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[ 本格/新本格 ]
片眼の猿
道尾秀介 出版月: 2007年02月 平均: 5.92点 書評数: 24件

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新潮社
2007年02月

新潮社
2009年06月

No.24 6点 パメル 2023/11/22 06:53
ヨーロッパの民話に「片眼の猿」という話があるらしい。その昔、その猿は皆左眼だけしかない猿であった。ところがある日、両眼をもって生まれた猿が現れた。左眼しか持たない猿の集団の中で、いたたまれなくなり、ついには右眼を潰してしまったという話。
私立探偵の三梨は、盗聴専門という変わり種の探偵であった。彼の元に産業スパイを捜し出す依頼が舞い込む。三梨は着実に調査を進めていたが、そんなある日、知っている人に似た女性を見かけてスカウトする。相棒として調査を進めるが、そんな中殺人が起き、相棒が容疑者として挙がってしまう。
作者の作風は、どちらかといえばダークなサスペンスもの、またはホラー寄りのミステリというイメージがあるが、この作品は底抜けに明るい。プロットそのもの自体は、暗いものが流れているのだが。事件そのものは単純なものであるものの、思いも寄らないところへ転がっていくところに意外性がある。盗聴専門の私立探偵というのは面白い着眼点だ。音に着目し、そこに何かを仕掛けるというのは予想がつくが、小説ならではの仕掛けが仕込まれている。
外見ではなく、何を意識すべきなのか。人間の本質はどこにあるのか。人間にとって本当に大切なものは何か。その答えに三梨は持論を語る。仕掛けの一部は、容易に見当がつくだろうが全てを見破るのは困難だろう。その仕掛けが明かされるプロセスは「シャドウ」に近いテイストがある。

No.23 5点 いいちこ 2020/10/20 19:18
社会正義の王道を往くテーマ設定だが、裏を返せばそれだけの作品。
ミステリとしても、ミスリードとしても、物足りなさが強く残り、5点の最下層

No.22 4点 新世紀ミステリー 2019/06/30 06:13
2007年発表。この作家ここらで本格物から離れてもっと えんたーてーめんと な方向性に舵取りした方が世間に受けて自身にも合ってることに気付いたんでしょうね。

No.21 6点 take5 2018/08/19 00:49
ネタバレでしょうか


冒頭挿入される犬のくだりがあざといミスリードだとか、
読み返すと軽さが目立つ文体だとか、
確かにその通りなのですが、
登場人物に対する読者の思い込みを喚起しているのだとしたら、
それらは成功したと言って良いのではないでしょうか。
私の中では、その最高峰が『赤毛の男の妻』なのですが。


No.20 7点 sophia 2018/07/08 00:21
殺人事件の解決などどうでもよく、私の関心事は「冬絵の能力はいつ発揮されるんだ?何のために雇ったんだ?作者は何か忘れてるのか?」ということでしたが、見事に作者の術中に嵌ってしまいました。最終盤のネタバラシで×××のオンパレードなのがこの作品のデリケートなところですから、好みは分かれるでしょうか。

No.19 8点 斎藤警部 2016/05/09 19:20
流石に展開が速い、もう終盤のどんでん返しかとドッキリさせるような反転が早いうちからpop-up快調。「カラス」を少しだけ若くした質感。削ぎ落としを露骨には感じさせないが抑えた言葉数、高速で進める読みやすさで濃密な内容を披瀝、しかも途上には緩急の整えどころまで設えてあるんだ、基礎分厚き者の余裕だぜ。
短いミスリード、割と長い伏線、妙に魅力あるチョイ役、谷口社長。。かなり長い伏線ないしミスリードもある。変わった子か。。まさか『絶対に映像化できない』なるコンセプトが先行した作品じゃなかろうな?それも、別の意味で映像化出来ないって方からインスパイアされたとかじゃ。。しかしまあ 何というか、豊潤たる叙述トリックですよね。これだけのジョトリを重ねておきながら嫌味な後味が(おいら的には)全くしないってんだから凄いなあ。そっか、四菱が某人物(とその仲間達)をそこまで畏れるのには、そんな理由も。。
しっかしまあ、こんだけ言葉数を絞った小説でこういうナニとなればだ、正味の話 o(^_^)o 伏線でもミスリードでもナニでもない部分のパーセンテージって両手で数えるほども行かないんじゃないか? ま、ミスリードの突起がゴツゴツししてるから多少とも手馴れた読み手にとっちゃあまるっきり根底から騙されるってわけにも行かなそうだけどさ、こりゃ何かあるとかナニが逆だとか、何となしに少なくとも頭の片隅だろうけどさ、それでもやっぱりですよ、色々明かされるタイミングもジャストだし、こりゃあぐっと来ますよ。思いのほかとて~も長い伏線ないしミスリードもあったな。。 主人公の口癖「言葉の綾」。。たしかに事件そのものはあっさりしたもんだけどさ、バカ●●トリックも本当にバカで笑うけどさ、だけどそっちのミスリードがこっちのミスリード(どっちのミスリードだ?)に引っ張られるからこそのミスリードだったりして、決して叙述の罠だけ宙に浮いてるわけではないしね。 ただ、そのへんのナニに納得出来過ぎちゃって、再読したくはならないけどね。。 いいの別に。 あと、こういう素敵な暗号の謎はいいな本当に、って思ったよ。 そしてこの題名だ。
しかし冒頭近くの二人の青年ね、小説的にね、いい仕事したねえぇ~  
読後、餃子が喰いたくなるかどうかは微妙だね。

No.18 6点 風桜青紫 2015/12/29 00:22
むしろ道尾秀介は「ミスリードがうまい」というふうに評価されていたのか……!? この作品に限らず、道尾作品というのはどれもミスリードが露骨だし、むしろ下手な部類ではないかと思う。冒頭の電車でのやり取りについても、読者を引っ掻けたいという魂胆が見え見えで、読み返せば「なんだかなあ……」という気分になる。でもまあ、この作品は面白いです。私立探偵ものとしては人物も話運びもなんとも月並みなんだが、変に凝っていないぶん、さらさらと読めるし、話は先行きが気になるし、結末にもニヤリとさせられます。まあ、書くほうもサラッと書くことを意識したんだろうけど、王道の面白さをよく捉えていらっしゃる。

No.17 8点 ナノ 2013/09/10 18:11
まさにトランプの手品を見せられて、そのタネ明かしを受けていたような印象。
そういうコトだったのかという箇所が幾度もあり、綺麗にまとまっています。
軽い作品というのは否定しません、というより手軽な作品といえます。
それでいて読み易さと内容が反比例することもなかったですし、道尾氏の筆力の高さを伺わせる作品でした。

No.16 5点 2012/10/06 12:48
 叙述にひっかかたところもありましたが、全般のミステリーとしては物足りませんでした。

No.15 8点 mohicant 2012/09/16 22:34
 道尾秀介の作品では珍しく、読後感が悪くない一冊。身体障害。コンプレックス。テーマについても考えさせられるものであった。

No.14 4点 蟷螂の斧 2012/01/10 21:29
作者の作品は「向日葵の咲かない夏」に続き2冊目となりますが、肌が合いませんでした。作者談にある「自分が描きたいのは、”人間”であって、ミステリという形式はそのために選び取られているに過ぎない」とのとおり、ミステリーとしては?マークがつきます。だからと言って”人間”が描かれているのかについても?でした。

No.13 6点 isurrender 2011/08/20 00:35
ミステリーとしては、そこまで評価はできない
ストーリーもわりとベタな展開ではあるのだが、後味は良く個人的には結構好きな爽やかな終わり方

No.12 5点 あびびび 2011/01/19 20:49
おそらくサラッと書いたんだと思う。全体的にそんな感じ。重厚感はないけど、すらすら読める。

面白くはないけど、退屈はしない。序盤で犯人と、その背景に気が付いたけど、それがどうしたの?って感じのミステリー。

きっと力量がある、この作家は…。

No.11 6点 まさむね 2011/01/08 16:39
終盤にいくつかの真相が明らかになる訳ですが,いずれも氏の他作品に比べれば小粒ですね。真犯人については,完全に想定内ですし。
でも,優しさには溢れている。決して「やーい騙された」とはならない深さもある。
ハードボイルド調もうまいことハマってると思いますが。
これ以降の氏の作品の指向性を見ると,この作品がひとつの分岐点になったような気がします。

No.10 5点 2010/05/20 09:21
ドラマにすれば面白いだろうなあ、というようなストーリーです。でも、そのままでは絶対に映像化できません。伏線(というより叙述トリックかな)のジャブが襲いかかってくるような感じです。さすが技巧派です。ただ、さらっと読めるわりには、手掛かりを見落とさないよう身構えてしまうので読んでいて落ち着かない感がありました。思わせぶりな煽りの叙述もありましたからね(伏線は自然がいちばんです)。そういう意味では技巧派とはいえないかもしれません。こういう作品を続けて読むのは苦痛になるので、この種の作品のあとは、ストーリーの流れに乗りながら読める作品で落ち着きたい気がします。でも、道尾作品はこれからも読んでいきたいですね。

No.9 7点 minii 2009/12/03 20:36
初めて読んだ道尾作品。
ミステリー色は弱いが、エンターテイメントとしての楽しさや、映像化が決してできない文章ならではの伏線に心おどった。

No.8 3点 E-BANKER 2009/10/18 21:40
「ミスリードがうまい」というふうに評価されていますが、本作でいうところの”ミスリード”とは、どこの部分を言っているのでしょうか?
”秋絵”のこと? ローズフラットの住人のこと? まさか真犯人のこと?
ストーリー的には安手の探偵物連続ドラマの1作という印象でしょうか。あらゆる意味で軽すぎるミステリー。
テレビや音楽と一緒に”ながら読書”するなら適した作品でしょう。

No.7 6点 こう 2009/10/14 03:27
 お話としては明るく、キャラクター造形もよく面白いので読んで損はないと思います。
 いわゆる終盤のサプライズも含めての真相は前例もありあまり驚きもなく正直既読感のあるものでしたがキャラクターとストーリーが楽しめればいいのかなあと個人的に思います。

No.6 7点 yoneppi 2009/09/23 19:28
巧さに感心させられるし後味もいい。
この作者ははっきりと、騙すつもりで書いたというべき。

No.5 6点 だい様 2009/07/23 12:40
相変わらずこの人の文章は世界に入りやすい。
またミスリードも見事!
ご都合主義的なところがマイナスだがそれなりに楽しめた。


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