちろん面白かったが、自分の場合は下馬評の高さが期待を過剰に煽りすぎ、それゆえ読んでる間は、いまひとつ盛り上がらない感も……(汗)。
 ようやく本気で作品をスキになれたのは、最後の解決のくだりと、そのあとのエピローグの真相で、なのであった。
 ただし、前者の最大の大ネタはもちろん、後者のサプライズにしても、どこかで読んだような気がするのは、いささか歯がゆい。
 
 それでもトータルとしての加算で言えば、十分に力作で優秀作。
 その評価には、何ら異存はない。

 ちなみに最後のオチは、そういうことなのだろうと思って作者名と漢字一字を打ち込んでTwitterで検索したら、ああ、やっぱり……と腑に落ちた。
 すみません、自分はまだ(以下略)。

 7点にしようか8点にしようかギリギリ迷って、現状の気分でこの点数。

 それにしても今年の国内作品は豊作だのう。
 残りあとひと月、ダメ押しでどういう作品が出てくるか、楽しみではある。

No.4 7点 虫暮部 2022/11/24 12:25
 これが大虐殺の真相だ。えっ、マサカー!? なんちて。
 全体の構造に関しては類似作が色々思い浮かんでしまうが、それでも演出が良ければ面白くなると言う好例。

 しかし文句もある。遺体の胴体を切断。更に中身がでろんと零れ落ちないように運搬。さぞかし実行は大変だろう。
 “余所者は壇上で二つに分割されるべし” とか予言があったわけでなし。あんなことする理由があった? あれに意義があるとした推理はダミーでしょ。
 あともう一点、犯人の認識と行動に於ける矛盾……は既に指摘された方がいるのでお任せします。

No.3 9点 メルカトル 2022/10/20 22:52
病気も怪我も存在せず、失われた四肢さえ蘇る、奇蹟の楽園ジョーデンタウン。
調査に赴いたまま戻らない助手を心配して教団の本拠地に乗り込んだ探偵・大塒は、次々と不審な死に遭遇する。
奇蹟を信じる人々に、現実世界のロジックは通用するのか?
Amazon内容紹介より。

どういう心境の変化か、グロを封印した白井智之は正に超人の如き偉業を達成したのでありました。グロから解放された作者はまるで水を得た魚の如く、伸びやかにこの傑作を物しました。全てのミステリファン必読の書と言っても良いでしょう。2022年の本格ミステリは本作無くしては語れません。本年のランキングレースは『方舟』と『名探偵のいけにえ』で1位2位を争ってくれたら嬉しいなと思います。

衝撃度に於いては『方舟』に及びませんが、トリック及びロジックでは圧倒的に凌駕していると思います。又、そんな些細な事も伏線だったのかと、あれもこれも伏線だったのかと、100ページを超える怒涛の解決編を読んで、改めて感心させられました。
内容については敢えて触れませんが、一つだけ気になったのは、信者達がいくら洗脳されているとは言え、そこまで思考回路が捻じ曲げられてしまうものだろうかと疑問に思った事です。まあでも、そんな些末な瑕疵を論うのはこの傑作を前にして失礼に当たるでしょう。
色々述べましたが、畢竟個人の感想であり、批判的な意見もあって当然だと思います。それでも私の信念は揺るぎませんけどね。

No.2 6点 非公認ゃん 2022/10/17 21:19
【ネタバレ含む】初レビューです。
本作は語られている場では賛一色ですが、個人的にノリ切れなかった箇所があり、モヤモヤを吐き出したく書評を書かせていただきます。

【良いところ】
とにかくリーダビリティに溢れている。
堅苦しすぎず、稚拙すぎない筆致は最近の売れ線作家の中では貴重。キャラクタの思考、状況がスッと頭に入ってくる。
宗教団体の信者は病気や身体的障害がなかったことになる(と世界を認識している)という特殊設定を活かした衝撃的なトリック。犯行中のビジュアルを想像すると肝が抜かれる思いになる。
展開としても、ありがちな未開の土地や往路の出来事などのしつこい描写は程々にカットしていてダレずに読めました。

【気になる点】
150Pが割かれている解決編が売りとのことだが、3つの多重解決すべて探偵側が一方的にまくし立てる形で進められ、手段・動機ともに『探偵はこう思いました』の投げっぱなしになっている。
糾弾された犯人たちは言われっぱなしで反論しない・できないため、要は『この事件、こういう解釈もできますよね。知らんけど』を連続して畳みかけられる構成になってしまっている。
また看過できない点として、多重解決最後の犯人としてある信者が指名されるのだが、前述したように信者は身体的な欠損等は知覚できないというルールにも関わらず、その認識のギャップをバリバリに活かしまくって犯行に取り入れている。『実はこの犯人は宗教に染まっていないのでした』という描写もなく、1つの論中で大変な矛盾が発生しているように思える。たしかに物語中での犯人の秘匿の方法及びそのタネ明かしは鮮やかだが、やはり釈然としない。

多重解決を超えた先に作者の最も書きたかったと思われる主人公の選択とその動機が語られるのですが、(布石がふんだんに打たれているにも関わらず)あまりにリアリティのない、幼稚な言葉遊びのように感じられたのは解決編の宙ぶらりん感に引っ張られてしまったからでしょうか。
総合的に大変楽しんで読破したのは間違いないのですが、後で思い返せば思い返す程頭の中で引っかかる、少し残念な読書体験でした。

No.1 9点 HORNET 2022/09/24 20:21
 探偵・大塒宗(おおとやたかし)の有能な助手・有森りり子が所用でアメリカへ行くと言い旅立ったまま帰ってこない。不審に思った大塒が調べると、実はりり子はガイアナ共和国に拠点を置く新興宗教団体の調査に赴いていたことが分かった。急ぎりり子を追って現地へ向かう大塒。そこに待っていたのは、「教祖の奇跡」を信じる異様な集団と、連続殺人事件だった―

 今回は作者らしいエログロはなりを潜め、実際にあった「人民寺院事件」をモデルにした本格ミステリ。帯に「圧巻の解決編150ページ!」とあるように、4つの事件の推理が二転三転する究極の多重解決もの。
 3回目の謎解きに入ったときは「さすがにもういいわ…」という感覚もあったものの、そこを読み終わったところで主人公・大塒が教祖に選択を迫ったシーンで「これがそのねらいだったのか!」と腰が浮き上がった。
 「後日譚」まで、三重にも四重にも仕組まれた仕掛けに驚かされ(白井智之作品を読んでいる人にはうれしい仕掛けも)、その手腕に改めて唸らされる一冊。


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