皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
[ 本格/新本格 ] おやすみ人面瘡 |
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白井智之 | 出版月: 2016年10月 | 平均: 5.75点 | 書評数: 8件 |
KADOKAWA 2016年10月 |
KADOKAWA 2019年09月 |
No.8 | 7点 | 虫暮部 | 2024/03/16 12:54 |
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丁寧に読めばきちんとロジックが張り巡らされている、のかもしれないが疫病パニック小説、て感じでそれどころじゃないぞ。多重解決が難易度の低い順に提示されていて、ちゃんと驚きがアップしているのが良い。脳瘤の悲鳴が妙に愛らしくて困る。
最後の最後のサプライズが謎。入院したのだから機会はあったにせよ、誰が何の為にそんな鑑定を行ったのだろう。 |
No.7 | 7点 | みりん | 2024/02/09 03:01 |
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うーん面白い。これ3作目なんだねぇ…
3作品続けてこんなに面白いと、作家に対する信頼みたいなものを感じはじめる頃だろうか。本作品まで読まずとも、『人間の顔は食べづらい』『東京結合人間』あたりで既にとんでもない作家が来たと期待感に溢れている当時のレビューを読むとニヤニヤしてしまう。本サイトの楽しみ方の1つ。 【ネタバレあります】 まず、人面瘡の設定は発症した"人間"の生涯を思うと精神的に辛くなるなあ。フィクションだけど、これだけで色々妄想してしまう… この設定が今回の謎解きにどう関わってくるのかはずっと不思議だった。 中学生パートは友情・青春・辛酸。キャラクターが中学生でも、この作者は容赦のない仕打ちを用意します。また、中学生4人が容疑者となって開かれた推理合戦では、意外な探偵役が場を引っ掻き回し、二転三転する真相。一見どれも筋が通っているように見えるのがこの作者の凄いところ。 意外な犯人と救われない結末に+2点 |
No.6 | 6点 | レッドキング | 2023/07/26 18:43 |
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第三作目。これまた、トンデモSF設定・・体中に意識ある人面瘡(!)が繫茂する伝染病て(*_*;)・・を大道具に、緻密なロジックとイマイチな入代りトリックで展開される本格ミステリ。コミカルにしてグロい不快感を残す登場人物達、目を背けさせる程の残虐行為、吐き気を覚えさせる位のヘド描写・・飛鳥部勝則思い出す・・。宿主大脳の推理を否定する人面瘡A、人面瘡Aの別解推理を否定する人面瘡B、笑かしてくれるが、せっかく、意識ある人面瘡・・むしろ奇形多生児・・設定なんだから、二階堂黎人「幽霊マンモス」や門前典之「灰王家の怪人」を飛び越えた、超トンデモ密室トリックの大技一発もの・・麻耶雄嵩「翼ある闇」発展完成形・・こしらえてほしく・・ |
No.5 | 6点 | 名探偵ジャパン | 2019/09/10 10:54 |
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なんだかんだ言っても、他の作家にはない絶対的に独自の作風を確立していることは凄いなと思います。
ちょっとお近づきになりたくない……という奇天烈なキャラクターしか(相変わらず)出てきませんが、そんな人たちでも、推理パートになると理路整然と筋道立ったことを言い出して議論する(ミステリなので当たり前ですが)のが白井智之作品の奇妙な魅力で、いつも笑ってしまいます。 |
No.4 | 2点 | まさむね | 2017/03/05 18:25 |
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理論的な面にだけ着目すれば、純粋な本格ミステリでありましょう。ミステリランキングで高評価であることも頷けます。
でも、私はこの採点。作者の特異的な環境設定は、三作目で幾分慣れたと思っていたのですが、本作品はかなり不快でありました。嫌悪感と言ってもいい。いや、内容じゃなくて、個人的な感覚としてなのですがね。 というのも、本作の舞台の一つ「海晴市」って、宮城県の海岸部の設定なのですよね。作品世界とは直接関係ないけれど、6年前の大災害を思い浮かべたのは私だけ?いくら架空の都市名としても、宮城県の海岸部って設定に敢えてしているのはなぜ?そして、その扱い方が、かなり酷いよね。無意識なの?わざとなの? 多分、作者にとっては震災とか過去の話になっているのだろうね。仙台の大学を卒業したらしいのにね。想像力が豊かなのか、貧困なのか、紙一重だよね。この作家さん、大丈夫か。 …といった、嫌悪感を持ってしまったら、本格度も何もないですよね。よって、この点数になりますな。 |
No.3 | 7点 | 人並由真 | 2017/01/05 19:29 |
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(ネタバレなし)
前作『東京結合人間』は、イカれたSF設定の枠内でのストーリーテリングそのものと、くだんの異常な設定に基づく最後の謎解きの強烈さ、その双方に呆然とした。 それに比べると今回は途中まで(やはりぶっとんだ世界観ながら)真っ当なような(でもやっぱりタガの外れた)中学生たちを主人公に据えた等身大ジュブナイル風の部分も多い。 まあ本作の場合は二つの別々の物語が後半の山場で交わるまでB・S・バリンジャー風の二部並行形式で語られるので、ジュブナイル調なのはその片っ方だけだが(もう一方のストーリーの主人公は、風俗店のスタッフを務める若者)。 三作目でやや守りに入ったかな、しかしこの作者なら、この設定を活かした上でまたなんかあるんだろうな…と思っていたら、終盤は豪快なまでに正統派の、そしてクレイジーな謎解きミステリに転調または収束。冒頭からの数々の伏線もパワフルに回収される。特に顔を潰された死体~ダイイングメッセージ? の辺りはこの作者の面目約如だろう。 (ただ大ネタの中である一点、中学生側の叙述で無理筋めいた気もするが、そこは「いや、だから×××なのかな…」と思えば、腑に落ちないこともない。) 一部の仕掛けは見破ることはできるだろうが、この手数の多さには、前回以上に参ったという感じの一冊。作者のこのテンションは、いつまで続くのだろう。 |
No.2 | 5点 | HORNET | 2016/12/17 12:55 |
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氏の作品は初読。帯に「綾辻行人&道尾修介がいま最も注目する」とあり、「東京結合人間」も気になってはいたので、かなりの期待を込めて読んだ。期待を高め過ぎたのか、正直思ったほどではなかった。
物語中にちりばめられる各謎の筋道だった解明や、さりげない手がかりの置き方もうまいとは思う。が、いろいろなところに仕掛けすぎ、しかも人面瘤によって推理が二転三転するので(そこが売りでもあったらしいが)こんがらがってくる。大仰な舞台設定の割には、各過程で解き明かされるのがアリバイとか指紋とかいう通俗的な内容で、それぞれの推理に「なるほど」とは思うがそれ以上の感動はなかった。 ただ言い換えればこれだけ複雑な仕掛けをよくも考えてまとめあげたものだ、とも思った。 |
No.1 | 6点 | メルカトル | 2016/10/12 21:48 |
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白井智之の新作と聞いて黙っていられない私は、さっそく書店に出向き本書をゲットしたのである。読んでみると相変わらずの白井ワールド全開で、二十万人規模の人瘤病患者が日本中に蔓延しているという舞台設定となっている。
前二作に比べて、今回は纏まりとメリハリに欠けるきらいがあり、全体的にだらだらとした印象を受ける。だが、特殊な状況下における事件や解決にはそれなりの必然性があるので、その意味では体のいたるところに複数の人面蒼ができる病気を持つ人物が複数登場するが、その特異設定は生かされていると思う。 まあしかし、よくもこれだけ異常な物語を考えられるものだと感心させられる。さらに細かい部分まで神経が行き届いており、目立った瑕疵や矛盾は感じられない。ただ一部バカミス的な個所もあり読者を翻弄する辺りは、ご愛嬌といったところか。 エピローグではアッと驚く仕掛けも用意されていて、タイトルの意味も大いに納得できるものであった。尚、グロさは幾分抑え気味となっている。 |