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[ 本格/新本格 ]
ぼくは化け物きみは怪物
白井智之 出版月: 2024年08月 平均: 7.50点 書評数: 4件

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光文社
2024年08月

No.4 7点 レッドキング 2024/10/18 23:01
「最初の事件」 同じクラスの小学生に降りかかる窃盗・障害(+殺人)事件。封筒折り目ロジックが鮮やか。7点。
「大きな手の悪魔」 「幼年期の終わり」風味SF+ハードボイルド調+本格ミステリロジック&トリックに、5点。
「奈々子の中で死んだ男」 昭和三年の底辺遊郭街を舞台にした、娼婦探偵と幽霊ヤクザの毒殺犯捜し。6点。
「モーティリアンの手首」 プチ「星を継ぐもの」異星人化石ミステリより、ティプトリー風生物SFネタ部分がよく。7点
「天使と怪物」 フリークス見世物一座の密室殺人三重解決。密室三つ分の価値あり(第一のはチト無理じゃね)。 8.5点
で、平均で7点。 巻頭の二種のフリが、全作貫く展開になるのかと思ったが、5作とも、全く独立した短編であった。

No.3 8点 メルカトル 2024/09/30 22:22
クラスメイト襲撃事件を捜査する小学校の名探偵。
滅亡に瀕した人類に命運を託された〝怪物”。
郭町の連続毒殺事件に巻き込まれた遊女。
異星生物のバラバラ死体を掘り起こした三人組。
見世物小屋(フリークショー)の怪事件を予言した〝天使の子”。

凶暴な奇想に潜む、無垢な衝動があなたを突き刺す。
白井智之は容赦しない。
Amazon内容紹介より。

エログロが無くても十分面白い、最早白井智之は鬼才であり巨匠と呼んでも差し支えないのではないかと思います。それだけの風格すら漂っています。
これだけ時代や舞台が違い、SF的特異設定を含有する本格ミステリを書けるのはこの人を置いて他にいないでしょう。特に個人的に好みなのは『奈々子の中で死んだ男』で、意表を突く解決法は秀逸です。これだけでも読む価値は十分ありますし、他も秀作揃いで凡作は一つもありません。

しかし、書下ろしの最終話『天使と怪物』で全て吹っ飛ばされました。これは大傑作ですね。フリークスを用いた多重解決も見事で、単なる密室殺人では済まない凄みがあり、作者の脳みその中が想像も出来ない位、緻密に考えられています。
現在のミステリ界で唯一無二の存在に大きく成長し過ぎた白井智之、一体彼はどこまで本格ミステリの限界に挑戦しようと云うのでしょうか。今最も注目の作家であるのは間違いないと思います。今年も各ランキングの本命となるでしょう。

No.2 7点 虫暮部 2024/09/26 12:23
 これはびっくりした。「天使と怪物」なんて皆川博子の歴史ミステリみたいだ。飛び道具無し、否、無しとは言わないが飛び道具と有機的に結び付いて織り上げられた物語性の豊かな発露!
 御見逸れしましたと頭を垂れるしかない。まぁ今までが今までだしね……。

No.1 8点 文生 2024/09/22 13:45
前作の『エレファントヘッド』は本格ミステリの極北とでもいうべき傑作ではあったものの、あまりにもマニア度が高すぎてついていけない部分がありました。その点、本作は十分に尖っていながらも間口もそこそこ広くて個人的にはいい塩梅でした。5つの短編は特殊設定&多重解決といつもの白井作品であると同時に、1作ごとに趣向が凝っていて読み応えは十分です。
著者ならではのエログロ趣味をミステリの仕掛けとして活用しつくした「奈々子の中で死んだ男」も良いですが、なんといっても圧巻なのは多重解決の新機軸を編み出した「天使と怪物」でしょう。予言と多重解決を結び付けたところが慧眼です。
また、稀代の洗脳犯であるお婆さんと侵略宇宙人との対決を描いた「大きな手の悪魔」も着想がユニークで面白い。


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白井智之
2024年08月
ぼくは化け物きみは怪物
平均:7.50 / 書評数:4
2023年09月
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2014年10月
人間の顔は食べづらい
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