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[ 本格 ]
ニュー・イン三十一番の謎
ソーンダイク博士 別題「オリエンタリストの遺言書」
R・オースティン・フリーマン 出版月: 2017年07月 平均: 5.50点 書評数: 2件

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美藤志州
2017年07月

論創社
2019年02月

No.2 5点 人並由真 2020/02/17 03:08
(ネタバレなし)
 物語内の2つの流れの相関に気づかない読者はいないだろう。フィクションとして組立てられたクラシックミステリなら、並列する叙述には当然ながら意味があるから。とはいえ作中の人物が、あれやこれやの目前の現実(ロンドン中に蔓延するインフルエンザの対処とか)に気を取られて、なかなかそこに思い至らないというのは結構リアルかも。ジャービスの言う、開業医は頭を切り替えないとやっていけないのだという強引なイクスキューズ(あれはそういうことを言いたいんだよね?)にも、笑えた。
 ……とはいえやっぱり、一方は伝聞だけとはいえ、相応に重要なキーポイントが話題になっているんだから、そこで連想が生じないのはムリを感じるんだよなあ。
 あとソーンダイクの終盤の謎解きは評判がいいんだけど、個人的にはそれほど褒めるレベルか? という感じであった。犯人が(中略)自体を犯行のギミックにしたあたりはちょっと面白かったけど。

 翻訳が読みやすいこともあって一応は楽しく読めたものの、初期3作のなかでは確実に一番オチる。シリーズの研究家にはネタの多い作品だとは思う。評点はかなり4点に近いこの点数ということで。
 
※P2764行目
ミスター・スティーヴンズに(×)
ミスター・スティーヴンに (○)
この名前は作中に山ほど出てくるのに、なんでここだけ誤記が残ってるんだろ。再版の機会でもあったら、直しておいてください。

No.1 6点 nukkam 2019/02/21 22:20
(ネタバレなしです) 1912年発表のソーンダイク博士シリーズ第3作の本格派推理小説です。ワトソン役のジャーヴァスが謎の家で謎の住人と謎の患者に出会う物語、そしてソーンダイク博士が不自然な経緯で改訂された遺言状について相談を受ける物語、この2つの物語が交錯しながら展開するプロットです。もともと中編作品だったのを長編化したらしいので、それがこのような構成になった理由かもしれません。真相に意外性はありませんが前作の「オシリスの眼」(1911年)と同じくソーンダイク博士の細部に渡る推理が印象的で、あまりの細かさにもっと簡潔に説明できないのかとわがままな注文をつけたくなります(笑)。


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R・オースティン・フリーマン
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