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[ 本格/新本格 ]
マツリカ・マトリョシカ
マツリカシリーズ
相沢沙呼 出版月: 2017年08月 平均: 7.21点 書評数: 14件

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KADOKAWA
2017年08月

KADOKAWA
2020年03月

No.14 7点 mozart 2023/07/02 11:02
みじめな柴犬なのに女子に囲まれて「ハーレム」状態になっていることとか、絶対的なピンチにマツリカさんが颯爽と登場してくるシーンとかがご都合主義なのはやや気になりますが、同シリーズの他の二作品と比べると格段に面白かったのは事実です。
太股ばかり気になっていましたが胸ポケットですか、なるほど……。

No.13 5点 ボナンザ 2021/08/14 18:22
いつの間に柴犬君がこんなハーレム主人公に・・・。
長編だけあって多重解決とか話の重さは中々。まあ、真犯人は見当つくと思いますが。

No.12 5点 蟷螂の斧 2021/04/19 17:26
前作のシリーズを読んでいないので背景(謎の女性マツリカや主人公の姉の存在)が分からない。概要は説明して欲しいところ。好みの問題なので仕方ないのだが、多重解決ものにほとんど興味が湧かない。一つでも面白い推理あればと思うのだが、それがないと高評価は中々つけがたい。「なぜ胸ポケットに自転車の鍵が入っていたのか?」が最大の「カギ」になるのだが、これに必然性を感じられないのが弱い点。まあ、これがないと物語自体が成立しないのだが・・・。密室ものはよほどのトリックでないと・・・・とも思う次第です。

No.11 9点 sophia 2020/10/11 21:12
各人の推理が次々に披露される現代の密室談義が面白く、近年になくほぼ一気読みしてしまいました。この作品は犯人も動機もほぼオープンにされているようなものですが、密室トリックが皆目見当が付かないというものです。真相は一度ボツになった推理の応用になっているというのが実に高度でした。
ちなみにこの作品は前二作を読んでから読むのがお勧めです。シリーズのレギュラーメンバーみんなに見せ場があり、どうも物足りなかった前二作でコツコツと積み上げたものは全てこの作品の為のものだったのだと思わされました。特に主人公の成長が嬉しいです。

No.10 9点 zuso 2020/08/27 20:28
主人公の柴山君だけでなく、過去に囚われている人たちがマツリカさんを含め何人か登場する。そしていつの間にかそれぞれが、かけがえのない存在になっていく。青春ものとしても楽しめるし、殺人は起こらないがミステリとしても美しいロジックが堪能できる。

No.9 9点 モンケ 2020/08/17 08:24
殺人なき密室事件が二つも出て来て大変に満足です。
実は話題の「霊媒探偵~」ての読みたかったのだが、図書館予約がいっぱいでこちらを先に読んだのですが、拾い物でした。

No.8 5点 Kingscorss 2020/08/15 19:17
マツリカシリーズ3作目が面白いと聞いて1,2から続けて読みました。

正直1,2作目はとにかくマツリカと柴犬の気持ち悪いソフトSMプレイが多く、全く好みでないですが、3作目は長編でソフト本格テイスト学園ミステリーの体をなしており割とすんなり読めました。

読後感がよくなったのはやはり気持ち悪いソフトSMプレイが減ったのと、作者の性癖の太もも関連が少なくなったせいだと思います。ミステリーの謎も学園ミステリーとしてそれなりにうまくできておりその辺では特に文句もないです。

ただ、これは個人的なことですが、今回はレイプ未遂までしてしまうのに何故かモテモテのマゾ豚キョド男の変態主人公(1,2作目よりは頑張ってましたが)に好感が全く持てないし、最後呼んでもいないのにいきなり主人公を助けるために関係者全員集合(お前ら主人公の後ずーと尾行しとったんか?)の少年ジャンプばりの友情パワー、絶体絶命のピンチにご都合主義のタイミング(教室の外で聞き耳立てて出番待ってたの?)で現れる〇〇さん(でもこれはちょっと予想してなかった)等、ラノベ特有(もしくは少年漫画)のありえない展開が許容できないのでこの点数です。

その辺が好きな方、許容できる人ならもう少し上の点数かと。実際高得点つけられてる方が殆どで自分の包容力のなさを実感です。。。本当、ラノベ苦手なんです。

評価とは関係ないですが、著者がプリーツの構造を熟知している男の作家は変態と告白してるのは納得しました。

No.7 8点 レッドキング 2020/07/08 22:20
9点はつけられないが、困ったことに・・8点未満に下げる欠点が見つからない・・・。

No.6 8点 makomako 2020/05/18 18:08
このシリーズ1作、2作(ことに2作目)は主人公の柴犬君があまりにうじうじしすぎで、しょうもない話だなあといったところでしたが、3作目はがらりと様相が変わって、精緻な推理小説であり青春小説となっていたことにまず驚きました。
 シリーズ初の長編なのですが、マツリカさんの出番はかなり少なくなっています。従ってエロっぽい話は少なく青春を生きる若者たちの推理が主体です。かれらが次第に成長しつつ友情が芽生えてくるのも、なかなか良い。
 お話は過去と現在の密室が複雑に絡み合っており、それを試行錯誤しながら少しずつ解明していく過程は大変精緻で、エラリークイーンのようでもあります。
 このシリーズで飛びぬけて素晴らしい内容と思いました。
 続編が出るとよいなあ。

No.5 7点 まさむね 2018/12/03 22:11
 このシリーズの第一作目「マツリカ・マジョルカ」を読んだ際には、それほど良いイメージは残らなかったのですが(キャラ設定のみ記憶に残っている)、第三作目にあたる本書の巷での一定の評価から、ずっと気になってはおりました。ようやく、手にする機会を得た次第です。
 で、内容としては、現在と過去の2つの密室を主眼に据えた堂々たる本格路線で、ちょっと驚かされました。コレって、個人的には、完全に好みの範疇に入るぞ。なかなかの収穫で、何か得した気分です。
 柴犬のネガティブ思考には相当イライラさせられつつも、健全な高校男子の思考回路もあって、その辺りには好感。今回のマツリカ様の名探偵ぶりも良かった。続編も読んじゃうような気がします。

No.4 7点 名探偵ジャパン 2018/07/28 23:29
シリーズ初の長編です。
私の本シリーズの書評としては、二作目の『マツリカ・マハリタ』をとばしていますが、内容的には一作目の『マツリカ・マジョルカ』と大差ないため割愛させていただきました。

で、本作になるのですが、前二作とは打って変わって、このシリーズらしからぬ(?)本格的な二つの密室の謎が提示され、解決も論理的で納得のいく見事な仕上がりになっていると思います。

ただ、あくまで私見なのですが、主人公の男の子は、個人的ミステリ界もっともイライラする主人公で(笑)、そこのところが読んでいてイラっとして、手放しで褒められない要因になってしまっていました(一作目、二作目まではまだ我慢できましたが、三作目に至ってもこの状態で 笑)

せっかく、神(作者)の采配で、事件に関係する人物ほとんどすべてが美女、美少女ばかりというハーレム状態で、しかも何かと気をかけてくれる良い子ばかりなのに(加えて、数少ない男子レギュラーは女子に一切ちょっかいを出さない、というお約束つき)、この主人公は、いつまでも「自分はそんなことをされる価値のない人間で云々」と、うじうじしてばかり。
そうなってしまった理由が、敬愛していた姉の死にあるという説明はされているのですが、あまりに主人公のネガティブ思考を延々と聞かされてばかりでいい加減辟易してしまっているので、「主人公をこういう性格にするために姉が殺されたんだね」というメタ視点での「設定付け」ばかりを先行して考えるようになって覚めてしまいます。そのくせ、頭の中ではエロいことをしっかり考えているという、そこだけリアルな高校生男子像がいびつです。

それに対して、もうひとりの主人公であるマツリカは、出番自体は少ないながらも、長編ということもあってか、今回はいつも以上に大活躍を見せます。クライマックスでの登場場面とその後の推理展開はかっこよすぎです。これぞ名探偵。最高でした。

No.3 7点 パメル 2018/05/02 15:11
シリーズものと知らず読んでしまった。前2作を読んでから読めば、さらに楽しめたと思う。
過去の密室事件と現在の密室事件の謎を高校生同士が推理合戦する学園ミステリですが、殺人が起きているわけではない。殺トルソーという変わった設定。
二転三転する多重解決ものとしての面白さに、切れ味鋭いロジックから明かされるトリックと犯人の暴き方も実に鮮やか。犯人の動機も青春してていい感じ。青春ミステリが好きな方は、十分楽しめると思います。
余談ですが、「トルソー」って聞き慣れない言葉だったので調べてみましたが、服をディスプレイするときに使う、頭・腕・脚がないマネキンみたいなものらしいです。

No.2 8点 メルカトル 2018/02/06 22:23
シリーズ第一作から比べると随分雰囲気が変わったように思います。それはマツリカさんの出番が減った点によるところが大きいでしょう。ですから、柴山君とマツリカさんの関係が気になる方にとってはやや不満も出てくるかもしれません。しかし、その分本作は本格ミステリとして堂々たる傑作に仕上がっており、また柴山君がぼっちではなく、写真部や美術部の仲間たちといい感じで事件解決に向かって一丸となる姿に青春を感じます。まあ孤独な柴山君のほうがいいんじゃないの?というファンも意外と多いかもしれませんが。

本作のツボは「過去密室」と「現代密室」の双方の不可思議な謎に挑むことにあります。一見似たようなシチュエーションではありますが、その解法は全く違ったものです。特に「現代密室」のほうは実に六個もの推理が披露され、それぞれがかなりの信憑性を持っているところが異色とも言えます。普通は捨て駒となりそうな推理がいくつか混じるのものだと思いますが、これは違います。どれも、これは!と思わせるものばかりなのです。個人的には三ノ輪さんの意表を突いた推理がシンプルながら最も現実的であり、共感できました。
とにかく、一つ一つのロジックが「美しい」です。この多重推理の競演がタイトルのマトリョシカに繋がっているようですね。

青春ミステリとしても十分満足のいく作品だと思います。登場人物はかなり多いですが、それぞれにしっかりとした個性が与えられており、物語の中でちゃんとした役割を演じています。特に女子生徒に関しては、やや変態的な視点から描かせたら作者の右に出る者はいないのではないかという気がしますね。

No.1 7点 人並由真 2018/01/09 12:11
 以前から気になりながらも全く手つかずだった相沢作品でマツリカ・シリーズだが、初めて読んでみたこの一冊はえらく歯応えがあり、そして面白かった。
 血なまぐささ皆無の日常の謎を契機にした多重推理が連なっていく趣向、そして最後に名探偵が綿々と語るロジックの切れ味と多重感。

 巨×のあたりのロジックなど、それはどうよ、それでもやる人はやるんじゃないの、という思いもしないでもないが、その辺の受け手のツッコミを刺激するのですら、きっとこの作品の芸であろう。まちがいなく2017年の最大の収穫のひとつ。


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